アニソン界のスーパーユニット・JAM Projectの全国ツアー“JAM Project JAPAN TOUR 2017~2018 TOKYO DIVE”が2017年11月2日に神奈川・川崎市スポーツ・文化総合センターでの公演からスタート。ニューアルバム『TOKYO DIVE』を引っ提げて行われる今回のツアーは、2018年2月17日の東京・日本武道館公演まで全国11ヶ所を回る予定となっている。今回の記事では初日から熱く燃え上がった神奈川公演の模様をお届けする。
影山ヒロノブ、遠藤正明、きただにひろし、奥井雅美、福山芳樹――5人のメンバーがステージに姿を現すと、この時を待っていた観客からものすごい歓声があがる。アルバムのリード曲であり、今回のツアーの冠にもなっている「TOKYO DIVE」を歌うと、会場は赤いサイリウムの光に満ちた。しかも電飾を使ったド派手な演出が披露されるとさらに歓声のレベルが上がる。序盤からクライマックスでもおかしくないような熱量の高さだ。
「会いたかったぜ、川崎!」と遠藤正明が挨拶。すると、メンバーは先ほどの電飾の感想を語り、「ラブライブには負けてられない(笑)」と笑いを取る。また、先ごろ体調不良により入院をしていたきただにひろしが、「みなさんのおかげで無事、ミュージックビデオもライブもできるようになりました。本当にありがとうございます」と感謝の気持ちを述べると、会場からは温かい拍手が起きていた。
今回の会場となった川崎市スポーツ・文化総合センター“カルッツかわさき”は、2017年10月1日にオープンしたばかりの新しい施設。平日にも関わらず、大勢のファンが足を運んでいた。影山ヒロノブは10代の頃(1970年代)にこのホールのすぐ近くにある川崎市教育文化会館でライブを行ったことがあり、川崎は思い出の地とのこと。さすが大ベテラン。ファイナルの武道館へ向けてここからさらに多くのファンを呼び込みたいということで、「俺たちのファイナルに向けてのロードに協力してください!」と観客に呼びかけていた。
このカルッツかわさきのホールは観客との距離が非常に近く、最前列の観客とステージの間は1メートル程の距離。JAM Projectのメンバーはそんなステージのギリギリのところまで行って思い思いのポーズを決める。すると、前方の観客がこの瞬間を逃すまいとスマホを構える姿が見受けられた。
そう、今回のJAM Projectのツアーでは、“スマホでの撮影OK”というルールがあるのだ。ただし、アコースティックコーナー・アンコール・MCの間は撮影不可などの条件がある(くわしいルールは公式サイトを参照のこと。また現地でのアナウンスやスタッフの指示に従ってください)。ライブでの思い出を記録としてずっと残しておけるというのはうれしいものだ。とはいえ、ライブそっちのけで撮影しているような観客はおらず、ライブでのノリを最優先しつつも大事な場面を記録に残しておくという感じだった。こうした観客のマナーの良さに支えられているからこその撮影解禁なのだということがよくわかる。
その後、新たな試みとして“メモリアルコーナー”というコーナーが設けられた。このコーナーは古めの楽曲を通常とは違った趣きで披露するというのが趣旨のようだ。まだツアー中でネタバレになる可能性があるので曲名は伏せるが、奥井はソロで自ら作詞作曲した曲を歌唱。遠藤・きただにのコンビは懐かしの曲を。そして最後は影山・福山のコンビがギターを手にじっくりと聴かせた。本人たちも古めの曲で歓声が沸くと高まるという話をしていたが、ファンとしても新曲ばかりでなくなじみのある曲をライブでしか聴けないバージョンで歌ってくれるのはうれしいものである。
また2曲ほど会場のテンションが高まる曲があって、続いては恒例のアコースティックコーナー。いつも熱いJAM Projectのファンも、このゾーンでは座って落ち着いたムードで聴くことになる。メンバー全員が楽器を手に歌った1曲目はアルバム『TOKYO DIVE』の曲で、会場からは手拍子が起きていた。次は以前のアルバムの曲から。「感謝の気持ちを込めて俺たちの最高のプレイを」と影山が言うと、メンバーがそれぞれソロプレイを披露した。福山は「TOKYO DIVE!」と叫ぶと観客も「TOKYO DIVE!」と返すコール&レスポンスを行ったのだが、「川崎大師!」「鎌倉大仏!」とだんだんご当地ネタ(?)のコールへと変化していき、観客は爆笑。かなりお遊びも入った「最高の個人技」ではあったが(笑)、メンバーそれぞれが観客を楽しませる芸を持っているのはさすがだと感じられた。
