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2017.09.06

in NO hurry to shout;「カナリヤ [ANIME SIDE]」レビュー

in NO hurry to shout;「カナリヤ [ANIME SIDE]」レビュー

TVアニメ『覆面系ノイズ』の挿入歌。ニノの中に眠っていた「怪物」が目を覚ます、荒々しい感情を剥き出しにしたオルタナ・ナンバー。

累計160万部を突破した福山リョウコの人気コミックを原作としたTVアニメ『覆面系ノイズ』。歌を絆とするニノ(CV.早見沙織)・モモ(CV.内山昂輝)・ユズ(CV.山下大輝)、3人の関係を描く今作では音楽を中心にしてストーリーが進行している。劇中には人気オルタナティブ・ロック・バンド、“in NO hurry to shout;(以下、イノハリ)”が登場。ユズがギター/作曲を担当するこのバンドに、ヴォーカルとしてニノが加わることにより、物語が大きく動き始める。

イノハリの楽曲を手がけているのが、“COALTAR OF THE DEEPERS”のNARASAKI。オルタナティブ・ロックを基調とした楽曲を得意とする彼だけに、イノハリのイメージをそのままサウンドとして表わしている。主題歌や挿入歌に加え、イノハリのドラム演奏にも参加しているWATCHMANとともに“SADESPER RECORD名義で劇伴も制作。『覆面系ノイズ』の音世界を鮮やかに展開している。

SADESPER RECORDのNARASAKIとWATCHMANのロングインタビューはこちら

挿入歌シングル「カナリヤ[ANIME SIDE]」は、5月17日にリリース(ハイレゾ版は5月31日より配信開始)。カップリングには、USオルタナ色の強いナンバー「ボーダーライン」を収録している。

「カナリヤ[ANIME SIDE]」

ギターの音色が切り裂くように鳴り響くイントロが強い印象を残すこの曲は、第5話にてイノハリがテレビの音楽番組に出演した際に披露された。また8話のレコーディング・シーンでは、ニノの心象風景を重ねながら描かれていたりと、アニメの中盤で重要な役割を担うナンバーとなった。

タイトルどおりニノを「カナリヤ」になぞらえたものなのだが、もちろん籠の中でおとなしくさえずっているだけのカナリヤではない。安住の“籠(あれ)”を捨て、“目覚めるの あたしの中で 疼くのよ 「怪物」がね?”と叫ぶヴォーカルはスリル満点。衝動に身をまかせて歌うことにより、ニノの中に眠っていた底知れぬ才能=人を否応なしに惹きつける強い歌の力が、どんどん引き出されていることがよくわかる。

そんな強烈なヴォーカルに追随するように、スピードのあるサウンドを繰り出すバンド演奏もいっそう激しさを増している。ハイレゾでは、感情を剥き出しにして歌うニノに対抗するように奏でられるギターの音色が解像感でより鋭く、間奏のギターソロもさらに刺激的。ライヴ感のあるサウンドに没頭できる、迫力の仕上がりとなっている。

「ボーダーライン」

骨太なグルーヴとともに轟音ギターがうねりを上げながら突き進む、グランジ感満載のナンバーで、ざらついた音の質感が緊迫感をさらに掻き立てる。UKインディーズからUSオルタナまで、90年代初頭という時代の空気感までを再現するような、バンドの優れた技量がこの曲からも感じられる。

歌詞には“鈍感なきみへの想い”というユズの心情が反映されており、叩きつけるようなサウンドからも、もどかしさや苛立ちといった感情が伝わってくる。それが湿っぽくならず、むしろドライなサウンドに表現されているのがイノハリらしいところ。だからこそ叙情的なニノの歌声がよく映える。「サテライト」のようなシューゲイザーだけでなく、こういったヘヴィなサウンドにもすんなりとはまってしまう、早見沙織の豊かな表現力に驚かされる。

in NO hurry to shout;
カナリヤ [ANIME SIDE]

ワーナー ブラザース ジャパン
2017.05.31

FLAC・WAV 96kHz/24bit

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©福山リョウコ・白泉社/アニメ「覆面系ノイズ」製作委員会

 収録曲

 1.カナリヤ[ANIME SIDE] (TVアニメ「覆面系ノイズ」挿入歌)
   作詞:福山リョウコ 作曲:NARASAKI 編曲:in NO hurry to shout; 歌:ニノ(CV. 早見沙織)

 2.ボーダーライン
   作詞:江戸山こべに 作曲:NARASAKI 編曲:in NO hurry to shout; 歌:ニノ(CV. 早見沙織)

 3.カナリヤ[ANIME SIDE](Instrumental)

 4.ボーダーライン(Instrumental)

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