INTERVIEW
2017.08.17
ボーダー柄の服のコンビが、サイコロ片手に“ノー・ボーダー”の精神でナイスな音楽を聴き歩く――。
「ボーダーズの“音の場”season2」第14回となる今回ふたりが降り立ったのは、恵比寿駅。駅のホームでも流れる「第三の男」をテレビCMに採用し、お茶の間に定着させた、ヱビスビール発祥の地として有名な土地です。なにやら楽しげな「ヱビスビール記念館」の話を聞いたふたりが、そこをめざさないはずはなく……。
――暑い中の撮影、お疲れさまでした。ボーダーズ第14回は猛暑の恵比寿からお届けします。
藤村鼓乃美 お疲れさまでした。暑かったー。
――おふたりは恵比寿という街にはどれぐらい馴染みがありますか?
北川勝利 恵比寿ってさ、山手線の駅に着くと……。
藤村 ああ、あのメロディー。
――「第三の男」ですね。
北川 その音楽と前田 吟がやってた板前が「へい!エビス!」っていうCMの……。
――お寿司乗っけるやつに乗せて持ってくるCMですよね。
北川 そうそう。駅にあったでっかい看板とかも覚えてたから、藤村に「エビスね、前田 吟のね」って言ったら「なんですかそれ?」って言われて。
藤村 ちょっとわからないです(笑)。見たらわかるかも。
北川 『渡る世間は鬼ばかり』に出てくる長女の旦那さんで、途中で商社を辞めて庭師になった人だよ。
――そんな役でしたっけ。
北川 長山藍子の旦那さん役で、いきなり脱サラして庭師の仕事を自分で始めるんだよ。
藤村 そこからビールを出すようになって?
北川 そこは同一人物じゃないから(笑)。恵比寿の駅に来ると「へい!エビス!」って前田 吟の声が聞こえるんだよ。
――駅で前田さんの声は流れてないですよね(笑)。でも一時期は駅貼りの大きい看板も前田さんでしたよね。
北川 そうそう。僕が恵比寿によく通う仕事をやってた時期があって、その頃がずっと前田吟のCMの時期だったはず。
藤村 何年ぐらい前ですか?
北川 えーいつだろう、少なくとも10年以上前だったと思う。
藤村 福岡でも放送してました?
北川 たぶん全国放送だったと思うけど……。
――調べたら1997年頃って出てきましたね。
北川 うわ、20年前じゃん。
藤村 私、まだ一桁歳ですよ。
北川 じゃあビールのCMにも興味ないか。
――でも結構長期間やってましたよね。
北川 97年頃からしばらくやってたはず。だから「第三の男」が流れてくると「へい!エビス!」っていう。
――あの前田吟さんの顔が浮かんでくるイメージだと(笑)。
北川 昔、ポリスターレコードっていうレーベルがあって、僕はリリースはしてなかったんだけどお仕事で関わってて。それで恵比寿に通ってたんだよ。
――じゃあお仕事での街だったんですね。
北川 そうですね。基本は仕事で通ってきて駅で「第三の男」を聴いて前田 吟を思い出してて。
――じゃあ撮影のときに話してた、花澤香菜さんのレコーディングのときも?
北川 あーそうそう!香菜ちゃんのレコーディングも、『25』の頃は週に2回とか恵比寿で録ってて、終わったら毎回同じ飲み屋さんに行くっていう。だからイメージはレコーディングとか仕事かな。
――藤村さんはいかがですか?
藤村 私も恵比寿で降りるのはいつも仕事のイメージですね。スタジオも多いですし、ラジオを録ることもあります。写真家の方のスタジオに行ったりとか。
――土地柄かスタジオは多いイメージですね。
北川 あと、24時間やってるダメな飲み屋さんがあって、あまり近付きたくないけど、どうしてもお店が無いときにはそこに行ってるね。
――最後の手段みたいな飲み屋ですね(笑)。
北川 いちばん最近行ったのは沖井礼二君とミト君とだったかな。最初ミト君と僕が飲んでて、沖井君を呼び出したんだけど、呼び出した僕らが電話に出ないから沖井君が探し回ってたっていう。僕がめずらしく酔っぱらって、同じことを延々言ってたっていうのを後から聞かされました。最近の恵比寿の思い出はそんな感じかな。
藤村 あ、最近なんですね(笑)。昔の話かと思ってた。
北川 去年ぐらいだね。あ、あと大きい思い出は、ROUND TABLE featuring Ninoが2003年に最初のアルバムを出した時に、リリースイベントでカフェライブみたいなのを何本かやって、千秋楽を恵比寿の会議室っていうか、大学の講堂みたいな会場でやったんだよね。そこではオケ音源とギターと鍵盤とパーカッションっていう編成だったんだけど、
藤村 そこはいわゆるライブハウスなんですか?
北川 ライブハウスっていうより、レコード会社とかが使うスタジオの横に、プレゼンとか発表会ができるような会議室がくっついたような場所。ステージと簡単な音響設備はあって、ライブ専用ってわけじゃないけどちょっとしたイベントとかは出来る感じ。そのライブがすごく良いライブでめちゃくちゃ盛り上がって、パーカッションの人が客席の間の通路を駆け上がって戻ってきたりするっていう伝説のライブで。
藤村 え、楽器を持ちながらですか?
北川 いや、ただ走り回るだけっていう(笑)。
――マッスルミュージカルみたいな感じで(笑)。
北川 そのパーカッションの人っていうのが今SOIL&”PIMP”SESSIONSでドラムを叩いてるみどりんなの(笑)。
――あー!そうなんですか!
藤村 みどりんさんならやりそう!
北川 当時はまだソイルも結成するかしないかの時期で、ROUND TABLEのサポートを何年もやってもらってたんだよ。
――そんな繋がりがあったんですね。
藤村 それ絶対楽しいライブじゃないですか。
北川 スタッフも後々まで「あれは良いライブだった」って言ってくれてて。終演後に駅の近くのボーリング場の地下にあったタイ料理屋さんで盛大に打ち上げをやった思い出があります。
――めっちゃ良いエピソードじゃないですか。
北川 でもそのライブやった会場も、ボーリング場ももう無くなっちゃったんだよね。
――あ、急に寂しくなってしまった……。でもそのライブは観たかったです。
北川 ほら、思い出はみんなの心の中にあるから。
藤村 なんで急に良いこと言い出したんですか(笑)。
――僕が『APRIL』を聴きまくってた頃にそんなライブをやってらしたんですね。
北川 マジか。2003年、リリースしてちょっとしてのライブだった。
藤村 思い出あるじゃないですか。
北川 頑張って思い出したから。今日はただビール飲んでただけじゃないから。
藤村 あ、言っちゃった(笑)。
――じゃあその話を回収するために今回の順路を思い出していきましょうか。まずは駅前の恵比寿様像。正直、僕は存在を全く認知してませんでした。
藤村 私もです。
北川 あそこが待ち合わせによく使われてるっていうのは知ってたから、何か像があるっていうのは認識してたけど、ちゃんと見たのは初めてだったかも。
――確かにちょっと渋谷のハチ公的ではありますね。そもそも恵比寿という地名がヱビスビールの工場が建てられたことから付けられたので、街が恵比寿様を祀るようになるのは土地の名前がついてからなんだそうです。そんな恵比寿様像の前で写真を撮った後は……。
北川 ライブハウスか。
――そうですね、LIQUIDROOMに行きました。都内でもかなり大きい部類のライブハウスです。ここはなんといってもボーダーズが出演歴のある場所ですから。
藤村 DJやりましたねー。北川さんが。
――2015年の9月でしたね。
藤村 たしか写真ありますよ。本番前の。
――これは……手に持ってるのは缶ビールに見えますが、本番前でこの有様ですか(笑)。
北川 飲み放題だったから。
――まあリスアニ!ナイトに出る方はだいたい酔っぱらってますからね(笑)。
藤村 楽しかったなぁ。
――おふたりの評判もとても良かったですよ。特に北川さんがDJしてる姿を見るのが初めてという方も多かったようで。
北川 ものすごく久しぶりにやったからね。でもあの時はひたすら自分が関係した曲をかけるっていう。この連載の通りの感じだった。
藤村 私は真横で踊ってるだけでしたけど(笑)。
北川 いや、あれは必要な役目だよ。
――クラブイベントにおいては盛り上げ役は重要ですからね。
藤村 ただのファンがめっちゃ踊ってるだけじゃなかったんだ(笑)。
北川 でもちゃんと歌ったじゃん。
藤村 歌いました、サマバケを。次はいつかな?
――僕もまた見たいので、ぜひここで主張しておいてください。
北川 次は藤村がDJやりなよ。俺踊ってるから。
藤村 北川さんの横ではやりづらいなぁ(笑)。
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