REPORT
2017.11.02
アーティストMay’nの28歳の誕生日を記念したライブ“May’n 28th Birthday Special LIVE “PEACE of SMILE””が2017年10月21日、東京・豊洲PITで行われた。最新のアルバムから数多くの楽曲を披露しただけでなく、「大好きなものを詰め込んだ」という笑顔にあふれたライブとなった。アンコールではWake Up, Girls!のメンバーもサプライズゲストで登場。Wake Up, May’n!として歌も披露した。
「28歳、スタート!」という第一声で始まったこのライブ。ライブが行われた10月21日はMay’nの誕生日当日であり、超大型の台風21号が接近していたにも関わらず大勢のファン(May’nの愛称が“部長”であることから、ファンは“部員”と呼ばれる)が会場に足を運んで祝福した。
特別な日のライブ、1曲目に選ばれたのは本人がどうしてもこの曲から28歳を始めたかったという「May’n☆Space」。May’nの名前が入ったコールもある曲で、オールスタンディングの会場は最初からすごい熱気に包まれていた。ちなみに、前夜にAbemaTVでライブ映像が放送されたのだが、ちょうど0時になった時にこの「May’n☆Space」が流れたそうで、まさに彼女の28歳が始まる瞬間をこの曲と共に迎えることになったという。2曲目は「笑顔いっぱいの1日になるように」という思いを込めて「Smile:D」。女性ダンサー2人とのダンスも見応えがある。そして3曲目は「DOLCE」で観客がタオルを回して応援する曲だ。
「28歳、May’nです!」と挨拶すると、観客からは「おめでとう!」と祝福の声が上がった。今回の会場は3000人以上収容の大きなライブハウスだが、一番後ろでもよく見えるようにお立ち台をたくさん作ってもらったと語っていた。
そんな配慮は演出にも表れていて、4曲目「Brain Diver」では火薬と炎を使った派手な演出で会場全体が熱くなる。ライブハウスとは思えない迫力があった。5曲目「Banggin’ Your Head」では男性ダンサー2人との激しいダンスで、表現力の高さを見せつける。
前奏が流れただけで大きな歓声が上がったのは7曲目「ユニバーサル・バニー」。これはシェリル・ノーム starring May’nとしてリリースされた劇場版アニメ『マクロスF 虚空歌姫~イツワリノウタヒメ~』の楽曲で、序盤から熱い曲が連打される構成になっていた。
続いては約4年ぶりにリリースされたアルバム『PEACE of SMILE』の初回限定盤同梱のマキシCDから、「今の私」を歌詞に書いてもらったという「終わらない夢」。そして、結婚式を意識して作ってもらったという「重ねたその手のように」は、幸福感に満ちていながらもちょっと胸がキュンとなるような歌声を聴かせる。「結婚式でMay’nちゃんの曲を歌いたいけど、幸せな恋の歌がありません」とファンに言われて作った曲だと語り、会場からは笑いが起きていた。
一時期、喉の療養で休業していた彼女は2015年の武道館での10周年記念コンサートでライブ活動を再開。その休業期間中、「May’nの声が大好きだよ」というファンの声に支えられて、今も音楽活動ができていると語り、そんな休業中の思いも込めた曲として「君との今日、わたしの声」を歌い上げた。さらに続いて自らギターを弾きながら「ダイアモンド クレバス」を披露。この曲も彼女の原点ともいえる『マクロスF』の楽曲だ。
「恋しさと せつ切なさと 心強さと」は 『ストリートファイター』30周年日本版テーマソングとして歌われたもので、原曲は1994年に篠原涼子が歌っていたおなじみのナンバー。もちろんダンスと相性バッチリのサウンドで、会場は一挙にヒートアップする。そこへ「キミニシタモウコトナカレ」、「本当の声をあなたに預けたくて」 (TVアニメ『アクエリオンロゴス』EDテーマのソロバージョン。原曲はMay’n featuring 千菅春香)と激しい曲が続き、「運命の太陽」でさらに激しさを増していく。休む間もない熱い展開。
「Belief」は男女ダンサー4人と共に踊り、炎もガンガン上がる演出で魅了する。そして、圧巻だったのが「夜明けのロゴス」。ダンサーの踊りと相まって、May’nのアーティストとしてのスケールの大きさを感じさせる楽曲だった。
最後のMCで、彼女は小さい頃から「いい子と思われたい」と思い、アーティストとなってからも「かっこよく見られたい」と思ってきたが、10周年の時期(2015年)に自分が変わった、みんなが変えてくれたと語った。今回のアルバムは「そのままの部長が好きだよと言ってくれる仲間がいるということを誇りに思って、嘘ひとつないアルバムを作れたという自信があります」「今回のアルバムは早く聴いてほしいという自信しかありませんでした。部長として最高の“ライ部”(※May’nライブのこと)の音楽を作ってやったぜ、だから早く聴いてよというその思いしかありませんでした」と、今まで以上にありのままの自分を表現できたという。その積もる思いがやっと解放されたのが、久しぶりに行われた今回の“ライ部”だったのだ。
