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2017.08.16

DAOKO「打上花火」レビュー

DAOKO「打上花火」レビュー

アニメーション映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』の主題歌となる、DAOKO の3rdシングル。米津玄師が作詞・作曲、プロデュースを手がけたコラボレーション・ナンバー「打上花火」と、テレビドラマ版の挿入歌「Forever Friends」のカバーを収録。

8月18日より全国で公開されるアニメーション映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』。1993年にテレビで放送された岩井俊二監督による同名のドラマを元にした今作は、脚本を『モテキ』『バクマン。』の大根 仁、総監督を新房昭之が務めている。アニメーション制作は、〈物語〉シリーズ、『魔法少女まどか☆マギカ』でもおなじみのスタジオ「シャフト」。ヒロインのなずな役には広瀬すず、典道役に菅田将暉、ほか宮野真守や松たか子らが出演と、この夏の話題作となっている。

今作の主題歌「打上花火」は、ラップシンガー・DAOKOがヴォーカルを、シンガーソングライターの米津玄師が作詞・作曲、プロデュースを担当。“DAOKO×米津玄師”の名義による、ふたりのコラボレーション・ナンバーとなる。

DAOKO(ダヲコ)は、片寄明人のサウンドプロデュースによるアルバム『DAOKO』で2015年にメジャーデビュー。ORESAMAの小島英也がトラックを制作した1stシングル「ShibuyaK / さみしいかみさま」、“すき キライ 大嫌い スキ”のフレーズが印象的なCMソングを収めた2ndシングル「もしも僕らがGAMEの主役で / ダイスキ with TeddyLoid / BANG!」、2017年4月には、TVアニメ『神撃のバハムート VIRGIN SOUL』のエンディングテーマ「拝啓グッバイさようなら」を発表している。さまざまなアーティスト、映像作品の楽曲に参加することも多いDAOKO。「打上花火」でも作品の持つ世界観を情感豊かなヴォーカルで表わしている。

「打上花火」は8月2日より先行配信が開始(CDは8月16日発売)。映画公開が近づくごとに、この曲への注目がますます高まっている。ハイレゾには「打上花火」と、テレビドラマ版の挿入歌「Forever Friends」のカバー、DAOKOが作詞・作曲を、サカナクションの江島啓一がアレンジを手がけた「Cinderella step」(『神撃のバハムートVIRGIN SOUL』2ndエンディングテーマ)の3曲を収録している。

「打上花火」

花火が打ち上がった瞬間を描く、“パッと光って咲いた”のフレーズが印象に残るこの曲。刻々と過ぎていく夕暮れを映し出す、ほのかなメロウネスを漂わせる前半のパートから、花火が夜空を染めるサビへと切り替わる展開にはハッとさせられる。ドラムとストリングスが華やかに奏でられ、清々しい開放感を放つ。サウンドが高まるとともに切なさがこみ上げてくるのが米津玄師らしく、その卓越したメロディーセンスがここでも存分に発揮されている。

なずなの気持ちに寄り添って歌ったというDAOKOの歌声は、目の前の情景を丁寧に切り取り、鮮やかにイメージを結び合わせる。引き込まれるような声の表現力だ。サビのユニゾンに加え、2番では米津もソロパートを歌唱。後半にはふたりの掛け合いもあり、この瞬間が永遠に続いてほしいと願う、なずなと典道の想いを強く浮かび上がらせる。

ハイレゾでは奥行きのある空間に音が弾けて消えるような、音の瞬発力といったものが感じられる。このことが一瞬の儚いイメージを作り出すことにも作用しているのだろう。ダイナミクスの幅も広く、センチメンタルなピアノの旋律から、高鳴るシンセのリズムまで、音の強弱をしっかりと捉えている。またDAOKOの歌声の表情や、米津玄師の声が持つ深みを、解像感がリアルに伝えてくれる。

「Forever Friends」

オリジナルは1993年のテレビドラマ版の挿入歌。劇中のクライマックス・シーンで使用されていることもあり、今なお人気が高い曲だ。作詞・作曲は、『FRIED DRAGON FISH』を始め、テレビドラマ版の『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』『undo』『Love Letter』『PiCNiC』など、岩井俊二監督作品の劇伴を数多く担当しているREMEDIOSが手がけている。TVアニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の劇伴で、REMEDIOSの名前を知った人も多いだろう。REMEDIOSは、「青春のリグレット」(この曲も「ノーサイド」も元々は松任谷由実が彼女へ提供した曲)などで知られる、シンガーソングライター・麗美の別名義で、「Forever Friends」も自身が歌唱している。

今回のカバーでは、アニメ版の劇伴を手がけている神前 暁がアレンジを担当。ストリングスシンセを生のストリングスに差し替えているものの、メロディーやアレンジなどにはあまり手を加えず、原曲の持つ雰囲気を忠実に再現している。それはこれ以上、変えるところはないと語っているようでもあり、ひいては原曲の完成度の高さが伺える。ラッパーとしても優れた技量を持つDAOKOだが、ここではメロディアスなこの曲の叙情性を引き立てる、繊細な歌声を聴かせてくれる。アコースティックなサウンドとピュアなヴォーカルが限りなく美しい。ハイレゾでは輪郭がくっきりとした声や音色の澄んだ響きを感じられる。

DAOKO自身が出演している「Forever Friends」のミュージックビデオには、岩井俊二が監督として参加。TV版のロケ地である千葉県飯岡で撮影されている。バス停や灯台、校庭やプールなど、数々のシーンを思い出す映像が盛り込まれている。

DAOKO
打上花火

TOY’S FACTORY
2017.08.02

FLAC 48kHz/24bit

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mora

 収録曲

 1.打上花火(映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』主題歌)
   DAOKO × 米津玄師
   作詞・作曲:米津玄師
   Produced by 米津玄師

 2.Forever Friends(映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』挿入歌)
   DAOKO
   作詞・作曲:REMEDIOS 編曲:神前 暁(MONACA)

 3.Cinderella step
   DAOKO
   作詞・作曲:DAOKO 編曲:江島啓一(サカナクション)

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