INTERVIEW
2017.11.15
石川 ティンパニなんてK250(Kurzweil K250※)のティンパニだからね。
※Kurzweil K250 レイ・カーツワイルが制作したシンセサイザーで1984年に発表された。スティーヴィー・ワンダーのリクエストに応えて開発されたことで知られる。
松井 スティーヴィー・ワンダーのおかげです(笑)。でも、生のティンパニの音よりノリが良かったよね。
石川 良かったね。K250はサンプラーでもありますけど、現代のサンプリングされた音源よりも、聴こえてほしい部分しか取ってないので鳴りが良いんですよね。
松井 僕らは普段ハイレゾばっかり言ってますけど、選択肢としてはそういう場合もありえるんです。実際にもっと良い音のティンパニも試したらしいんですよ。でも、生の音に近づくほどおもしろくなかったらしくて。
石川 いろいろ試したんですけど、ダメでしたね。やっぱりシンセは280万円以上しないとダメだな(笑)。
松井 しかもあのティンパニがあるからサビに入れたんですよね。サビ入りの<世界中〜>で上がっていくところは、あのティンパニじゃないと全然良くないんですよ。あそこが駆け上がるからストリングスもうまく乗るし、さらにその上に歌がポーンって乗ってくる全部が噛み合うんですよね。
中川 こだわりがすごーい!なのに異常な速さで出来上がったんですよ。
松井 今回はとにかく数を使ってやろうと思って、アナログシンセは20台ぐらい入ってますから。
フジムラ めっちゃ使いましたからね。
石川 もう執念だよね。
松井 石川から上がってきた曲を聴いたときに、すごい良い曲になると思ったんですよ。なのでもうこれはあらゆるシンセを乗せようと思って。『グルグル』の劇伴自体そういう楽曲にしてたし、そこで使ったシンセは全部登場してほしいというぐらいの気持ちでした。
───そのなかでストリングスだけ生というのは?
石川 本当は入れる気はなかったんですよ。ただ、プロデューサーが入れていいと言うので「いいんですか?じゃあ入れますよ?」ということで(笑)。
松井 それに『グルグル』の音楽ということで言うと、実は1クール目の音楽はブラス系の音しか使ってないんですよ。逆に後半はストリングス系の音しか使ってなくて、物語が大きくなっていくにつれてそういう曲が多くなっていくんです。
フジムラ 「Magical Circle」の生ストリングスはそこともシンクロさせてるんですよ。『グルグル』に関しては約1年がかりの作品だったので。
松井 僕らは劇伴から考えると昨年末から作業してるので、この曲にはそこで考えたことが全部入ってると思います。
石川 BGMの仕事を通して、シンセサイザーの扱い方や使いどころをずーっと研究してたわけなんですよ。その集大成であり、研究結果の発表がこの曲なんです。
中川 おおー!そういうところでも集大成なんだー。
松井 だから最初はシンセらしくしてた部分もあったんですけど、結果的に意外とナチュラルな曲になったなと思って。元々みんなが憧れてたシンセサイザーの使い方、例えばウインドやストリングスの音を再現してみようということがいろいろできて楽しかったです。T-8でウインド系の音があんなにキレイに出るとは思わなかったもんな。
石川 T-8は実にいい機材ですよ。
松井 その僕らの研究結果のうえにとびっきりの愛が……。
石川 飛び蹴りしてきたわけです(笑)。
フジムラ 第1話の勇者様みたいやね(笑)。
中川 でも、そんな集大成の楽曲のタイトルが「Magical Circle」って、本当に気持ちいいですね。
松井 今回の曲は「Magical Circle」って名づけて本当によかったと思う。僕らの世代からすると、アニソンは作品名がタイトルであってほしいんですよ。『マジンガーZ』の曲は「マジンガーZ」というタイトルじゃないですか。今回はそれをしようと思って、「Magical Circle」もそれがメインタイトルのつもりでつけましたね。
フジムラ 変にひねるよりかはね。
中川 私も最初にお話をいただいたときは、『グルグル』の世界を少しひねったり、ちょっと遠くなったりはするんだろうなと思ってたんですけど、こんなにもすごい密度と濃さでガンッときたことにビックリして。本当に理想の形がバシッと決まったので、毎週見てる方はもちろん、これから『グルグル』という作品に出会う方も含めて、ぜひこの曲をフルサイズで聴いてほしいと心から願います。永遠に消えない魔法になると思うので。
───中川さんはこの曲をライブでも歌っていきたいとのことですが。
中川 歌いまくっていきたいと思います。歌ってすごく不思議で、特にアニソンは国も時代も世代も飛び越えて、みんな楽しい気持ちで仲良くなれちゃうものだと思うんです。なので、世界中どこで歌ってもきっとみんなで〈くるり〉って魔法陣を描けると思うし、それをステージから見たらすごいキレイだろうなと思いますね。
───ぜひTECHNOBOYSさんと一緒のライブも実現してほしいです。
中川 それがいちばん近い夢なんですけどね。
フジムラ ぜひ!僕らは〈タンス〉を持っていきますから(笑)。
中川 うちの猫がオシッコしちゃったらどうしよう(笑)。弁償しきれない……。
松井 たぶん人生でいちばん笑うと思います(笑)。でも、僕もシンセサイザーの上にされたことあるんですよ。音を作ろうと思ったら見慣れぬ物体があって(笑)。やつらはそういうことを躊躇なくするんですよ。
中川 うちの猫も2010年代生まれのくせに、ファミコンのリセットボタンをキレイにその場所だけ押すんですよ(笑)。もうDNAに刻まれてるのかなって思うぐらいで。でも、ぜひTECHNOBOYSさんの演奏で歌って、お客さんも一緒に魔法陣を描くという素敵な夢をかなえたいです!<END>
●TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND公式サイト
●中川翔子 Official Website しょこたんねっと
●TVアニメ『魔法陣グルグル』公式サイト
©衛藤ヒロユキ/SQUARE ENIX・「魔法陣グルグル」製作委員会
●「Magical Circle」のレビューはこちら
【TVアニメ『魔法陣グルグル』ED主題歌 「Round&Round&Round」 TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND feat.ボンジュール鈴木 インタビュー】はこちら
TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDの連載【TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDのPulse Craft Information】はこちら
TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND feat.中川翔子
Magical Circle
Lantis
2017.11.15FLAC・WAV 96kHz/24bit、WAV 96kHz/32bit
ハイレゾの購入はこちら
©衛藤ヒロユキ/SQUARE ENIX・「魔法陣グルグル」製作委員会
1.Magical Circle
TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND feat.中川翔子
作詞・作曲・編曲:TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND
2.Wind Climbing ~風にあそばれて~
TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND feat.奥井亜紀
作詞・作曲:奥井亜紀 編曲:TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND
3.ロ・ロ・ロ・ロシアン・ルーレット
TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND feat.上坂すみれ
作詞・作曲:中原めいこ 編曲:TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND
4.Magical Circle (Instrumental)
5.Wind Climbing ~風にあそばれて~(Instrumental)
6.ロ・ロ・ロ・ロシアン・ルーレット(Instrumental)
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