REPORT
2018.03.23
影山ヒロノブ、遠藤正明、きただにひろし、奥井雅美、福山芳樹によるアニソン界のスーパーユニット・JAM Project。昨年11月の川崎から始まった彼らの全国ツアー“JAM Project JAPAN TOUR 2017-2018 TOKYO DIVE”のファイナル公演が、2月17日に東京・日本武道館で開催された。JAM Projectのメンバーにとっても思い入れの強い武道館という特別な場所で最高の盛り上がりを見せたライブとなった。
今回のツアーは川崎から始まり、ファイナルの日本武道館を含めて全国11都市を巡ってきた。武道館を埋め尽くしたファンの歓声に迎えられ、JAM Projectの5人が登場。最初の曲は、昨年10月にリリースしたアルバムのタイトルチューンであり、このツアーのタイトルにもなっている「TOKYO DIVE」だった。5人は全身にライトをつけており、目まぐるしく光の色が変化していくというド派手な演出でライブのオープニングを飾った。この演出はツアー初日の川崎から行われていたが、何といっても巨大な武道館で最も威力を発揮するもの。東京のど真ん中で彼らが輝くという意味でも、この武道館でこそ見たかった演出だ。その後も「EMG」、 「BAD CITY ~We’ll be alright!」とアルバムの曲を続けて披露した。
「会いたかったぜ武道館!!」と遠藤正明が叫ぶと客席からすごい歓声があがった。そして、「今日もみんなのその記憶に、そして携帯のカメラに、俺たちを焼き付けて帰ってちょうだい!」とJAM Projectのライブの特徴である“携帯・スマホでの撮影OK(※一部のコーナーは除く)”をアピールした。今回も観客がマナーを守りながら撮影している姿が印象的で、きっと来場したファンにとって大事な宝物になったことだろう。影山ヒロノブは「みんなのおかげでまたこのロックの聖地に戻ってくることができて本当に最高です!」とまずファンへの感謝の気持ちを述べた。
最初の挨拶が終わって歌ったのは、「神ノ牙~The Fang of Apocalypse~」。炎が上がる演出もあって熱い曲がさらに熱くなった。圧倒的な勝利感が爽快な「勝利の未来-とき-」では歌詞がスクリーンに映し出される演出があり、奥井ソロから始まる「迷宮のプリズナー」へと続く。
この後は懐かしい曲を1人、または2人で歌っていく“メモリアルコーナー”が始まった。まずは奥井雅美が作詞・作曲を手掛けた曲「Divine Love」(原曲はJAM Project featuring きただにひろしの歌唱)を自らソロで歌うというスペシャルな趣向からスタート。遠藤正明&きただにひろしはJAM Projectの1stシングルである「疾風になれ」で、ステージの両端ギリギリまで駆け回るパワフルな歌唱を見せた。そして影山ヒロノブ&福山芳樹はアコースティックギターを弾きながら「星空のレクイエム」を披露。ふたりが向かい合いながらギターを奏でる姿は哀愁漂う楽曲と相まってぐっと来るものがあった。
再び5人揃って「アレクサンドリア」、「Believe in my existence」と歌った後、今度は恒例の“アコースティックコーナー”となった。バンドメンバーは一旦ステージから去り、5人が自ら楽器を演奏しながら歌うというコーナーだ。「きただにくんの大きなギターも今日で見納め……」と影山が言うと、「いや、ベースだっつーの!」ときただにが突っ込む(※きただにが持つベースが大きく見えるので)というくだりも、もはや今回のツアーのお約束(笑)。まずは「I Kill-イキル-」のアコースティックバージョンを歌い上げた。
そして今回のツアー名物になってきた「Growing up」を披露。アコースティックだがノリのいい曲で、観客からのクラップやコール&レスポンスも楽しい曲だ。見せ場はメンバーがテクニックを見せるソロパートで、まずは影山が“スーパージェットフィンガー”と称して超絶テクニックを見せて観客を沸かせた。それに対抗してきただには“ファイブフィンガー”(ウイスキー?)と言ってベースを演奏。奥井は恒例の三三七拍子で盛り上げると、遠藤は“MOTTO! MOTTO!!”のコールを煽った。最後は福山がやはりギターで妙技を見せた後、「武道館!(観客:武道館!)」とこれも恒例となっている観客とのコール&レスポンスを始めた。コールは「武道館」からいつしか「ぶどう」になり、「みかん」「イチゴ」「バーナナ」「バナナはおやつに入りますか」と変化していく(笑)。この無茶苦茶なアドリブにいちいちついていけるJAM Projectのファンもすごい。最後は「Growing up!」の合唱でかっこよく締めたのだが、この緩急の付け方はさすがエンターテイナーといったところだ。
ここからはほっこりする曲、ぐっと来る曲を歌うということで、「シュワッチ!~キミを護りたい~」を披露。この曲では巨大なバルーンが客席に出現し、観客の頭上でカラフルな光を放ちながら飛び交うという演出があった。そして、上京した時の気持ちを思い出す曲という「Everything」が歌われた。