最後は「自由に身体を動かして」と呼びかけ、「Shine A Light」で本編のステージを終えた。
アンコールを求めるファンの「部長」コールに応え、May’nは白い衣装で再登場。これはWake Up, Girls!(WUG)とのコラボで生まれた曲「One In A Billion」の衣装であり、まず彼女がアカペラでこの曲を歌い始めた。すると、ステージ向かって左手から声優の吉岡茉祐が、右手から青山吉能が登場! 引き継いでアカペラで歌い出す。さらにWUGの他のメンバーも登場して、コラボユニットWake Up, May’n!が勢ぞろい。8人で「One In A Billion」を披露した。
もともとMay’nはWUGと共演したことから彼女たちの大ファンとなり、お互いに熱望する形でレーベルの壁を越えてWake Up, May’n!のユニットを組むことになったという経緯がある。以前、May’nはWUGのライブにサプライズ登場したことがあったが、そのお返しとしてバースデーライブにWUGが駆けつけたわけだ。
そういった経緯があるだけにMay’nもこのライブでのコラボに大変な喜びようだった。WUGのメンバーも、「捕まえようOne In A Billion」という歌詞のところで吉岡茉祐がMay’nに抱きついたり、去り際に青山吉能が「大好き!」と言ったりと、May’nへの愛を表現していた。
もちろん会場のファンもWUGが登場した瞬間からものすごい大歓声。ファンにとっても最高のプレゼントとなったことだろう。
そして衣装チェンジをして“アイドルMay’n”から再び“アーティストMay’n”へと戻ると、今度はうれしい発表が。2018年4~5月にホールツアーが決定! 東京・宮城・福岡・愛知・大阪と巡るツアーで、詳細は今後発表されるとのこと。また、来に新曲が出るかも……という情報をフライング気味に(?)発表した。
アンコール最後の曲は原点に戻る“はじまりの曲”ということで、「射手座☆午後九時 Don’t be late」。言うまでもなく、「もってけ~」のフレーズで有名なMay’nとしてのはじまりの曲だ。
だが、もちろんライブはここでは終わらなかった。歌うはずの1曲――このライブのタイトルにもなっている「バースデイー! ~PEACE of SMILE」がまだ残っているのだ。観客からの「もう1回」コールに応えて再登場すると、バンドメンバーも誕生日パーティにふさわしいパーティ感のある衣装で登場。「バースデイ!~PEACE of SMILE」を歌う前に、観客に振り付け講座を行った。
この振り付けが頭にタオルを乗せたりするという面白いもので、彼女によれば「思いっきりバカになれる曲」とのこと。その言葉通り、みんなで大いに盛り上がってライブを締めくくった。
ステージが終わると、May’nは観客全員と目を合わせるように長い時間かけて「ありがと~!ありがと~!」と連呼しながら挨拶を行った。そんな彼女と目が合ったお客さんは、前から順番にしゃがんでいって後ろのお客さんが見えるようにしていた。ファンの優しさも垣間見えて、温かい雰囲気でライブは終演を迎えたのだった。
Text By 金子光晴
「May’n 28th Birthday Special LIVE “PEACE of SMILE”」
10月21日(土)豊洲PIT
<セットリスト>
M-1 May’n☆Space
M-2 Smile:D
M-3 DOLCE
M-4 Brain Diver
M-5 Banggin’ Your Head
M-6 ゴ~~ジャス
M-7 ユニバーサル・バニー
M-8 終わらない夢
M-9 重ねたその手のように
M-10 君との今日、わたしの声
M-11 ダイアモンド クレバス
M-12 恋しさと せつ切なさと 心強さと
M-13 キミシニタモウコトナカレ
M-14 本当の声をあなたに預けたくて
M-15 運命の太陽
M-16 AMICITIA
M-17 Belief
M-18 夜明けのロゴス
M-19 Shine A Light
ENCORE
M-20 One In A Billion(Wake Up,May’n!)
M-21 射手座☆午後九時 Don’t be late
W ENCORE
M-22 バースデイー! ~PEACE of SMILE
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