2016年8月3日には作詞・作曲・編曲を手がけた上坂すみれのシングル「恋する図形(cubic futurismo)」がリリースと、ますます活動の勢いを増しているTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND。シリーズとしては第4期となるTVアニメ『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ドライ!!』では劇中の音楽と、EDテーマ「WHIMSICAL WAYWARD WISH」を担当している。TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDにとって大竹佑季をフューチャーした「打ち寄せられた忘却の残響に」に続くメジャー2ndシングルとなる今作。幸田夢波をヴォーカリストとして迎え、不思議な浮遊感が溢れるポップ・サウンドを展開している。
今作のヴォーカリストである声優の幸田夢波は、シリーズ第2期の『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ツヴァイ!』のEDテーマ「TWO BY TWO」で歌手としてソロデビューを果たしている。またシリーズ第3期である『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ツヴァイ ヘルツ!』の1stEDテーマ「ハプニング☆ダイアリー」、2ndEDテーマ「Wishing diary」も担当。今回の「WHIMSICAL WAYWARD WISH」も含めて4曲、『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』シリーズのエンディングに関わっている。ミックスは飯尾芳史、マスタリングは小池光夫と、YMOならびにTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDに所縁が深いエンジニアが参加している。
ハイレゾではTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDならではの空間演出がより明確に伝わってくる。奥行きのある空間にうっすらと霞がかかるシンセの音色や地を這うようなシンセベースが鈍色の空に覆われた平行世界である冬木市を、ダンエレクトロのギターによる次第に増加するノイズがそこに迷い込んだイレギュラーな存在であるイリヤたちそのものを、またエインズワース家との戦いの中で生じる葛藤や感情の綻びなどを表わしている。
やや落とした階調の電子音の厚みによって濃密な空気を表出し、物語との世界観を共有しながらもただ暗い雰囲気には陥らず、フジムラトヲルによるスラップベースが織りなすグルーヴや駆け上る軽やかなピアノの旋律によって、前に強く進む躍動的な印象を与えている。TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDらしく空間の中でのコントラストの付け方が巧みで、ハイレゾではさらに効果的に作用している。また複雑なコード進行による楽曲の構成がもたらす転調の鮮かさも引き立つ。
ヴォーカルは澄んだ高域を活き活きと保ち続け、運命さえ書き換えて手に入れようとする“WAYWARD(我儘)”な願いを、そのイノセンスな声質で表現。浮遊感を増したコーラスはやや抑えたトーンで停滞しているような世界に佇むキャラクターの心情を描写、サビでは交差するヴォーカルとの対比を強めている。
パステル調の80’sテクノポップといったライトなサウンドが鳴り響くカップリングナンバー。ハイレゾでは立体的に音が配置されており、分離感によるすっきりとした音像となって、空間に爽やかな響きをもたらしている。TECHNOBOYSサウンドの特徴のひとつとも言えるシモンズのドラム音もいっそう前に飛び出して、柔らかに跳ねるピチカートとともに楽曲をさらにリズミカルに展開させる。シンセリードの音色がぐっと伸びる質感や、軽快なステップを刻むようなシンセベースのグルーヴも清々しく、鮮やかなサウンドが直線的に突き進む。
サウンド同様にヴォーカルは明るい声質で描かれており、カラフルなメロディに溌剌とはずむ。高いキーが続く中、答えを探し求める歌声がサビの“What’s wonderful world?”へとふんわり着地する、伸びやかな抑揚から伝わる優しいニュアンスが心地好く、軽やかなコーラスとともに楽曲全体に丸みを帯びた柔らかな雰囲気を生み出している。
TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND feat. 幸田夢波
WHIMSICAL WAYWARD WISH
Lantis
2016.08.10FLAC・WAV 96kHz/24bit WAV 96kHz/32bit
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作詞・作曲・編曲:TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND
1.WHIMSICAL WAYWARD WISH
2.What’s Wonderful World?
3.WHIMSICAL WAYWARD WISH (off vocal)
4.What’s Wonderful World?(off vocal)
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