2014年10月より放送されたTVアニメ『結城友奈は勇者である』物語の主人公である勇者部の5人、結城友奈(CV:照井春佳)、東郷美森(CV:三森すずこ)、犬吠埼風(CV:内山夕実)、犬吠埼樹(CV:黒澤ともよ)、三好夏凜(CV:長妻樹里)が歌唱したOPテーマ「ホシトハナ」。和をベースとした音の世界観、また戦闘シーンを思い起こすダイナミックなサウンドと少女たちの可憐なヴォーカルが魅力的なナンバーだ。
作詞は中村彼方が手がけており、その歌詞に勇者部5人の運命とその行方が暗示されていることが後になってよくわかる。作曲と編曲はMONACAのリーダー、岡部啓一が担当。バラードやポップス、また歌謡曲にさえしやすいメロディであるのだが、壮大で迫力のあるサウンドに仕上げたアレンジの妙を強く感じる。
歌が始まるとそれぞれの歌声が空間にふっと浮かび上がり、暗闇に炎が灯るように輪郭を形作る。その揺らめぐ声の抑揚は敵に立ち向かう強さと、運命に押しつぶされそうになる少女たちのか弱さを示すかのようだ。また勇ましいサビのユニゾンも何かに耐えながら歌い上げているように感じられ、表現の意図するところが明確に伝わってくる。
この曲の要であるドラムが雄大に響き渡ることからも空間のスケールが広がったことが感じられる。沈み込む低域はその音を豊かに弾ませ、中天へと突き上げる勢いで、また音が迫り来る空気感が迫力を生み出している。そしてダイナミクスを生かすことでリアルな音像を表現しており、アコースティックギターのカッティングもひときわ鮮やか。サビ部分ではドラムとストリングスの分離感も良く、その上で一体と成って押し寄せる怒涛の展開が圧巻。
作曲はsnow*やSuara、堀江由衣や三森すずこらの作品で作詞や作曲をしているshiloで、編曲はTVアニメ『きんいろモザイク』第1期、第2期のOPテーマ、Rhodanthe*「Jumping!!」「夢色パレード」を手がけたMeis Clauson。犬吠埼樹(CV:黒沢ともよ)が歌唱し、第四話「輝く心」のエンディングテーマとして使用された。「歌」という自分の夢を見つけ、それに進み始めることを決意した樹が、その第一歩として選んだのがこの「祈りの歌」。樹の素直な性格と優しい人柄がそのまま歌になったような曲だ。
一聴してわかるとおり、サウンドとヴォーカルのバランスがいささか不自然。アコースティックギターの音質はあまり良くなく、しかしヴォーカルはクリア。この理由はアニメの第四話を見るとわかる。カラオケルームでこの曲のカラオケをヘッドフォンで聴きながら、マイクを使ってヴォーカルをノートパソコンにWAVで録音している樹の姿が描かれている。カラオケはオーディション用にダウンロードしたか、何かで準備した圧縮音源なのだろう。サビではアコースティックギターの音が膨らみすぎてこもりぎみ。またヴォーカルのリヴァーブがカラオケルームっぽくやや強め。この場面の演出のまま、ある意味リアルに録音がされており、そのままの音質で収録されている。
アニメの後半では、この曲のアレンジし直されたフルサイズがエンディングにて使用されており、「祈りの歌 acoustic guitar ver.」がデモ音源だとすると、フルサイズは完成したヴァージョンということなのだろう。
「ホシトハナ」を手がけた岡部啓一、MONACAによる『結城友奈は勇者である』のオリジナルサウンドトラックもハイレゾにてリリースされている。こちらも躍動感漲る美しい楽曲が多数収められている。
讃州中学勇者部(照井春佳、三森すずこ、内山夕実、黒沢ともよ、長妻樹里)
TVアニメ「結城友奈は勇者である」オープニングテーマ「ホシトハナ」
ポニーキャニオン
2014.11.05FLAC・WAV 96kHz/24bit
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1.ホシトハナ
歌:讃州中学勇者部(照井春佳、三森すずこ、内山夕実、黒沢ともよ、長妻樹里)
作詞:中村彼方、作曲・編曲:岡部啓一(MONACA)
2.祈りの歌 acoustic guitar ver.
歌:犬吠埼 樹(CV:黒沢ともよ)
作詞:中村彼方、作曲:shilo、編曲:Meis Clauson
3.ホシトハナ<Instrumental>
4.祈りの歌 acoustic guitar ver.<Instrumental>
©2014 Project 2H
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