その後にきただにから発表があり、今回のライブでも披露した曲「勝利の未来‐とき‐」が来春公開予定の映画『HE-LOW』の主題歌に採用されたことが明かされた。この映画はクラウドファンディングによって制作される特撮映画で、数々の特撮作品に出演している俳優・高野八誠が自ら監督となって作られるという作品である。
終盤はノンストップで熱い曲が続き、20曲目を超えても観客のテンションは上がる一方。タオルを回す曲があったり、振りをマネしてかっこよくポーズを決める曲があったりと、観客も曲に参加しているような雰囲気で盛り立てていた。そしてライブ本編最後は「さあ、みんな拳を上げろー!」と、拳を突き上げながら雄たけびをあげて大合唱となった。
だが、こんなものではまだ収まらないとばかりに、観客はアンコールを求める。JAM Projectのライブのアンコールは、「Motto! Motto!」というコールが会場のあちこちから発生するのが特徴。それはリズムの整ったアンコールではなく、観客が「Motto!」という気持ちを思い思いにぶつける雄たけびである。
その声に応えてメンバーが再登場。曲の後、奥井は「お客様がすごくよくてやりやすかった」と感想を述べ、影山は「JAM Projectを前に進めていくことが自分の使命なんだと、改めて今日思いました。武道館までもっともっとクオリティを上げていけるようにがんばりたいと思います。今日は本当にありがとうございました。みんな最高です!」と感謝の気持ちを伝えた。そして最後は『スパロボ』メドレーを熱唱し、まさに完全燃焼でツアーの初日を終えたのだった。
「VICTORY」や「SKILL」などのライブに欠かせない曲も堪能でき、メンバーみんなが音楽を楽しんでいる様子が伝わってくるライブとなった。MCでは「歌詞間違えちゃったよー」などと和気あいあいと語り合うのも素敵なところ。「きっと武道館では完璧になってるから(笑)」と冗談交じりに言っていたが、彼らほどのアーティストでもツアーを続けていく中で観客との息も合っていくものなのだろう。果たして武道館ではどんなライブになっているのだろうか、今から楽しみである。
Text By 金子光晴
●ライブ情報
“JAM Project JAPAN TOUR 2017~2018 TOKYO DIVE”
2017年11月23日(木・祝)OPEN 17:00/START 18:00 宮城・トークネットホール仙台(仙台市民会館)
2017年11月25日(土)OPEN 17:00/START 18:00 北海道・Zepp Sapporo
2018年1月6日(土)OPEN 17:00/START 18:00 大阪・岸和田市立浪切ホール
2018年1月13日(土)OPEN 17:00/START 18:00 埼玉・クレアこうのす
2018年1月14日(日) OPEN 17:00/START 18:00 静岡・三島市民文化会館
2018年1月21日(日)OPEN 17:00/START 18:00 福岡・福岡国際会議場
2018年2月3日(土)OPEN 17:00/START 18:00 沖縄・ミュージックタウン音市場
2018年2月11日(日)OPEN 17:00/START 18:00 愛知・愛知県芸術劇場 大ホール
【チケット料金】※3歳以上有料
[神奈川・大阪・宮城・埼玉・静岡・福岡・愛知公演] 全席指定 7,020円(税込) [北海道・沖縄公演] 全自由 7,020円(税込) ※整理番号順入場 ※ドリンク代別途必要
ツアーファイナル・日本武道館公演
2018年2月17日(土)
会場:日本武道館
OPEN 16:00 START 17:00
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