戦術音楽ユニット“ワルキューレ”の2ndアルバムが早くも登場。 “神秘” “元気” “命” “希望” “愛”をこめて……歌は銀河を救う！

2016年4月より放送された『マクロス』シリーズの最新作となるTVアニメ『マクロスΔ（デルタ）』。劇中に登場する戦術音楽ユニット“ワルキューレ”（美雲ΔJUNNA、フレイアΔ鈴木みのり、カナメΔ安野希世乃、マキナΔ西田望見、レイナΔ東山奈央）の2ndアルバムが『TVアニメーション「マクロスΔ」ボーカルアルバム2　Walküre Trap!』。5月の1stシングル「一度だけの恋なら / ルンがピカッと光ったら」、6月の『TVアニメーション「マクロスΔ（デルタ）」オリジナルサウンドトラック1』、7月の1stアルバム『Walküre Attack!』、8月の2ndシングル「絶対零度θノヴァティック／破滅の純情」と、急展開を続けるストーリー展開に合わせたこれら作品のリリース・ラッシュを締めくくるように、このアルバムは『TVアニメーション「マクロスΔ」オリジナルサウンドトラック2』とともに、最終話放送週にリリースされた。
新OPテーマとなった「絶対零度θノヴァティック」、新EDテーマ「破滅の純情」の別バージョン、スペシャルEDテーマ「LOVE! THUNDER GLOW」「God Bless You」、挿入歌「おにゃの子☆girl」「Silent Hacker」「涙目爆発音」、またボーナストラック「愛・おぼえていますか」のカヴァーなど、全12曲を収録している。

「God Bless You」

第19話「Eternal Songs」にて使用された坂本真綾作詞による「風は予告なく吹く」（今作にはシングル『絶対零度θノヴァティック／破滅の純情』に収録されたものとは異なるヴァージョン「風は予告なく吹く～Freyja Solo～」を収録）を手がけた北川勝利によるナンバー。第16話の「ためらいバースデイ」ではストーリーと演出に歌が見事に重なり、ハヤテとフレイア、お互いに芽生えた密かな恋心をドラマチックに描き出した。レコーディングには、江口信夫（Dr）、千ヶ崎学（B）、石成正人（G）、末永華子（Pf）、acane_madder（Prg）ら北川勝利の楽曲でもおなじみのメンバーが参加をしている。

イントロでは夜の空気を映しだすシンセが静かに広がり、舞い落ちる雪のようにピアノの旋律がそっと響き渡る。高い解像感によって音色の透明感が増しており、また演奏のタッチがより繊細に感じ取られ、楽曲のもたらす叙情性がさらに深まってくる。ヴォーカルのニュアンスに寄り添うように進む演奏が、次第にバンドサウンドとしてまとまり始め、イルミネーションが輝くようなサビへとダイナミックな展開をみせる。恋に落ちた瞬間、世界が鮮やかに色づいた──そんな情景を表わした、空間がぐっと広がる華やかなミックスも美しい。

吐息が届くぐらいの距離にある歌声は、時にはそっと優しく語りかけ、時にはしなやかな抑揚で高域を伸び続ける。数々の楽曲を歌いこなし、ヴォーカリストとしても成長を遂げた鈴木みのりの豊かな表現力が素晴らしい。間奏ではフレイアによるセリフが挿入されており、想いがそのままあふれる素直な声からは、喜びに満ちた心の躍動も伝わってくる。

「愛・おぼえていますか」

ご存知、TVアニメ『超時空要塞マクロス』の劇場版として1984年に公開された『超時空要塞マクロス愛・おぼえていますか』の主題歌。リン・ミンメイ役を演じた飯島真理によって歌われたこの曲は、『マクロス』シリーズの歌姫によって歌い継がれており、第19話「Eternal Songs」では『マクロス』においていかに重要な存在であるかをあらためて実感させてくれた。今なお色褪せぬこの名曲をワルキューレが今作にてカヴァー。応援してくれたファンに対する感謝の気持ちを表わしたかのようにも思える選曲だ。もし「God Bless You」がワルキューレのライヴの終盤に流れるとしたら、こちらはアンコール・ナンバーといったところだろうか。『超時空要塞マクロス愛・おぼえていますか』の劇中で使用された原曲のロング・ヴァージョンにも近い6分を超える長さとなっており、ワルキューレの5人の歌声をじっくりと感じることができる。
アレンジは「ルンがピカッと光ったら」「いけないボーダーライン」「破滅の純情」を手がけたコモリタミノル。清水信之のアレンジによる原曲の雰囲気を受け継ぎながらも、より穏やかな安らぎが伝わる、このアルバムのエンディングを飾るにふさわしい仕上がりとなっている。

