リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

INTERVIEW

2017.09.05

TVアニメ『ナイツ&マジック』OPテーマ「Hello!My World!!」リリース記念、fhánaインタビュー

TVアニメ『ナイツ&マジック』OPテーマ「Hello!My World!!」リリース記念、fhánaインタビュー

ツアー“Looking for the World Atlas Tour 2017”を終えたfhána。次のアルバムタイトルでもあり、自分たちが連れ出す先をも意味する「World Atlas」(世界地図)を掲げた旅路で4人は何をつかんだのか。そして、アルバムにつながる今回のシングルで何を表現したのか。TVアニメ『ナイツ&マジック』OP主題歌でもある「Hello!My World!!」を含む12thシングルに込めたfhánaの思いを拾い上げる。

──今回、主題歌制作にあたってアニメ側からは何か要望はありましたか?


佐藤純一
 アニメ側からは、四つ打ちの熱いバトル曲というか、(3rdシングル)「divine intervention」みたいな曲をお願いされたんですね。でも、「divine-」のパート2を作るだけでも手堅いものができるとは思うけど、やっぱりもっと新しいことをやりたい。それで、リズムに関しては2ビート系にして。それは、そういうほうが今は爽快感があると思ってもいたからですけど。ただ、テレビの89秒という中で曲の構成を面白くしてやろう、という気持ちもありました。普通ならBメロがある場所に間奏が来るとか、サビの2段目にもうひと盛り上がりあるんですけどそこが1段目と同じだけボリュームがあって「どっちがサビなんだろう」みたいになっているとか。音楽的な面としては、1曲フルを通しても89秒の中でもどんどん展開していく、だけどハチャメチャな感じじゃなくてポップな感じにしたい、と思っていました。

──音楽面とは別の、メッセージ性という部分ではどういう思いでしたか?

佐藤 とにかくポジティブな曲にしたいと思っていました。2枚のアルバムを出して、ライブもしてきて、いろいろなイベントに出させてもらって。どんどんオープンな存在になっていきたいという話をよくしていたんですけど、今はすごくそういう感覚がありますね。特に3回目のツアーとなった今回の“Looking for the World Atlas Tour 2017”は、ツアーをとおしてメンバーもお客さんも一緒に成長していくような手応えを感じたんですね。お客さんが喜んでくれるのがすごくうれしかったし。なので、fhánaの曲を聴いてくれた人がハッピーになったり心が軽くなったり、そういうポジティブな影響を与える曲にしたかったんですよ。あと、(主題歌を担当する)『ナイツ&マジック』はすごく爽快感がある作品で、主人公のエルくんがすごくピュアなんですよね。ロボット好きの天才プログラマーが転生した先で少年になるんですけど、好きなことに没頭することによって道を拓いていく力強さというか、ポジティブな空気があるんです。なので、そういうところとシンクロする、明るいけど攻めている曲として作ったのがこの「Hello!My World!!」でした。

──アレンジでA-beeさんを呼んだのは明るさとかポジティブさを狙って?

佐藤 そうですね。それは新しいことへの挑戦ですかね。今まで、ストリングスアレンジでアレンジャーさんに入っていただくことはありましたけど、それ以外でほかのアレンジャーさんが入ることはなかったんです。でも今回は、ちょっとデジタルなトラックにしたいという方向性があったので、外部のトラックメイカーに入ってもらってコラボするのも面白いかも、という思惑でした。

──佐藤さんからいろいろとお願いは出されたんですか?

佐藤 結構お任せで作ってもらいました。ただ、音を過剰めというかたくさん作ってもらって、かつバンド(=fhána)はバンドでアレンジを進めておいて、最後に双方のアレンジが上がった段階で組み合わせていく、という作業でした。A-beeさんオンリーの音はもっとEDMリミックスみたいな感じでしたね。ちなみに、fhánaが作った音は『ナイツ&マジック』のティザームービーで聴けるんですよ。まだA-beeさんの音が入る前の、バンドだけのアレンジである「Hello!My World!!」オープンベータ版、がワンコーラスだけ。

──今回、アレンジの作り方としてはいいとこどりだったわけですよね? A-beeさんのいいところってどこだと感じましたか?

