9月24日、EX THEATER ROPPONGIにて“大橋彩香 バースデーイベント ~はっしーバースデー2017~”が開催。9月13日に23歳の誕生日を迎えた大橋を祝うこの日のイベントは、トークをメインとしながらも終盤のカバーコーナーで見せた高いパフォーマンス力で、その場でファンへとお返しをしてくれたようだった。
リビングをイメージしたセットが組まれたステージに、まずは司会の栗林さみが登場。“年下上の事務所の先後輩”にあたる彼女が、今年のバースデーイベントの進行を務める。
その栗林の音頭に合わせて、「はっしー!」とのコールに呼ばれて大橋がステージに笑顔で登場。「今日は、私のおうちに遊びに来てくださったイメージで」という設定のもと、トークへと移る。
まず最初に行われたイベントグッズ紹介では、“はっしーくじ”の大当たりの内容が大橋が某雑貨店で買ってきたものにサインを入れたものであることが明かされ、その一覧がスクリーンに映し出される。そのなかには、かっこいい帽子のデザインのピザの部分にわざわざ“ピザ”と書いて面白さに寄せたアレンジがされていたり、おちゃめさののぞく部分も見られた。
ひとしきり紹介が済んだところで、ふたりともリビング内のソファに着席。まずは恒例、この1年間を振り返る“大橋彩香 22歳振り返りトーク”がスタートする。
メインスクリーンにスクロール形式で表示されていく年表だけで、すべてを振り返るのに2分もかかるという充実の1年を過ごした大橋。それを受けて、まずは「去年もわっと飛ばさせていただいたんですが、今年ももっと、どこまでも飛んでいきたいです」と今後への決意表明を行う。
それから具体的に様々な項目をピックアップして深く振り返っていくのだが、この1年もあらたな挑戦が数々存在。まずは生放送で渡辺直美の持ちネタに沿う形で、ビヨンセの「Crazy in Love」のドラムパートを演奏した『NAOMIの部屋』について。その公開収録について、ライブと音楽番組との違いを「カメラの台数もすごく多いし、目の前をカメラが急に横切ったり、ライブとは違った形の“見られる”感じがありました」と振り返る。
また、初の全国ツアーとなった“OVERSTEP!!”については、開始前は「平日は声優の仕事をして、土日にライブって大変かな?」と思っていたものの、たくさんの人の支えもあって楽しめたうえに「同じセットリストでも会場によって雰囲気もMCも変わってくるし、その場所ごとの雰囲気を楽しめるっていうのはツアーの醍醐味だったのかなって思いました」と振り返っていた。
そして数々のイベントやフェスに出演したこの夏のなかで、もっとも大きな出来事といえば武道館のステージにPoppin’Partyのメンバーとして立ったこと。「まさか武道館のステージでドラムを叩けるなんて! 私、声優ですよ! すごいですよね!」と改めて感無量の様子で、「360°の景色はすごかったし、メンバーとの絆もさらにぐっと深まりました」と回顧していた。
こうして22歳の1年間を振り返った大橋は、23歳の抱負を「犬になりたい」と掲げる。これだけ聞くと突飛ではあるが、続けてその理由を「私は動物に例えると、ひとりを好む猫みたいなコミュ力のないところがあるので、もっと人の温かい気持ちにたくさん触れる機会を増やしたい。そこから生まれた感情が絶対芝居にも生きてくる」と述べ、補完していた。
続いてのコーナーは“はっしークエスチョン2017”。大橋と仲のいい方々からのお祝いコメントともに出題されるクイズに挑戦し、3問中2問正解でご褒美を獲得できるコーナーだ。
まずひとり目のコメントは、日高里菜から。ちょくちょくごはんに行って仕事の話や互いの悩みを相談し合う仲だという彼女からは、「私が大橋ちゃんと仕事をご一緒したとき、驚いたことはなんでしょう?」との出題。うっかりシンキングタイム中に発した言葉を回答とされかけるなど紆余曲折ありつつも、「素の大橋ちゃんと声優の大橋ちゃんとの違い」を正解した。ちなみに大橋からは「里菜ちゃんは、自分から誘える人です」と“犬になれる”相手であることを明かしていた。
2問目は、fhánaのボーカル・towanaから。「私が大橋さんに抱いた第一印象は何でしょう?」という難問に、「ふにゃふにゃしてんなぁ」と回答するもこれは不正解。正解は「意外と背が高い」。ちなみに正解発表時に、呼び方を「はっしー」に変えられたらと語ったtowanaから、実際にコメントのラスト最後に「はっしー」と呼びかけられ、大橋も不正解ながらも喜びの表情を見せる。
