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INTERVIEW

2017.12.28

テレビアニメ『十二大戦』オープニングテーマで話題のパノラマパナマタウン メジャー・デビュー直前インタビュー!

テレビアニメ『十二大戦』オープニングテーマで話題のパノラマパナマタウン メジャー・デビュー直前インタビュー!

インディーズながら「ラプチャー」がテレビアニメ『十二大戦』のオープニングテーマに大抜擢された4ピースオルタナティヴロックバンド、パノラマパナマタウン。2015年には「RO69JACK」「MASH FIGHT [MASH A&R]」オーディションでグランプリを獲得し、大型フェスに引っ張りだこの彼らが、2018年1月17日、ミニアルバム『PANORAMADDICTION』を引っさげて、ついにメジャー・デビューを果たす。聴く人を“PANORAMADDICTION=パノラマ中毒”に引き摺り込むこと必至の4人に、新時代のミクスチャーを届けるパノラマパナマタウンの音楽と彼らの歩み、ミニアルバムリリースに向けた熱い想いを語ってもらった。

――まずはパノラマパナマタウンがどういうバンドなのかを知ってもらうために、4人のルーツを伺いたいですね。4人ともまだ23歳という若さなんですけど……初めて自分が好きで手に入れたCDって何でした?

田野明彦(B) 僕は小学生のとき、『シャーマンキング』の主題歌の「Northern Lights」(林原めぐみ)を買ったのが初ですね。

――いきなりのアニメソングですね、リスアニ!WEBにぴったり。

岩渕想太(Vo&Gt) それなら僕もアニメですよ。小1か小2のとき、おばあちゃんと一緒に『千と千尋の神隠し』を観に行って「いつも何度でも」(木村弓)を買ってもらいました。

田村夢希(Dr) ああ……僕はアニメじゃなくて、コブクロだった。小学校5年生くらいですかね。

浪越康平(Gt) 僕も自分で買ったCDは、中学生の時の「jupiter」(BUMP OF CHICKEN)……なんですけど、ギターを弾くようになったきっかけはアニメなんです。中学でロックを聴き出して、卒業する頃に『けいおん!』を再放送で観て平沢 唯ちゃんに憧れて。唯ちゃんがギターを弾けるんだったら、僕もやれるんじゃないかと思って始めたんです。

一同 おお~。

岩渕 そういうことなら、俺も言いたい! じつは僕も高校のときに『けいおん!』を観てまして、最初に買ったギターが平沢 唯ちゃんと同じ色のレスポールタイプでした(笑)。

――『けいおん!』はそもそもバンドマン人気も高かったアニメですが、そこをきっかけにプロになる人が出始めているのも、すごいことですね。

岩渕 もちろん邦楽や洋楽のロックに大きな影響を受けていますけど、昔は『涼宮ハルヒの憂鬱』の「God knows…」をカバーしたこともあるし、アニソンやネット音楽も僕ら世代のバンドマンは、けっこう聴いてると思いますね。

田野 中学、高校時代はボカロも流行ってたし。

田村 僕もニコ動で、好きなバンドの曲の“弾いてみた”や“叩いてみた”は普通に観てましたからね。

――では、ミュージシャンだとどういう方に影響を受けました?

田村 最初に憧れたドラマーはMr.Childrenの鈴木英哉さんですね。

田野 僕は中学で卓球部を引退した頃からELLEGARDENやASIAN KUNG-FU GENERATION、 BUMP OF CHICKENにハマり、ギターを始めて高校でバンドを組んだんです。そのうちベースの音が好きになり、大学でベースに転向したんですけど、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリーとクラムボンのミトさんはベースヒーローですね。

浪越 僕はロックンロールやガレージロックが好きで、ビートルズ、ローリング・ストーンズ、ザ・フー、オアシスなどに影響を受けました。邦楽のロックンロールから入って、洋楽に遡っていった感じです。

岩渕 だから僕らの「ラプチャー」には、ビートルズの「Tomorrow Never Knows」感が出てるんです(笑)。僕はやっぱり、ルーツはUSオルタナとブリットポップとヒップホップ。くるり、ナンバーガールから入ってピクシーズやソニック・ユースが好きになって、オアシスやブラーに。一番好きなのはビースティ・ボーイズですかね。ビースティ・ボーイズ的なことがバンドでできないかな? というのは、いつも考えてます。

――そんな4人の出会いが、神戸大学の軽音学部だったそうですね。

岩渕 はい。最初は、浪越以外の3人でandymoriのコピーをやっていて。

浪越 僕は後から誘われる形で入ったんですけど……。

田野 ギターを弾く姿がカッコ良かったので、僕が誘ったんです。

岩渕 そこから、大学1年の夏くらいに(田村) 夢希がオリジナル曲をやりたいと言い出して、パノラマパナマタウンが本格的に始まったんです。

――そして大学在学中に「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」などの大規模フェスにも出演し、THE ORAL CIGARETTESやフレデリックを輩出した「MASH FIGHT!」ライブオーディションでグランプリを獲り……と華やかなバンドヒストリーを積み重ね、ついにメジャー・デビュー。しかもメジャー・デビュー前にテレビアニメ『十二大戦』のオープニングテーマに「ラプチャー」が抜擢されましたが、話を聞いたとき、どう思いました?

岩渕 純粋にうれしかったです。ちょうど、上京してバンド一本でやっていこうというタイミングだったので、4人で機材車の中で「よっしゃー!!」と言ったのを覚えてますね。

田村 中学高校時代は、アニメがきっかけで聴くようになったバンドも多いから。

岩渕 すごいチャンスをもらえたと思いました。

浪越 すごくうれしかった。

岩渕 浪越、めちゃめちゃ喜んどったやん(笑)。でも、そこで4人で考えたのは……アニメソングで終わりたくないってことでしたね。本当にうれしいし、ありがたい話なんですけど、その中でちゃんと“僕らがやる意味”を音楽にもメッセージにも込めたかった。自分たちがここにいることをちゃんと示したいと思いながら、「ラプチャー」を作りました。

――『十二大戦』という物語には、どんな印象が?

田野 12人のキャラ、それぞれに個性がありますよね。みんな次々に死んじゃうんですけど(苦笑)、作品全体に流れている殺伐としたダークな雰囲気やちょっと残る妖しさは、僕らのバンドのカラーにも合っているなと思いましたね。

浪越 僕はすごく口数の少ない人間なんですけど……『十二大戦』はまさに弱い犬ほどよく吠える作品で、キャラクターが喋れば喋るほど、早く死ぬじゃないですか。だから……凄く自己肯定感がありました(笑)。

一同 (笑)。

――その「ラプチャー」も収録されたメジャー・デビュー第1弾となるミニアルバム『PANORAMADDICTION』を聴かせてもらいましたが、1曲1曲、曲調が全部違うのに驚きました。最初に、作詞・作曲、ギターボーカルの岩渕くんが影響された音楽にラップがあるとおっしゃっていて、実際、ラップテイストのボーカルが他の曲では多用されている。「ラプチャー」はあえてそこを封印したんですか?

岩渕 そうですね。曲を作る前に原作を何度も読んだし、ティザー映像も観たんですが、自分たちにはラップで憤りをまくし立てる曲もあるけど、自分の内面をセンチメンタルに歌う面もあるんです。ここで勝負する時に、どっちの手札がいいかと考えた時に、今回は歌だなと思ったんです。

――当然、内面というのは岩渕くん自身の心の中でもあると思うんですけど、その上で原作から受け取ったものはなんでした?

岩渕 キャラクターが全員、生きるか死ぬかの瀬戸際にいて、自分が絶対に生き残る、勝ってやるという光を求めてもがいているお話だと僕は感じました。そして、この主題歌の話をもらった時の自分たちも、同じように必死だった。上京したばかり、大学生だという後ろ盾もなくなって、バンドをどうしていけばいいか悩み、葛藤してた。そんな僕ら自身のもがきや苦しみと、作品がすごくリンクして書けた曲なんです。「ラプチャー」には“喜び”というような意味がありますけど、僕らも音楽をやっていて、自分たちのオリジナルの音楽が目の前に見えるから、そこに向かって音を鳴らすし、バンドとして成功する姿が見えるから、そこに向かって歩く。この作品の主人公たちも、生きる光が見えるから戦ってるんだなと。

――自分たちの覚悟も表されているんですね。

岩渕 この曲には“誰もが死ぬ運命のみなしご”というフレーズがあるんですが、“運命”ってうまいように使える言葉じゃないですか。でも“運命”は結局、僕らの面倒は見てくれない。みなしごは運命に産み落とされるけど、そこから先、何をどうしたいかを決めるのは自分。だったら死なないために、好きなことをするべきだと思うんですよね。

――“運命は自分自身で掴み取るもの、自分の道は自分で選ぶものだ”というメッセージは、『PANORAMADDICTION』の他の曲からも強く感じられました。と同時にパノラマパナマタウンの音楽に“レッテルを貼るな”、“人がカテゴライズしたものに安易に従うな”という強いメッセージも語られていますね。

