鮮やかなポップ・サウンドが新しい物語の扉を開ける、TVアニメ『魔法陣グルグル』のOP主題歌！

衛藤ヒロユキによる人気ギャグ・ファンタジー作品『魔法陣グルグル』。連載25周年を迎える今年、3度目のTVアニメ化となり、7月より放送が始まっている。

このオープニング主題歌「Trip Trip Trip」を担当するのが、ヴォーカル・ぽんと、サウンドクリエイター・小島英也からなるユニット、“ORESAMA”。5月にリリースしたTVアニメ『アリスと蔵六』のOP主題歌「ワンダードライブ」に続くシングルとなる。子供の頃から『魔法陣グルグル』が大好きだったと語るORESAMAのふたりの愛情がたっぷりと詰まった明るいポップ・ナンバーに仕上がった。カップリング曲には、ハイレゾで聴かれることを前提に作られたイヤホン＆ヘッドホン推奨ナンバー「耳もとでつかまえて」、TV番組『ESPRIT JAPON』とのタイアップ曲「空想フライト」を収録している。

※シングル「Trip Trip Trip」についてのロング・インタビューはこちら

「Trip Trip Trip」

ピチカートが軽やかに跳ねるイントロの導入部分から、新しく始まる物語への期待が否応なしに高まってくる、ワクワクするようなサウンドが展開。シンセの音色が未知の世界へと飛び出していくスピード感を伴い、華やかにあふれ出す。アナログシンセの音色をメインに使用したサウンドには、懐かしさが漂いながらも、現代性を取り入れた新しさが感じられる。このふたつの要素を無理なくひとつにまとめる、優れたバランス感覚がORESAMAらしさといえよう。

そして、今回はさらに音のアイデアをたっぷりと詰め込んでいる。ところどころに飛び交う電子ドラム「シモンズ」の音色のちょっとコミカルな感じは、無邪気な好奇心が引き起こすさまざまなエピソードを連想させたり、またトイピアノがワルツを奏でる後半のパートにはほのぼのとしたファンタジー感があったりと、『魔法陣グルグル』を「おもちゃ箱」と例える彼らのイメージがそのまま音像化した楽曲となっている。

ハイレゾでまず印象的なのが音の鮮やかさ。カラフルなペンキで空間を塗りたくっているような、活き活きとしたアナログシンセの音色が一面に広がる。煌びやかな上モノを支えるキックやベースも存在感があり、ORESAMAサウンドの要となるグルーヴ感をぐっと引き立てる。そして、ぽんが「いちばん純粋な私」を出したというイノセントなイメージが透明感のある歌声から伝わってくる。伸びやかでみずみずしいヴォーカルの笑顔に満ちた表情が眩しい。

「耳もとでつかまえて」

こちらは「e☆イヤホン」の設立10周年を記念したタイアップソング。「e☆イヤホン」とは、東京・名古屋・大阪、またWEBにて店舗を構えるイヤホン・ヘッドホン専門店のことで、国内・海外のメーカーを問わずイヤホン、ヘッドホンの圧倒的な品揃えで知られている。また楽曲制作にあたっては、Astell&Kernのポータブル・オーディオ・プレーヤー“KANN”をモニターとして使用。このようにイヤホンやヘッドホンで聴かれることを、またハイレゾで聴かれることを前提に音作りを進めている。

メロウな雰囲気が漂うサウンドは、レコードのようなまろやかな音の質感で、豊かな低域を特徴とするKANNとの相性も抜群。歌詞も自分の好きな音楽と一体となる気持ちが素直に表現されており、その没頭した心の内をそのまま伝えるヴォーカルが耳元で囁くように響く。こわだり抜いて作ったというスネアの音も含め、一つひとつの音を、広がる声をイヤホンやヘッドホンでさらにじっくりと味わえる曲だ。

「空想フライト」

こちらのカップリング曲は、BSフジで放送されている『ESPRIT JAPON』7月度の主題歌として使用されている。『Esprit Japon』は、日本の文化を海外に向けて紹介する番組で、フランスでも放送されている。ORESAMAらしいディスコティックな要素をベースに、和楽器の音を散りばめた明るいサウンドに仕上がっている。あからさまに「和」をアピールするようなものではなく、和楽器の音色をポップな感覚で使用しているのがこの曲のポイント。三味線や箏、鼓の音色と、小島英也によるナイル・ロジャーズ直系のギターカッティングが重なるという和洋折衷（!?）な感覚が面白い。番組のBGMのように思えてくるインスト・ヴァージョンも聴いていて飽きない。

歌詞は日本のことを紹介する、ではなくて、空想の中で世界を旅行するという内容で、あえて定石を外しながら世界観を作り上げるORESAMAらしさがここでも発揮。たしかに旅行は行く前にあれやこれやと空想している時間がとても楽しいもので、そんなトキメキのひとときを音で味わせてくれるナンバーだ。