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REPORT

2017.05.09

バースデーツアーの締めくくりから始まる、新しい1年。 “Pile Birthday Party !!! 2017 ~Tailwinds Rockin’ Night Live~”レポート!

バースデーツアーの締めくくりから始まる、新しい1年。 “Pile Birthday Party !!! 2017 ~Tailwinds Rockin’ Night Live~”レポート!

5月2日、舞浜アンフィシアターにて“Pile Birthday Party !!! 2017 in 舞浜アンフィシアター ぱいちゃん祝うぞ誕生祭! ~Tailwinds Rockin’ Night Live~”が開催。自身の誕生日当日ということもあり、あらたな1年のスタートにふさわしい充実のライブとなった。

開演前にPileのイメージカラー・ピンクに染まっていたステージは、定刻を迎えると次々と色を変えるサーチライトやミラーボールに照らされ、最後には青に包まれる。するとモニターに映し出されたPileが「VENGEANCE」の冒頭1フレーズを歌唱し、リフトUPでステージ上に登場。「舞浜行くよー!」のシャウトとともに、ステージを本格スタートさせる。1曲目から鋭さのある歌声には、この曲らしい太さや荒々しさもプラス。そのうえ1サビラスト最高点や2サビ締めのロングトーンも伸びやかで、その歌声はこの日の絶好調さを表すよう。間奏では「みんなー!楽しんでってねー!」と改めてエールを送りつつ、力強くかっ飛ばしきる。そのまま引き続き、「チェックメイト」でもステージ中央にすっくと立ち、力強い歌声を響かせる。観客も、サビのコールをバッチリキメて揃えて彼女を後押し。その声を感じようとしたのか、Pileも間奏では様々な方向を向いていたように感じた。さらに続く「ヒカリフライト」では、スッと飛んでいくような飛翔感のある歌声で楽曲をさらに活かしつつ、2コーラスでは円形のセンターステージへと移動。この日最初の観客との最接近を果たすと、改めて「いくよー!」と引っ張っていった。

その場所での彼女からの挨拶では、29歳の初ライブを「2日の夜は、皆さんを休ませるセトリではないので、盛り上がってってください!」と宣言。思いっきり楽しみにしてきた観客に向けての、堂々たる宣戦布告だ。するとPileはメインステージに戻り、「FLY」からライブを再開。歌詞通り、迷いから自力で抜け出そうとするかのような芯のある強い歌声ではあるものの、ここまで3曲よりもテンポが少々遅めな分、細かなビブラートを活かして深く情感を込めていく。続く「Heroic Philia」もメロディラインに中音域が多いため、ビブラートを思いきり映えさせられる1曲となったのだが、その歌声は少し激しさを取り戻した厚みのあるバンドサウンドにも、まったく引けを取らないものだ。そうして徐々にギアを上げていった歌声は、「Melody」の頭サビ明けに一気に爆発。この曲でもセンターステージに出て振付も合わせて披露していくPileは、ただ距離を詰めるだけでなく歌詞に合わせて観客を指差したり間奏でステージからマイクを向けて「もっと!」と煽ったりと、どんどん場内のボルテージを高めていく。最後にその中央でバシッとポーズを決めると、そのまま「素晴らしきSekai」へ移行。この日のステージ全体を通しても感じられたことなのだが、特にこの曲ではCD音源以上の力強い歌声が目立つ。この曲でも描かれた“険しくも恋しい山”を「Melody」からの羽ばたきで越えていかんとするように、それぞれのフレーズを強くもていねいに歌っていく。

ここまで4曲“休ませない”楽曲を続けてきたPile。しかしそのステージ上での歌声にバテが一切出ていなかったのは、驚くべきポイントだ。曲明けにはともに盛り上がってきた観客も気遣いつつ、「Heroic Philia」も提供したしほり楽曲の難易度の高さにも触れ、昔一度ボツになったことがある歌い切れなかったというこの曲を最新アルバム『Tailwind(s)』に収録できた喜びも語っていた。

