『ラブライブ!』は「みんなで叶える物語」を合言葉に2010年6月、電撃G’sマガジンの誌上企画から、そのプロジェクトをスタートさせた。同年8月には作品キャラクターの声を演じる声優 – 新田恵海、南條愛乃、内田 彩、三森すずこ、飯田里穂、Pile、楠田亜衣奈、久保ユリカ、徳井青空 -によって結成されたアイドルユニット、μ’sが1stシングル『僕らのLIVE 君とのLIFE』をリリースし、その活動を一歩ずつ着実に進めていくことになる。TVアニメ化が発表された2012年に開催された“μ’s First LoveLive!”をきっかけにその名前は多くの人が知るところとなり、デュオ/トリオシングルの連続リリースや“Animelo Summer Live 2012 -INFINITY∞-”などへの出演も相まって、大きな注目を集めることとなった。
2013年1月にはTVアニメ『ラブライブ!』が放送され、これ以降その人気を爆発的に加速させる。スマートフォン向けゲーム『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル(スクフェス)』の配信開始やTVアニメ2期放送によるファン層増大の相乗効果も伴って、シングルのオリコンチャート上位へのランクイン、さいたまスーパーアリーナでの2DAYSワンマンライヴ「μ’s →NEXT LoveLive! 2014 ~ENDLESS PARADE~」の開催、紅白歌合戦への出演など枚挙にいとまがないほどの目覚しい活躍をみせる。そして、2015年に公開された劇場版『ラブライブ! The School Idol Movie』は累計興行収入を20億円突破する記録を打ち立て、「夢が現実になる」その言葉をそのままに体現し続けた。
クオリティの高い楽曲に調和する美しい映像、圧倒的なライヴ・パフォーマンス、個性豊かなキャラクター/メンバー……μ’sの魅力を語るには幾ら言葉を費やしても足りないのだろうが、ひとつたしかなことは、周囲の期待に応えるべくこれまでを超える歌唱やパフォーマンスを自らに課し、プレッシャーと戦いながら歩み続けてきたメンバーとスタッフによるたゆまぬ努力に、ファンの熱い声援が結びつくことによって、これほどまでの結果を成し遂げることができたということ。『ラブライブ!』は、『ラブライブ!』に参加したすべての人によって叶えられた、夢の物語であった。
そんな彼女たちの軌跡をレコーディングそのままの音質で、ありのままの歌の姿で辿ることができるのがこのハイレゾ音源。
『ラブライブ!』のハイレゾ音源は2013年10月30日に、まず1st~5thシングル『僕らのLIVE 君とのLIFE』 『Snow halation』 『夏色えがおで1,2,Jump!』 『もぎゅっと“love”で接近中!』 『Wonderful Rush』が同時にリリースされた。『ラブライブ!』のハイレゾ化を待ち望んでいたファンのみならず幅広く多くのユーザーを巻き込み、大ヒットを記録。結果、『ラブライブ!』作品のハイレゾ化が続々と進むことになる。一連のリリースはアニソンのハイレゾ作品に対して多くの人々の関心や注目を向けることとなり、ほかレーベル/メーカーによるハイレゾ作品のリリースを促すこととなった。このように『ラブライブ!』初期5タイトルは、ハイレゾシーンの起爆剤となった記念碑的な作品である。
それら5タイトルのハイレゾ音源は、ランティスの音楽プロデューサー・佐藤純之介による監修の元、2回リリースされている。
1回目は、前述の2013年10月30日にリリースされた48kHz/24bitの「TRUE STUDIO MASTER」ヴァージョン。これはCDマスタリング前のデータをそのまま配信したものだ。
2回目は、2015年8月26日にリリースされた96kHz/24bitと96kHz/32bitの「HD REBUILD MASTER」ヴァージョン。こちらはマルチトラックデータから再ミックスを施し、名エンジニア・原田光晴がハイレゾ配信用にマスタリングし直したもの。前回の人気を受けて、さらに音質を追求するために手間を惜しみなくかけた、スペシャルなハイレゾ音源だ。当時の状況では叶わなかった本来あるべき姿が、機材とともに進化したサウンドで完璧に再現される、至高のハイレゾ作品となっている。