原曲と同じくリズムなどベースとなるサウンドは電子音で構成しており、ハイレゾでは緩やかに弾む音色が心地好い。そして流麗なストリングス・アレンジを加えることで楽曲に、最新型のニューミュージックとも言うべき洗練された雰囲気をもたらしている。ハイレゾは楽器を個別に分離させながらも、全体的に温かみのある音のまとまりを感じることができ、爪弾かれるハープや中盤からの弦楽器によるピチカートの音色も丸みを帯びて伝わってくる。

マイクリレーのようにフレーズごとにそれぞれヴォーカルが変わるこの曲では、激しく歌い上げる曲が多かった美雲ΔJUNNAの落ち着いた歌唱や、シャープなイメージも強いレイナΔ東山奈央の柔らかな表情も印象的で、声をリアルに描写する情報量が感じられる。また優しく包み込まれるような5人のコーラスも魅力的だ。それぞれが歌う後半の“もう　ひとりぼっちじゃない　あなたがいるから”のフレーズも、最終話を迎えた各キャラクターの想いと重なるようで、感動がいっそう深まる。

オープニングテーマにも通ずるバトル曲としての力強さがクライマックスの高みへと登り続ける「Absolute 5」
自身のアルバム『かせきさいだぁのアニソング!! バケイション!』では「天使の絵の具」と「星間飛行」を小粋にカヴァーしているかせきさいだぁらしい歌詞と、TeddyLoidによるダンサブルなサウンドが絶妙なコンビネーションをみせる、マキナΔ西田望見メインによるキュートなアイドル・ポップチューン「おにゃの子☆girl」
美雲の情熱的な歌声が激しい鼓動を打つ第18話「感覚エマージェンス」のスペシャルエンディングテーマ「LOVE! THUNDER GLOW 」
劇伴を担当する鈴木さえ子とTOMISIROによるエレクトロニックサウンドがレイナΔ東山奈央のクールなヴォーカルとともに映像にシンクロし、ナノセカンドの電子戦を活写する第7話「潜入エネミーライン」で使用された「Silent Hacker」
美雲のソロ・ヴォーカルによる新エンディングテーマの別バージョン「破滅の純情～Mikumo Solo～」は、JUNNAの豊かな声量による歌声を存分に味わうことができる。
Rasmus Faberによるトラックが爽やかな昂揚感を誘なう、第17話「拡散オンステージ」劇中歌「Hear The Universe」
作詞・作曲が堂島孝平、編曲が北川勝利という音楽好きの心を震わす組み合わせによる第21話「切望シークレット」の挿入歌「涙目爆発音」は、疾走感のあるサウンドに差し込まれる覚悟を背負った“泣け！”のインパクト、そしてセンターを務めるカナメΔ安野希世乃の澄み渡る声と歌唱力の高さが光る。
第16話「ためらいバースデイ」の劇中歌「ワルキューレのバースデイソング」は、Happy Fieldが生み出す温かなメロディと窪田ミナによる清々しいストリングス・アレンジが新時代のバースデイソングの到来を告げる。

1stアルバム『Walküre Attack!』からサウンドの幅をさらに広げ、完成度の高い楽曲を惜しみなく投入した、まさに“総力戦”を呈した『マクロスΔ』の音楽だからこそ作り上げることができた2ndアルバム。これは人々を苦しみや悲しみから解き放ち、銀河系の戦いを終焉へと導いたワルキューレの、物語とともに辿った歌の軌跡といえるだろう。圧倒的な歌、魅力的な歌の数々が『マクロス』シリーズにまた加わる。

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