INTERVIEW
2017.08.17
――その後は南下していって、お昼食べましたね。有名店ですが「チャモロ」というお店のオムライスを食べました。
藤村 おいしかったですね。ほんとにおいしかった。
北川 あの道なんて何度も歩いてるのに、入口が全然目に入ってなかったな。
――細い階段を降りた地下1階のお店なので、普通に通ると見過ごしてしまいそうですね。でも味は折り紙付きなので、皆さんも恵比寿に寄った際にはぜひ行ってみてください。
北川 よくよく見ないと階段を見過ごすので探してください。
――そして次が恵比寿神社。不思議な立地の神社でしたね。
北川 「わー初めて来たー」って言いながらちょっと右を見たら「あれっ、この水炊き屋さん来たことある」って。よく通ってる道のほんの1本裏で、そっち側に立ったら「ああ、この景色見たことあるわ」って(笑)。
――十字路のど真ん中にいきなり神社があって、ちょっとジブリ感ありましたね。そこで恒例のお参りをしまして、次が今回の目的地と言ってもいいでしょう、恵比寿ガーデンプレイスに行きました。
北川 ここのホールで何回かライブを観た記憶はあるけど、ガーデンプレイス自体がどうなってるのかは全然知らなかった。
――今日の本題ともいえる、ヱビスビール記念館に行きまして。
藤村 今日はそのために来たようなもんですから。
北川 天気もビール日和だったな。
藤村 うってつけでしたね。
北川 大学のジャズ研の後輩たちがよく「恵比寿にビール飲みに行った」って言ってて。それがこのヱビスビール記念館のことで、ずっと誘われてたんだけど行けてなくて。
藤村 じゃあ今日が初ですか?
北川 今日が初めてだった。後輩は「プロがその場で注いでくれるから超美味いんですよ」って言ってて、止められるまで飲むらしくて。
藤村 いやおいしかったですよ。3種類飲み比べセットを頼んだんですけど、全部美味しかった。
――普通のヱビスビールと、琥珀ヱビスと黒でしたね。
藤村 当たり前ですけど、缶とは全然違うんだなって思いました。
――泡のキメが自分で注いた時より遙かに細かかったですね。
北川 飲み屋さんとかでも、注ぐ人によって味は全然変わるっていうよね。
――注ぎ方で苦みを調節すると聞きますね。
北川 銀座とかの店の上手な人は、「あの人にビール注いでもらいたい」っていう指名があるっていうし。
藤村 たまに覆面的な感じで、お客さんを装って判定員が飲みに行って審査したりするらしいですよ。
――じゃあ下手だったら降格とかあるんですかね。
北川 逆に超上手い人には黒帯とか授けられてたりするのかな。
――なんで突然和風になるんですか(笑)。
北川 「十段超える人のビールはやっぱ違うな!」みたいな。そういえば広島の話なんだけど、1人2杯までしか飲ませてくれないビールのお店があるって聞いたことある。そこはお客に合ったビールの注ぎ方をするらしくて「1軒目に2杯だけ飲んでください」っていう感じのお店なんだって。
――味が分からない状態の人はだめってことなんですね。
北川 ビールが苦手っていう人には、時間をかけて注いで苦くなくするとか。紹介記事を読んで、いつかその2杯を飲んでみたいなって思ってるんだよね。あとさっきの銀座の人のビールも飲んでみたいし、いろんな味を比べてみたいね。
藤村 ビールって奥が深いんですね。
北川 藤村もビール先生(渋谷篇参照)に散々講義を受けてるじゃん。
藤村 ビール先生には「種類がいっぱいあるよ」ってとこを教わっただけなんです。注ぎ方に技術があるっていうのはぼんやりとしか知らなくて。
北川 ちゃんとしてないライブハウスとかの美味しくないビールは技術以前の問題もあるよね。
――サーバーの掃除をしてないところもありますからね。
北川 あれ掃除してないとすぐ分かるよね。飲み屋さんでも差があるからね。
――生ビールを飲んでるはずなのに酸っぱいときとかありますね。