このあたりからライブは終盤戦。一気に盛り上がっていくゾーンとなる。まずは、まだどこにも出していない、この武道館で初めて歌った「鋼のWarriors」を披露。この曲は4月25日発売のニューシングルで、PS4(R)/PS Vita 用ソフト『スーパーロボット大戦X』のオープニング主題歌となることが決定している。ここから「豪腕パンチ」、「THE EXCEEDER」、「The Brave」と近年のタイアップソングが続く怒涛の流れとなった。
20曲目の「東京スキャンダル」は70年代のアイドルソングを思わせる懐かしい曲調。この曲ではメンバーと一緒に観客がタオルを振るのだが、武道館で数千人の観客が一斉にタオルを回す光景は圧巻だった。ここで撮影をしている観客も多かったようだ。
影山の「このまま燃え尽きるぞー!!」という声で、最後の猛ラッシュが始まった。文字通り炎が上がりまくった「Shinning Storm~烈火の如く~」、観客も一体となってポーズを決めた「Crest of “Z’s”」と続き、最後は「THE HERO!!~怒れる拳に火をつけろ~」でまさに燃え上がるようにライブ本編のラストを迎えたのだった。
客席から「もうアンコール?」という声が聞こえたくらい、あっという間に駆け抜けたライブ。もちろん、まだこんなものでは物足りない観客は“MOTTO! MOTTO!!”とシャウトを続けた。JAM Projectのファンのアンコールは統率のとれたコールではなく、それぞれが“MOTTO!”という想いをぶつけるシャウトなのだ。その声に応えてJAM Projectのメンバーが再登場し、まず歌ったのが観客も声を合わせて合唱が起きた「HERO」だった。
アンコールの最後のあいさつで遠藤正明は「当たり前のように与えられた環境で歌ってきたけど、本当は当たり前じゃないということをこのツアーで実感した」と述べ、今この場で歌っていることの奇跡を感謝した。昨年は病気で入院していたきただにひろしは、治療を続けながら周囲やファンの支えでここまで来れたと感謝し、「人間は逆境を超えたら強くなれるんだと改めて思いました」と語った。それを受けて奥井雅美も「健康面も含めて当たり前じゃないんだなということを日々感じております」と話し、「今日こうやってこのステージで歌えたこと、一生忘れません」と感激した様子だった。そして福山芳樹は武道館では歌うよりも客席で観ていることが多かったといい、Queen、ビリー・ジョエル、ポール・マッカートニーなどのアーティストに心を躍らせていたとのこと。「武道館は一番ひとつになれる会場。僕はこの会場が一番ロックを感じます」と武道館という特別な場所への想いを語った。
そしてリーダーの影山ヒロノブは、「ジジイになったらJAMを抜けようと思っていた。すげえ若い奴が出てきたら、遠藤にリーダーの座を譲って……」と衝撃の告白をした。客席からは悲鳴があがる。でも……「楽しすぎてやめれねー!」「最年長でめちゃめちゃロックしてめちゃめちゃ飛んでるユニットを目指します!」と生涯JAM宣言。ファンも安堵した様子で歓声をあげた。
ラストは「デビューからJAMに主題歌を任せてくれた」という彼らにとっても特別なものがある『スーパーロボット大戦』のメドレー。「Rocks」「VICTORY」、「GONG」、そして「SKILL」という怒涛の4曲で締めくくった。
曲が終わると、影山は所属するランティスへの感謝の意を表した。ランティスは4月からバンダイナムコアーツとして再出発することになっている(レーベルとしてのランティスは今後も存続)。会社設立時には4名だけだったというランティスは、JAM Projectと共に歩みながら大きくなっていった。「ランティスに拍手を!」と影山が叫ぶと、武道館に盛大な拍手が巻き起こった。
こうして全国ツアーを無事に成功させたJAM Projectだが、今年5月からはアジアツアー“JAM Project ASIA TOUR 2018 TOKYO DIVE”を開催することが発表された。広州、台北、ソウルでライブを開催。今年も“No Border”で世界へアニソンの輪を広げていく。
Text By 金子光晴
“JAM Project JAPAN TOUR 2017~2018 TOKYO DIVE ツアーファイナル”
2018年2月17日(土)東京・日本武道館
<セットリスト>
OP Sprinning Out of Control
1.TOKYO DIVE
2.EMG
3.BAD CITY ~We’ll be alright!
4.神ノ牙~The Fang of Apocalypse~
5.勝利の未来-とき-
6.迷宮のプリズナー
7.Divine Love
8.疾風になれ
9.星空のレクイエム
10.アレクサンドリア
11.Believe in my existence
12.I Kill-イキル-
13.Growing up
14.シュワッチ!~キミを護りたい~
15.Everything
16.鋼のWarriors
17.豪腕パンチ
18.THE EXCEEDER
19.The Brave
20.東京スキャンダル
21.Shining Storm~烈火の如く~
22.Crest of “Z’s”
23.THE HERO !! ~怒れる拳に火をつけろ~
EN1.HERO
EN2.Rocks~VICTORY~GONG~SKILL
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