さて、運命の3問目では、芹澤優からのコメントが登場。実はホリプロタレントスカウトキャラバンの映像も観ていたとカミングアウトした彼女からは、「私の思う、へごちん(大橋)彩香のかわいいところは?」。悩んだ大橋、観客に問いかけるも様々な答えが飛び交い、結果出した答えは「ぜーんぶ」。しかし無慈悲にも鳴り響く、×のブザー。正解は「まずは爪がいつもきれいなところ、あと笑うと目が『へへっ』ってなるところ、あと髪の毛が結構サラサラなところ、あと……」と多数の項目の羅列。その答えを受けて「女子に爪とか髪を褒められると、リアリティがある」と喜ぶ一方、ファンを味方につけて栗林に正解にするよう要求する“年下の姐さん”。結果判定は○にひっくり返り、プレゼントの贈呈が決定した。すると、ふたりがかりで大きなプレゼントボックスが運ばれ、「自動で開くので離れてください」との言葉に、大橋はセット裏に身を潜めてそのオープンを待つ。
そしてドラムロールが鳴り終わると、そこから飛び出したのは高橋李依! ちょうどこの日最終回を迎えた『ナイツ&マジック』で共演中の彼女が、ペペロンチーノTシャツを着用して登場した。しかもこれは、高橋の志願によるもの。「だいぶ前からスケジュール押さえてもらったの!」と興奮気味に語っていた。
するとスクリーンには、アディ&エルのバースデーケーキが映し出される。そしてステージ裏のカーテンが開くと、階段上にそのケーキが。ふたりでそこへ移動したところで、会場全体で「Happy Birthday」の大合唱。ローソクを吹き消し、一連のサプライズは大成功に終わったのだった。
さて、ここからは高橋も交えて“はっしーへのおたより”コーナーがスタート。事前に大橋の公式サイトで募集したおたよりに、時間の許す限り答えていく。まず「23歳の大橋彩香に期待することはなんですか?」との質問には「大人のセクシーさ」「さらなる大人の魅力UP」との答えが登場。高橋からの「和装とか似合いそうじゃないですか?」との提案にファンから称賛の声が上がり、大橋も乗り気。だが続けて「お茶とか立てたら大人っぽくない?」との高橋の言葉に、「茶道の授業が学校であったんだけど、『大橋の立てたお茶はおいしくない』って先生に言われた」と、まさかの思い出を語っていた。
続いて「23歳の大橋彩香に質問したいことは何ですか?」との問いに対して寄せられた「どのような声優を目指したい?」との質問に、「声優さんって今はいろんなことを求められている時代だから、いろんなことができるようになりたいなとは思うけど、この先声優業界がどうなっていくのかはわからないので、いちばん声優として大切なことが備わっている声優になりたい」と真面目に回答。具体的に「ナレーションや吹き替えもできるようになれたら」と例を挙げ、今後の自身のキャリアについて真剣に答えていた。
そして高橋も交えて楽しんだのが、次の質問「現在、特技を探し中の大橋彩香に向いている特技は何だと思いますか?」への回答。ステージに登場したけん玉・縄跳び・フラフープに、それぞれ挑戦してみることに。なかでも最初に挑戦したけん玉では好成績を連発、なんと大皿に一発成功し、中皿も3回目で成功。喝采を浴びた大橋は「特技にしてもよさそう?」と問いかけると、ファンから大きな拍手を改めて受けていた。その一方で、Poppin’Partyのライブであまり上手にできないピック投げに挑戦した際には、自らのバンドメンバーからのアドバイスを受け序盤は遠目に飛び「いつもより……飛んだ……!」と感激していたものの、大橋の中に定着せず徐々に元に戻っていってしまい、「これは、特技にはできない!」と総括していた。
そしてこのコーナーでもっとも印象的だったのが、最後に披露したタップダンス。実は小4の1年間だけタップダンスの経験がある大橋。板と、サイズぴったりのタップシューズがステージに登場する。偶然にも実際のレッスンで踊っていた「雨に唄えば」をバックに、不味方の感覚を取り戻していく大橋。渡されたパラソルを手に、マイクを置いて本気モードで見事踊りきる。すると「できないんですけど、これからできるようになりたいということで、うっすら習ってた難しいものを観ていただきたいです」と自ら難しいステップへ挑戦。ところどころ「わー!」と声を上げながらも、華麗にステップを踏んでいった。このステージでさらに自信がついたのか、「今はこんな感じですけど、自分のワンマンでちゃんとしたタップダンスをお見せできる日が来たら」と、さらなる意欲も語ってコーナーを締めくくってくれた。