佐藤 やっぱりアッパーなところですよね。メンバーだけでは出てこないアッパーさというか。

──クラップとか?

佐藤 そうですね。サビ前のクラップ連打は、メンバーだけでは出てこない発想だったと思います。サイドチェインが効いているシンセパートとかも。kevinくんもいろいろな効果音を作っているし、yuxukiくんのギターによる効果音もあるんですけど、ビルドアップしていくような音作りっていうのはやっぱり「A-beeさんならではだなぁ」という感じですね。

──yuxukiさんとkevinさんの役割についても教えていただけますか?


yuxuki waga
 ギターに関してはスタジオで作業しました。そのとき、A-beeさんの音はまだなかったので想像しながらでしたね(笑)。でも、今回はわりとエフェクティブなことをやってもいいという許可が出たので、気持ちとしては「いろいろやらせていただこうかな」と。それで、“Magic navigation”の横で鳴っているシーケンスみたいなフレーズとか、2サビ前のデューンっていう音とか。あれは「ワーミー」なんですけど、他にもいろいろ面白そうな音やフレーズを足していきました。

──「Hello!My World!!」にはこういうギター、みたいなイメージはありましたか?

yuxuki それが、やっぱり場面転換が多い曲なので、この曲はこういうアプローチにしよう、っていうのが通じないんですよね。

佐藤 ふっふっふ(笑)。

yuxuki (笑)。「ここはこうだよな」とか「このリズムでこういう曲調だったらここはこうなんだろうな」とか、そういうことを全パートでやっていく感じでしたね。さっき言ったディレイのフレーズを弾いているところも、多分普通ならギターはガンガンコード弾きするんだろうと思っていたんですけど、「それやっても面白くねえな」と思って(笑)。違うことをやっています。でも、楽しかったのは楽しかったですよ。ただ、イントロの「デーデーデケデ、デーデーデケテ」ってフレーズは佐藤さんが最初っから打ち込んでいたフレーズで、「こんなん弾けないっすよ」とか言っていたら、(ベースの)田辺さんが悠々とお弾きになられて。「そうですよね」ってことでユニゾンしなきゃいけなくなりましたね(笑)。一緒に練習しましたし、かなり鍛えられました。結構、録音組はみんな苦戦していましたよね。

佐藤 たしかに。大変な曲だったので。

yuxuki 「マジですか?」「速くないすか」みたいな感じで(笑)。

──kevinさんは?


kevin mitsunaga
 この曲ではyuxukiさんもかなりエフェクティブな音を作っているし、A-beeさんもそういう音を作っているし、そこに僕も入ったので「みんなでやった」感があるんですよ。ただその中で僕が作った音として代表的なのは、サビのメロディと同じような動き方をするストリングスですかね。これは佐藤さんから、オケとメロディが連動するような動きをしようっていう話をもらって。

佐藤 (TMネットワークの)「Self Control」みたいに。サビの“せーるふこーんとろおーる”とシンセの……。

──「パーパーパパー」が。

佐藤 連動感あるように、というのを狙って、サビのメロディとストリングスのエディットがほぼ同じ動きになっていますね。

kevin あと、佐藤さんが最初に作ったデモはもっと生っぽいドラムだったんですけど、僕が預かってエレドラ風というか、無機質なほうに寄せたドラムの音に加工するとか。そういう作業をしました。

──では今度、ボーカルについても教えていただけますか?


towana
 この曲は展開がAメロとサビとで全然違っていて。顔が違う、みたいな。そこを歌声でも表現できるように、という意識で歌いました。あとは、サビでのアクセントも意識しました。サビの歌詞がいちばん強いですし、韻を踏んでいる英語の部分がよく聴こえるように、と思ったんです。全体としてそんなに苦労したわけではないんですけど、ただ、Dメロは高くて速いので自分のものになるまでは大変でした。「この速さでニュアンスつけるんですか?」みたいな感じで(笑)。

