リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

INTERVIEW

2017.12.12

ベストアルバム『LIFE of DASH』リリース記念インタビューPart 1 鈴木このみ×畑 亜貴スペシャル対談

――今回のベスト盤には鈴木さんが作詞・作曲された新曲「夢へ繋ぐ今」も収録されてますが、畑さんはこの曲を聴かれましたか?

 実はまだ聴いてないんですよ。

鈴木 うわ~、また照れ臭さが(笑)。

 これはもう楽しみですね。

鈴木 この曲はタイトルのことを考えずに歌詞を書いてしまったので、タイトルがいちばん悩んだんですよ。ツアーで初披露したんですけど、前日に「すみません、これにします!」って決めたぐらいで。歌詞は自分なりの夢について歌った曲にしたいと思って、いろんな感情が混ざり合った曖昧な気持ちもそのまま、もう自分のありったけを書いてみたつもりです。それこそ「CHOIR JAIL」の頃は夢をがむしゃらに追ってて、すごく遠くに感じてたんですけど、周りが見えてきた今のほうがむしろ夢の存在を遠くに感じることもあって。でも、そうやって夢を追いかけているときのうれしさとか不安が実は大切で、そういう気持ちこそが夢をかなえることに繋がるんじゃないかと思って、この曲を書いたんです。

 しっかりと曲について語るこのみちゃんが眩しい(笑)。

鈴木 歌詞に関してのプレッシャーがすごくて緊張します(笑)。

 曲に対しての思いの語り方もすごく成長したよね。そういう自分の思いをまとめて伝えるスキルは上がったと思う。

鈴木 わー(パチパチ)!5年間やってきて良かった!

 いやあ、私が歳取るわけだ(笑)。

――畑さんは作詞家としての視点から見て、鈴木さんの歌詞をどう思われますか?

 まだ自分の作品を自分が歌う段階なので、まずはアーティスト視点で書くのがいちばん感情が出やすくていいと思うんですよ。まずは、それが自在にできるようになるのが第一段階で、その先はもうちょっと自分から離れて、違う視点から見ることによって、作詞に対しての幅が広がってくると思うんです。そうなるといろんなバリエーションの歌詞が書けるようになってくると思うし、タイトルもすぐ思い浮かぶようになるだろうし(笑)。

鈴木 『LOST SONG』の曲のタイトルもギリギリまで悩みましたからね(笑)。

――今のお話はアーティストとしてもすごく勉強になりそうですが、逆に鈴木さんから畑さんに作詞で質問したいことはありますか?

鈴木 私は歌詞を書いてるときに悩むことが多くて。例えばなんですけど、音を聴いたときに言葉がパッと出てくる場合があるじゃないですか。でも逆に何回聴いても思い浮かばないことがあって……。そういうときに畑さんはどうしてますか?

 私はまずそこまで悩むことがないから、今どう答えようかなって思ったんだけど……。

鈴木 ウワーッ!(笑)。

――そもそも悩まないと(笑)。

 でも言いたいことはわかる。メロディがあきらかに言葉を引っぱる力をわかりやすく出している場合と、そうじゃないときがあって。でも、そのときが自分の楽しみというか腕の見せ所で、ちょっと抽象的だけど、この曲は何をほしがってるんだろう、何を呼びたいんだろうっていうことに関して集中する。で、それでも見えないとしたら、「私はこの曲で何を表現したいんだろう?」って考えるのが、このみちゃんにできることなのかもしれない。私はこの曲と一緒に何ができるかを考える、曲と自分との共同作業っていうのかな?

鈴木 共同作業……。

 うん。たぶんこのみちゃんが悩むのは曲を聴いて歌詞を書くときで、私はその前の段階で悩んでしまうので、歌詞を書くときには悩みが終わってる。例えば、私がこのみちゃんに次の新曲を書くとしたら、その曲はどういう立ち位置にあるべきか、今このみちゃんは何を歌ったらいいのか、ということを書く前にすごく考えるから。まずそういう部分を構成してから曲を聴くから、歌詞を書き始めたら道が一本道というか、設計図があるような感じで。実は曲を聴いてからはあんまり悩まなかったりする。

鈴木 へええ~!

――なるほど。畑さんの場合は詞を書き始める前段階が大切なんですね。

 そうなんですよ。

――鈴木さんはこれまで歌詞を書くに際して、そのような作業をしたことは?

