hayatokaori(隼人加織)は、ブラジル人の母と日本人の父を持つ富山・高岡出身のシンガーで、現在は鹿児島の霧島を第二の故郷として移り住み活動している。ブラジル音楽やROCK、J-POPをこよなく愛する彼女の2008年のデビューアルバム『pluma』には、アントニオ・カルロス・ジョビン、バーデン・パウエル、ジャヴァンやレニーニなど、ボサノヴァ、サンバ、新旧MPBのカヴァーから、コールドプレイやユーリズミックス、サザンオールスターズ、さらには東京事変のポルトガル語カヴァーまで収録している。
2009年の2ndアルバム『Lindas』では、セルソ・フォンセカ、マルコス・ヴァーリ、マリオ・アヂネーを制作に迎え、リオでレコーディングを敢行。70年代末から大貫妙子、竹内まりや、EPOらの名作群をプロデュース、小野リサをデビューさせ、またジョアン・ジルベルトの初来日公演を実現させた、宮田茂樹がプロデュースを務めている。
「恋するレンズ」はTVアニメ『フォトカノ』のOPテーマ。『ARIA』シリーズのOPテーマや『カレイドスター』『マクロスΔ(デルタ)』などの劇伴を手がけている窪田ミナが作曲・編曲を担当。なお2008年の窪田ミナのソロアルバム『モーメント』には、hayatokaoriをヴォーカルに迎えたセルフカヴァー曲「ウンディーネ」を収録している。
作詞は『けいおん!』シリーズのOP&EDテーマやキャラクターソングを手がける大森祥子。英国王立音楽院出身の窪田ミナによるピアノと流麗なストリングス、またUKのクラブミュージックやアブストラクト・サウンドに影響を受けた打ちこみを交えたサウンドも印象的だ。
ハイレゾは奥行きがあり音の定位も明瞭で、全体的にくっきりとした音像を結んでいる。やや埋もれがちだったリズムにもフォーカスがしっかりと合っており、弾力のある音が鮮やかに跳ねる。サビ付近の駆け抜ける、ケミカル・ブラザーズの「Star Guitar」を想起させるビートも爽快。
広がる空間の中、透明感のある歌声は耳元にさらに近づき、楽曲のイメージのように清々しく響きわたる。強弱をスムーズにつなぐ繊細な抑揚も丁寧に描写されており、声の美しさがいっそう際立つ。
こちらのカップリング曲も窪田ミナによる作曲で、またhayatokaoriが作詞を手がけている。ミニー・リパートン、デニース・ウィリアムスのサウンドを思い出させる窪田ミナ流のメロウチューン。彼女が奏でるフェンダー・ローズの音色が美しく、またメタリックな質感のビートが所々に浮かび上がるアレンジのセンスも絶妙だ。
音の重なり具合が平面的なCDに比べてハイレゾは分離感が良く立体的。左右で弾けるビートのそれぞれの距離感もしっかりと把握でき、その配置バランスも的確だ。解像感は微細なリヴァーブやフェンダー・ローズの減衰音を精緻に映し出し、エフェクトがかかったコーラスは風に揺らめく炎のよう。やや憂いを満ちた歌声はしなやかに近づいてはそっと離れる。その表情をグラデーション豊かに描く情報量は語尾のブレスに艶を与え、リアルな質感で伝わってくる。
『フォトカノ』の音楽作品はほかに、窪田ミナによる劇伴集『TVアニメ「フォトカノ」オリジナルサウンドトラック』、登場ヒロインたちのキャラクターソングアルバム『TVアニメ「フォトカノ」キャラクターソングアルバム THROUGH THE CAMERA』、7人のヒロインキャラ “うたカノ♪” による『スマイルF』がハイレゾにてリリースされている。どれもがCDより求めやすい価格設定となっている。
ポニーキャニオン
2013.07.29FLAC・WAV 44.1kHz/24bit
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1.恋するレンズ
作詞:大森祥子 作曲・編曲:窪田ミナ
2.Dear my shooting star
作詞:hayatokaori 作曲・編曲:窪田ミナ
3.恋するレンズ(Instrumental)
4.Dear my shooting star (Instrumental)
©KADOKAWA CORPORATION Developed by DINGO Inc./フォトカノ製作委員会
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