OP＆EDテーマ、放課後ティータイムの劇中歌、キャラクターイメージソングなど、TVアニメ『けいおん！』のハイレゾ音源を全26曲収録。鮮やかなサウンド、活き活きとしたキャラクターの魅力をたっぷり詰め込んだアルバム。

TVアニメ『けいおん！』第1期・第2期のOP＆EDテーマ、放課後ティータイムの劇中歌、キャラクターイメージソングなどのハイレゾ音源を収録した配信限定のアルバム『けいおん！はいれぞ！「Come with Me !!」セット』。今作は『けいおん!!』のLIVEイベント「Come with Me!!」5周年記念として企画され、2016年6月よりポニーキャニオンの通販サイト「きゃにめ.jp」にて先行配信が開始（同時にAstell&Kern AK100IIと『けいおん！』のコラボモデル「AK100II けいおん！エディションローズゴールド」も発売されている）。そして、2017年10月より音楽配信サイト「mora」、続いて「e-onkyo music」にて配信が開始された。

収録された楽曲はオリジナルのスタジオ音源を使用（「桜が丘女子高等学校校歌」のみライブ音源）。またそのうちの3曲は今作のため、あらたなヴァージョンでミックスし直している。そして、2011年2月20日にさいたまスーパーアリーナで開催された「けいおん!! ライブイベント～Come with Me!!～」のセットリストと同じ曲順で収録。アニメの感動とライブの興奮を再び呼び起こすような構成となっている。

ハイレゾ音源の制作は、『けいおん！』シリーズの統括音楽プロデューサー・磯山敦、音楽プロデューサー・小森茂生らの監修の下に行われ、当時と同じくエンジニアの井野健太郎がミックスを務めている。作業は当時レコーディングされたマルチトラック（多いものでは120トラック以上）の音源を1chずつ96kHzへと起こし、あらたにミックスを施すというもの。なおその際に最新のPro Toolsを用いて作業を開始したところ、解像感が大幅に向上した反面、当時のPro Toolsで使用していたエフェクトのプラグインが使えなくなるという事態が発生。現行でもっとも適したプラグインと当時のプラグインをひとつひとつ照らし合わせ、耳で確認をとりながら、再びミックスを行ったという。

またアニメやCDで確立された『けいおん！』サウンドのいわばオリジナル・イメージを保つことを第一にしており、前述の3人による「イメージ」の確認を度々繰り返しながら、作業が進められている。こんな制作過程からも、今回のハイレゾ化に対する音楽スタッフの強い熱意や並々ならぬこだわりが伺える。このようにじっくりと時間をかけ、丁寧にミックスが行われたハイレゾ音源は、楽曲の勢いやキャラクターの雰囲気はそのままに、音質がさらに向上したサウンドへと仕上がっている。

第1期OPテーマ「Cagayake!GIRLS」では楽曲をさらに華やかに彩る、強い解像感が感じられる。叩きつけるように炸裂するイントロから音のヌケがよく、以前にも増して開放的な印象を受ける。
第2期前半のOPテーマ「GO! GO! MANIAC」は音の瞬発力が高く、賑やかなサウンドをさらに躍動的に展開。エネルギッシュでありつつも、爽やかなイメージで伝わってくるのが『けいおん！』らしい。
第2期後半のOPテーマ「Utauyo!!MIRACLE」はギターがキレのよい音色を鳴り響かせ、前のめりな楽曲の勢いに拍車をかける。間奏の荒々しいツインギターの絡みや、終盤の清々しいコーラスも聴きどころだ。

第1期EDテーマ「Don’t say “lazy”」は、タイトながらもパンチのあるサウンドで、非常に刺激的。音楽の衝動をストレートに表わすかのように、激しさがなお強く伝わってくる。
第2期前半のEDテーマ「Listen!!」は、奥行きのある空間にバランスよく楽器を配置しており、それぞれの音を立体的に捉えることができる。澪がメインボーカルということもあり、ベースラインがいっそう引き立つ。
第2期後半のEDテーマ「NO, Thank You!」は、低域の量感を活かしつつ、さらにクールで情熱的なボーカルを押し出したミックスとなっている。分離感も強く、たなびくようなシンセの音色も鮮明に聴こえる。

ダイナミックなOP&EDテーマに対して、放課後ティータイムのナンバーはより劇中のバンド演奏の雰囲気に寄った朗らかなサウンドを聴かせる。
“桜高軽音部”の名前で作られた初めてのナンバー「ふわふわ時間」は、クリアな音の質感でスネアのアクセントやベースラインを強調しながら、バンド演奏を臨場感あふれるサウンドで伝える。ボーカルの抑揚も明るく弾むようで、活き活きとした表情が感じられる。
第2期第7話「お茶会！」の“mioファンクラブお茶会”にて披露された「ぴゅあぴゅあはーと」は、小気味よいリズムが絡むメロディアスなサウンドに、澪のボーカルが清々しく響き渡る。青春のみずみずしい躍動感をたっぷり詰め込んだ演奏との一体感がますます心地よい。
第2期第20話「またまた学園祭」のクライマックスで流れた、溌剌とビートが弾けるポップナンバー「U&I」は、唯の素直さがありのままに表われたリアルなボーカルが魅力的。特にラストに向けた落ちサビの歌声は、あたかもスポットライトが当たっているような、際立った存在感でそのひたむな姿が美しい。
第2期の最終回「卒業式」の劇中歌「天使にふれたよ！」では、リズミカルなピアノに乗せて歌うボーカルが柔らかく、4人の優しさとぬくもりがよりいっそう伝わってくる。ふわっと包み込むような空気感、また劇中のシーンが甦るような鮮やかさもあり、感動をまたあらたにしてくれる。

今回のハイレゾ化に際して、「Maddy Candy」「ふわふわ時間」「Come with Me!!」が新しいバージョンで収録されている。「Maddy Candy」は、軽音部の顧問・山中さわ子（CV. 真田アサミ）が桜が丘高校在学時に活動していた伝説のバンド“DEATH DEVIL”のナンバー。「Maddy Candy」は、2009年に開催された「けいおん! ライブイベント～レッツゴー!～」でも披露されているが、「～Come with Me!!～」では、かつてのバンドメンバー河口紀美（CV. 浅川悠）も登場。ハイレゾ音源ではこれに合わせて、紀美のコーラスを加えて、再ミックスが行われている。
「ふわふわ時間」もライブでの歌い分けを再現するため、あらたにミックス。唯と澪ふたりによるボーカルは、第1期の6話「学園祭！」（桜高祭のステージにて澪がボーカルを担当）や、12話「軽音！」（こちらは唯がボーカルを担当）をそれぞれ思い出させてくれるようなイメージだ。
「Come with Me!!」は、第2期『けいおん！！』のキャラクターソング・シングルに収録されているナンバー。シングルは、平沢唯・秋山澪・田井中律・琴吹紬・中野梓・平沢憂・真鍋和・鈴木純の8種類がリリースされ、すべてのシングルにそれぞれのソロ・バージョンとして「Come with Me!!」が収録されている。この曲もステージ上のキャストの姿を映し出すかのように、8人バージョンとしてミックスされている。

主題歌や放課後ティータイムの演奏ナンバー、キャラクターソングなど盛りだくさんな楽曲を集めたこのアルバム。音の良さはもちろんのこと、楽曲やキャラクターの魅力がさらに深まる、ファンにとってうれしい仕上がりとなっている。アニメ作品とともに愛され続ける、楽曲の素晴らしさを改めて実感できる、エバーグリーンな名曲集といえよう。