INTERVIEW
2017.10.20
妄想キャリブレーションを迎えての連載も、今回でひと区切り。ということで、ラストは第0回以来全員が勢揃い。お互いの記事を読んだうえで、約半年にわたる連載や最新シングル「桜色ダイアリー」のリリース前後を楽しく振り返っていく。そして最後には、自身がこれからアニメとどう関わっていきたいか、それぞれ語ってもらった。
――今回は、これまでの連載を振り返らせていただければと思います。まず、ソロでインタビューを受けての感想からお伺いできますか?
雨宮伊織 自分が自分のことをあまり知らなかったことに、すごく残念な気持ちになりました。
一同 (笑)
雨宮 やっぱり自分のことを話すのって難しいんだなぁって思いましたね。私、昔自分が住んでたところの近くにアニメイトもなかったので、「本当にオタクだったのかな?」って思ってたんです。でも、話してると「たぶんオタクだったんだろうなぁ」っていうことがわかりました。
星野にぁ たしかに。伊織って普段あんまりそういう素振りないもんね。でもパソコンの話はびっくりした。
胡桃沢まひる 自分で組み立てるんでしょ?
雨宮 あ、あれもそうか。好きなことはハマると抜け出せなくなるし、そこまでやらないと気が済まないので、きっとオタク気質ではあるんだろうなと思いましたね。
胡桃沢 でも、話すと「あぁ、自分ってこういうこと考えてるんだ」って整理できるよね。メンバーの記事を読んだんですけど、全員で話すときと違って一人ひとりのことを深く聞けるので、みんなのことをより知れてよかったなって思いました。
――皆さん全員にお話をお伺いすると、時間も限られたりする部分もありますもんね。
胡桃沢 それに、記事を読んで「あ、私もこれ好きだったなぁ」とか思い出せたりしたのも楽しかったです。あと、(リスアニ!WEBのTOPページの)ウィンドウ横のタブにバナーが出てくるのが「連載してる!」って感じがしてうれしかったですね。オタクなら絶対に知ってるバイブル的な存在であるリスアニ!さんのWEBで、連載ができたっていうことにウキウキしました。
桜野羽咲 そうだね。私も自分の回でも話したんですけど、高校生のときにわざわざ図書委員になって「リスアニ!」本誌を取り寄せてまで読みたいくらい大好きな媒体さんで、こうやって連載できたことがまずとってもうれしくて。しかもひとりずつピックアップしていただいたおかげで、どういうふうに今までの人生でアニメと関わってきたのか、どうしてアニソン・シンガーになりたいのか、どうしてアニメ・ソングじゃないとダメなのか? っていうことも深くまで話す機会をいただけて、みんなに知ってもらえたっていうことがすごくうれしかったです。
水城夢子 私、喋るの苦手なのですごく緊張してたんですよ。でも会話みたいに進めていただけたので、めっちゃ穏やかな気持ちでできました。
雨宮 わかる。ただ質問を投げかけられるだけだと詰まっちゃうからね。
水城 しかもいつもはメンバーからオススメを聞いたりすることがあまりなかったんですけど、こういう機会があってオススメをしてもらって、それを観たときの夢子の感想を読んでうれしそうにしてるみんなの姿を見て、夢子もうれしかったです。なので逆に、自分の好きなものをみんなにオススメしたいですね。
星野 私もめっちゃ緊張してたんですけど、普通に同志の方と話してる気分で。羽咲といつもみたいにアニメを語ってるような気分だったので、楽しくできました。だから「早かったなぁ」とも思いますし、単純にもっとやりたいです。そもそも私は自分のこととかアニメのことを話すのが好きなので……次は、ソロで(笑)。
――野心が(笑)。
星野 しかもアニメに特化している媒体さんでの連載なので、素でいられる時間を受け入れてくださったじゃないですか? それもすごくうれしくて。今までは結構ひとりで「このアニメはこういうことだ!」みたいに自己完結してたことが多かったんですけど、こうやって不特定多数の方に読んでいただけるのもすごくうれしかったです。なので次は……。
胡桃沢 もういい、それはもういいよ(笑)。
星野 じゃあ、もっと大きくなってから、ソロで!(笑)
――(笑)では、お互いに記事を読まれて印象深かったところはありましたか?
