TVアニメ『Fate/Apocrypha』の2ndクールOPテーマとなる、LiSAの13thシングル「ASH」。1stシングル「oath sign」(TVアニメ『Fate/Zero』OPテーマ)から6年を経て、再び『Fate』シリーズの主題歌を担当するという、LiSAにとってもファンにとっても非常に感慨深いこの曲は、10月1日より先行フル配信が行われ、配信サイトのチャートにて13冠を達成。ロックバンド「シド」のボーカル・マオが作詞を、ベースの明希が作曲を手がけたことも大きな話題となっている。
シングルにはカップリング曲として、Sho(from MY FIRST STORY)の作曲・編曲による「罪人」、BIGMAMAのボーカル・金井政人が作詞、小南泰葉が作曲を担当した「ONLY≠LONELY」を収録。LiSAとのロック・ミュージシャンとのコラボレーションといった雰囲気も感じさせる仕上がりとなった。
熾烈な戦いを展開する物語を反映してサウンドは激しく、歌詞には〈黒い夜明け〉〈絶望の未来〉〈闇のアーチ〉など、行く手に暗い影を落とす言葉がいくつも並ぶ。映像のイメージも思い浮かぶ、作品の世界観をていねいに汲み取った楽曲だ。“信じることにさえ 臆病になった” “なけなしの勇気 握りしめてた”のとおり、重く立ちふさがる困難に怯え、自身の内に潜む弱さに負けそうになるが、それらを打ち破るように歌声が鋭く放たれ、前へと進み出す決意を示す。苦闘しながらも歩み続け、決して夢をあきらめないその姿は、LiSAにも重なるよう。信じることを貫く、その強い意志をエネルギッシュなボーカルが表している。
感情が波となり押し寄せてくるような迫力を生み出す、音のパワーがハイレゾではさらに伝わってくる。叙情的な旋律にうなりをあげて入ってくる、荒々しいバンドサウンドも音の重厚さを増しており、はち切れんばかりのテンションで繰り広げる終盤の演奏も圧巻。対して、la la larksの江口 亮のアレンジによるストリングスは、広がりが感じられるなめらかな旋律で、『Fate』シリーズの主題歌ならではのドラマチックなイメージをいっそうかきたてる。このようなハードで優美なサウンドに想いをたぎらせるボーカルが力強く響く。しなやかに突き抜けるサビのロングトーンも印象的で、ライブを思わせるテンションの高さがそのままに感じられる。
LiSAが作詞を、MY FIRST STORYのShoが作曲とアレンジを手がけたカップリング曲。レコーディングにはMY FIRST STORYのNobとKid’zも参加しており、両者のコラボ感もさらに強まる。疾走感のあるラウドロックに乗せて、歌い上げるボーカルは、“螺旋の感情 膨らんだ 愛・憎”と情念渦巻く心の叫びをぶちまけたもので、アクセントの強い歌の節回しと相まって、歌謡的なイメージも思い浮かべさせる。破滅的な、狂おしいまでの愛情が溢れる歌声に圧倒されんばかり。
求める愛の罪深さを描ききった実にエモーショナルな楽曲だが、メリハリのあるサウンドや明快なメロディー・ライン、またサビでの“弾丸”や“だんだん”のような歌詞の口ずさみやすさもあり、重い雰囲気ながらもキャッチーさも感じさせる曲となっており、ライブでの爆発的な盛り上がりを期待させてくれる。
かき鳴らされるアコースティックギターの鮮やかさも印象に残る、このシングルのラストナンバー。タイトルは「オンリー・ノットイコール・ロンリー」と読む。ライブが終わったときに感じる寂しさや、来てくれたみんなとまた会いたいというLiSAの想いを元に歌詞には、大切な人との別れといつかの再会を願う気持ちが綴られており、遠く離れていても心は繋がっている、だから“ひとりと孤独は違うって”という言葉から、その絆の深さが強く伝わってくる。だが繰り返される“only lonely”のフレーズのちょっと高まるような歌い方が、寂しさに頑張って耐えているような、自分に言い聞かせているような、そんな表情も感じさせ、楽曲の陰影をさらに深くする。
切なさと温かさが交差する歌声と、PENGUIN RESEARCHの堀江晶太のアレンジによるサウンドが美しく折り重なり、優しい雰囲気が広がっている。こちらもライブで聴いたみたい、オーディエンスとの一体感を強くうながす楽曲だ。
LiSA
ASH
Sony Music Labels Inc.
2017.11.29FLAC 48kHz/24bit
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1.ASH(TVアニメ『Fate/Apocrypha』2ndクールOPテーマ)
作詞:マオ(シド) 作曲:御恵明希(シド) 編曲:江口 亮
2.罪人
作詞:LiSA 作曲・編曲:Sho(from MY FIRST STORY)
3.ONLY≠LONELY
作詞:金井政人(BIGMAMA) 作曲:小南泰葉 編曲:堀江晶太
4.ASH -Instrumental-
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