──今回、ボーカルがとてもやんちゃな感じに聴こえたんですが。

towana ねぇ?インタビュアーの方によく言われるんですよ。自分ではそうは思っていなかったので「そう聴こえるんだー」ってびっくりしています。「もっと強い感じで」ってディレクションをもらいながらやった結果、そういう表現ができたのかな、とは思いました。

──のどの調子が良いからではなく?

towana ではないですね。のどの調子は(好調が)続いている感じがありますけど。このシングルでも、通して全体的に調子良く歌えていたので、それが残せた感じはあります。

──のどの好調さってメンタルや表現テクニックにかなり影響を与えていますか?

towana 私の場合は本当にメンタルですね(笑)。今は本当に思ったとおりに出るんですよ。逆にメンタルが良くないと全然出ないこともあります(笑)。

──続いてカップリングの「君の住む街」がどういう気持ちからできた曲か教えてください。

yuxuki 「楽しい曲を作りにいきたい」と思っていたんですよ。やっぱり次のアルバムを見据えていたんですけど、「青空のラプソディ」がすごく人気あったので、「こういう曲を今は聴きたいのかな」とは感じていたんですね。もちろん自分も好きですし、「じゃあ」ってことで楽しげな曲を作りました。

──「Hello!My World!!」と同じシングルにポジティブな曲を入れるというのはあえて?

佐藤 それはありましたね。「表題が速くて明るいからカップリングはゆっくりにしようとは考えずに楽しい曲でいこう」という話はしていました。

──「君の住む街」では、yuxukiさんはtowanaさんにどういったボーカルディレクションされましたか?

yuxuki 特にしてないですよ。「楽しく」(笑)。これって打ち込みをまったく使っていないので、いかに楽器にのれるか、リズムにのれるかが大事なんですよ。例えば、クリックどおりに歌うと逆に外れる曲なんですよね。towanaはバンド慣れしているので大丈夫だと思いましたけど、人によっては難しい気もしますね。でも、そこさえクリアしてくれれば。

──というお話ですけどtowanaさんとしてはどうでした?

towana すーごく楽しかったです。歌でいちばん大事なのはリズムだと思っているんですよ。で、wagaくんが今言ったようにクリックを聴きながら歌うと外れるというのはまさにそうでした。ベー(ス&)ドラ(ム)やギターと「せーの」で(一緒に)録っているんですけど、例えば揺れたりしているところで合ったときは気持ち良くて。そういうのがすごく大好きなのでめちゃめちゃ楽しかったです。

──ライブが楽しみですか?

towana バンドでできたらめっちゃ楽しいと思う。

yuxuki ベードラ入ったら楽しいですよね。

──では「reaching for the cities」について、kevinさんからご説明いただけますか。

kevin 「青空のラプソディ」もそうだったんですけど懐かしい要素を入れたかったんですよ。で、作り始めたらこういうシティポップに進んだんですけど、僕が現場にいなかったときにyuxukiさんから「ラップにしたらいいんじゃないか」って話が出たんですね。で、そっちに軌道修正していく感じで作って、最終的にこういう曲になりました。

──じゃあ、ひと通りメロディーができているデモの段階からラップを入れて?

kevin そうですね。でも、サビっぽいところとかはそのまんま残っています。ラップはAメロのところだけなので。

yuxuki なんか、デモがシティポップすぎたんですよね。

kevin 普通でしたね(笑)。

yuxuki あと、俺がヒップホップをすごくやりたかったので(笑)。

──yuxukiさんがヒップホップを?

yuxuki 俺はヒップホップをいつでもやりたいです。最近好きなんですよ。自分の曲でもそのうちやりたいんですけど。で、提案したらみんなの反応も意外と良くて(笑)。

佐藤 「ラップ、いいじゃん」みたいな感じで(笑)。

──意外ですがfhánaがラップという共通認識を。

佐藤 そうですね。多分、深層意識的にラップをやるべきなのでは、ってのがあったのかも(笑)。たしかに最初のデモは普通にメロディがついてて「シティポップ」って感じだったんです。だから、「もっと面白くするにはラップだ」って流れでした。他にも、ヴォコーダーを使ってみるとか、そういうネオシティポップトラックメイカー的な音作りに持っていったら、という話になりました。かつ、towanaの声でラップを歌ったら絶対「キュート」なものになるのが見えたというか聴こえたので。towanaは初の試みだったので「大丈夫かな」みたいな感じでしたけど、僕や他のメンバーは絶対いけると思っていました。

kevin ちなみに、僕も元々ヒップホップとかポエトリーリーディングは好きですからね(笑)。

yuxuki (下に垂らした手を前に出して)こういう感じではないというのはありますけど(笑)。カニエ(・ウエスト)とか、普通にいいですよね。ANTICON系の音の作り的に緻密なヒップホップも好きです。他にも元々ヒップホップがメインの人じゃなくても取り入れている人がすごく増えている印象ですね。

佐藤 それに、水曜日のカンパネラとかDAOKOとか今、女性でラップの曲がたくさん出て来ていますよね。僕は世代的には、スチャダラパーとかかせきさいだぁとか(TOKYO NO.1 )SOUL SETとか聴いていたんですけど。

yuxuki ラップが流行っていますよね、全世界的に。

佐藤 フリースタイルも流行っているしね(笑)。ダンジョンとか。

yuxuki そうそう、そっちもあるし。いきなり誰もまともにできないのにフリースタイルバトルする遊びをやったり(笑)。

──ちなみに、「reaching for the cities」で「夏」って意識されました?

kevin あ、この曲を作るときに裏テーマで「夏」を考えていました。ラップとは関係なくですけど。夏に聴いたら気持ち良さそうな感じにはしたくて。

──そうなんですか。日本のラップと夏って切り離せないと思っていて。この曲ってそういう「夏」っぽさを持っていると感じていたので。

yuxuki そうですね、たしかに。完全に日本の文系ラップのものですよね。

──じめじめした暑い日本の夏にこういう爽やかさを求めるセンチメンタルさみたいなのがシティポップや文系ラップにはあるので。

yuxuki そうそうそう。

──という感じでみんなが盛り上がっている中、towanaさんは孤独な感じで。

佐藤 (笑)。

──自分の目の前でラップに決まっていったわけですね。

towana そうなんですよ、決まっていくんですよ(笑)。

一同 (笑)

towana 私は黙って聞いていました。なんか「いいっすね、いいっすね」って言ってるけど、「いや、やるの私ですよね……」って思いながら(笑)。

佐藤 (笑)。

──そこで「黙って聞いてれば!」みたいなことは言わず?(笑)

towanaa いや、そんな(笑)。でも、やったことがなかったからできるかどうかも分からず、ひとりで不安を抱えたまま、みんなが「いいね、いいね」ってなっているのを聞いていました。

──ラップをやってみたい気持ちは今までなかったんですか?

towana まったく自分の中にはなかったです。その選択肢というか意識が引き出しにないというか。ホントに分からなすぎて、最初(のレコーディングは)、kevinくんにまずブースに入ってもらいました。

kevin 僕が仮歌というか仮ラップを見せたんですよね。

──また似合うことやりますね(笑)。

一同 (笑)。

towana でもすごく緊張していたんですよ。すごく照れながらやってくれました。

kevin 照れながらやったんですよ(笑)。

──kevinさんの照れ臭いラップは参考になりましたか?

towana あ、なりましたなりました。

kevin 良かったー。なってよかった(笑)。

towana あと、他のみんなにもいろいろと聞いて教えてもらいながらやりました。もうホントに、「なんとかできた」みたいな感じでしたね。サビ直前くらいの、セリフっぽく言うところがいちばん難しかったです。

佐藤 リズムをあえて外す感じにしたいけどどうしてもリズムに合っちゃう、みたいなところで苦戦していました。でも自分としては、towanaがブースに入って歌った、その最初の感じで「ああ、もう勝ったな」みたいな感じでしたね(笑)。

kevin そう。本人的にはめっちゃ不安そうでしたけど、聴いている男性陣は最初から「ええやん」ってなっていました。

──そうですよね。towanaさんに歌わせた段階で「勝ち」だと思います。

佐藤 そうそう。

towana 勝ち、って(笑)。

佐藤 他の細かいところの精度を上げれば基本的にはもう勝ち、みたいな(笑)。

yuxuki 良かったですよ、本当に。

towana ホント?

yuxuki 普通に歌がうまくなっていくと、やっぱり音程を正確にとかリズムに合わせなきゃっていう頭ができてくるんですけど、「歌」ってそれだけじゃないから。わざと崩せるとか、発想を柔軟にするという意味でも、たまにはラップもいいんじゃないかって思いました。

──いつもは考えて遊ぶfhánaが、ゆるく遊んでいる感じがします。

yuxuki そうですね。みんなが結構ゆるめな感じで(笑)。

──towanaさんが手応えを感じた瞬間は?

towana 私だけ最後までずーっと言っていました。「これ、ホントに商品として大丈夫なんですか」って。形になっているのかが自分ではわからないからずーっと周りに聞いていました。

──初めてだと、ここまでいけば合格、といったラインもわからないですよね。

towana わからないんですよ。だから、「初めての人がここまでできたんだからOKじゃない?」って言ってくれているだけなのかとも思っていて。個人的には今も「まだわからん」って感じです。

──実際リリースされて、反響も聞こえてくるかと思うのですが。

towana 全然聞いてないです。

kevin 反響はありますよ。

佐藤 あのー、反響、ありますよ。

towana あるらしいです(笑)。

──(笑)。

佐藤 「とわラップにメロメロだ」みたいな反響がたくさんありますよ。

kevin あと、疲れがとれるー!みたいなツイートがありましたよね。

towana 今、初めて知った(笑)。本当に「なんとかやった」って感じだったんですよ。

──もっと皆さんに褒めてもらって自信を持ってもらわないといけないですね。

towana いや、でも、wagaくんが「俺の曲でもやりたいっす」みたいになっていて、「どうしよう!」っていう感じがあります。ラップ曲が増えるんじゃないかという空気をひしひしと感じているんで。もっと勉強します。

──自分から「もっとラップを」「今回ラップにしてもいいんじゃない?」みたいな気持ちには?

towana いやー、それはまだちょっと。来たらやりますけど。自分からは言えないな(笑)。

──最後に、見えてきた次のアルバムについて。今シングルの3曲はアルバムを見据えて制作されたとのことですが、“Looking for the World Atlas Tour 2017”ツアー前には、ツアーを経ることでアルバムが見えてくるということを仰っていました。お話をお聞きしていると、ツアーで得たもっとも大きい部分は「聴き手を楽しませたい」という感覚が生まれたことのように感じました。むしろツアー前は、これまでのアルバム同様、「World」や「Atlas」といったコンセプトが先行するようなアルバムイメージだったのでしょうか? fhána流自分探しの旅の続きといいますか。

佐藤 自分探しっていうところももちろんあるんですけど、特に2ndアルバムはインナースペースがテーマだったと思うんですよね。いろいろともやもやしているものを自分も持っているし、多分みんなも感じている。でも、それがあってこその希望、みたいな話だったんですが、今はもっとすんなりと心が浄化される音楽を作って、「楽しんでもらいたい」という気持ちになったんですよね。ツアー前は、「World Atlasってそもそも何だ」みたいにふわっとしていて、ちゃんとつかめていなかったんですよ。でもツアーでそこをつかめた。今の世の中はどんどん便利になって、みんなが引きこもっている時代ですよね。音楽にしても、配信もあるしYouTubeもあるし、なんでもフラットに聴ける。でもみんな、いろんな音楽を聴くでもなく、居心地のいいところに引きこもっていきがちだったりする。世界全体が、自分だけがよければ、という感じで「引きこもっている」。そこへfhánaがWorld Atlasという地図を掲げて現れて、「楽しいよ!」ってみんなを引っ張り出してくるイメージはあります。アニソンを聴かない人に「アニソンもいいよ」、とか。逆にアニソンしか聴かない人に「アニソン以外にもいい音楽はいっぱいあるよ」、とか。音楽自体あまり聴かない人に「いや、音楽ってめっちゃいいんだよ」、とか。「そうやって引っ張り出してこれたらいいな」「みんながハッピーになったらいいな」という感覚をつかんだ気はしています。

──佐藤さんに締めの言葉をいただいた上で、今回はtowanaさんからもいただければと思うのですが。ツアー、シングル、アルバムというラインを総括するようなコメントで。

kevin ハードルあげましたね(笑)。

towana 今後も頑張って踊ります。

一同 (笑)。

──towanaさんがバッキバキなダンスで盛り上げる姿を期待していいということでしょうか?(笑)。

towanaa いや、ダメですよ。fhánaダンスがバッキバキになったらそれはfhánaじゃないと思うので。

──でもひとりだけすごく……。

towana キレッキレで?

──はい。ほかのメンバーが演奏で盛り上げている間奏部分で、towanaさんはかっこいいダンスで盛り上げるというのはアリだと思います。

towana いやいやいや。それ、面白いですかね。

佐藤 まあね。MONDO GROSSOのアルバム『何度でも美しく生まれ変わる』がすごく好きなんですけど、満島(ひかり)さんも踊っているしね。

towana 満島さんは元々そういう人じゃないですか。

──towanaさんもその域に。

towana えー、やだ(笑)。

──しかもラップもできる。

towana ダンスもできる?

──そのうえ、歌もうまいし。

towana ギターも弾く?(笑)

──(笑)。かつ、キュート。完璧ですね。

towana なんでそんなキュートを強調するんですか?(笑)

──佐藤さんが力強く「キュートな」って言っていたので。

towana なんか急に言いだしましたよね(笑)。初めて聞きましたよ。

佐藤 「ラップがかわいい」みたいに表現したくて。「あっ、『キュート』だ」って思いました(笑)。

towana 英訳しただけですね。

yuxukikevin (笑)。

──では、今後のfhánaでは「踊る」towanaさんにもっと会えるということで。

towana でも、頑張って踊りますって言ったのはダンスという意味だけじゃなくてもっと広い意味で。

──盛り上げるというか引っ張るというか。

towana そういうことです。ピエロになるじゃないですけど、「みんなと楽しむために」という意味です。

──みんなを「踊らせてやる」ということですね。

towana そうです。「踊り、踊らせ、みんなで踊ろうぜ」という。

佐藤 踊らにゃ損々。

towana ってことでいいですか?(笑)。

Interview&Text By 清水耕司(セブンデイズウォー)


●リリース情報
「Hello!My World!!」
8月2日発売」

【アーティスト盤】

品番:LACM-14627
価格:¥1,200+税

<CD>
01.Hello!My World!!
作詞:林 英樹 作曲:佐藤純一 編曲:fhána、A-bee
02.君の住む街
作詞:林 英樹 作曲:yuxuki waga 編曲:fhána
03.Hello!My World!! -Instrumental-
04.君の住む街 -Instrumental-

【アニメ盤】

品番:LACM-14628
価格:¥1,200+税
※描き下ろしアニメイラストジャケット仕様

<CD>
01.Hello!My World!!
02.reaching for the cities
作詞:林 英樹 作曲:kevin mitsunaga 編曲:fhána
03.Hello!My World!! -Instrumental-
04.reaching for the cities -Instrumental-

関連リンク

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP