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2017.11.24

イロドリミドリLIVE’17~第1話「Still Going On!!!!!!!」~開催記念特別連載「インタビューを~ゲット!!!!!!!」最終回 “イロドリミドリLIVE’17~第1話「Still Going On!!!!!!!」”ライブレポート!

ゲームセンターで遊べる音楽ゲーム「チュウニズム」(CHUNITHM)から生まれた音楽ユニット「イロドリミドリ」。そんな「イロドリミドリ」にまつわる人々の声をお届けしている本連載。最終回となる今回は、11月5日に行われた、イロドリミドリLIVE’17 第1話「Still Going On!!!!!!!」のレポートをお届けする。「イロドリミドリ」が今日まで積み重ねてきた日々や魅力がみっしりと詰まったライブは、まさに今の集大成と呼べるものだった。

日没が早まり、すっかり空気も肌寒くなった2017年11月5日、名称が改まったばかりのマイナビBLITZ赤坂(旧称・赤坂BLITZ)にて、イロドリミドリLIVE’17 第1話「Still Going On!!!!!!!」は開催された。開場時間前から入場口へ向けて長蛇の列が伸び、どれだけの人々がこの日を待ち望んでいたかを物理的に伺わせる。

1階フロアも2階席もギュウギュウに人が詰まった場内に、高野麻里佳演じる月鈴白奈による開演前の注意事項アナウンスが流れると、客席の一同が色めき立った。緊張しつつも的確で一生懸命なナレーションを聴いているうちに、自分たちは舞高のイベントに参加しているのだという気分になってくる。最後に音源の宣伝もしっかりしているところは、さすがはデキる妹。

開演を告げるように場内が暗転すると、ステージのスクリーンには今回のために用意されたキャラたちの掛け合いドラマ映像が流れ始める。ライブ開始までのステージ裏の様子を描いた内容で、最初に登場したのは、箱部なると明坂芹菜のハイテンションコンビ。芹菜に檄を飛ばすなるの「やれんのかー!?」という煽りに、客席からも声援が飛ぶ。まだ1曲目も始まっていないのに、完全に場の空気が出来上がってしまった。

期待感がピークに達したところで登場したトップバッターは、芹菜役・新田恵海。ソロ曲「ハート・ビート!」をキレキレのダンスとともに歌い上げ、高まった期待に見事応えて見せた。入れ替わりに、なる役のM・A・Oが登場。「DETARAME ROCK&ROLL THEORY」によって(らっせ らっせ)の大合唱を巻き起こす。曲名通りのデタラメじみたテンポチェンジもさらりと対応する姿は天才肌のなるそのもの。続く芹菜の「SPICY SWINGY STYLE」では新田がドラム演奏の動きを取り入れた振り付けで客席を煽り、合いの手の(タカタン!)でまたしても客席から斉唱が飛ぶ。ここまでの曲順でファンが期待していた通り、このパートの締めくくりはなるのソロ曲「猫祭り」。メロでの超絶早口から、「ニャー」の1ワードだけで歌われるサビまで、M・A・Oの叩き出すグルーヴに煽られっぱなしだった。

まだ全体の4分の1も終わっていないのにお祭り騒ぎ状態の客席を、M・A・Oと新田が「みんな息してる?」と気遣っていると、ステージソデから大がかりなセットが運び込まれてきた。台の上に設置されているのは、どう見てもパイオニアのDJシステムだ。登壇したふたりがサンプラーのパッドを叩くと、そこには芹菜の各種ボイスがアサインされている模様。しかも飲食店のメニュー的なバインダーまで置かれているとなれば、この後の曲はひとつしかない。そう、「The wheel to the Night ~インド人が夢に!?~」だ。しかも基本のリズムトラックに合わせて、M・A・Oと新田がプロ顔負けの手つきでサンプラーを叩き、リアルタイムで芹菜のボイストラックを重ねていくというほぼ生演奏状態。さらに新田は芹菜のセリフ部分でサンプラーの音声以上に夢見心地なボイスを発し、ドープな雰囲気を演出。このあたりで既に「もしかして今日かなりヤバいライブに来てしまったのでは……?」という予感が確信へと変わり始めていた。

