8月18日・19日、“JUNNA ROCK YOU TOUR 2017 Vai! Ya! Vai!”の東京公演が赤坂BLITZにて開催。開催が発表されるやいなや大きな話題となった彼女の1stツアーは、なんと開催前に東名阪すべての会場にて追加公演が決定。ツアーの幕開けを、東京公演2Daysが飾ることとなった。その2日目・8月19日のステージで彼女が私たちに見せつけてくれたのは、圧倒的なパワーを持った凄みのある歌声だった。
フロアを満員の観客が埋め尽くすなか、客入れBGMが流れ終わるとステージ上にJUNNAが堂々と登場。ギターを提げて「大人は判ってくれない」を歌い始める。逆光の中、頭サビを歌いきるとステージが明転。スタンドマイクの前でギターをかき鳴らしながら、1曲目から力強い歌声を響かせていく。ペンライトの光もまばらで“ライブハウス”のノリに近い会場の中で、相性抜群の彼女の圧力ある歌声と生バンドの音圧は、奇をてらわずストレートな分より心に体に響くものとなっていた。
歌い終わるとギターを置き、ダンスとともに「JINXXX」へ。照明効果もひと役買ってか、セクシーさも感じさせるステージに。だが、それはあくまでひと役。その主要因は、まぎれもなく歌声とそのたたずまいだった。加えて2サビ明けにはコーラスとダンスを担当するバンドメンバーを交えてのダンスも、スタイリッシュに披露していった。
この日の初MCでまず東京公演2日ともSOLD OUTとなったことへの礼を述べると、ワルキューレの楽曲から「LOVE! THUNDER GLOW」をソロ歌唱。ボディアクションもボーカルも、とにかくダイナミックに魅せていく。奇しくも開演前に会場付近を雷雨が見舞っていたことを思い返すと、彼女は“持っている”のではないか? とも思わされる。この曲ではステージ上を端から端まで移動したりサビではフロアを指差したりと、観客とともにライブを作っていった。
そこまで大盛り上がりだったフロアだが、続く「火遊び」はじっとJUNNAの歌声に聴き入る。照明もスポットライトにJUNNAとキーボーディストが照らされるなど最低限の効果で、この曲ならではの雰囲気を作り上げる。そのなかにおいてJUNNAは、巧みなボーカルワークを見せながら、1stツアーの4曲目とは思えないほどの堂々とした姿でステージに立っていた。
MCを挟み、今度は坂本真綾の「ダニエル」をアコースティックでカバー。全編英語詞のこの曲、彼女の声質との相性もなかなか良好だ。また、シンプルなサウンド構成とは裏腹に歌声は果ての見えない草原を想起させるような壮大さを持っていた。
曲明け、観客として見に行ったというMay’nのライブについて語り始めるJUNNA。「迫力が違う」とそのすごさを熱弁したところで、「今日来てくれた皆さん、ワルキューレで出会った皆さんに、私を知ってきてくださった皆さんに、感謝の気持ちを込めて歌います」と「ダイアモンド クレバス」を歌い始める。ヤバい。この組み合わせは超ヤバい。独特の溜めのある歌声は本家とはまたひと味違うものであり、まさしくJUNNA仕様。サビの圧も、よりグッと強さを感じさせる。それを徐々に静かに高めていくJUNNAは、大サビでは体を屈ませるほど力いっぱいに歌唱。そこに、全力でぶつかることを通じてMay’nへの畏敬の念も込められているように感じたのは、筆者だけだろうか。
そのまま『マクロス』のバトンを繋ぎ、今度はワルキューレの大バラード「GIRAFFE BLUES」へ。スポットライトに照らされながら歌う彼女は、ゆっくりゆっくり体の向きを変えてフロア全体をじっと見やる。それはまるで、自身の歌声をじっくり染み込ませようとするかのようだった。そのなかで特に印象的だったのが、サビの音域の高い部分。そこには彼女らしい切なさと強さが同居しており、その響きがより悲しさを引き立てていた。
この曲をもってJUNNAは一旦降壇。バンドタイムに突入するが、そのなかでステージには、彼女のソロデビューアルバム『Vai! Ya! Vai!』のジャケットにも登場するテープが上方から降りてくる。そしてそのリード曲「Vai! Ya! Vai!」のイントロのリフ部が奏でられるなか、衣装チェンジを終えたJUNNAが再登場。パワフルでアグレッシブなステージが、改めて幕を開ける。繰り出される歌声は光の筋のように速く、また強く、魅せ方も細部まで作り込まれたものに。前述のテープの隙間からフロアを覗いてみたり、それをなぞってみたり、はたまた歌唱しながら柔らかく腰をくねらせたりとパフォーマンスにもセクシーさが強く乗っていた。賞賛の意味も込めて「本当に16歳!?」と幾度となく思わされたこの日のライブだったが、その想いがもっとも強まったのが、この曲の披露時だった。それほどまでのエネルギーとクオリティを持ったこの曲から同時に感じたのは、彼女の“全力”。後半ののっけからぶっ飛ばす、ヤバくてアツい4分間を見事に作り上げた。