岩渕 はい。僕の曲は全部、自分が体験したこと、23年間生きてきて感じた怒り、「なんでこうなんだろう?」という疑問が原動力になってます。自分たちの音楽についても、やりたいことをやるためにレールをはみ出てバンドをやっているのに、それでもまだ枠に入れられたり、括られたりしちゃうなという感覚はすごくあって。でも、いちいち人の言うことを真に受けていたら、表現したいことはどんどん小さくなってしまうじゃないですか。で、みんな同じバンドになっちゃう。俺たちは絶対そうなりたくない、みんなと同じになりたくないという意志はあります。

――だからこそ、音楽ジャンルに縛られない多彩な楽曲が、ここに集まっているんですね。

田村 そうですね。「パノラマパナマタウンのテーマ」や「ロールプレイング」といった、インディーズ時代の僕らを代表する、礎になった曲もしっかり入れているので、僕らがどういうバンドなのかを知ってもらえるいい1枚になったと思います。

岩渕 憤りやメッセージを伝えようと、皮肉も織り交ぜながらラップ調で早口でまくしたてるものが僕らのA面だとしたら、 内面を歌い上げる「ラプチャー」は僕らのB面のリード曲なんですよ。

浪越 A面のリード曲は、「フカンショウ」ですかね。

岩渕 僕らには両面の大好きな表現があることが、これを聴いてもらえたら、よく分かってもらえると思いますね。

田野 6曲それぞれに個性があって、全部が“パノラマパナマタウンというジャンル”の入り口。それぞれのプレイも、好きな音楽の影響がいろいろ表れているんで、解き明かしてもらえたらうれしいですね。

岩渕 聴いた方には、「6曲ともバラバラな楽曲が詰まっていてすごいね」と言われることが多いんですけど、自分らの中では6曲ともパノラマパナマタウンらしさでちゃんと繋がってる。それを実現できたのが、このアルバムを作った、すごく大きな成果でした。

――たしかに、全曲聴くと4人の言うことがよく分かります。

岩渕 『PANORAMADDICTION』というのは“パノラマ中毒”と訳すのですが、何度も聴いて僕らの中毒になってほしいという意味と、相手の本質ではなく一部を切り取って語る“俯瞰中毒”な人々への警笛を鳴らすという意味が込められているんです。昔は、メッセージや強い憤りをただ歌っているだけだったんですけど、『PANORAMADDICTION』を作ることで、なぜ自分はこういうことを言うのか、言いたい理由が自分の内面の弱さを含めて歌えるようになった。ライブに来てもらえれば、よりそれを強く感じてもらえると思うんですよね。2018年も、2月からは初めての主催対バンツアーもありますし、4月の東名阪ファイナルも豪華な2マンライブを予定しているので、このアルバムは気になったら、ぜひライブハウスにも遊びに来てほしいです。

Interview&Text By 阿部美香


●リリース情報
メジャーデビュー・ミニアルバム
『PANORAMADDICTION』
1月17日発売

品番:AZCS-1069
価格:¥1,800+税

<CD>
1.パノラマパナマタウンのテーマ
2.フカンショウ
3.マジカルケミカル
4.ラプチャー (テレビアニメ「十二大戦」オープニングテーマ曲)
5.街のあかり
6.ロールプレイング

●ライブ情報
全国対バンツアー『HEAT ADDICTION TOUR』

2018年2月4日(火)【神戸】music zoo KOBE 太陽と虎
w ) ハンブレッターズ / YAJICO GIRL
2018年2月12日(月・祝)【広島】BACK BEAT
w ) mol-74 / ゆるふわリムーブ
2018年2月14日(水)【福岡】LIVE HOUSE Queblick
w ) Bentham / ユアネス
2018年2月15日(木)【香川】高松DIME
w ) Bentham / ELFiN PLANET
2018年3月10日(土)【千葉】LOOK
w ) PELICAN FANCLUB / teto / 突然少年
2018年3月21日(水・祝)【石川】vanvanV4
w ) LILI LIMIT / PELICAN FANCLUB
2018年3月24日(土)【新潟】CLUB RIVERST
w ) LILI LIMIT / PELICAN FANCLUB
2018年3月30日(金)【仙台】enn3rd
w ) マカロニえんぴつ / アンテナ
2018年4月 1日(日)【札幌】SOUND CRUE
w ) マカロニえんぴつ / アンテナ

ファイナル東名阪全箇所対バンあり(2マン)
2018年4月21日(土)【大阪】梅田Shangri ‒ La
2018年4月22日(日)【名古屋】ell.FITS ALL
2018年4月26日(木)【東京】渋谷WWW

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