次のパートへのブリッジとなるドラマ映像は、小仏凪と天王洲なずなの“師弟”コンビ。ライブに向けて歌いながら掌に「人」の字を書いて飲み続けるなずなと、彼女の「人を飲んできたの」という発言に「え、本当に?」と反応するちゃんなぎの感違いコントで一笑い持って行く様はさすが師弟。

そんなパートの先陣を切ったのは、なずな役・山本彩乃。「フォルテシモBELL」と「Tic Tac DREAMIN’」を立て続けに歌い、一瞬で場内を和やかな空気に変えてしまった。にこにこと笑顔で楽しそうに歌う彼女の姿に、なずなが完全にオーバーラップしていたことは言うまでもない。入れ替わりに登場した凪役・佐倉薫も、ソロ曲を連続で披露。「私の中の幻想的世界観及びその顕現を想起させたある現実での出来事に関する一考察」、「TRUST」ともに凪の人物像が反映された朴訥とした歌い方でありつつ、確かな芯を感じさせるボーカルがオケの中心に存在し続ける様は、まさしく凪というキャラクターを完璧に捉えた歌表現だと感じられた。

ソロパートを終えた佐倉が水を飲もうとすると、ソデから赤い敷物が敷かれた台に乗って山本が登場。しかも座布団に正座し、羽織りを着ている。そうこうしている間に、佐倉もお揃いの羽織を身に着けて登場した。ふたりは客席に「今日はどちらからいらしたんですか?」と問いかける。普通のライブなら自分の住所を叫ぶところだが、この格好のコンビの前では決まった答えがある。会場一同による「品川!」という掛け声で始まったのは、「ここで一席!Oshama Scramble!」。この曲を一言で形容するなら「落語ネオ渋谷系」だろうか。ポエトリーリーディング的なフロウで展開していくダンスナンバーだが、ふたりが座布団の上に正座して歌う姿がなんとも斬新すぎる。少なくとも筆者のライブ観覧歴では初めて目にする光景だった。

ここまでの4人のパート経て、次に登場する人物はおそらく会場の全員が予想していただろう。しかし予想と同時に期待感も肌で感じられるくらい高まっているのが、御形アリシアナというキャラクターがいかに愛されているかの証左ではないだろうか。そんな期待感の中、ステージの中央を突っ切って登場したアリシアナ(あーりん)役・福原綾香は、期待を軽く上回るステージングを見せてくれた。2連続で歌った「brilliant better」と「Bang Babang Bang!!!」は、さっきまでとは打って変わったゴリゴリのメタルサウンド。客席で聴いていても、明らかに身体に叩き付けられる音圧が強い。そんなオケに一歩も劣らない歌声で、しかも複雑な譜割りの曲をサラリと歌ってのける福原のパフォーマンスは、努力の天才あーりんにピタリと符合する。

福原に山本、新田が合流し、続く「Help me, あーりん!」では演者と客席による鬼のようなコール&レスポンスが展開された。今回のライブで驚かされたのは、演者側はもちろんだが、客席の練度の高さだった。ステージのスクリーンには歌詞やコールのタイミングが音ゲーのノーツよろしく表示されてはいたが、それ以前に曲をちゃんと理解していなければ、コールを入れるのが難しい曲が多いのだ。M・A・Oと佐倉による「なるとなぎのパーフェクトロックンロール教室」でも顕著だったが、コールのタイミングも声の揃いっぷりも、「ほんとにこれが初ワンマンなの?」と呆気に取られるほどの統率されっぷりで、あの場にいた全員がイロドリミドリというコンテンツを深く愛していることが感じられた。