星野 記事ごとに、文字だけでもすごい性格が出るなって思いました。例えばまひるだったら、ひとつの質問に何行も答えてて、たぶん実際はもっと喋ってるんだろうなぁっていうのがすごくわかったりとか。逆に伊織だったら、それが2~3行で終わってるのも面白いなぁって。
桜野 やり取りが見えるよね。
雨宮 長く喋れるのが伊織はうらやましいよ。言葉がね、出てこないから(笑)。
桜野 でもひとりずつ話してる内容が全然違ってて。アニメの話だったりパソコンの話をしてたり、メンバーからのオススメを観て感じたことを話してたりってひとりずつ違ったから、それがすごく面白かったなぁって。
胡桃沢 夢子の記事なんだけど、リスアニ!さんでK-POPの話が出てきたのは初めてなんじゃないかな? って思って。そこに夢子らしさが溢れてるなって思いました。
桜野 夢子はうちらがオススメしたのを、全部観てきてくれたんだもんね。
水城 そう。私、結構長い間この子たちと一緒にいて、それでもアニメを観てこなかったということは結構頑固モノなんですよ。なので、みんなの好きなものを知るいいきっかけになりました。
雨宮 全員いろんなものをオススメしたけど、いちばん「これ、続けて観れそう」みたいに興味が湧いたものはどれだった?
水城 えーっと……うーちゃんかな?
桜野 うれしい! LiSAさん?
水城 うん、LiSAさん。
桜野 (拍手)
水城 だって曲を聴いたあとに、ライブ映像まで自分から観たので。
――歌声の感じもすごくいいって、おっしゃってましたもんね。
水城 そうですね。うーちゃんが好きになるのがわかりました。
桜野 すごいうれしい……こういう機会がないと、なかなかそういう気持ちも知れないですからね。今回は、せっかく夢子に教えるんだったら自分が信じてるカルチャーを教えたいなと思ったので、オススメするなら理由も思いつく曲がいいなと思って考えたら7曲思いついちゃって、「どうやって削ろうかな?」って悩んだんですよ(笑)。
――逆に、水城さんがオススメに触れられた感想を読まれて、どう思われましたか?
桜野 妄キャリで「irony」をカバーしているのでClariSさんの「nexus」も選んだんですけど、その「nexus」も「作品は知らないけど、<irony>の次の気持ちを見ているみたいで」って言ってくれてたのが、すごい読解力があって。
雨宮 ね。びっくりした。
桜野 作品が背景にあるからこその良さがアニソンにはあるとは思うんですけど、歌詞だけでも感じ取れるアニソンの力が夢子にちゃんと伝わったっていうのが、すごくうれしかったです。渾身の選曲でしたし(笑)。
――それと、毎回最後にご自身のアピール・ポイントをおっしゃっていただいたじゃないですか? お互いの記事を読まれて、それは当たってると思いましたか?
一同 当たってると思います!
水城 だってストイックだし……。
胡桃沢 負けず嫌いだし、アイドルが好きだし(笑)。
星野 「好きだからこそ、出せるものがありますよ」っていう話ね?(笑)
胡桃沢 でもみんな、根本的なものは似てるのかなって思います。ストイックなところも負けず嫌いなところも頑固なところも好きだからこそなところも……非オタクはちょっとわかんないですけど(笑)。でもみんな、これに懸けてるからこそだし、好きだからこそできることであって。
星野 たしかに。あきらめちゃう人もいるかもしれないからね。
胡桃沢 だから本当に、このメンバーだからいいバランスでやれてるんだなぁって思いました。
――ちなみに、連載初期の頃はまだ「桜色ダイアリー」(TVアニメ『冴えない彼女の育てかた♭』EDテーマ)のリリース前だったので、反響を聞ききれてない方もいて。なので改めて、現時点で皆さんが感じた印象深い反響をお伺いしたいのですが。
胡桃沢 すごくうれしいのが、「『冴えカノ』新規です!」って言って来てくださったファンの方がいることなんですよ。やっぱり会いに行くって、すごい労力がいると思うんですよ。だから、私たちの作った楽曲を好きになって会いに来てくれることってすごいことだなって思うんです。
――労力も必要ですし、それだけ愛がないとできないですもんね。
桜野 うん。簡単なことじゃないよね。
胡桃沢 でもそれは『冴えカノ』のおかげだと思うし、そんな皆さんと私たちとを運命のように結びつけてくれたこの曲に、すごく感謝をしています。
雨宮 アニメの打ち上げパーティに呼んでいただいたときに本当にたくさんの方がいらっしゃっているのを見て、自分たちの楽曲を選んでもらえたことへの責任感をより強く感じましたし、泣けてくるぐらいすごいことなんだなと思いました。そのパーティでも、舞台に上がられてお話をされているなかで感極まって泣いてしまった声優さんもいたんですけど、それぐらい自分の仕事に対して誠実に向き合われている方々と一緒にお仕事できたことが、すごく幸せです。
星野 この夏は海外に行かせていただく機会も多かったんですけど、香港の大きなアニメ・フェスでのライブでは、言葉が通じないぶん曲で通じ合えた感じがすごくしてうれしかったです。しかも「桜色ダイアリー」ってタイトルを言った瞬間、「おー!」って大きな歓声が返ってきて。「この人たちがこの曲を歌ってたんだ!」って合致した瞬間が、すごくうれしかったです。
桜野 その海外ツアーでは、『冴えカノ』のED映像をバックに流しながらパフォーマンスをさせてもらえたんですよ。それって日本じゃ普段できないことだったので、やっぱりよりこの作品への……良さみが増す?(笑)
胡桃沢 オタクか!(笑)
桜野 ちょっといい言葉が見つからなくて(笑)。でもストーリーが背景にあるのがアニソンの良さだと思っているので、言葉が伝わらなくても映像とセットで海外の方に届けられたことは、うれしいことでしたね。
水城 私は先月お話した、通っている美容室のアシスタントさんの反応ですね(第5回参照)。しかも「桜色ダイアリー」よりも、最終回に流れた「青春プロローグ」のほうが好きって言ってもらえて。思ってもない身近なところからの声だったので、めちゃめちゃうれしかったです。
――また今後もアニソンを歌われていくと、また意外なところから反応が来るかもしれませんし、そのアシスタントさんからもきっと。
水城 はい……早く昇格してほしいです。
星野 関係ないっ(笑)。
――そんなこの春リリースのこの2曲は、皆さんの中で今どんな存在になっているんでしょう?