そしてイベントもいよいよ大詰め。大橋が事前にピックアップした20曲の中から、Web投票でベスト3に輝いた楽曲をその場でカバーする“はっしーカバーリクエスト2017”のコーナーとなり、大橋が再びステージに登場。彼女もその場で結果を知ることもあってか「こんなに緊張するカラオケ初めて!」とこぼしていたが、自らのヒトカラの設定のこだわりを語りつつ、第3位の曲を入曲。まず最初に彼女が歌ったのはオーイシマサヨシの「君じゃなきゃダメみたい」だ。大橋の持ち味であるキュートながらも伸びやかさもある歌声でこの楽曲を彩り、笑顔で歌い魅せていく。ボーカルワークの巧みさを感じられるのと同時に、その姿からは彼女の今のパフォーマンス能力の高さも感じることができた。
続けて2位の楽曲が大橋に伝えられると「これ、ひとりで歌えるかな?」と少々不安そうな言葉が。それもそのはず、流れ出したのは「ワルキューレがとまらない」。たしかに主線を歌うメンバーが次々入れ替わることで歌い切られるこの曲では、不安に思うのは当然のことだろう。しかしどうだろうか、大橋は歌い出すやいなや芯のある歌声を響かせ、堂々とステージに立っている。やはりスイッチが切り替わったときの大橋は、凄い。この曲は間違いなくひとりで歌うものではないはずなのだが、最後まで力強く歌いきっていったその姿に、思わず拍手を送ってしまった。加えてAメロの「Ah…」の一節ではその歌声にセクシーさも漂わせており、偶然ながらもおたよりコーナーに寄せられた期待にも応える形となった。
さすがに曲明けには疲れの見えた大橋。「カラオケで靴を脱いで体育座りで歌っている普段と、立って歌うときとは全然違うなぁ」と語り、パフォーマンスのかっこいいアーティストへの憧れを語り、「今いちばん磨きたいのはパフォーマンス。ダンスがついてない曲をいかにして歌うかを、いろんな人のライブを観てるんです」と、サラッと真面目な話も織り込んでいた。
そして、いよいよ1位曲の発表。曲名を目にすると「よいです」とニヤリと笑い、入曲。流れ出したのは、fhánaの「青空のラプソディ」。またも直前までのコーナーの伏線を回収する展開となった。大橋のパフォーマンスに目を向けると、先ほどまでの完全燃焼感はどこへやら、再び楽しげな表情全開で、高音のメロディを見事に歌いこなす。キー設定こそ「-1」だったが、逆に半音下げるだけで歌えるというのも驚くべきポイントではないだろうか。また、フロアからも曲冒頭の「chu chu yeah!」をはじめ、サビ前などでもコールが大きく響き、パーティーのクライマックスにふさわしいお祭りのような楽しすぎる空間が広がる。間奏で跳ねるフロアのファンの盛り上がりを受けた大橋も、「みんなサイコー!」と言葉を返し、ボルテージ最高潮のまま最後まで駆け抜けていった。
最後に大橋から、イベントを締めくくるメッセージがファンに送られる。
「たくさんの人にお祝いしてもらえて、幸せ者だなって思います。23歳では20代後半への支度を始めて、輝かしいアラサーになりたいです。プライベートもお仕事も、歳を重ねるからこそ出る深みもあると思うので、これから先も皆さんにうれしいお知らせができるように頑張ります!」
そして改めて会場中から「ハッピーバースデー、はっしー!」との祝福の言葉が送られ、イベントは幕。大橋は「24歳になるときも、皆さんぜひよろしくお願いします!」と来年の開催を期待させる言葉とともに、ステージを降りていった。
トーク成分は多かったものの、カバーコーナーの最後に「どの曲が来ても大丈夫なように、20曲をカラオケでずっと歌っていた」と、努力を怠らない姿勢を改めて感じさせてくれた大橋。そのカバー曲での本気の歌唱もさることながら、随所にのぞいた彼女の表現への向上心や将来への展望など、トークメインでゆるさもあったがゆえに本音も多々感じられるイベントになったのではないだろうか。
この日は活動に関する新しい発表はなかったが、彼女は引き続き声優としてシンガーとして上を向き続ける。そんな彼女が今後踏み出していくあらたな一歩に期待しつつ、引き続き彼女が上へ上へと登っていくさまを見守りたい。
Text by 須永兼次
“大橋彩香 バースデーイベント ~はっしーバースデー2017~”
2017.09.24@EX THEATER ROPPONGI
【メニュー】
・オープニング
・コーナー①「大橋彩香 22歳振り返りトーク」
・コーナー②「はっしークエスチョン2017」
・コーナー③「はっしーへのおたより」
・コーナー④「はっしーカバーリクエスト2017」
第3位:君じゃなきゃダメみたい
第2位:ワルキューレがとまらない
第1位:青空のラプソディ
・エンディング
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