5人のメンバーが登場し、一通りのソロ曲が披露されたということは、次のパートが月鈴姉妹によるものであろうことは、ある程度予測ができていた。それでもドラマ映像にふたりが登場した瞬間、客席からは大きな歓声が上がった。おそらくみんな待っていたのだ。大きなステージで、彼女たちがイロドリミドリのメンバーとしてパフォーマンスする光景を。先陣を切ったのはやはり姉、那知役・今村彩夏。ソロ曲「猛進ソリストライフ!」は本連載で本人も語っていた通り、変拍子が多発する難曲である。しかし彼女は生歌で、多くのファンを前にして、この曲を完璧に歌っていた。これには心の底から感嘆してしまった。客席の空気も「マジかよ……」的な感じになっていたのも頷ける。続く白奈役・高野麻里佳も、白奈の激しい内面を伺わせる「My Dearest Song」をパワフルに歌い切り、姉に負けない存在感でステージの雰囲気を引っ張っていく。

ふたりはMCでも、開口一番に姉の曲のリズムを心配する高野と、会場入りから「My Dearest Song」を口ずさんでいたという今村という、見事な姉妹コンビっぷりを発揮し、デュエット曲となる「夢と夢~あの日のメロディ~」では息の合った輪唱を美しく響かせる。しかし今村がおもむろに栄養ドリンクの瓶を取り出し、客席が「あっ……」と思ったのも束の間。彼女がドリンクを飲みほした瞬間、連載第3回でも触れられていた問題曲「あねぺったん」が始まってしまった。超絶な早口と高密度のコール&レスポンスによって成り立つこの曲は、それまでのしっとりとした空気を一瞬でお祭り騒ぎに変貌させ、嵐のようなグルーヴを巻き起こしていく。もちろん、曲のラストでは“最高に汚いあの声(注:本人談)”とともに今村が走り去っていったことはここに記しておきたい。

ここまでで、ようやく7人全員が舞台に立った、と言えばそれだけだが、裏を返せばこれほどのステージングが展開されながら、まだ一度もメンバーが勢揃いしていないのだ。どれだけ選手層が厚いんだこのチーム、とでも言いたくなる。ここからは待望の集合曲パートとなり、まずは衣装もそれまでの制服から学園MVP編のステージ衣装へとチェンジした初期メンバー5人による「Change Our MIRAI!」、「ドキドキDREAM!!!」が披露された。ソロやユニットのパートももちろん魅力的だったが、マイクスタンドを前に、メンバーがフォーメーションを組んで並び立った時の、あの背筋がゾワっとする感覚は未だに残っている。“もう僕らは一人一人じゃない”という歌詞を体現するかのように、5人は安心感すら覚えるほどの勇壮さで客席の視線を釘付けにし、そうかと思えば、「無敵We are One!!」ではシンプルなコール&レスポンスによって、ステージと客席で曲を共有する楽しさを振り撒き、ライブに参加する醍醐味を再確認させてくれた。

そして月鈴姉妹の高野、今村が呼び込まれ、舞台上に7人のイロドリミドリが集結した。ここでそれぞれが今回のライブに臨んでみてのコメントを述べていったが、印象的だったのは、7人全員が既に“次のライブをやるなら”というアイデアを持っていたこと。しかも“次は登場から全員で”という意見が一致していたことだろう。この部活感というかチーム的一体感こそが、イロドリミドリが単なる音楽ゲームコンテンツという枠にとどまらず支持される所以なのではないか、と感じた。

最後の曲として披露されたのは、他でもない7人全員による集合曲「Still」。これはスクリーンにも映し出された、圧巻のMVの感動そのままのステージングだった。間奏での那知とあーりんによるソロ合戦を、今村と福原が振り付けで再現して見せると、客席から大きな歓声が沸く。よくバンドのライブを観に行くと、「あの曲のソロを生で聴けた!」という感動を味わうことがあるが、それに限りなく近いものを今回体験できたのは正直意外だった。なぜならこの瞬間に至るまでは、MVがアニメ映像で、ライブはキャラを演じる声優がステージに立つという、所謂“次元の壁”によって、一見すると双方の繋がりがそこまで濃くはない関係に思えていたからだ。しかしステージ上でのソロの瞬間には確かに、「生で見られた!」という感動があった。これはMVとかライブとか、そういう隔たりを超えて、観る者がイロドリミドリというコンテンツをトータルで“一個のもの”として捉えられた証左ではないかと感じた。キャラも声優も曲も全部含めて、我々は一個の『イロドリミドリ』を愛しているのではないだろうか。