胡桃沢 妄キャリってパキパキ踊る曲も多いんですけど、「桜色ダイアリー」と「青春プロローグ」は自分の中ではすごく女の子らしさを表現するのに努めている曲なんです。なのでほかの妄キャリの曲とは違う、“恋をする”楽曲だと思ってやっています。
桜野 心の中のスイッチみたいなものが切り替わるような感覚になるよね。
星野 わかる。気持ちとか熱量をぐわーって前に出していって、お客さんと一緒にぶつけ合って楽しむっていうところが妄キャリの良さだと思うんですけど、「青春プロローグ」は特に自分の思っている気持ちを自分の中に落とし込んで、でもそれを全部出せばいいっていうわけじゃなくて……大切に大切に歌って、大切に大切にこの気持ちを乗せて振付をしないと、伝わらない曲なんですよ。
胡桃沢 だから惰性になったら、絶対につまんない曲だよね。
星野 そうそう。
胡桃沢 なので、毎回の気持ちが新鮮になれる曲なんです。
雨宮 私は「桜色ダイアリー」のデモを聴いたときから「この曲が絶対いいな」って思ってて、しかも「これ、ピアノで弾きたいな」とも思ってたので、弾かせてもらえてすごくうれしかったです。あと「青春プロローグ」も、ライブでは実際に一度弾かせていただいていて……そう、今開催中の47都道府県ツアーって、本当にバンドマンみたいなツアーなんですよ。めっちゃデカいピアノを、一緒に車で運んだりしているので。
星野 「ここ、ピアノの席ね」みたいになってるんだよね(笑)。
雨宮 あと、沢井(美空)さんとの出会いも大きかったと思います。シンガーっていう立場から見たグループの良さを「青春プロローグ」で描いてくださっているところがすごく好きで、歌うたびに「グループっていいなぁ」って思うんですよ。
星野 あとYouTubeの「青春プロローグ」の動画、めっちゃいいよね!
桜野 あれめっちゃ好き。
星野 あたしも超好きなの! 沢井さんの手書きのメッセージが最初に映って、そこからのライブ・バージョンの「青春プロローグ」って、自分たちの曲なのにたまんないよね?
水城 沢井さんから、めっちゃ素敵なプレゼントをもらった気分がするんですよ。
星野 ……皆さんも、ぜひ!
桜野 動画はこちらです!(笑)
桜野 この「桜色ダイアリー」のリリース期間には今まで以上にたくさんの出会いがあって、『冴えカノ』と「桜色ダイアリー」っていう1枚のシングルが、いろんな出会いを自分たちにくれたなぁって思うんです。特に沢井さんからは、楽曲制作のほかにもさっき伊織が言ってたみたいな、「ひとりでやってたら絶対に味わえないようなことを、今この5人がいるからこそできてるんだ」っていう大事なことを教えてもらったんですよ。だから沢井さんのその言葉がなかったら、それを知らないまま活動してたんだなぁって考えると、ちょっと怖いなって思うぐらいですね。
水城 こうやってずっと一緒にいることって“当たり前”って思いがちだけど、「桜色ダイアリー」を歌うとその大事な気持ちを思い出すというか。だから、もちろんアニメと重ねて聴く方もたくさんいらっしゃると思うんですけど、私は「私たちの曲だなぁ」とも思います。
SHARE