クールに熱く、青春の鼓動が高鳴るロック。沼倉愛美の2ndシングルはTVアニメ『風夏』のOPテーマ、挿入歌など全3曲収録。

『THE IDOLM@STER』我那覇響役、『アイカツ！』藤堂ユリカ役、『蒼き鋼のアルペジオ –アルス・ノヴァ-』タカオ役、『SHOW BY ROCK!!』レトリー役などでもおなじみの声優・沼倉愛美。出演したこれらの作品でも様々なキャラクターの歌声を披露していた彼女だが、2016年10月より放送されたTVアニメ『魔法少女育成計画』のOPテーマ「叫べ」にてついにソロデビューを果たした。それに続く2ndシングルがTVアニメ『風夏』のOPテーマ「Climber’s High!」。シングルにはこの曲と挿入歌「星の降る町」、ヴォーカルの印象も異なるラヴソング「もっと一緒」の3曲を収録している。

「Climber’s High!」

作品に登場するロックバンド、“HEDGEHOGS（ヘッジホッグス）”の代表曲であり、彼らに憧れる秋月風夏たちが結成したバンドでも演奏される、今作の重要なナンバー。オープニング映像ではHEDGEHOGSの演奏シーンに続いて、風夏や氷無小雪の姿が重ねられるように描かれている。HEDGEHOGSのドラムやギター、キーボードを担当しているメンバーは一足先にアニメ劇中に登場しているが、沼倉愛美もヴォーカル・たま役として出演が予定されている。

作曲のWEST GROUNDは、TVアニメ『蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ-』オープニングテーマ「SAVIOR OF SONG (feat. MY FIRST STORY)」の編曲や、TVアニメ「魔法少女育成計画」エンディングテーマ「DREAMCATCHER」、TVアニメ『チェインクロニクル～ヘクセイタスの閃～』オープニングテーマ「MY LIBERATION」の作曲・編曲などナノの楽曲を多数手がけている。また「Brand-new World」「Cross」「帰還」（ヒゲドライバーととの共作）など西沢幸奏の作品にも携わっている。

演奏は、ギターがこの曲のアレンジャーでもあるMY FIRST STORYのSHO、ベースはThe BONEZ、Pay money To my PainのT$UYO$HI 、ドラムはELLEGARDEN、THE PREDATORSの高橋宏貴、ピアノが『風夏』の劇伴を担当している伊賀拓郎という、『風夏』スペシャルバンドとしての編成。さらに作詞は原作者の瀬尾公治と非常に贅沢な組み合わせとなっている。

『蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ-』の劇中ヒロイン3人からなるユニット“Trident”のアルバムでは、タカオ役としてロック色の強いナンバーを歌唱していた沼倉愛美だが、1stシングル「叫べ」同様、その歌声とロックとの相性は抜群。HEDGEHOGSのヴォーカリストとしての堂々とした風格も漂わせ、クールな面持ちの歌声をしなやかに踊らせる。中盤にはパラモアやアヴリル・ラヴィーンのような、英詞のエモーショナルな歌唱も挟み、昂揚感を求め突き進むサウンドとともに激しさをたぎらせる。

鮮やかに奏でられる楽器の音色に深みを加えつつ、瞬発力のあるドラミングといった演奏の躍動感を伝える情報量が感じられるハイレゾ。タイトなサウンドは重厚感よりも疾走感をより引き出した方向で、主人公たちの今、その青春の輝きも捉えたギターやピアノの響きも爽やかだ。

「星の降る町」

作詞は瀬尾公治、作曲はWEST GROUND、編曲はMY FIRST STORYのSHOと、作詞から編曲まで「Climber’s High!」と同じ作家陣による『風夏』の挿入歌。こちらもHEDGEHOGSによる演奏として劇中で使用されており、同じバンドとして「Climber’s High!」と共通したサウンドの世界観を映し出している。また“風花（かざはな）”という言葉が歌詞には織り込まれており、ヒロインの風夏やバンドを続ける主人公たちの姿など、作品全体のイメージとも結びついている。

ぐっとテンポを落としたロックバラードとなるこのナンバーは、静かに音色を浮かべるような楽器の存在感やそれら音の配置など、叙情性を生み出す要素をひとつにまとめるミックスが、エネルギッシュに音を重ねた「Climber’s High!」とはまた異なった空気感を伝える。次第に熱量を高め、轟音をかき鳴らすギターもより鮮烈に、展開の中での強弱のグラデーションも際立つ。

メランコリックさを漂わせつつも、でも心の奥に確かな想いを秘めているようなヴォーカル。その落ち着いた雰囲気は、ステージ上から語りかけているといったシーンさえもイメージさせる。サビでは失いかけていた希望を再び見出した歌声が空間にいっぱいに広がり、切なさを交えながらも伸び上がる、その強い響きが印象的だ。