続く「Catch Me」は、EDM調のサウンドに合わせてタオルが舞う曲に。自らも作詞に携わったこの曲において、JUNNAはお立ち台の上からテンションUPを先導。イントロではタオルを回し、サビでは左右に揺らす。また落ちサビでは歌詞を用いてのコール・アンド・レスポンスも行い、会場との一体感をさらに増す。その表情には笑みが交じり、端々から彼女が感じているライブの楽しさがにじみ出ているようにも感じられた。
そのまま突入した「僕らの戦場」のイントロに、さらに沸く赤坂BLITZ。もうクライマックスまで一直線だ。フロアを煽る際は笑顔のJUNNAだが、やはりこの曲でも歌い始めた瞬間曲へと没入。この曲は特段のダンスはせず歌に専念し、“見せる”より“歌声をぶつける”ものとして届ける。そしてその歌声を受けたオーディエンスからは、お返しとばかりにサビで力強いコールが返ってきていた。
そしてもう1曲ワルキューレ曲、「破滅の純情」で場内は熱狂の極みに達する。原曲よりもロック色の強めなアレンジも、場内ヒートアップの一因となっていた。当然それはフロアだけでなく、ステージ上のJUNNAも同じ。「蜷局を巻き」などのサビ中盤において、高まった彼女の歌声はシャウトと化し、直後の「Yeah!」ではフロアにて大きな大きなコールが巻き起こる。これぞ、ライブならではのアツさを持ったやり取りだ。それにつられて、彼女のボディアクションも自然と激しくなっていく。またサビラストでの、語尾の音を下げる艶っぽいロングトーンも見事に決めていく彼女は、楽曲終盤の高音も思い切り地声で貫く。そこには、彼女のボーカリストとしての意地のようなものが表れていたように感じられた。
再びギターを提げて、「アツすぎますね!」とクライマックス4曲を述懐。しかし早いもので次がラストナンバー。その披露を前に、JUNNAはこの1年間を振り返っていく。1年前はワルキューレとしてツアーを回っていた彼女は、「1年後にこうやってツアーを回れるなんて思ってもいませんでした」と率直に語る。そして「ツアーができるのはライブに来てくれるみんなのおかげだし、みんなと一緒にライブができて幸せです。これからも歌い続けて、今までにいような存在になりたい。そしてみんなを違うところに連れていきたい。今まで見たことのない景色を見せたいです!」と宣言していた。
ラスト曲「Shooting Star」でJUNNAはアコースティックギターを初披露。しかも、ギターを人前で披露したことがない彼女にオファーされたのは、なんとライブ2週間前だったという。しかしそれも、“挑戦”の意味の込められたこの曲だからこそ。そこから逃げずに立ち向かったJUNNAは、その短期間とは思えない仕上がりでこの曲を披露していく。観客もこのミドルナンバーに込められた彼女の挑戦を温かく受け止め、クラップで盛り立てていく。その空気にも後押しされつつ無事完奏した彼女は、最後は穏やかな微笑みとともにフェイクを響かせ、ステージを降りた。
すかさず挙がったアンコールの声に応え、ライブTシャツに着替えたJUNNAが三度登場。歌唱に移る前に「どこから来た?」と観客に質問を投げかけると、ロサンゼルス・上海・フィリピンなど地球の津々浦々からの観客がいることが判明。「遠いところからも来てくれて本当にありがとうございます!」と、改めて礼を述べるJUNNAだった。
さて、アンコール1曲目は「ダニエル」に続きカバー曲。自身の好きな『名探偵コナン』の劇場版の主題歌である、ポルノグラフィティの「オー!リバル」だ。キャリアの序盤ならではの“趣味枠”にあたる曲かもしれないが、そこで一切手を抜かず、持ち歌同様の圧力を感じさせるのがJUNNA。間奏では髪を振り乱しつつ、情熱的な歌声で楽曲に力いっぱいぶつかる。加えてラスサビでは、またもロングトーンで語尾を下げてその歌声を抜き、“JUNNAらしさ”を明確に提示してくれた。
曲明けのMCでは、この秋放送のTVアニメ『魔法使いの嫁』にてOPテーマを担当することを発表。新曲「Here」はミニアルバム曲とはまた違った雰囲気になるとのことで、こちらもぜひ期待したいところだ。
