ryo(supercell)がプロデュースを手がける架空のアーティスト、EGOIST。8枚目のシングル曲となる「英雄 運命の詩」は、2017年7月より放送されているTVアニメ『Fate/Apocrypha』のオープニングテーマに使用されている。
「英雄 運命の詩」はCDやハイレゾ版のリリースに先駆けて、7月16日より先行フル配信が開始。14の配信サイトでチャート1位を獲得している。シングルには、「英雄 運命の詩」の全編英語詞ヴァージョンとなる「Eiyu Fate’s Song」、エレクトロニック・チューン「永遠」を併せて収録。一騎当千の英雄たちを描く「Fate」シリーズに相応しい、迫力の楽曲となっている。
オーケストラとクワイアが織りなすダイナミックなサウンドは、「KABANERI OF THE IRON FORTRESS」で提示した方向性をさらに推し進めたもので、音の叙事詩といった壮大なスケールで繰り広げられている。宿命を薙ぎ払うかの如く奏でられるストリングス、彼らの勇姿を讃えるような荘厳なコーラスに力強さが漲る。昂揚感が登りつめる躍動的なサビとは対照的に、Aメロではオルゴールと歌声が静かに物語を紡ぐ。それは「英雄」という定めに縛られた者の哀しみも映し出しているようでもある。そして、情熱をたぎらせるchellyのヴォーカルが、“その旗を高く掲げ”という言葉のとおり、せめぎ合うサウンドを引き連れ、歩みを進める。「自分が持てるすべての力を注いで闘うように歌う」と語る、chellyのエネルギッシュな歌声に圧倒されるばかり。「Eiyu Fate’s Song」では、英詞の譜割が歌の印象をあらたにしてくれる。
ハイレゾでは、「Fate」の世界観をそのまま写し取った雄大な音の響き、空間の奥行きが感じられる。また明快な分離感があり、音要素がそれぞれの方向から迫ってくる、いわば音に包囲されるような感覚を味わえる。早鐘を打つ心臓の鼓動を模したものか、ビートのアタックも激しい。その中で、戦場に降り立った聖女の姿を思い浮かべさせる、歌声の凜とした存在感が際立つ。物語にいっそうのめりこめる仕上がりだ。
華々しい「英雄 運命の詩」から一転、細やかにシーケンスを積み重ねたクールなエレクトロニック・サウンドが展開。初期のEGOISTのようでありながらも原点回帰ではなく、電子音を主体とした構成をとことん突き詰めたものになっている。といっても、ドラマチックな雰囲気をしりぞけているのではなく、むしろ楽曲にはエモーショナルな感覚を引き起こす要素を幾つも盛り込んでいる。例えば時おり差し込まれる水音の響きは、心の中に波紋となって静かに波を呼び覚ますかのようであり、また次第に存在感を増すビートと音響はやがて溢れ出す感情を思わせる。このようにイメージを形作る巧みなアレンジが、サウンドと一体になる繊細な歌声と結び合うことによって、楽曲がもたらす切なさがいっそう強まる。焦がれる想いの深さがじわじわと染み込んでくる一曲だ。
EGOIST
英雄 運命の詩
Sony Music Labels Inc.
2017.08.16FLAC 96kHz/24bit
ハイレゾの購入はこちら
作詞・作曲・編曲:ryo(supercell)
1.英雄 運命の詩
2.永遠
3.Eiyu Fate’s Song
4.英雄 運命の詩 – Instrumental –
5.永遠 – Instrumental –
SHARE