クララとカレンからなる女の子2人組ユニット、ClariSの4枚目となるアルバム『Fairy Castle』。3rdアルバム『PARTY TIME』をもってデビューからのメンバー・アリスが卒業し、新メンバー・カレン加入後初めてのオリジナルアルバムとなる今作。
〈物語〉シリーズ『憑物語』のEDテーマ「border」、TVアニメ『Classroom☆Crisis』のEDテーマ「アネモネ」、TVアニメ『クオリディア・コード』の1stEDテーマ「Gravity」、ClariS×GARNiDELiA×渡辺 翔によるスペシャル・コラボレーションとなった『クオリディア・コード』3rdEDテーマ「clever」などのアニメ・タイアップシングルや、ゲーム『AKIBA’S BEAT』テーマソング「again」、アニバーサリー・コラボシングル「Prism」、またミニアルバム『SPRING TRACKS -春のうた-』のリードトラック「ひらひら ひらら」やアルバム書き下ろし曲を収録。『Deluxe Edition』となるハイレゾは、CDの完全生産限定盤、初回限定盤と同じくボーナストラックとして『魔法少女まどか☆マギカ』の主題歌「コネクト」「ルミナス」「カラフル」の2017ヴァージョンを加えた全15曲を収録している。
丸山真由子、重永亮介、渡辺 翔、湯浅 篤、KOH、佐久間 誠らClariSの作品には常連の作家陣や、コーライティング(共作)を楽曲制作のコンセプトとしている音楽クリエイター集団“CWF(Co-Writing Farm)”のメンバーが楽曲を提供している。
2015年11月25日にリリースされた、デビュー5周年を迎えたClariSとサンリオの“LittleTwinStars”生誕40周年を祝したダブルアニバーサリー・コラボシングル。“LittleTwinStars”とはサンリオの人気キャラクター、“キキとララ”のこと。ミュージックビデオではClariSがキキララの世界に飛び込み、かわいい双子キャラとの共演を果たしている。
作詞、作曲、編曲は、藍井エイルの「INNOCENCE」「シリウス」「虹の音」や、中島 愛の「天使になりたい」「ノスタルジア」などを手がけている重永亮介。ClariSの作品にも多く携わっており、このアルバムでも11thシングル「border」、書き下ろし曲「ホログラム」、そしてこの「Prism」と、M-2からM-4は彼が手がけた曲が並んでいる。
ハイレゾでは、煌めく音要素が散りばめられたサウンドを解像感が隅々まで照らし出し、遊園地のパレードのような華やかさが空間にあふれだす。ドラムとベースはまろやかな質感で奏でられ、弾むようなストリングスとともに爽やかな昂揚感を生み出している。スピード感のある軽やかなサウンドと、ふわっとした心地好いミックスが、楽曲をさらにメルヘンチックな雰囲気へと近づける。
“寄り添うように並ぶパステルカラー”など、キキとララを思わせる言葉がいくつも歌詞の中に織り込まれており、“誰よりも憧れた キラキラに逢いに来た”のフレーズには、コラボレーションをしている二人の明るい表情がそのまま伝わってくるような喜びが満ちている。いつも一緒で仲良しのキキとララのイメージと、クララとカレンの溌剌とした歌声との相性は抜群。開放感が広がるサビ部分では伸びやかな高域のパートが美しく、“二つの奇跡に おめでとう”の言葉が清々しく響き渡る。
アルバムのラストナンバーは、2016年3月2日にリリースされた“春のうた”をテーマにしたコンセプト・ミニアルバム『SPRING TRACKS -春のうた-』に収録されたオリジナル・ナンバー。このアルバムには他にClariSによるカヴァー曲、supercell「さよならメモリーズ」、NIRGILIS「sakura」、松たか子「明日、春が来たら」、松田聖子「赤いスイートピー」が収録されている。
作曲は、ClariSでは「a moment」(5thシングル『Wake Up』収録)、「ミントガム」(7thシングル『reunion』収録)、「ドライフラワー」(3rdアルバム『PARTY TIME』収録)を手がける佐久間 誠。編曲は「コネクト」「ルミナス」「カラフル」などのアレンジでもおなじみの湯浅 篤。