そうして曲が終わり、7人はお礼とともに退場していくが、客席からは即座にアンコールの歓声が投げかけられる。それも当然だ、まだ聴きたい曲がある。それを聴かずに帰れるか、とでも言わんばかりに、アンコールは鳴りやまない。ほどなくして舞台には、それぞれが直筆で名前を記入した専用ライブTシャツ姿の5人が再登場。「GO!GO!ラブリズム♥~あーりん書類審査通過記念Ver.~」が披露される。全編コールまみれと言ってもいいこの曲でも、一糸乱れず追従する客席の練度に舌を巻きつつ、ラストサビ前のアンコール部分で今村・高野コンビが入ってきた瞬間には、またしても鳥肌が立ってしまった。歌、セリフ、映像、コールが全て噛み合った、会場の全員による結束の賜物ともいえるこの曲の快感は、歌い終わった福原の「最高……!」という一言に集約されていたと思う。

初のワンマンライブであり、新展開の序章でもある今日の最後を締めくくる曲は、やはり先日発表になったばかりの「Session High⤴」しかない。7人ボーカルという音の厚みをフルに活かしたボーカルワークや、ポップなメロディーといった楽曲としてのポテンシャルはもちろんだが、ラストのサビでの(la la la…)の大合唱が生み出す圧倒的パーティー感は、ライブで聴くことでより増幅されていたし、オーラスを飾るに相応しい多幸感をもたらしてくれていた。最初から最後まで、バラエティ豊かな楽曲と、それぞれ個性的な演者のパフォーマンスが展開される様を観て思ったのは、「これはもはや、ワンマンライブというよりフェスだ」という感想だった。7人でのバンドユニットという太い基礎構造があったうえで、個々のキャストがこれだけ幅広いステージングを魅せてくれるコンテンツはそう多くはない。

今回のライブの模様は、2018年2月にMUSIC ON! TVでダイジェスト放映されることが早くも決定している。さらに2018年2月11日には幕張メッセで開催される「ジャパンアミューズメントエキスポ2018」にて、イロドリミドリのライブイベントが行われることが明らかになった。また、イロドリミドリ1stライブ LIVE’17 ~第1話「Still Going On!!!!!!!」~の模様が、なんと『CHUNITHM』グッズプレゼントキャンペーンにてBlu-ray化が決定とのことで、こちらも続報が待ち遠しい。

いきなりこんな凄いワンマンを現実のものにした「イロドリミドリ」が、今後に控えているという新展開を踏まえて、次にどんなステージを魅せてくれるのか、俄然楽しみにしながら物語の続きを待つことにしたいと思う。

Text By 市川太一(クリエンタ/学園祭学園)

イロドリミドリLIVE’17 第1話「Still Going On!!!!!!!」
2017.11.5@東京・マイナビBLITZ赤坂
【SET LIST】
M01:ハート・ビート!
M02:DETARAME ROCK&ROLL THEORY
M03:SPICY SWINGY STYLE
M04:猫祭り
M05:The wheel to the Night ~インド人が夢に!?~
M06:フォルテシモBELL
M07:Tic Tac DREAMIN’
M08:私の中の幻想的世界観及びその顕現を想起させたある現実での出来事に関する一考察
M09:TRUST
M10:ここで一席!Oshama Scramble!
M11:brilliant better
M12:Bang babang bang!!
M13:Help me, あーりん!
M14:なるとなぎのパーフェクトロックンロール教室
M15:猛進ソリストライフ
M16:My Dearest Song
M17:夢と夢~あの日のメロディ~
M18:あねぺったん
M19:Change Our MIRAI!
M20:ドキドキDREAM!!!
M21:無敵We are One!!
M22:Still
-Encore-
EC01:GO!GO!ラブリズム♥~あーりん書類審査通過記念Ver.~
EC02:Session High⤴

(C)SEGA
(C)声優パラダイスR/秋田書店

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「イロドリミドリ」公式サイト

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