鈴木 自分の中で大きいテーマみたいなものは決めるんですけど、「まずは書いてみよう!」って何回も書く感じです。

 でも、今はそのほうが言葉が出やすいと思う。で、どうしても行き詰ったら一回曲から離れたほうがいいかも。ちょっとお散歩したりとかしてね。私も悩むほどではないけどタイトルが決まらないときとかは、全然違うことをするし。ボーっと散歩したりすると、急にピーンときて「あーっこれ!」ってなることも結構あるから。

鈴木 一回リフレッシュしたほうがいいんですね。あとすごく気になってたのは、何で畑さんからはいつもドンピシャな歌詞がやってくるんだろうって思ってて。

 ウフフ……(笑)。

鈴木 私は畑さんと頻繁にお会いしているわけではないんですけど、歌詞をいただくといつも「何で誰にも言ってないのに私の心の中がわかるんだろう?どっから覗いてるんだろう?」ってすごく思うんです(笑)。

 私は基本的に、書く対象やその人への愛がないと書けないと思ってて。だから、例えばこのみちゃんに歌詞を書くことになったら、その前段階でずっとこのみちゃんのことを考えてるの(笑)。このみちゃんは今何を考えてるんだろう、今どんなことを感じて生活してるんだろうって。別にそれで情報をたくさん調べるわけではないんだけど、ただずーっとこのみちゃんのことを考える。

鈴木 へーっ。

 でも、このみちゃんと連絡を取ってしまうと、逆にこのみちゃんは私が心配しないように良いことしか言ってくれないかもしれないし、「私、頑張ってます!」みたいなことを聞いてしまうと、悩んでることがわからなくなってしまうから、実際には話を聞かないようにして、ただただこのみちゃんのことを……気持ち悪いねこれ、今自分で言ってて気付いたけど(笑)。

一同 ハハハ!(爆笑)。

――でも、その畑さんの想像力というか、歌詞を書く対象についてものすごくディープに掘り下げて考える力はすごいですよね。だからこそ、いざ歌詞を書く段階では一本道になるということですし。

 そうですね。それとそうやって出てきたものは、このみちゃん自身からは出てこない言葉だったりすると思って。やっぱり人は自分自身のことをいろんな角度から見られないし、あくまで主観になるので、なかなか自分を俯瞰で書くことはないと思うんです。だから、このみちゃんには書けないけどこのみちゃんにあることの歌詞をすごく考え続けるんです。それはもしかしたら、このみちゃんがそのとき考えてることと少しズレてるかもしれないんだけど、それは周りから見たこのみちゃんのある種の実像でもあるので、それを歌うことによって気がつくこともあると思うし。だから多少のズレはあまり気にしないようにしてて。とにかく今のこのみちゃんがどう存在してるのかということに、めちゃくちゃ思いを巡らせます(笑)。

鈴木 えぇー!畑さんから見た鈴木このみってどんな感じなんだろう(笑)。

 まあこの歌詞の中のこのみちゃんかな?だからそれについて考えてるときはある意味、恋に近い感覚だと思います。ずーっと考えてて、その人のことしか目に入らないみたいな気持ちだから。でも、そうやってみんなに歌詞を書いてる私って、めっちゃ浮気者ですね(笑)。愛が多すぎかな。

一同 ハハハハ!(爆笑)。

――愛が溢れまくってますね(笑)。では最後に、畑さんから今後の鈴木さんのアーティスト活動に期待することはありますか?

 このみちゃんは10代から20代に駆け抜ける時点で、ある程度難関を乗り越えてくれたと思うんですよ。自分で考えて自分で発信することもできるようになって。最初はハラハラするところもあったけど、今はわりと普通にそういうことを考えられるでしょ?

鈴木 はい!

 ほら、今ドヤアって笑顔になった(笑)。そのハラハラしてた部分を越えてしまったので、あとは自由に情熱が迸るままにいろいろ試して、失敗を恐れずに、自分が本当に続けたいことを掴み取っていけばいいと思うから、もう心のままに、ちょっとアレッて思うこともやっちゃえみたいな。

鈴木 アハハ(笑)。

 もちろん私は音楽的には作詞や作曲を続けてくれたらうれしいし、もっとこのみちゃんが書いた曲を聴いてみたいなと思うし、ギターはすごく感動したからぜひ続けてほしいなって思う。本当にカッコよかったから。

鈴木 頑張ります!

――鈴木さんは今後も畑さんに歌詞を書いていただく機会があると思いますが、例えばどんな曲を書いてほしいですか?

鈴木 うわーーっ!何だろう?

