INTERVIEW
2017.10.25
───カップリング曲の「はぐれた小鳥と夜明けの空」では、ボンジュール鈴木さんとTomgggさんを制作に迎えて、クラブ・ミュージック寄りのサウンドに挑戦されてますね。
中島 今回はタイトル曲の「サタデー・ナイト・クエスチョン」がバンドサウンドで切なく踊れる感じになったので、カップリング曲はアップテンポで踊れるもの、例えばもっとクラブ・ミュージック寄りのサウンドで、大人の女性のかわいさや切なさみたいなものを表現したら、シングルとしてまとまりの良いものになるんじゃないかと思ったんです。そこでボンジュール鈴木さんとTomgggさんに、「今までの私らしさは気にせずやっちゃってください!」とお願いしまして、おふたりに新しいサウンドを提示していただきました。
───ジャンル的にはメルヘンチックな音色を散りばめたフューチャー・ベースといった雰囲気で、ボンジュールさんとTomgggさん両方の持ち味が活かされた最新型のダンス・ポップに仕上がっています。
中島 身体にはドンドンと響くんですけど、気持ちはフワフワするというか、1曲のなかに両極端の要素があってカッコいい音楽ですよね。私は一本気な性格なので、フワフワだったらフワフワ、ズシンとくるのであればズシンみたいに、本当にストレートな発想しかできないんですけど、両方を合わせたらこうなるんだっていう新しい発見があって感動しました。
───歌声も空気をたっぷり含んだ柔らかいハイトーンといった感じで、今までありそうでなかったスタイルですよね。
中島 この曲はまずボンジュール鈴木さんの仮歌が入ったデモをいただいたんですけど、私にはあの独特の美しいウィスパーボイスは出せないですし、単純にボンジュール鈴木さんのマネみたいになってしまっても失礼だし良くないと思ったんです。とはいえ、この曲には柔らかい声が合うので、どうやってバランスを取ろうかと考えたときに、低めのメロディーの部分に自分のしゃべり声に近い音を混ぜられれば、急に私の実像が出てくる感じになって面白いのではと思いました。なので、今までこの曲くらい高いレンジの場合は裏声で歌いきることが多かったんですけど、今回はできる限りしゃべり声に近い芯を残すように声をコントロールして歌ったんです。難しかったんですけど、出来上がりを聴くと新しいことができた感じはしますね。
───ただ、地声と裏声のバランスのコントロールが難しい分、ライブで歌うのは非常に難しそうです。
中島 そうなんです! 実は元々これより半音高いキーがベースだったんですけど、キーチェックのときに半音下げると話し声ぐらいのトーンが出やすいことがわかったんです。ただ、この曲は歌声がちょうど裏に切り替わるぐらいの部分をずっとキープするような歌い方をしているので、「(半音下げると)これはライブで歌えるのかな?」って一瞬思いました(笑)。でも、キーを下げることによって、空に靄がかかったような絶妙な空気感が出ますし、歌声も一番カッコ良く聴こえると思うので、私が頑張って歌おうと思って。リリースイベントまでには仕上げていかないとですね(笑)。
───この曲ではどんな主人公をイメージして歌われたのですか?
中島 個人的には「サタデー・ナイト・クエスチョン」の主人公みたいな、20代後半ぐらいの大人の人が夢を見ているというイメージがありました。「私がこんな感じだったらどうかしら?」って空想したり妄想したりする世界の中というか。この曲は元々最後はフワッと余韻の残る感じで終わるトラックだったんですけど、トラックダウンのときにみんなと話し合って、バッと終わる感じに変更したんです。それが夢から覚めるときの感じと似ているので、すごくいいなあと私は思っていて。夢からパッと覚めて、私いまどこにいるんだろう?って思う感じというか。女の子の空想空間を自由に旅するような曲になっているので、私の中では「サタデー・ナイト・クエスチョン」の主人公と紐付けていますね。
───たしかにこの曲の歌詞は、どこか「サタデー・ナイト・クエスチョン」の世界観にも通じる部分があるように思います。
中島 私も歌詞をいただいたときに、「サタデー・ナイト・クエスチョン」の主人公とけっこう重なるなあと思いました。でも、ボンジュール鈴木さんには特に『ネト充のススメ』に紐づいたリクエストはしていなくて、自由に書いていただいた作品なんですよ。もしかしたら、それぞれのアーティストさんが今の私を想像したときに受けてくださった印象が合致したのかもしれません。
───そうですね。どちらの曲にも中島さんの姿が重なるようです。
中島 そこは歌っている者としてはうれしい部分でもあって。表題曲については、自分の中ではアニメの世界観を表現するのが最優先なんですけど、でもやっぱり中島 愛としてリリースするCDではあるので、今の自分の要素を作り手の皆さんが自由に汲み取ってフィードバックしてくださっているのを感じるんですね。2曲とも「あっ、主人公は私なんだな」とも思いますし、これが例えば20代前半の私だったらこの曲には出会えてないんだろうなって。一度お休みして、復帰した今の自分だから巡り合えた曲なんだということは、歌詞を読んでいると特に感じます。
───今回はリスレゾの取材ということでお伺いしたいのですが、中島さんはハイレゾ音源にご興味はありますか?
中島 興味はあるんですけど、まだ普段から聴いたりはしていなくて。私、今年の誕生日にスタッフの皆さんからヘッドホンをプレゼントしていただいたんですけど、それは普段レコーディング・スタジオで使っているのと同じものでハイレゾ対応なんです。なので、今はどのハイレゾプレイヤーがいいのか、パソコンで調べたりして迷いに迷っているところなんです。
───ハイレゾではどんな音楽を楽しむ予定ですか?
中島 最近の曲をキレイな音で聴くことにも興味はあるんですけど、やっぱり私は80年代の曲がすごく好きなので、洋楽邦楽ともにその時代の音楽を聴いてみたいですね。邦楽だと松田聖子さんとか、洋楽だとアース(・ウィンド&ファイア)とか。
───その時代の作品であれば、例えば中島さんのお好きなアナログ盤の音源と聴き比べてみるのも面白そうですしね。
中島 聴き比べたいですね。よくレコードが一番音が良いとおっしゃられる方も多いですけど、ハイレゾと比べてみたらどう感じるかは気になりますよね。ゆくゆくはマイヘッドフォンで聴き比べようかと思います。
───80年代の楽曲がお好きということでいうと、最近は松田聖子さんの楽曲などを手がけられた作編曲家・大村雅朗さんの特集番組『実写版「大村雅朗の軌跡 1951-1997」in DOMMUNE』にゲスト出演されるなど、昔のアイドルソング好きという趣味がお仕事に繋がるケースが増えていますね。
中島 今まで趣味として細々と言い続けてきたことが、ようやく形になったり繋がり始めている最中なんだと思います。でも、予想もしていない角度からお話をいただいたりして、私が一番びっくりしてますね(笑)
───DOMMUNEの番組では「船山基紀さんのプロデュースを受けたい」という夢も語られてましたが、そういった希望を言い続けることによって、実現する可能性も広がっていくでしょうし。
中島 今まであまりにもベテランすぎて、私では頼めないと思っていた方にも、勇気を持ってアタックしていけるような自分になれる流れが来ている気がしているので、夢を叶えていきたいですね。
───キャリア的にもベテランの方の要求に応えられる年代になりましたしね。
中島 やっぱりデビューしたばかりの頃だと、何を言っているんだろうって思われるような内容でも、ずっと言い続けていくことで〈こいつ本気だぞ〉って思ってもらえるような年代に入ってきたと思うので。実現するかは置いておいても〈言うぞ!言っていくぞ!〉とは思っています(笑)。〈END〉
中島 愛
2007年、「Victor Vocal & Voice Audition」にて最優秀者に選ばれ、2008年にTVアニメ『マクロスF』ランカ・リー役で声優・歌手デビュー。
声優としてこれまでに『セイクリッドセブン』(藍羽ルリ役)、『君のいる町』(枝葉柚希役)など数多くのヒロイン役を演じ、2014年には『ハピネスチャージプリキュア!』(愛乃めぐみ/キュアラブリー役)でTVアニメ初主演を射止める。
歌手としてもランカ・リー=中島 愛名義で「星間飛行」をはじめ数多くの楽曲がリリースされ、シングルはオリコン5位、収録アルバムはオリコン2位を記録し大ヒット。
2009年、シングル「天使になりたい」で個人名義でのリリースをスタート。同年の「第3回声優アワード」にて歌唱賞を受賞。
2014年3月より本人名義の音楽活動を休止していたが、2017年2月リリースの「ワタシノセカイ」で活動を復帰。
●TVアニメ「ネト充のススメ」OP&ED スペシャルイベント~ミニライブ&特典会~
日程:2017年11月18日(土)14:00~
場所:ラゾーナ川崎プラザ 2F ルーファ広場 グランドステージ
出演:中島 愛、相坂優歌
詳しくはフライングドッグ中島 愛HPをご覧ください。
●中島 愛 Official Website
●中島 愛 official (@mamegu_staff) | Twitter
●中島 愛|FlyingDog – Victor Entertainment
中島 愛
サタデー・ナイト・クエスチョン
FlyingDog
2017.10.25FLAC・WAV 48kHz/24bit
ハイレゾの購入はこちら
1.サタデー・ナイト・クエスチョン
作詞:加藤慎一 作曲:山内総一郎 編曲:フジファブリック
2.はぐれた小鳥と夜明けの空
作詞:ボンジュール鈴木 作曲:ボンジュール鈴木・Tomggg 編曲:Tomggg
SHARE