北川 最初にビール飲んでおいしいと得した気持ちになるね。大きいジョッキもいいけど、小さい薄いグラスもいいよね。新潟だったと思うんだけど、お土産屋さんにビール用のいろんなグラスが売ってて、冷たさを保つ特殊な金属製のとか、1万円以上するやつもあって、一口に器っていってもいろいろだなって思った。
――ガラスの厚さでも味が変わるって言いますからね。
藤村 ワイングラスも形や薄さで風味が変わりますし、似たようなものなんですかね。
北川 瀬戸物っぽいタンブラーもあるじゃない。あれがあんまりピンとこなかったんだよね。
――陶器のタンブラーはビールの泡立ちが良くなる特徴があるそうで、一時期流行りましたね。
北川 薄いグラスがいちばん合ってる気がした。それか凍ったでっかいジョッキ。
――いいですね。凍ったジョッキはビアガーデンが思い浮かばれますね。
藤村 いいなぁビアガーデン……。
――というわけでビールを飲み散らかしていい気分になったところで、恵比寿の選曲を聴いていきましょう。
藤村 そうだ、そういう連載でしたね。
北川 すっかり忘れてた。
――もはや全員が企画の趣旨を忘れつつありますけど、これはそういう連載なのでよろしくお願いします。
藤村 ビール飲んで楽しくなっちゃって(笑)。
北川 そこまで飲んではいないじゃん(笑)。
――もうみんな「次はどんな美味しいもの食べようかな」って気もそぞろですが、では藤村さんから。
★藤村’s Select
中納良恵「ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」
藤村 『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』っていう映画の主題歌です。EGO-WRAPPIN’の中納良恵さんが歌ってるんです。
北川 さっきの流れから「第三の男」が来るのかと思って「へい!エビス!」って言おうかと構えてたのに。
――恵比寿でこの曲を選んだ理由というのは?
藤村 ガーデンプレイスに映画館があるんですけど、すごい台風が来た日にどうしても映画が観たくて、ここまで来たんですよ。当たり前ですけど人は全くいなくて(笑)。そこで観たのがこの「ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」で、とても良い兄妹愛のお話だったんですよ。映画館自体もすごく素敵で。
北川 行ったことないなぁ。
藤村 そこで食べたケーキもおいしくて。
北川 え、台風の日にはケーキくれるの?
藤村 そんなサービスはないです(笑)。さっきお昼食べながらあんなに映画の話したじゃないですか。
北川 あれはカメラマンさんが「映画館で泣きたくないんです」っていうから(笑)。
藤村 私たちめっちゃ泣きますよっていう話をね(笑)。
――ちなみにこれは最近の作品なんですか?
藤村 去年ぐらいだったと思います。感動できる話なのでぜひ観てください。さっき北川さんが話してたやつも観ますから。
北川 なんだっけ……あ、『レナードの朝』だ。図書館の大きい部屋で30人ぐらいで観たときに、あるシーンでその場の全員が泣きそうなのをこらえてたんだけど、ついにひとりが泣いちゃったのをきっかけに、みんなで一斉に号泣したっていう話をしてて。
藤村 私たちは「わかるー!」って言ってたんですが、カメラマンさんは「例えそんな状況でも泣きたくない!」って言ってて(笑)。
北川 「泣いちゃったら映画終わった後どうするんですか?」って聞かれて……。
藤村 せっかくお金払ってるんだし「いい映画観たなー!」でいいじゃないですかって(笑)。
北川 みなさんも『レナードの朝』を観てください。
藤村 『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』も観てください!