 セクシーソングでも何でも書くよ(笑)。

鈴木 (笑)。でも、よく考えたら私の今の21歳っていう年齢は、15歳のころはすごく大人だと思ってみてた年なんですね。だからもうひとつランクアップみたいな感じで、大人っぽい曲を歌ってみたいです。

 がむしゃら以外の私みたいな。

鈴木 私は常に走ってきて、もちろん今後も走り続けたいと思ってるんですけど、今までは目をかっ開いて走ってたのを、ちょっと流し目ぐらいな感じで(笑)。

 思わせぶりなこのみちゃん(笑)。

鈴木 フフーンみたいな感じで(笑)。意外性があって楽しそうだし、そういう扉は開いてみたいと思いますね。

 いいね。そのときは衣装もセクシーにしないと(笑)。

鈴木 じゃあヒールを履く練習から始めます!(笑)。

Interview&Text By 北野創
Photography By 山本哲也


●リリース情報
鈴木このみ ベストアルバム
『LIFE of DASH』
12月20日発売

品番:ZMCZ-11835
価格:¥3,000+税

<収録曲>
1. CHOIR JAIL (TVアニメ「黄昏乙女×アムネジア」OPテーマ)
作詞:畑亜貴 作曲:田代智一 編曲:田代智一、浦田尚克
2. DAYS of DASH (TVアニメ「さくら荘のペットな彼女」前期EDテーマ)
作詞:畑亜貴 作・編曲:白戸佑輔
3. 夢の続き(TVアニメ「TVアニメ「さくら荘のペットな彼女」後期OPテーマ)
作詞:Riryka 作曲:白戸佑輔 編曲:中村タイチ
4. 私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い(TVアニメ「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」OPテーマ)/歌:鈴木このみn’ キバオブアキバ
作詞・作・編曲・演奏:キバオブアキバ
5. AVENGE WORLD(TVアニメ「フリージングヴァイブレーション」OPテーマ)
作詞:畑亜貴 作・編曲:囚人
6. 世界は疵を抱きしめる(TVアニメ「フリージングヴァイブレーション」EDテーマ)
作詞:畑亜貴 作・編曲:囚人
7. This game (TVアニメ「ノーゲーム・ノーライフ」OPテーマ)
作詞:深青結希 作曲:若林充 編曲:eba
8. 銀閃の風(TVアニメ「魔弾の王と戦姫」OPテーマ)
作詞:坂井竜二 作・編曲:鈴木ヤスヨシ
9. Absolute Soul(TVアニメ「アブソリュート・デュオ」OPテーマ)
作詞:坂井竜二 作曲:若林充 編曲:村井大
10. Beat your Heart(TVアニメ「ブブキ・ブランキ」OPテーマ)
作詞:松浦勇気、AIJ  作曲:松浦勇気 編曲:宮崎誠
11. Redo(TVアニメ「Re:ゼロから始める異世界生活」OPテーマ)
作詞:ミズノゲンキ 作・編曲:宮崎誠
12. Love is MY RAIL –runnning start– (TVアニメ「アンジュ・ヴィエルジュ」OPテーマ)
作詞:畑亜貴 作・編曲:白戸佑輔
13. カオスシンドローム(TVアニメ「カオスチャイルド」EDテーマ)
作詞・作曲:志倉千代丸 編曲:悠木真一
14. Blow out (TVアニメ「ロクでなし魔術講師と禁忌教典」OPテーマ)
作詞・作曲:ヒゲドライバー 編曲:ゆよゆっぺ
15. THERE IS A REASON(劇場版「ノーゲーム・ノーライフゼロ」主題歌)
作詞:岩里祐穂 作曲:ヒゲドライバー 編曲:宮崎誠
16. 夢へ繋ぐ今(新曲)
作詞・作曲:鈴木このみ 編曲:白戸佑輔

●ライブ情報
“鈴木このみCOUNTDOWN LIVE 2017~2018”
2017年12月31日(日) 開場 22:00/開演 22:30
会場:東京・ディファ有明
チケット:全席指定¥5,400(税込、ドリンク代別)

●イベント情報
鈴木このみベストアルバム「LIFE of DASH」発売記念イベント
①2017年12月16日(土)
開場12:30~ 開演13:00~ 終了14:00(予定)
会場:アニメイト池袋本店
内容:トークショー&ミニライブ&サイン会

②2017年12月23日(土)
開場12:30~ 開演13:00~ 終了14:00(予定)
会場:ゲーマーズなんば店
内容:トークショー&ミニライブ&サイン会

③2017年12月24日(日)
開場12:30~ 開演13:00~ 終了14:00(予定)
会場;アニメイト名古屋店<名古屋>第3太閤ビル
内容:トークショー&ミニライブ&サイン会

④2018年1月13日(土)
開場18:30~ 開演19:00~ 終了20:00(予定)
会場:AKIHABARAゲーマーズ本店
内容:トークショー&ミニライブ&サイン会

関連リンク

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP