INTERVIEW
2017.06.01
ボーダー柄の服のコンビが、サイコロ片手に“ノー・ボーダー”の精神でナイスな音楽を聴き歩く――。
「ボーダーズの“音の場”season2」第13回となる今回、サイコロに導かれてやって来たのは駒込駅。「春の内にお花見がしたい」というおふたりの希望もあって、公園や庭園を中心に見て周ることになりました。ところが取材当日はあいにくの空模様。そんな中で北川さんは、意外なものへの興味が芽生えたようで……?
――今回のボーダーズは駒込に来ております。お花見を目的に、公園や庭を周りましたね。まずはソメイヨシノ発祥の地とされる染井吉野桜記念公園に行きましたが、あいにくの大雨で……。
北川勝利 でも桜の時期は短いからね。今日を逃したら来年になってしまうぞ、ということで取材を決行しました。
藤村鼓乃美 ピンポイントで雨が降る寒い日でしたね(笑)。雨の中、あんなにきれいに桜の写真が撮れるなんてマジックですよね。
――カメラマンさんの腕ですね。この記事と一緒に掲載されている写真は、かなりいい感じに撮れているんじゃないでしょうか。
藤村 「雨など関係ない!」っていうプロの腕に感動しました。
北川 今日行った庭と公園、ずっと石畳を踏んで歩いてるところしか覚えてない(笑)。
――北川さんもいろいろと写真を撮られてましたね。
藤村 特に取材と関係ないものばっかり撮ってましたよね、北川さん。うさぎの最中(もなか)とか。
北川 うーん、写真を見返しても何も思い出せない……。とにかくすごく寒かった。最初は駅を降りてすぐの広場に行ったけど、何か不思議な場所だったね。
――それが染井吉野桜記念公園ですね。もとは駐輪場だったそうですが、駅前の整備の際に駐輪場は地下になり、地上は公園になったそうです。あの辺りに染井村という村が昔あって、そこでソメイヨシノができて、後に桜の記念公園にしたとのことです。「あの辺り」というだけで、別にあの場所でソメイヨシノができた訳ではないみたいですね。
北川 あそこに生えていた木が最初のソメイヨシノです、みたいなことじゃなかったんだ。
――ソメイヨシノは交配して作られた園芸品種なので、接ぎ木などで増える品種で種では増えないんです。今世界中にあるソメイヨシノは、全部元はひとつなんですよ。だから病気が発生すると、耐性がないので同じ病気で全部やられてしまいます。バナナと同じですね。
北川 え、どういうこと?枝を切って?
藤村 クローンみたいなことですか?
――そうですね。木を切ってそれを他の桜に接ぎ木すると、ソメイヨシノになるんです。例えばエドヒガンの桜があって、それに接ぎ木をすればそこから上がソメイヨシノになるんですよ。
北川 へえー!
藤村 その木はエドヒガンじゃなくなっちゃうんですか!?
――ソメイヨシノはエドヒガンとオオシマザクラの雑種なので、子の性質が出てきてと花弁がソメイヨシノのものになるんですよ。
北川 すげえ……。さらっと出てきた、バナナの話はどういうことなんですか?
――フィリピンにあるバナナは、全て同じ木からできているんです。人間が美味しいと思うバナナを接ぎ木で増やしているんですよ。だから桜もバナナも、木の寿命的にそろそろ全部枯れるんじゃないかと言われています。そうするとバナナが食べられなくなるんじゃないかと。
藤村 私、バナナ得意じゃないから大丈夫です!
北川 おい!(笑)。そういう問題じゃないでしょ。確かにうちの近所に緑道があるんだけど、そこは年々桜の木が減っていってる。細いやつを植えてるところもあるけど、古い木は皆同じくらいの大きさだから寿命も同じくらいで尽きるのかなあ。
――同じタイミングで植えた桜は同じタイミングで老木になるので、そろそろ危険な時期みたいですね。成木を植え替えるのはコストがかかるので、植えるならまた苗木から育てる必要があるんですよ。それとソメイヨシノは一応実がなるそうですが、その実から発芽することは無いそうです。
北川 そうなんだ。枝を切って植えても桜にはならないし……。
――種では増やせないですからね。
北川 じゃあどうすんのさ!(笑)。
――だから永遠にクローンを作っていくしかないんですよ(笑)。
藤村 大変だ。元の木は死ねないですね。
北川 今新しく作れば先延ばしにはできるってこと?
――途中まで生えている桜に接ぎ木をすれば、若い桜を作ることは可能です。でも老木を抜いて植え替えるのは、コスト的にも難しい。とはいえどこかで植え替えのタイミングを作らないと、いつかは枯れてしまいます。靖国神社の桜も戦後に奉納されたものがたくさんあります。染井吉野は30年くらいで最も花が咲くそうですから盛りは過ぎていますが、若木を補充したり、手入れをしたりして維持しているそうです。
藤村 ただお酒が飲みたくて「花見だー」って桜の下に集まってるのが申し訳なくなりますね……。来年のお花見のときは「お前たちも苦労してるんだな」って思いながら桜を見ます。
北川 全員お金を払ったほうが良いよね。桜を見たら「はい2000円」みたいな感じで。
藤村 「どうせ汚して帰るんだろ!?」って(笑)。
――桜の妖精おじさんが現れて「わしは桜の精だ、2000円くれ」と。
藤村 ただの怪しい人じゃないですか(笑)。
――戦争の後は一帯が焼け野原だったので、植樹ブームがあったんですよ。日比谷公園も戦時中はじゃがいも畑にされていたんですけど、戦後、現在の形に整備されました。
北川 桜って違う種類もたくさんあるんですか?
――ありますよ。例えばヤマザクラとか……。
藤村 北川さんがすっかり桜おじさんに(笑)。
北川 そういうのは種で増やせるんですか?
――さくらんぼができるものに関しては種があります。
北川 それをもう、植えよう。
藤村 北川桜だ(笑)。
――種を農業試験場などに植えて、苗木ができたらソメイヨシノを接ぎ木していけば新しいソメイヨシノが作れますよ。
北川 お金を払って植えられるんだったら、植えたい。それで30年後くらいに見頃になったら、すげぇプレートをつける。
藤村 最初のうちにプレートをつけたら、伸びるのに合わせて上の方に上がっていくんじゃないですか?
北川 それじゃ見えないじゃん。来た人にアピールしたい。「これは北川が植えました」って(笑)。
――「私が植えました」と書いて、苗木を持った北川さんの写真を添えましょう。
北川 苗木にじょうろで水をあげてる写真とかね(笑)。
藤村 私も写っていいですか?ボーダーズ桜にしましょうよ。
――緑の募金など、募金や植樹を受け付けているところは結構あります。また、寄贈者の銘板を設置してくれるところもありますのでできなくはないと思いますよ。桜かどうかはわからないので、ボーダーズ杉になってしまうかもしれませんが。
北川 街路樹とか?あれは計画通りにやってるのか。
――そうですね。街路樹は都市計画に含まれます。記念植樹によっては子供が生まれたときに植えてくれるところもあるようですよ。
北川 外国で「寄付で公園にベンチを」みたいな話をよく聞きますけど、寄贈ってことで木も植えられるのかあ。桜の木植えたい。俺が植えましたってアピールしたい。でも苗木から見頃までが30年後ってのは、自分では見れないかも(笑)。
――20歳くらいで植えないと、見頃までは中々難しそうですね。
北川 でも良いですよ。夢ですよこれは。100歳で自分の植えた桜を見るっていう。
――花を見るだけであれば、30年もかからずに見られるとは思えますよ。
北川 なんか良い感じに早く育てる方法とかないかなあ。
藤村 「なんか良い感じに」とか言ってる時点で自意識ゼロじゃないですか(笑)。
――今調べたところ、順調にいけば3年で2mくらいまでは育つそうです。その年からは花が見られるみたいですね。
藤村 わ、すごい!いつやりますか?
北川 全然植えたい。でもちゃんと植えていいところじゃなきゃ駄目だよね。
――どこでも良い訳じゃないですからね。
藤村 山手線沿線にありますかね?
北川 枯れちゃった緑道に何か植えたいなあ。どんどん歯抜けになってたり、枯れて幹だけになっちゃってるところとかあるし。穴が空いたところを塞いであったり、可哀相な状態のまんま駄目になってることが多いんだよね。しばらくしたらなくなって、雑にアスファルトで埋められてたりするし(笑)。そこ掘って植えたい。
――例えば表参道の並木は、戦争が終わった後に近隣の住民が手弁当で植えたんですよ。
北川 へー、良い話だ。
――イルミネーションが流行った時に、樹木が傷付いてどんどん枯れてしまったんです。それで住民の反対があって、今はイルミネーションは別の場所に移りましたね。表参道でイルミネーションをやらなくなったのはそういう経緯があるんです。
北川 それはだって、許されないよね。
藤村 北川さんの木に対する興味がすごい。私の話は全然聞いてくれないのに(笑)。
――今日は林業の人みたいですね(笑)。
北川 木を植える件は本当にちゃんと調べてみよう。すごくお金がかかる場合、皆さんからちょっとずつ徴収します。
――わかりました。ボーダーズで森林保護活動をしていきましょう。
藤村 ちゃんとパネルに参加させてくださいね。
北川 それは考えます。投資額によって考えます(笑)。結構お金かかるんじゃないかなあ。
藤村 かかりそうですね。クラウドなんとかで集めましょうか。
――北川勝利基金を立ち上げる必要がありますね。
北川 桜を植えたい。本当に興味が出てきた。
藤村 まだ最初の公園の話から全く動いてないんですけど……(笑)。
――では先に進みますか(笑)。続いては六義園に行きました。
藤村 しだれ桜がありましたね。
北川 ほぼ葉桜だったけど。
――あれがエドヒガンなんですよ。しだれ桜という種は無くて枝が垂れているものがしだれ桜と呼ばれます。お彼岸の頃なので、3月の終わりくらいに満開になる種類ですね。
北川 全然遅かったんだね。まるで何も咲いてなかった。
――ほぼ出がらしみたいでした。
藤村 言い方(笑)
北川 おい!(笑)。
――すみません(笑)。北川さん、今日は林業側の立ち位置ですね。
北川 とはいえ雨と平日っていうので、人が全然いなかったね。それはそれで雰囲気が良いよねとは言っていたけど……寒かった。
藤村 晴れた日にも行ってみたいなと思いました。
北川 そうそう。道が悪いので一列になって進んでいて、前の方から「でも、晴れた日に来たら気持ち良いと思うよ」、後ろからも「でも、晴れたらすごく良いと思うよ」って前後から同時に言われて、なんだこれって思った。今日が駄目ってことかよって(笑)。
藤村 みんな思うことは一緒ですね(笑)。
――さらに言うと、六義園は5~6月が見所なんですよ。
藤村 あ、ツツジが有名なんですよね。あとはお茶屋さんで抹茶も飲みました。「お菓子を食べてから抹茶を飲むと良いよ」と言われて試してみたら、本当に私の知っているお茶の味になりました。
北川 最初薄かったんだよね。
藤村 抹茶ってこんなんだっけと思っていたんですけど、お菓子の甘さが必要だったんですね。
――バランスを考えて作られているんですね。
藤村 最初は「緑の液体を飲んでいる」っていう感じでした。……今日、全体的に文句しか言ってない気が(笑)。
北川 でも池の中とか、良い感じになってた。1ヶ所ほら、石の橋があって……。
――渡月橋ですかね。
北川 そうそう。「絶対誰か落ちるよね」って話してたら、普通に近くに浮き輪が救命具として置いてあって「だろうね」って(笑)。
藤村特に今日とかは滑りやすそうですしね。
――振り返ったら人が消えてたらショッキングですよね。高低差30cmくらいの小さいものですが、滝もありました。
北川 足元が悪いからなるべく石の上だけを歩いて、四角とひし形みたいなやつが交互にあるんだけど、ずっともうそこしか見てなかった(笑)。
――周りを見る余裕がなかったですね。
藤村 だって石以外は水たまりですからね。
北川 ずっと石見てたなあ。
藤村 京都の鴨川みたいでしたね。
北川 そんな石を見て、ほとんど公園が終わっちゃいました。
藤村 下ばっかり見て……(笑)。
――気が付いたら出口という。北川さんは出口のフレーベル館を夢中で撮影していましたね。
北川 あー、そうそう!アンパンマンがいたじゃないですか。前もアンパンマンとカレーパンマンをどこかで見たじゃない。
――あれは新橋ですね。日テレの前に着ぐるみがいました。
藤村 写真を撮りながら追いかけていったやつだ(笑)。
北川 上からアンパンマンとカレーパンマンがエレベーターで降りて行くのを見た(笑)。そんなこともあったので、アンパンマンは撮っておかないと。あそこは出版社?
――フレーベル館はアンパンマンの絵本など、児童書を出版している出版社ですね。そして次に行ったのがまた庭で、旧古河庭園。どちらも都営なので、共通入場券がありましたね。六義園は江戸時代の大名、柳沢吉保の庭と下屋敷だったものを岩崎弥太郎が譲りうけて、それを子孫が都に寄付したそうです。
藤村 旧古河庭園も見事にバラがまだ咲いていませんでした。
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