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INTERVIEW

2018.01.25

TVアニメ『バジリスク ~桜花忍法帖~』OPテーマとなるニュー・シングル「桜花忍法帖」発売中!陰陽座インタビュー

TVアニメ『バジリスク ~桜花忍法帖~』OPテーマとなるニュー・シングル「桜花忍法帖」発売中!陰陽座インタビュー

2005年に放送されたTVアニメ『バジリスク ~甲賀忍法帖~』の10年後の世界を描いた続編『バジリスク ~桜花忍法帖~』。約12年の時を経てTVアニメが放送されて話題を呼んでいるなか、前作に引き続きOPテーマを担当した陰陽座がニュー・シングル「桜花忍法帖」をリリースした。リーダーの瞬火(またたび/ベース・ボーカル)は、名曲「甲賀忍法帖」の魂を引き継ぐ「桜花忍法帖」をどのように生み出したのか。また話題は自身が考えるアニメ音楽から山田風太郎作品まで興味深い話が聞かれた。

――まず本題であるシングルの話に入る前に、瞬火さんのアニソン体験をまず伺ってもよろしいでしょうか。子供の頃はアニソン、お聴きになられてました?

瞬火 僕はこう見えて……って、どう見えてるのかわからないですけど(笑)、マンガもアニメも大好きなんですよ。特にマンガは、今も年間何十冊、何百冊読むんだろうというくらい。で、マンガが好きということはアニメももちろん好きで、特に子供の頃はたくさんのアニメを観ていました。だから好きなアニメ・ソングもたくさんありますね。

――タイトルだと、どのあたりの作品が?

瞬火 小さい頃は、主題歌もそれほど意識せずに見ていた気がしますが、「アニメの歌ってグッと来るな」と思い始めたいちばん古い記憶は、恐らく『キン肉マン』の「キン肉マンGo Fight!」ですね。あの、ちょっとユーモラスだけどサビは熱い感じは印象的でした。あと『(超時空要塞)マクロス』の主題歌は渋いな、とか。原体験っぽいもの……「アニメの歌だから」というのではなく純粋にいい歌で、しかも物語にもすごく合っていたことで印象に残っているのはそのあたりが代表的な例ですね。自分の好みというより、印象的、という意味では『新世紀エヴァンゲリオン』の放映当時、「残酷な天使のテーゼ」がとても流行していたのを憶えています。その頃はもう楽器やバンドに興味を持っていて、音楽を聴いたり演奏したり、ということに時間を費やしていた時期だったので、少しアニメとは距離があったはずなんですが、あまりに流行っていたので自然と憶えてしまっていましたね。現代に近づくほどに、どんどん洗練された、音楽性の高い曲をアニメの主題歌にする流れがあるのじゃないかと勝手に思っています。アニメで使われているかどうかだけが、アニメ・ソングか否かという基準というか。クオリティの部分を始め、世の中にあるほかの音楽との垣根は一切ないのかな、と。もちろん、人の心を躍らせる良い歌、良い音楽という意味では、昔のアニメ・ソングも同様ではありますが。

――アニソンはこの十年ほど、日本の音楽シーンの中で大きくその存在感を増してきました。陰陽座も「甲賀忍法帖」でその一端を担われ、アニソン・イベントへのご出演もされていましたが、そうした近くはありつつもアニソンのプロパーではないという立ち位置で今のアニソン・シーン、アニソン・ファンに対してはどんなご印象を感じられているのでしょうか?

瞬火 いわゆる音楽シーンといういちばん大きな括りがあり、その中にアニメ・ソングやヘヴィ・メタルのシーンという区分けがあるのだとすると、今、アニメ・ソングは日本の音楽シーンの中でものすごく大きい存在になっていますよね。だからアニメ・ソングとヘヴィ・メタルではシーンの規模感が全然違うんですが、アニソン・ファンとヘヴィ・メタル・ファンには共通点があると感じています。

――どんなところがでしょう?

