REVIEW&COLUMN
2017.01.25
2014年10月から12月にかけて放送されたTVアニメ『トリニティセブン』が待望の映画化! 2017年2月25日より全国の劇場にて『劇場版 トリニティセブン -悠久図書館と錬金術少女-』が公開される。音楽はTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDがTVアニメに引き続き担当。劇中に登場するヒロインたちが歌唱するEDテーマの作詞・作曲を手がけていた彼らだが、この劇場版でもキャラクターソング「THANKSGIVING ≡ LYRICS」を制作している。これまでにリリースされた5種類のシングルと同様にヒロイン2人がヴォーカル・ユニットを結成。今回は浅見リリス(CV:原 由実)と、新キャラクターのリリム(CV:日高里菜)によるユニット“LILIc’s(リリックス)”がこの曲の歌唱を担当している。
アーバン・メロウなテクノ・トラックにリリスとリリムのヴォーカルが穏やかに浮かぶナンバー。キャラクターの個性が明るく弾けるこれまでのキャラクターソングに比べると、幾分落ち着いた雰囲気が漂い、また何処となくメランコリックに映るのは、映画のストーリーを反映しているのだろうか。歌詞には、“BEAUTIFUL≒SENTENCE”や“CONNECT TO ARCHIVE” など、おなじみのキーワードが挿入されており、TV版『トリニティセブン』の音世界ともリンクしている。またパズルのように組みこまれた抽象的な言葉が並ぶ歌詞には、物語の核心に迫るようなメッセージが隠されているようだ。
音の粒子がシャワーとなり降り注いでいるようなイントロでは、彼方でゆらめぐシンセの音やガラス製のウィンドチャイムが風にそよいでいるようなSEなど、奥行きや楽器の距離感が明確に伝わってくる。ハイレゾの楽曲制作に長けたTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDらしく解像感や分離感を利用した空間演出が実に巧み。またこれら音の装飾といった要素とメインのシンセやリズムボックス、特にシモンズのドラム音との音量の差が大きく、ダイナミックレンジの広がりも感じられる。アナログシンセはその独特な音色で存在感を露わにし、ストイックなグルーヴを生み出すベースと絡み合う。低空飛行のようなサウンドがじわじわとエモーショナルな感覚を引き出す、不思議な浮遊感をもたらすサウンドが見事だ。
大人の色香もこぼれるリリスの歌声と、まだ幼さも残るリリムの無垢な歌声。落ち着いたやや低めの声質とちょっと舌足らずな声の甘さと、対照的な両者のヴォーカルがほどよいバランスで配置されており、ブレンドされたユニゾンの響きも心地好い。時にはアンニュイさを交え、時には甘えるような抑揚で、歌声は耳元でそっと囁く。
「THANKSGIVING ≡ LYRICS (Outer Alchemic Form)」はリリスの、「THANKSGIVING ≡ LYRICS (The Pages of Hermes Apocrypha)」リリムのソロ・ヴォーカルを収録。「THANKSGIVING ≡ LYRICS(Instrumental)」は、文字通りヴォーカルが収録されていないインストのトラックだが、ヴェイパーウェイヴのサウンドとして楽しむこともできる。
『トリニティセブン』の音楽は、これまでのキャラクターソング5タイトルとTVアニメのサウンドトラック、またEDテーマとサウンドトラックに収録されている7曲、ZAQによるOPテーマ「Seven Doors」をリミックスしたアルバム『trinity heaven7 : MAGUS MUSIC REMIXES』がハイレゾで配信されている。新曲「THANKSGIVING ≡ LYRICS」と併せて楽しんでほしい。
LILIc’s 浅見リリス(CV.原 由実) & リリム(CV.日高里菜)
劇場版トリニティセブン キャラクターソング「THANKSGIVING ≡ LYRICS」
avex pictures
2017.01.25FLAC・WAV 96kHz/24bit
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© サイトウケンジ・奈央晃徳/KADOKAWA/劇場版トリニティセブンE.A.製作委員会
1.THANKSGIVING ≡ LYRICS
歌:LILIc’s【浅見リリス(CV.原 由実)& リリム(CV.日高里菜)】
作詞・作曲・編曲:TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND
2.THANKSGIVING ≡ LYRICS (Outer Alchemic Form)
3.THANKSGIVING ≡ LYRICS (The Pages of Hermes Apocrypha)
4.THANKSGIVING ≡ LYRICS(Instrumental)
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