そんなMCのあとにも、しほり提供曲が続く。まず、同じく『Tailwind(s)』に収録された「Vivid Vision」は、これまでのどの曲よりもエグいと感じられるほどの高音がサビの中盤~後半に待ち構える楽曲。しかしPileはそこを突き抜けていくように極力地声で歌い、その他の部分もファルセットも織り交ぜつつ歌いこなしていく。その一方で、難易度激高な楽曲を力一杯歌っているはずの彼女の表情がどこか楽しそうに見えたのも、深く印象に残った1曲だった。さらにもう1曲、「キミがくれたKISEKI」もしほり作曲楽曲。Aメロを少し抑えめに入り、そこからクレッシェンドでサビに向かっていく流れもまた美しい。そのサビで彼女が突き上げる右手に、観客のハートも突き動かされていく。
気づけばキラーチューンばかりが並ぶゾーンへと突入していたこのライブは、中盤のクライマックスを「ドリームトリガー」で迎える。スモークが噴射されてその迫力の度合をましたステージ上において、サビを中心に引き続き強さを見せつけながらも、サビ前の一旦サウンドが静まる部分では、彼女のきらめくような歌声の個性が活き、ただアガるだけの曲にとどめていない。そんな文句なしのキラーチューンで観客のボルテージをさらに引き上げると、ラスサビはセンターステージの中心で堂々と歌いきってみせた。

3曲続けて攻めまくりのナンバーを撃ち込んでくれたPile。だがここで、本編が残り2曲せであること、そして次の曲がライブ終盤の定番曲「P.S.ありがとう…」であることが、それぞれ告げられる。そしてそれに続いて、「自分のことを知ってもらえる大きなきっかけになった、とても大切な時間を忘れたくないので(Pile)」、ラスサビでいつも通り“あの”9色を思い思いに光らせてほしいとのお願いも。そして「(12月2日にワンマンライブを開催する)武道館で、めっちゃいっぱいの人でキラキラさせたい!」との夢を語り、温かさを前面に出して歌っていく。そして例のラスサビで、ピンク一色だった客席はパッと9色に変化。その部分の直前まで目をつぶっている、と公言したPileの目には、その光の海はどのように映ったのだろうか。最後のフレーズを歌いながら、ゆっくりじっくり客席を見回した姿からは、この日の景色もまたひとつ新しい大切な思い出になったように感じられた。そして、『Tailwind(s)』において立ち位置の近い「ROAD」が本編ラストナンバー。観客みんなと目を合わせるように視線を移しながら、最後まで鋭く突き抜ける“らしさ”満載の歌声で歌いきり、最後には笑顔で観客とコールを掛け合っていた。

そこからすぐさまアンコールの声が上がると、モニターには某アプリ風の“pistagram”のウィンドウと、その枠内にステージの模様が映し出される。“いいね!”の数が816となっていたのも、細かすぎるこだわりだ。
さて、この日のアンコールは事前に案内されていたように、全観客が携帯電話・スマホでのステージ撮影OK。加えて“俺だって記者席”はその他のカメラでの撮影も許可されていた。「私のことを応援してくれてるだけで“追い風さん”ですから、どういう応援の仕方でも、OKです!」と、撮影の有無にかかわらずファンを尊重する意志を示しつつ、「今日のメモリーが、今日この場に一緒にいたことが素敵な思い出だったと立証するデータになるよう頑張るので、よろしくお願いします!」と、最高のステージにするよう意気込んでから、「花と翼」からライブ再開。スーッとしながらも要所には力強さをたたえた歌声で、その意気込み通りどこをどう切り取られても文句を言わせないような、圧巻のパフォーマンスをまたもぶちかましてくれる。続く「816 not found」ではさらに追い風さんに近い、センターステージにて熱唱。近い距離でデジタル寄りな攻め曲を表情までキリッとキメて歌う、より迫力のある姿を残せた観客も多かったのではないだろうか。

曲明けのMCで“筋肉痛の人”と“明日筋肉痛になりそうな人”に挙手させたPileは、「よっしゃー、全員筋肉痛にさせてやるー!」と今一度エンジンを吹かし、「⇒ NEXT WORLD ⇒」では再度フルスロットルに。それを受けた観客は、サビラストの「⇒ NEXT WORLD ⇒!」をカウンターのようにこだまさせる。それをさらに吹き荒ばせようとPileもさらに力強く客席を煽り続け、最後には今一度客席にマイクを向ける。観客から、その委ねたラストのフレーズが大歓声として返ってくると、その声に包まれたPileは、「サイコー!」とのシャウトにシンプルに自らの快感を乗せ、その瞬間の想いを伝えてくれた。そしてそのまま「一歩先へ」で、シンセが主軸のサウンドとともに最後まで突っ走る。これほどまでに密度の濃いライブにも関わらず、ここに来てなおロングトーンで声に疲れが見えない部分は驚異的ですらあり、それがまた会場を沸かせボルテージを上げる……との好循環が続きに続いたまま、アンコールの全楽曲も終了。Pileはステージをあとにする。