そしてライブも本当にラストの1曲に。「最後はまだ歌ってない、いちばん盛り上がる曲で!」と紹介したその曲は、「いけないボーダーライン」。『マクロス⊿』の第1話でオンエアされ、先行放送時に先行配信された、彼女のキャリアの起点となる楽曲を、大事なポジションに持ってきた。ラストナンバーとして置かれたこの曲でも、彼女の歌声の持つ迫力は衰えることはない。バンドアレンジされ、強さの増したサウンドともしっかり噛み合い、ラストスパートをかける。さらに2サビ明けにはお立ち台に登ってフロア全体をノセつつ、自身もヘッドバンキングでこのラストナンバーを楽しんでいく。そう、迫力あるステージングの中に、彼女の楽しさとうれしさが感じられたのがこの曲だったのだ。その高まった感情を伴いながら、最後はお立ち台からのジャンプエンド。ギュッと詰まった2時間を締めくくった。
ヤバいくらいに圧倒的なボーカル力でオーディエンスを引き込んでいったJUNNA。その歌声とパフォーマンスは実に力強く、それでいてどこか色っぽいものでもあり、様々なアングルから観る者聴く者の心をドキッとさせてくれる。それに加えて、彼女はMCや曲中煽りでの天真爛漫さという今だから見られる魅力も兼ね備えており、「早く次のステージを観たい」と渇望をも呼び起こしてくれるのだ。
この日のライブからはこういった魅力と同時に、不足感とはまったく別のところから来る“伸びしろ”も同時に感じられた。すでにこれほどまでに凄みのある歌声を身に着けているにも関わらず、である。彼女はこのツアーを糧に、さらに魅力的に凄くなっていくはず――そう十分期待できる“ボーカリスト・JUNNA”の未来を、楽しみに見守りたい。
Text by 須永兼次
“JUNNA ROCK YOU TOUR 2017 Vai! Ya! Vai!”東京公演
2017.08.19@赤坂BLITZ
M1.大人は判ってくれない
M2.JINXXX
M3.LOVE! THUNDER GLOW(※ワルキューレ楽曲)
M4.火遊び
M5.ダニエル(※坂本真綾 / カバー)
M6.ダイアモンド クレバス(※マクロス曲 シェリル・ノーム Starring May’n / カバー)
M7.GIRAFFE BLUES(※ワルキューレ楽曲)
M8.Vai! Ya! Vai!
M9.Catch Me
M10.僕らの戦場(※ワルキューレ楽曲)
M11.破滅の純情(※ワルキューレ楽曲)
M12.Shooting Star
EN1.オー!リバル(※ポルノグラフィティ / カバー)
EN2.いけないボーダーライン(※ワルキューレ楽曲)
●ライブ情報
2nd ライブツアー
“JUNNA ROCK YOU TOUR 2018 ~I’m Here~”
2018年4月15日(日) 仙台RIPPLE(宮城)
開場 17:00/開演 17:30
2018年4月22日(日) なんばHatch(大阪)
開場 16:45/開演 17:30
2018年4月28日(土) Zepp DiverCity Tokyo(東京)
開場 16:30/開演 17:30
2018年5月5日(土・祝) Zepp Nagoya(愛知)
開場 16:45/開演 17:30
チケット料金:オールスタンディング 4,500円(税込)
*別途ドリンク代かがかかります。
★オフィシャル最速先行:受付中~9/24(日)23:59
詳細はこちら
<JUNNA プロフィール>
愛知県出身。2000年11月2日生まれ。
TVアニメ「マクロスΔ」に登場する戦術音楽ユニット“ワルキューレ”で、美雲・ギンヌメールの歌を担当し、圧倒的な歌声でファンを魅了し熱狂させた。ワルキューレの2ndライブでは、横浜アリーナに2日間で2万2千人を動員し、16歳という年齢を感じさせないパワフルかつ破壊力のある歌で観客の度肝を抜いた。「マクロス」シリーズ最年少歌姫。6月には満を持してソロ1stアルバム「Vai! Ya! Vai!」をリリースし、夏に開催した東名阪の1stライブツアーはチケットソールドアウト公演が続出し大盛況のうちに幕を閉じた。
11月1日、1st シングル「Here」(TVアニメ「魔法使いの嫁」オープニングテーマ)のリリースが決定!2018年春には全国4箇所を廻る2ndライブツアー『JUNNA ROCK YOU TOUR 2018〜 I’m Here〜』の開催が決定!
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