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INTERVIEW

2018.03.02

立花理香 デビュー・ミニアルバム『Flora』リリース記念インタビュー

立花理香 デビュー・ミニアルバム『Flora』リリース記念インタビュー

『アイドルマスター シンデレラガールズ』の小早川紗枝役などで知られる声優の立花理香が、ロッカンミュージックよりミニアルバム『Flora』でアーティスト・デビューを果たす。キャラソンやライブイベントなどでその歌声を披露してきた彼女だが、ソロで本格的な音楽活動を行うのはこれが初。ドラムンベース風のサウンドにクールな美声が躍るリード曲「REALISTIC」を筆頭に、それぞれ花をモチーフに作り上げた色彩豊かな全6曲で自分らしさを表現している。新人アーティストとしての意気込みから各曲に込めた思い、今後の意外な目標に至るまで、本人にたっぷりと話を聞いた。

──今回、どういった経緯で歌手デビューすることになったのでしょうか。

立花理香 最初はレーベルのスタッフの方から事務所に打診をいただいたんですけど、歌のお仕事をたくさんやっているわけでもない私にそんなに声をかけてくださるなんてありがたい!と思いまして、ぜひにということでお返事をしたんです。でも、そのスタッフの方は私を知ってくださったきっかけを覚えてないらしいんですけど(笑)。

──それはいつ頃のお話ですか?

立花 私がお返事して動き出したのが2017年の秋ごろでした。ちょうどそのとき、私の初めてのファンクラブ・イベントの開催を控えてたんですけど、何かサプライズを用意したいと考えてたので、そこから急ピッチで準備を進めて、何とかイベントでデビューすることだけは言うだけ言ったんです(笑)。まだアーティスト写真も何もなかったんですけど、やっぱり応援してくださる方にいちばん最初に伝えたいというのがあったので。

──立花さんはもともとアーティスト活動に対する憧れや思い入れをお持ちだったのですか?

立花 それが全然なかったんですよね。2016年に女性声優さんがたくさんデビューされる時期がありましたけど、私はみなさんすごいなあと思いながら他人事としてぽけーっと見てたので(笑)。なのでいざ自分にデビューのお話がきたときは「なぜだ?」というビックリとハテナがすごく大きかったんです。でも、声優のお仕事というのはオーディションを受けても受けても落ちることが多いなか、私を求めてくださるのがすごくうれしくて、見つけてくださった恩返しをしたい気持ちもあってお応えしたんです。

──立花さんは『アイドルマスター シンデレラガールズ』などの作品でステージに上がる機会も増えてると思うのですが、例えばそこでパフォーマンスに対する意欲が湧いたりは?

立花 そこはキャラクターや作品のためというのが第一にあるので、そのために歌がうまくなりたいとか、こうすればよりキレイに見えるかも、というのを突き詰めていく作業はあったんですけど、いざ自分自身のこととなったらどうしようかなあと思って。そこがいちばんのビックリポイントでしたね。今回の作品も最初はどこをめざして作っていけばいいのかわからなくて。

──自分自身をどう見せるかについては、そもそもあまり考えてなかったと。

立花 そうですね。なので作品のコンセプトについてはみんなで頭を悩ませたところではありました。アーティスト写真を発表したときも、ファンの皆さんけっこう驚いてて。私は普段ラジオやイベントで楽しくしゃべってる感じなので、今回のアー写みたいなクールな部分は皆さんご存知じゃなかったりするんですよ。だから今は「かっこよかろう!(ドヤア)」みたいな感じです(笑)。

──今作のタイトルは『Flora』ですが、これにはどんな意味が?

立花 本当に単純な話なんですけど、私は名前に〈花〉の文字が入ってたり、ファンクラブの名前も〈Flower Cheers!〉だったりするので、今回も〈お花〉をテーマにしたいという希望があったんです。それで〈花の女神〉という意味合いのある『Flora』というタイトルにして、収録曲も6曲すべてモチーフとなるお花があって、そのお花の花言葉にちなんだ楽曲や歌詞で構成してもらいました。

──なるほど。実際このミニ・アルバムには色とりどりの花々のように、多彩な楽曲が詰め込まれてますね。本作のリードトラックでもある1曲目「REALISTIC」は、ドラムンベース風のビートを敷いたクールなダンスチューンです。この楽曲のモチーフとなったお花は?

立花 この曲はガーベラで、花言葉は〈希望〉とか〈常に前進〉なんですよ。なので踏み出す強さとかスタートの踏み込みみたいなものを意識して作りました。アーティスト写真もそうですけど、このアルバムにはカッコイイ感じや強さみたいなものがほしいと提案させてもらって。それと「1曲でいいので踊れる曲がほしいです」ということも私からお話させていただいてたので、この曲は〈踊る〉という観点を重視して作っていただいたんです。

──歌詞のテーマはご自身で提案されたのでしょうか?