瞬火 一般の音楽ファンからするとちょっと極端なもの、マニアックだと思われているものが好きで、かつ、そのジャンルに対しての信奉心とでも言うべき、熱い信念を持って聴き、応援するという点です。どちらが上だとか下だとかいう意味は一切ありませんが、一般的な音楽リスナーの方は、なんとなく耳にひっかかった曲を屈託なく聴く場合が多く、ヘヴィ・メタルを好きな人は、ヘヴィ・メタルとそれを演奏するアーティストに命を捧げる! というような熱い感覚を持った人が多いと思います。アニメ・ソングを好きな人にも、その特徴って似ていますよね。

――はい。

瞬火 すごく強い思いを向ける人が多いというところで、ヘヴィ・メタルとアニメは共通している。ただ、ヘヴィ・メタルというパイより、アニメ・ソングのパイの方が今は圧倒的に大きい。その中で才能やセンスを発揮された方の中には、一般的な音楽シーンの歌い手の人をある意味で凌駕するようなところまで昇り詰める人もいる。水樹奈々さんとか、並の歌手ではまったくかなわない規模のアーティストですよね。もちろん、水樹さんの曲を聴くのは今となってはアニメ・ファンばかりではなくなっているとも思いますが、やはりその人気を熱く支えているのはアニメ・ファンの方が多いのではないでしょうか。

先ほどおっしゃったとおり、たしかに自分たち陰陽座も「甲賀忍法帖」でアニメに関わらせていただきましたが、自分たちをアニメ・ソングのクリエイターだとは言えないと思うんです。一曲だけですからね。でも「甲賀忍法帖」は『バジリスク ~甲賀忍法帖~』のOPテーマとして、作品の良さとあいまってアニメ・ファンの方にもすごく支持してもらえて、放映から10年以上経った今でも、「ああ、あの『甲賀忍法帖』の陰陽座ね」とアニメの好きな方に知ってもらえている。語り継がれている。それはすごく光栄なことだと思っています。またそうやって、古い曲をどんどん排除とか廃棄していくんじゃなくて、時間が経てば経つほど「名作」だとか「伝説の曲」だとか、作品への思いがどんどん練り上げられていくところがあるのも、ヘヴィ・メタルとアニメは似ていますよね。

――たしかに。

瞬火 普通のポップスにもそういう長く愛される特別な曲はありますけど、一般のリスナーが「そんな古い歌手、知らないよ」と言っても別に何の問題にもならない。でもヘヴィ・メタル好きだと言っている人たちの中で、ヘヴィ・メタル黎明期の名曲や、すごいバンドを知らない……たとえば「ブラック・サバスを知らない」という人がいたら、「知らないの!? ぜひ聴くべきだよ!!」という話になる。この会話のブラック・サバスの部分を『宇宙戦艦ヤマト』とか名作アニメのタイトルに変えたら、そのままアニメ・ファンの会話として成立すると思うんです(笑)。知らない人を排除しろという意味じゃなく、このジャンルを愛する者として観ておいた方がいい、聴いておいた方がいい、良いものを繋いでいこうという気持ちが強いところも、ヘヴィ・メタルとアニメはすごく似てるなと思っています。

 

――ではあらためて、ニュー・シングル「桜花忍法帖」のお話を伺わせてください。今回の楽曲制作にあたり、どのようなコンセプトを立てられたのでしょうか?

瞬火 アニメ『バジリスク ~桜花忍法帖~』のOPテーマを……というオファーをいただいて制作した楽曲ですが、そもそもお話をいただくよりも前に、山田正紀さんがお出しになられた小説版を手にとっていたんです。あの『バジリスク ~甲賀忍法帖~』の続編……続きようがない物語の続きがどのように書かれているのか、これは読まずにはいられないということで、出た直後に読んで、「なるほど、こういうことか」と。前の物語が美しく完結していればいるほど、続けてくれるなというのも作品愛として当然あることなんですけど、あくまでも今回の続編は、山田風太郎さんの『甲賀忍法帖』を元にした『バジリスク ~甲賀忍法帖~』というアニメのif、「もしもこうだったら……?」という空想を交えた続編だと捉えられたんです。そう捉えることで原作小説を楽しめたので、アニメ化されるのであればぜひOPテーマはやりたいなと思っていたんですよね。誰か別の方がやるとしたら、多分悔しいだろうな、と。そうしたらオファーをいただけたので、これはもう「待ってました!」と(笑)。だから自分の中で作品を咀嚼した、割りと準備ができていたところで来たお話だったので、制作に取り掛かるのは早かったです。
『バジリスク ~桜花忍法帖~』には原作小説とマンガ、アニメがあって、どれも登場人物とストーリーはもちろん同じですが、描き方はそれぞれのメディアでちょっと違う。だからアニメ版のOPテーマだからといって、アニメの表面だけをなぞった曲にすると、原作小説やコミカライズ版を読んだ人には違和感があると思ったんです。だからもっと深い、『バジリスク ~桜花忍法帖~』というストーリーの根底に流れている主題をしっかりと書くことで、どのメディアでこの物語を体験した人でも繋がるような楽曲に仕上げることを、制作する上では心がけました。

――メディアをまたいだ「桜花忍法帖」のコアを表現された。そのコアの部分とは、どんなものだったのでしょう?

瞬火 いくつかポイントがあるんですが、いちばんあらわれているのは、「桜花」という言葉でしょうか。『「甲賀」忍法帖』の続編に『「桜花」忍法帖』とつけたことの意味。桜花……桜の花は、ある時期にものすごく美しく咲き誇って、割りとすぐに散る。咲く時期が限定的で、短いあいだしか楽しめないからこそ、花見の文化が生まれる。年中咲いているなら誰も見向きはしない。そして桜の花が咲いて散る姿に、昔から日本人は命の儚さであるとか、生命の一瞬のきらめきをなぞらえてきた。

――そうですね。

瞬火 『バジリスク ~桜花忍法帖~』は、八郎と響という一組の男女の悲喜こもごもを描く作品でもあるんですけど、「桜花」という言葉で表されているのは、絶対にかなわないような強大な敵に立ち向かう、忍者たちのことであろう、と。絶対勝てない相手に、「勝てないから戦わない」のではなく、「勝てないかもしれないけど、それでも立ち向かう」……そんな散る覚悟を持って立ち向かうことが、「桜花」という言葉がこの物語で指し示すところかなと僕はとったんですね。散るとわかっていても咲く。その儚さ、儚さの中にある美しさ、何かに立ち向かうことの美しさを描く。そう決めた上で、視点はヒロインの響に置いて、この物語の中での彼女の心情を歌にしました。

――これまでの『バジリスク ~甲賀忍法帖~』に関連した楽曲に比べて、攻撃性よりも優美さが強い印象を受けましたが、そこは今うかがったような原作のイメージが反映されたからでしょうか?

瞬火 物語に音楽を当てる際には、作品の内容と曲調の合わせ方の妙がありますよね。激しい作品だからとことん激しさを強調するのか、ちょっとギャップを持たせて、そこから何か魅力を生み出そうとするか。『バジリスク ~桜花忍法帖~』はアクションを中心とした激しい物語なんですけど、激しい戦いそのものよりも、「なぜこんな激しい戦いをせねばならないのか?」というところのやりきれなさとか切なさ、儚さにスポットを当てたほうが、目の前で行われている熱い戦いに対してグッと心が入るように感じたんです。これは「甲賀忍法帖」のときもそう考えていて、実際に楽曲にも盛り込んだことですけれども。忍者が戦っている姿を見るだけで涙が出てくるとするならば、涙の理由がなんなのかを音楽で表現しなければならないのではないか。ただ熱く、激しいだけではダメではないのか。そういう気持ちが今回もあって、そこを響の心情をストレートに歌うことで、文字どおり響かせようとした結果、完成した曲の曲調がスッと引き出されてきたんです。

――冒頭の「眼指で殺したい」から、いきなり『バジリスク ~桜花忍法帖~』の根幹にグッと引き込まれる思いがします。

瞬火 そういうキーになる言葉、状況、描写は、とにかくしっかりと配そうと考えていました。ふんわり、なんとなく作品の雰囲気に合うのではなく、何をどう考えても『バジリスク ~桜花忍法帖~』のことを歌っているとしか思えない歌詞、具体的にこの物語のことを歌っている歌詞にすることは、自分の作品作りの信念としてやりました。長さは四分強の曲ですけど、これだけの長さがあれば、ひとつの物語の頭から終わりまでのすべてを描写することは無理でも、主題やテーマをしっかり刻むことはできるんです。さすがにアニメのオープニングで流れる89秒ではすべての主題を語ることは無理かもしれません。でもその89秒に、「たぶんこの物語はこういう話なんだな」と想像できる、期待感が膨らむような内容を詰め込み、終盤まで見続けると、より曲が深く染み込んでいくような曲にすることを目指しました。89秒という尺は本当に余計なことを言っている隙がないんですよね。だからどんどん主題をぶち込むような歌詞になっているのかな、と。

――では、今日最後におうかがいしたいのは、時を越えて人を魅了する山田風太郎作品の魅力はどこにあるか、です。

瞬火 今回は山田「正紀」さんの作品ですけど……山田「風太郎」さんの話でいいんですね?