しかしここで、バンドメンバーはステージを降りずに残ったまま。それを見た観客からは、すかさず「もう一回!」の声が上がる。そしてバンドメンバーのプレイがその声を揃えていき、会場全体に呼ばれるような形でPileが再々登場。同時に後方のスクリーンに「特報!」との文字が躍り、シングルリリースやファンミーティングの情報が紹介されていく。その報告ができることを喜びつつ、Pileは「こうやってみんなに出会えたことは、とても大切な奇跡だし宝物です!」と感謝の気持ちを口にし始める。「私のほうを必死に見て応援してくれているみんなの顔を見ていたら、みんなのここに来るまでのたくさんの時間をもらってここに立っているんだな、ということを実感しました。その時間を、一人ひとりに今日は返せたかな?」とファンに問いかける。「受け取ったよ!」と言わんばかりの歓声が起こると、「またみんなの時間をもらいに行けるように、もっともっと頑張りますのでよろしくお願いします!」と改めて宣言。そして武道館ワンマンへ向けて「12月2日、めっちゃ大きい追い風で、でっかいマストを進めましょう!」と呼びかけ、Wアンコールとして「DASH」を披露する。
最新アルバムの幕開けを飾るナンバーを、サウンドにも、そして青に染まった客席にも似合う爽快な歌声で、さらに彩っていく彼女。そのバックには、事前募集に集まった追い風さんが、歌詞のボードを掲げた写真が映し出されるスライドショーが流れる。しかも、サビ頭のフレーズはPile自身が担当。場内の空気に加えて映像演出でも“追い風さんと一緒に”作り上げた最後の1曲で、彼女はこのバースデーライブを締めくくっていったのだった。

最新アルバムの1曲目でバースデーライブを締めたというところから感じられたのは、“この曲で終わり”ではなく、“この曲が始まり”というメッセージ。この曲から、Pileの29歳の1年間は幕を開けていくのである。もちろんその中では、前述の通り12月2日開催の日本武道館でのワンマン・ライブも待っている。だから、彼女が追い風さんとともに過ごしていくこれからの日々は、今まで以上にとってかけがえのない経験と思い出になっていくことだろう。そしてそれは、その姿を目撃できる私たちにとっても、同じくかけがえのないものになるはずだ。

Text by 須永兼次

“Pile Birthday Party !!! 2017 in 舞浜アンフィシアター ぱいちゃん祝うぞ誕生祭! ~Tailwinds Rockin’ Night Live~”
2017.05.02@舞浜アンフィシアター
【SET LIST】
<SE>
M1.VENGEANCE
M2.チェックメイト
M3.ヒカリフライト
M4.FLY
M5.Heroic Philia
M6.Melody
M7.素晴らしきSekai
M8.Vivid Vision
M9.キミがくれたKISEKI
M10.ドリームトリガー
M11.P.S.ありがとう…
M12.ROAD

~アンコール~
M13.花と翼
M14.816 not found
M15.⇒ NEXT WORLD ⇒
M16.一歩先へ

~Wアンコール~
M17.DASH


●リリース情報
3rdアルバム
『Tailwind(s)』
発売中

【初回限定盤A(CD+Blu-ray)】

品番:VIZL-1156
価格:¥5,816+税

豪華フォトブックレット(全44ページ)付、スリーブケース仕様

<Blu-ray>
Pile First Asia Tourシンガポール公演オフショット映像+ライブ映像5曲(チェックメイト/キミがくれたKISEKI/一歩先へ/ドリームトリガー/P.S.ありがとう…)

【初回限定盤B(CD+DVD)】

品番:VIZL-1157
価格:¥3,816+税

<DVD>
Pile First Asia Tourダイジェスト映像18曲(チェックメイト/Dream of Princess/ヒカリフライト/Black Butterfly/EGOIST/angel song/Furuwasete/ヴァンパイア革命/伝説のFLARE/ドリームトリガー/キミがくれたKISEKI/一歩先へ/⇨NEXT WORLD⇨/HANABI!!!/P.S.ありがとう…/Melody/いつかキミに届ける世界/素晴らしきSekai)

【通常盤(CD ONLY)】

品番:VICL-64786
価格:¥2,816+税

<CD>
01. DASH
02. 素晴らしきSekai
03. Heroic Philia
04. VENGEANCE
05. FLY
06. angel song
07. 花と翼
08. 816 not found
09. Vivid vision
10. Melody
11. ROAD

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