立花 私はまだ照れくさくてそういうことが言えないんですよ(笑)。そこは私も頭が硬いのかもしれないですけど、背中で語るカッコイイ感じに憧れてるところがあって、あんまり自分で「私はこういうところを押し出したいから」というのはちょっと……みたいに思ったりとかして(笑)。でもスタッフの方がその辺を推しはかってくれる方なので、歌詞とか曲調も私に合ったものに導いてくださって、「なんでこんなに刺さる歌詞と曲を持ってきてくださるんだろう?」と思うぐらいですね。

──この曲はどんな部分が刺さりましたか?

立花 「REALISTIC」は以前からYouTubeで公開させてもらってるんですけど、それを聴いてくださった方から、歌詞の<星明りさえ見えない 空の下で>のところが私のいままでの経験を反映してるようでグッときた、という感想をいただいたんです。私は東京に出てくる前は京都に住んでまして、声優になるためにしばらく夜行バスで往復していた時期があったんですけど、たしかに夜行バスに乗る感じがその歌詞みたいだなと思って。そういう捉え方もあることに気付けてすごく良かったなあと思ったんです。

──ファンの目線を通して自分も新しく気付ける部分があるというのは素敵ですね。

立花 私、本当に応援してくださる方がいなかったらここまで仕事を続けてこれなかったと思ってるので、そこはすごく感謝してるんです。これまでも何度も助けてもらったり、支えてもらってきたので「またかあ、こんちきしょう、ありがとう!」って思いました(笑)。

──この曲は最初の一歩を踏み出すという意味でデビュータイミングにふさわしい曲ですし、今のご自身の心境と重ねられる部分も多そうです。

立花 たしかにそうですね。2番の<だからもう ふわっと夢なんか語らない>という歌詞は「こんなに生々しい歌詞でいいの?」と思うぐらいで(笑)。でも、私自身そんなに夢はなくて、夢というよりも目標と思うところがあるので「ああ、それそれ!」と思ってすごく共感しちゃいました。でも、声優さんのお仕事の場合は、キャラクターソングで二次元やファンタジーの世界を歌うことが多いんですけど、仮にも夢を与えるお仕事をしてる私が<夢なんか語らない>なんて歌っていいのかなって思ったりもして(笑)。

──歌い方について意識された部分はありますか。

立花 「REALISTIC」はいちばんむき出しな感じはします。ここでこういうニュアンスを入れてみようとか、何も余計なことを考えずに、ただ真っすぐに歌ったのがこの曲かもしれないです。自分自身がさらされましたね。

──この楽曲はMVも制作されてますが、撮影はいかがでしたか?

立花 本編はクールな表情が多かったので、1日であんなに笑わない日があるんだなと思いました(笑)。カットの声がかかって笑えるのがすごく幸せで(笑)。でも、監督さんが思うこの曲の捉え方は私の捉え方と違ったりして、撮影の中でそういうものに触れて、いろんな新しい見方ができるようになりましたね。

──それは例えば?

立花 この曲は私の中では強い芯が通ってるんですけど、MVではちょっと儚い表情を入れたいという話が出たりして。それまで私はこの曲で儚げな部分を考えたことがなかったので、なるほどと思って。ひと言で〈強さ〉と言ってもそのなかにはいろんな強さがあるだろうから、そこはすごく勉強になりました。

──2曲目の「Flaming Rose」はタイトルにも入ってるバラがモチーフでしょうか。

立花 タイトルが〈燃え上がるバラ〉ということで、赤いバラの花言葉は〈愛情〉とか〈情熱〉なんです。ベクトルとしては「REALISTIC」と同じで前に向かってるんですけど、勢いでがむしゃらに一直線というのとは違って、秘めたる情熱というか。イメージとしては赤いピンヒールを履いた女性です。

──この曲の主人公の女性は<咲く花には 棘があるものだから>と言っていて、かなり強い女性像が描かれてますね。

立花 男気のある女性なんですよ。片仮名でオンナって感じですね(笑)。小悪魔というと可愛すぎるんですけど、酸いも甘いも一通り経験してしまったオンナが前進するときの曲というか。

──では、歌われるときはそういう女性をイメージした?

立花 この曲には「REALISTIC」で〈アーティスト・立花理香〉の歌い方をフワッと掴んだ後に出会ったんですけど、それと同じくむき出しな感じで歌ったら何か違ってて、どうやって歌えばいいのかわからなくなったんですよ。そこから「REALISTIC」とは違うむき出しじゃない強さをどう表現したらいいのか考えて、赤いピンヒールの女性に行き着いたんです。

──その大人っぽい女性像に合わせてか、サウンドも昔のデジタルJ-POP的な懐かしい感じがしますね。

立花 そうなんですよ!3曲目の「赤いアネモネ」もそうなんですけど、聴く人が聴いたら懐かしいと思うテイストを入れようという話をしまして。

──僕は聴いてモロ90年代っぽいなと思いました(笑)。

立花 そうなんですよね。「この感じー!」ってなんかニヤッとしてしまうような。私も最初に曲をいただいたときに好きだなあと思って。でも、その時代の音楽を知らない人が聴いてどう思うのかも楽しみですね。だからこの曲がいちばん反応の予想がつかなくてわからないんですよ。

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