イントロの箏の音色も印象的に、和を基調とした旋律は桜の花びらが舞う光景を思い出させる。しかしそれが切なく聴こえるのは、目の前に咲き誇る桜を一緒に見つめていた“君”がもういないから。“夢の中でも花が散っている”という言葉が哀しみや涙を連想させ、楽曲をさらにセンチメンタルに染める。
迷いながらも前へと進んでいく姿を温かく描いた「桜咲く」(10thシングル『STEP』収録)のアレンジも手がけている湯浅 篤だが、“出会い”ではなく“別れ”をテーマにしたこの曲では、音色を花びらのように踊らせ、そして残響が淡く消える、散りゆく“儚さ”を華麗なアレンジにて表現。ハイレゾでは分離感が音の輪郭をシャープに描写、そのイメージをさらに鮮やかに浮かび上がらせる。
ヴォーカルはなめらかに、“思い出の”や“白く 染めてく…”などフレーズの中でキーを上げる、その一瞬に深い哀しみを忍ばせる。サビでは二人のユニゾンによる“ひらひら ひらら きらきら きらら”の抑揚が舞うように柔らかく、そして澄んだ歌声が切なく響く。
ClariSのイラストが高野音彦の手によって描き上げられる過程を曲と合わせて映像化したミュージックビデオも素晴らしい。
高鳴る鼓動を映すビートがエモーショナルに響く「again」
疾走感のあるロックが好きの気持ちを加速させる「border」
哀愁漂うフルートの音色が切なさをかき立てる「ホログラム」
温かい光に包まれているような緩やかさが心地好い「水色クラゲ」
絡み合うピアノの旋律が無限へと連なる愛の神秘を歌う「このiは虚数」
80年代歌謡をClariS流に解釈したサウンドが懐かしくも新しい「アネモネ」
メランコリックなシンセのメロディが想いの深さを描き出す「ウソツキ」
歌謡曲を現代的なエレクトロニック・ポップへとアップデートした「recall」
「clever」のレビューはこちら
「Gravity」のレビューはこちら
「コネクト」「ルミナス」「カラフル」の2017ヴァージョンもクララとカレンの歌声が楽曲の印象をまたあらたにし、感動を深く呼び起こす。歌唱力もさらに豊かに、新生ClariSとしての自信も窺える充実した仕上がりとなった今作。変わらないピュアネスを放つふたりの歌声が優しくこだまする。
2017年2月10日には初の武道館公演となる「ClariS 1st 武道館コンサート ~2つの仮面と失われた太陽~」が行われる。
ClariS
Fairy Castle
Sony Music Labels Inc.
2017.01.25FLAC 96kHz/24bit
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1.again
作詞・作曲・編曲:丸山真由子
2.border
作詞:meg rock 作曲・編曲:重永亮介
3.ホログラム
作詞・作曲・編曲:重永亮介
4.Prism
作詞・作曲・編曲:重永亮介
5.clever
作詞・作曲:渡辺 翔 編曲:toku(GARNiDELiA)
6.水色クラゲ
作詞・作曲:渡辺 翔 編曲:湯浅 篤
7.このiは虚数
作詞・作曲・編曲:mimichaki(CWF)、永野小織(CWF)
8.アネモネ
作詞・作曲:KOH 編曲:湯浅 篤
9.ウソツキ
作詞・作曲・編曲:丸山真由子
10.Gravity
作詞・作曲:武田城以(CWF)、PENGUINS PROJECT(CWF) 編曲:湯浅 篤
11.recall
作詞:KAREN 作曲・編曲:KOH
12.ひらひら ひらら
作詞:奥村イオン 作曲:佐久間 誠 編曲:湯浅 篤
【ボーナストラック】
13.コネクト -2017-
作詞・作曲:渡辺 翔 編曲:湯浅 篤
14.ルミナス -2017-
作詞・作曲:渡辺 翔 編曲:湯浅 篤
15.カラフル -2017-
作詞・作曲:渡辺 翔 編曲:湯浅 篤
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