4thシングル「もぎゅっと“love”で接近中!」(CDは2012年2月15日リリース)では、ポップさを内包したバンドサウンドであるA面のイメージを刷新する、エッジの効いたトラックへと舵を切る。もちろんキュートでポップなμ’sらしさは失われておらず、サウンドと程よくブレンドされ、バレンタインをイメージしたジャケットのような甘さが引き立つ仕上がりとなっている。
南ことりのソロ曲「ぶる~べりぃ♥とれいん」を手がけている増田達行による作曲、そしてクラブ系サウンドを得意とするトラックメーカー、A-beeのアレンジが光る。「夏色えがおで1,2,Jump!」で感じられた清々しいコーラスを継承しつつ、各メンバーの声の魅力にさらに踏み込んだ内容だ。
マルチトラックからの再ミックスがそれぞれの音をスポットライトを当てるかのごとく浮かび上がらせ、明確な形をとって押し出されている立体的な音像が感じられる最新のハイレゾ版。音の実存感を高める情報量が満ちており、跳ねるように刻むリズム、重なるヴォーカルとそれを追いかけるディレイなど、音の渦がうねり押し寄せてくるイントロから解像度の高い刺激的なサウンドに引き込まれる。CDでは膨らんで前に出ていたシンセベースも程よく締まり、クラブ・ミュージックに長けたA-beeならではのキレのあるビート・プログラミングと相なって、弾力性に富んだグルーヴが昂揚感を誘なう。
分離感が向上したサウンド同様に、ヴォーカルもまたその存在感が際立つ。“もっぎゅー!”は語感の可愛らしさだけにあらず、作詞の畑 亜貴曰く「もう、ぎゅっとしちゃう!」感覚を詰め込んだというアイドル、ガールズポップのみに許された乙女たちによる華麗なるフック。その極上のスウィートネスは曲のあちらこちらに、9人の歌声から溢れだす。散らばった声の断片がリズムのように明滅する後半のエディットが鮮烈に、バックに流れる英詞によるコーラスの透明感と清冽なリヴァーヴも美しい。躍動的なサウンドと甘くとろける歌声が耳元にいっそう近づく、至福の時間が流れる。
山田高弘ならではの美しい旋律を、後に「SENTIMENTAL StepS」を手がける清水哲平がゼロ年代後半以降のJ-POPエッセンスを流し込み仕立てたラヴ・スタンダード。9人の各パートがやや長めで、それぞれの歌唱をじっくりと聴かせる演出だ。
抜けのいいハンドクラップの深い残響からも一回り大きくなった音空間が伝わるハイレゾ版では、カラッとした空気感の中、充実した低域はダイナミックさを中高域は程よい温度を伝え、楽器同士の音のなじみを感じさせる。それは楽曲をいっそうおおらかに、またミディアムなこの曲のノリを心地好く高めた仕上がり。
ヴォーカルはすっきりと前に出てきており、存在感を増した歌声が優しく響く。それは観客の声援によって迎えたライヴのエンディング、別れを惜しむ手拍子が沸き起こる中で、ステージ上に並んで歌唱するμ’sの姿を思い出してしまう空気感。リズミカルに抑揚が弾むソロパートは、サウンドと踊るマイクリレーのように華やかで、また“始まったばかり 明日もよろしくね まだゴールじゃない”のフレーズには共に進んで行くファンとの一体感をイメージさせるぬくもりが伝わってくる。ラストのコーラスには幸福感が満ち溢れ、明るく澄み切った歌声にじんわりと癒される。
Lantis
2015.08.26FLAC・WAV 96kHz/24bit WAV 96kHz/32bit
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1.もぎゅっと”love”で接近中!
作詞:畑亜貴 作曲:増田達行 編曲:A-bee
2.愛してるばんざーい!
作詞:畑亜貴 作曲:山田高弘 編曲:清水哲平
3.もぎゅっと”love”で接近中!(off vocal)
4.愛してるばんざーい!(Off Vocal)
©2013 プロジェクトラブライブ!
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