M-31から41まではCDのDisc-3に収録。キャラクターソング・シリーズのVol.009からVol.013までを収録している。
「“ラ”はらき☆すたの“ラ”」と「背景放題やりほーだい」は、元気いっぱいの日下部みさお( CV.水原 薫)と、おっとりとした峰岸あやの( CV.相沢 舞) の対照的なふたり=“背景コンビ”によるキャラソンで『キャラクターソング Vol.009 背景コンビ』に収録。元々は名前もついていなかった文字どおり背景としてのモブキャラだったふたりだが(実際に劇中でも「さながら背景ですぜ」とその役割を自認している)、こうしてユニットを組むまでに至るという、さながら出世魚のような変遷を辿っている。こういった背景を持っているキャラクターにも人物としての奥行きを与える、畑 亜貴の歌詞が素晴らしい。ちょっと切ないユニット名を嘆いたり、みさおの口癖である“ヴァ!”について語る寸劇のようなパートを差し込んだ「“ラ”はらき☆すたの“ラ”」のアレンジが凝っていて面白い。「背景放題やりほーだい」は、“背景”という名の十字架を背負った彼女たちの自虐的な歌詞が交錯する、爽やかな青春残酷歌。作曲・編曲はどちらもnishi-ken。
『キャラクターソング Vol.010 胸ぺったんガールズ』は、胸ぺったんガールズ(泉こなた、小早川ゆたか、岩崎みなみ)によるキャラソン。神前 暁作曲・編曲による「みんなで5じぴったん」「ロリィタ帝国ビショージョ大帝」を収録。こちらもあんまりなユニット名ではあるが、「貧乳はステータスだ!希少価値だ!」と劇中で得意げに語るこなたに限っては、シングル・ジャケットの表情を見る分、まんざらでもなさそう。「みんなで5じぴったん」というタイトルは、神前 暁が手がけた「ふたりのもじぴったん」(ナムコから発表されたパズルゲーム『ことばのパズル もじぴったん』の曲で、『らき☆すた』でも挿入歌として使用されている)をもじったもの。インタビューで神前 暁が語っているとおり、イントロでは特にアンダーワールドの「Born Slippy」を思わせるクラブテイストを取り入れたポップな仕上がりとなっている。「ロリィタ帝国ビショージョ大帝」は、畑 亜貴によるロリィタ・ファッションへの愛やこだわりをキャラクターが代弁しているようなナンバー。
泉こなたの両親、泉かなた( CV.島本須美)&泉そうじろう( CV.平松広和) による『キャラクターソング Vol.011』からは3曲を収録。泉かなたの「幸せ願う彼方から」は、第22話「ここにある彼方」で使用された劇伴「かなたのテーマ」を、神前 暁自らの手でアレンジして作られている。アニメを見ていなくても、包み込むような優しい歌声と美しいメロディーに胸を打たれる感動の名曲。クラムボンが『LOVER ALBUM 2』にてカヴァーしているように普遍的な要素を持つ楽曲でもある。泉そうじろうが妻と娘への溺愛っぷりをとうとうと語る「女はヨメとムスメだけ」、かなたとそうじろうによるデュエット・ソング「世界が消えても愛してる」からも、温かな家族愛が伝わってくる。
「この人たちまでも!」という『キャラクターソング Vol.012 黒井ななこ&成実ゆい』。黒井ななこ( CV.前田このみ)は、こなたたちのクラスの担任。成実ゆい( CV.西原さおり)はこなたの従姉妹かつ小早川ゆたかの実姉で、交通安全課の警官である。「結婚なんてさパッパヤー」では、「3年目の浮気」や「男と女のラブゲーム」などを思いださせるデュエット歌謡のメロディーに乗って、妙齢の女性ふたりの愚痴が次々に並べられる。歌詞の妙にリアルな感じが可笑しいのだが、笑うに笑えない切実さも孕んでいる。男性が安易に「わかるわかる」などと理解を示そうとするならば、「お前になにがわかる!」と首根っこを掴まれてどやされること必至だろう、このふたりならば。「適齢期なレイディ」は、『プリパラ』や雨宮 天などの楽曲を手がける伊東大和による作詞・作曲・編曲。メロウなソウル・ナンバーからサンプリングしてトラックを作り上げた90年代のガールズR&Bといったイメージの楽曲(ネタの雰囲気としてはメリー・ジェーン・ガールズの「All Night Long」とか80年代初頭の感じ)で、ふたりのラップ、アップテンポなサウンドどちらも高い完成度を誇っている。
“背景コンビ”の日下部みさおがソロデビュー(!?)した『キャラクターソング Vol.013 日下部みさお』は、「らき☆すた キャラクターソング」シリーズの最後として、2008年03月26日にリリースされた。2クール以降、ぐいぐいと存在感を増し、レギュラー陣に並ぶほどの人気を獲得した日下部みさお。とはいえ、ほかのキャラクターソングが2007年11月までにリリースされているのに対して、アニメ放送終了後、半年も経ってからこのCDがリリースされていること自体、『らき☆すた』の尋常ではない人気を物語るものではないだろうか。日下部みさおのトレードマークともいうべき口癖をフィーチャーした「すげえんだって・ヴァ!」は、舌ったらずな彼女の魅力が全開の軽快なロックナンバー。“3秒ルール”は5秒以内まで適応されるという持論を再提示した「だよな3秒たまには5秒」は、「すげえんだって・ヴァ!」とは対照的にイントロとアウトロが異様にネガティヴ。
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