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INTERVIEW

2017.08.30

10年後も色褪せない音を鳴らす 1stアルバム『Culture Vulture』la la larks インタビュー

内村友美が描く歌詞の世界、その相談役は?

───歌詞を書くにあたって、書きやすかった曲と書きにくかった曲はありますか?

内村 自分がメロディーと歌詞を一緒に書いていったので、「たりない」はいちばん早かったです。もらった曲で早かったのは「さよならワルツ」「loop」「Self」「失う」「end of refrain」ですかね。

───バンド用に作られた曲の方が作詞が早いんですかね?

内村 そうですね。タイアップが絡むものとか、シングルに入れるからと思って書いているものは結構苦労しがちです。その中で「end of refrain」は特殊で、たまたま妙に書きやすかったという印象です。

───タイアップ曲の歌詞を書くときは、何を指針に書かれているのでしょうか?

内村 どれだけ求められていることに沿うかですね。求められていることと、その中で自分が共感できるものの共通ラインを見つけるのが最初の作業になります。例えば「ego-izm」は「思春期の葛藤」がテーマだったんですよ。でも自分はもう思春期ではないし、でも葛藤はする。なのでまず「その葛藤はなんなのか」というところを擦り合わせていくんです。それを歌詞に落とし込むときに、思春期を感じさせるワードを入れたり、自分の感覚を今より思春期のころの感覚に近づけたり。自分が思うことより少し幼く調整していくといいますか。

───テーマと自分との距離を縮めることが大事なんですね。

内村 その距離感を最初に定めて、揺らしながら書いていく感じですね。

───書いた歌詞に関して、ほかのメンバーから何か言われることはあるんですか?

内村 あります。まず江口さんからは言葉自体のことを言われます。

江口 僕は文法担当なんです。そもそも日本語がおかしいとか、文章が長いとか、そういう客観的なことを言います。

内村 そのほかの細かい部分や言わんとすること、結論の出し方について言ってくれるのはクボタさんですね。

江口 「内村友美はこういうことを言った方がいいんじゃないか」ということはクボタさんが言ってくれるんですよ。

内村 今回「Massive Passive」と「Reset」の歌詞を書いているときも、最後まで付き合ってくれました。「これは何を言わんとしてるの?」とか、「こういうつもりで言っています」と伝えたら「だとすると、ここがちょっと引っ掛かる」とか、すごく歌詞に向き合ってアドバイスをくれるんですよ。

江口 クボタさんがいちばんCDを買って聴くタイプなんですよ。音楽をミュージシャンとしてじゃなくて、リスナーの感覚で普通に聴ける人なんです。リスナーから内村さんがどう見えているのか、という意見をくれる人だと思います。

───メンバーの中にリスナーの耳と感覚を失っていない人がいるのは、とても心強いですね。

江口 いやあ、本当ですよ。自分はもうなかなかそういう風に音楽を聴かなくなってしまっていて。たまたまラジオで聴いた曲に感動することはあっても、例えばレコード屋に行って「なんだこの新譜!」って探したりはもうやらないですから。でもクボタさんはそういうタイプで、「この新譜ヤバい!」とか「前の方がよかったなー」とか、今も音楽にワクワクしちゃってる人なんです。

───「Q And A -Album Ver.-」は、「ハレルヤ」のカップリングからどこが変化しているのでしょうか?

2ndシングル『ハレルヤ』(2015.07.29)

内村 これはミックスと、アウトロが変わっています。元はシングル用に「色彩」に繋がる形になっていたので、そこが変更してありますね。

江口 この曲は3年前に、今と同じエンジニアで録音されています。そのときはそのときで最高だったものの、今回はより最高に録れるようになっていたのでミックスをし直しました。リズム隊の部分は結構ブラッシュアップして、音をファットに作り変えてあります。

───曲順に合わせてアウトロを作り変えたとのことですが、全体の曲順や構成はどのように決まっていったのでしょうか?

江口 これもクボタさんです。

内村 クボタさんが「こんなのどう?」というのを提案してくれて、そこから話し合って決めていきました。最終的にツアー帰りの車の中で曲を流しながら皆で決めましたね。

───お話を聞いていると、クボタさんの担う役割に意外性がありますね。

江口 前に僕がプロデュースしたcinema staffというバンドは、ドラマーがCDやライブの曲順を決めていたんですよ。そういう感覚がある人がバンドの中には必要で、うちではそれがクボタさんなんだと思います。だから基本的には「クボタさんが言うならOKです」という感じです。

───外側からla la larksを見たときに、メインコンポーザーとして江口さんがいて、ボーカリスト&作詞家として内村さんがいるというイメージなので、そういったイニシアチブはおふたりのうちのどちらかが取っているのかと思っていました。ほかに「この人は意外とこういうことを担当している」というようなことはありますか?

江口 ターキーは物販です!

内村 あと段取りですね。

江口 デザインとか発注とか、事務所のデスクがやるようなことをターキーがやってくれています(笑)。

内村 私も雑務を色々とするんですけど、それに関して相談するのもターキーさんです。「台車を買いたいんですけど、これとこれのどっちがいいでしょうか」とか……(笑)。

───想定と全然違う役割で驚いています(笑)。

内村 「それはデカくない?」とか「もっと安いのがあるよ」とか、相談に乗ってくれます(笑)。

江口 スーパーの買い物で、158円と148円で悩める人がターキーです。バンド内での役割は「お母さん」です。

内村 「倉庫のお金がかかるから、これくらい残しておいて」といつも注意してくれます。

───自分たち主導で、まるで若手バンドのような運営をしてらっしゃるんですね。

江口 若手バンド以下ですよ(笑)。律郎はライブハウスに音源を送ったり、コード譜を起こしてメンバー間で共有してくれたり……。あ、僕は譜面を書かないんですよ。僕が作った曲を律郎が採譜して、それを「これ違うよー!」って言ったり(笑)。でも曲順を決めるにしても譜面を作るにしても、意外とそのちょっとした作業で1~2時間取られてしまうんですよ。そういうのが、制作をしているときにものすごくネックになるんです。そこをメンバーが支えてくれるので非常に助かっています。

───バンド内でストレスの分散ができるのは健康的ですね。la la larksというバンドのイメージ的に、あまり人間味が窺い知れる音楽ではないので、こういうお話を聞けるとリスナーの皆さんとの距離が縮まりそうですね。

江口 急にナメられそう(笑)。

内村 ライブによく来てくれる方にとっては、もう若干その感じがあるんですよ。それぞれのキャラがわかってくると、タメ口で話しかけられたりしますからね(笑)。

江口 それでもやっぱり、昔から来てくれているお客さんは「そのうえでこういう音楽ができるんだ」という見方をしてくれるので、すごくリスペクトしてもらえてるなと思います。レーベルの方も含めて、こういう人たちからこの作品ができるということを、すごく大事にしてもらっているなと思います。

───非常に面白いので、それぞれのキャラクターをメディアでどんどん周知していきましょう。

江口 いつでも24時間密着してくれて構いませんよ(笑)。

『Culture Vulture』【初回限定盤】ジャケット

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