――はい、ぜひ。

瞬火 話すととても長くなるので、本当に大事なところだけいいますけど……山田風太郎作品というと、奇想天外で荒唐無稽な発想による時代小説というのが最大の武器であり魅力として語られますが、僕としては、とにかく文章が美しいことが魅力なんです。無駄がない。僕は文章に変な味がない……死にそうなくらい喉が乾いているときの真水くらいスッと入ってくる文章じゃないと気になってしまうんです。「この言い回しが気に食わないな」と思ったら、そこから先はその小説はもう読めなくなってしまう。それが山田風太郎さんの小説にはただの一文字もない。
しかし文章の美しさや読み心地の良さは人によって違うので、そこだけで推しても無駄なんですよね(笑)。だから今お話したのは、あくまで僕が個人的にすごいと感じているところです。誰にでも伝わる要素で魅力を語ると、やはり奇想天外な発想にあるのかな、と。何十年も前、今のようにマンガやアニメが溢れる前に、驚くべき発想の物語を描いている。口にするとひとことで終わりそうな、ものすごいナンセンスなアイデアから、すさまじく面白い短編を書き上げておられたりするのも驚異的なんです。人を食ったような話から、涙が出るような話まで、ひたすら「おもしろい」小説を書かせて右に出るものはいない。僕は「山田風太郎の小説よりおもしろい小説はない」と断言できます。『バジリスク ~甲賀忍法帖~』でも『バジリスク ~桜花忍法帖~』でも、アニメをご覧になって興味を持たれたら、原典にあたる『甲賀忍法帖』はもちろん、興味を惹かれたほかのタイトルでもいいです。一冊でも読んでもらえたら、絶対に山田風太郎さんの虜になると思います。ぜひ、まだ手に取ったことのない方がいたら、読んでみてください。……最終的に僕、アニメでもシングルでもなく、今回いちばん推しているのが山田風太郎さんなんですけど、これで記事は大丈夫ですか?(笑)

――こちらとしてはまったく問題ないです!……というか、むしろすみません……。

瞬火 ははは。では改めて、山田風太郎さんの本を一冊でもいいので手に取ってください、そして、シングル「桜花忍法帖」もよろしくお願いします!もちろん、アニメ『バジリスク ~桜花忍法帖~』も毎週観てください!

Interview&Text By 前田 久


●リリース情報
陰陽座 NEW SINGLE
「桜花忍法帖(おうかにんぽうちょう)」
発売中

品番:KICM-1819
価格:¥1,300+税

<CD>
1. 桜花忍法帖 (TVアニメ「バジリスク ~桜花忍法帖~」オープニングテーマ)
2. 甲賀忍法帖 (実況録音版 ※2017 Live Version)
3. 愛する者よ、死に候え (実況録音版 ※2017 Live Version)
4. 蛟龍の巫女 (実況録音版 ※2017 Live Version)

●放送情報
TVアニメ『バジリスク ~桜花忍法帖~』
放送中

TOKYO MX 毎週月曜24:00~
tvk 毎週月曜25:00~
サンテレビ 毎週月曜24:00~
KBS京都 毎週月曜24:00~
BS11 毎週月曜24:00~
AT-X 毎週月曜24:30~

※放送日時は予告無く変更になる可能性がございます。

<プロフィール>
オンミョウザ/黒猫(くろねこ/ボーカル)、瞬火(またたび/ベース・ボーカル)、招鬼(まねき/ギター)、狩姦(かるかん/ギター)から成るヘヴィ・メタル・バンド。1999年に結成し、2001年に「月に叢雲花に風」でメジャー・デビュー。2005年発表のシングル「甲賀忍法帖」は、TVアニメ『バジリスク ~甲賀忍法帖~』OPテーマとして話題を呼ぶ。その続編となるTVアニメ『バジリスク ~桜花忍法帖~』にて、「桜花忍法帖」をリリースした。

(C)山田風太郎・せがわまさき・山田正紀・講談社/桜花忍法帖製作委員会

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