――なぜボーダーズの映画話はここまで盛り上がるのか(笑)。
藤村 『シング・ストリート』は観てくれたじゃないですか。(有楽町篇参照)
北川 あれはバンドとイギリスっていうテーマが当時やってた仕事のヒントになるかなって思って。80年代~90年代のイギリスで何かヒントになれば儲けものかなと思って。
藤村 私も『ザ・コミットメンツ』は観ましたよ。
北川 アイルランドでソウルバンドを組むやつね。
藤村 出てくる人みんながどうしようもない感じ、いいですよね。
北川 歌はソウルフルなんだけど、普段はダメな感じがいい。
――さっきも「ダメなやつが一瞬頑張って何かを得る瞬間に泣ける」って話してましたね(笑)。
北川 おじさんが頑張ってる姿で泣けるんだよって。
藤村 若い頃には分からないけど、大人になればなるほど染みてくるって(笑)。
――では北川さんの選曲も聴きましょう。
藤村 北川さんの宣伝を。
――宣伝って言っちゃった(笑)。
★北川’s Select
ROUND TABLE feat.Dan「Lose Your Way」
北川 今年の始めぐらいに『Fate/Grand Order』のCM曲として流れて、フルサイズがつい最近ダウンロードで始まった曲です。
――あ、ダウンロードのみなんですか。
北川 そうそう、しかもこれたしか、iTunesのランキングの総合1位を取ったんだよ。
――僕はこの曲を最初に聴いてびっくりしたんです。ROUND TABLE名義の楽曲ってめちゃくちゃ久しぶりじゃないですか。
北川 そうなんだよ。曲を作りながら、誰に歌ってもらったらいいかな?って何人か候補を探してて。その中に宮川 弾くんがいたんだよ。最近は花澤香菜ちゃんの曲とかでも一緒に仕事をしてるんだけど、弾くんが出してくる香菜ちゃんのデモ曲は彼が自分で歌ってたの。それでたまたまタイミングとかもあって、「ボソボソしたクールな感じの歌がいいんだけど、弾くんとかどう?」ってスタッフに聞いたら「あ、いいんじゃないですか?」って軽くOKが出て。それで本人に「歌詞もまだないんだけど、作詞してついでに歌ってくれない?」ってオファーしたら「いいよー」って。
――何もかもが軽い感じですね(笑)。
北川 で、「北川と宮川」っていう名前で提出したら「ちょっとそれは……」って(笑)。CMとかでクレジットが出る時に、『Fate』の世界観に対してあまりにもファンシーだから別の名前にしてって言われて、それでROUND TABLEで最近フィーチャリングもやってないし、お互いの名前も入ってるからこれでいいか、って。
――それで総合1位取っちゃうんですか(笑)。
藤村 北川さんが歌ってるー!って驚きましたよ。
北川 弾くんとはROUND TABLE featuring Ninoの「Let Me Be With You」で弦アレンジをやってもらってからの付き合いで、そこから香菜ちゃんの曲に参加してもらって、今回は歌ってもらってっていう繋がりで、なんかちょっとグッとくるよね。
藤村 もちろん恵比寿とは……。
北川 関係ないよね(笑)。最近出た曲だからという理由で。
――まあでも正直今回は久しぶりに北川さんの歌が聴けたということで、僕は許してしまいそうです。
北川 まさか自分の曲がiTunesの1位に表示されるなんて思ってなかったからね。そのときは2位がSEKAI NO OWARIとかだったはず。
――『Fate/Grand Order』の新宿編のPVが話題になったときに見てみたらROUND TABLEって名前が出てきて、でも歌声が男性なので「これ北川さんが歌ってるの!?」って驚きました。
北川 弾くんと半分ずつぐらいで歌ってるね。今のところフルサイズはダウンロード配信だけなので、よろしければ是非!
――という恵比寿の選曲でした。じゃあ次回の駅を決めましょうか。
藤村 はーい。
――「20」なので次回は「東京」ですね。ちょうど折り返しの回で東京駅とは、何か縁起がいい気がしてきましたよ。
北川 東京駅って何があるかな……いろんな駅弁しか思い浮かばない。
――写真映えしないなぁー。
藤村 お弁当のカタログみたいになりますよ。
北川 あとお菓子のひよ子じゃない?
藤村 いやいや、ひよ子は福岡発祥ですから!
北川 じゃあ鳩サブレー?
――鳩サブレーは鎌倉銘菓なので東京駅感は薄いですね……。
北川 どんどん手が封じられていく(笑)。
――意外と無策な東京駅、どんな感じになるのでしょうか。次回をお楽しみに!
PHOTOGRAPHY BY 山本哲也
INTERVIEW & TEXT BY 市川太一(クリエンタ/学園祭学園)
●今回のSelect Song
★北川’s Select
『Fate/Grand Order』より、ROUND TABLE feat.Dan「Lose Your Way」
★藤村’s Select
映画『「ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』より、中納良恵「ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」
●リリース情報
ROUND TABLE feat.Dan
「Lose Your Way」
配信中
【iTunes】
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