REPORT
2017.04.25
ナナスタの個々のユニットたちは、大阪で1月に行われた“t7s LIVE -INTO THE 2ND GEAR 2.5”でのパフォーマンスをさらにブラッシュアップした表現を見せた。大会場での生バンド演奏に対応して、メンバーの耳元に光るイヤモニが衣裳の一部のように光る。昼夜合わせて全てのユニット曲をパッケージで見せていくステージだ。そのなかで変化、あるいは進化を感じたのは、会場センターのスクエアステージ、そして花道という新たな舞台が生まれたことで、彼女たちが360度からの視線を前提にした表現を獲得したことだ。
「ナナシス」のユニット・ソングは、横一線の平面ではなく、サンボンリボンに代表されるようなかわりばんこにセンターに入る動きや、Le☆S☆Caが向かい合ってケンケンパ、するような立体的な動きが多い。筆者は会場サイドのスタンド席から見たのだが、サンボンリボンでセンターに立った桑原の姿がときに姉たち(中村や高井)の影に時折隠れるとびっくりするほど小柄に見えて、あ、ステージに立ったシンジュってこんな感じなのかな?と感じた。
花道という「距離」を演出に活かしていたのがNI+CORAで、センターステージの突端に立った髙田が、親指と小指を立てたで電話ポーズを耳元にあてると、それだけで会場から歓声が上がる。センターステージとメインステージの間で「電話」を通して会話する「Girls Talk!!」は新しい表現だった。花道をランウェイのように感じさせたのがSiSHで、歩く姿がびっくりするほど絵になるうえに、今井はシズカらしく静々とした歩みの進め方だったりと、歩法にもキャラクター性が見えて楽しい。SiSHは全身から指先に至るまでの「角度」の合わせにもこだわっているユニット。全方位の視線を受ける今回は、シンクロの精度をさらに上げて美しいシルエットを見せていた。
一方、表現としての課題と可能性も感じたのがSiSHで、非人間なまでに美しい動きとシンクロで見せるSiSHの表現と、生バンドでの歌唱が生む「体温」はおそらく、必ずしも相性が良くないように思う。もちろんこれは、2ndライブでのSiSHの「さよならレイニーレイディ」がナナシスユニットのオールタイムベストアクトであると信じるからこその、極めてぜいたくで過大な要求なのだが。全員曲の中でも動きや立ち姿ではっとするほどの印象を残す3人だけに、生バンド歌唱の中でどうSiSHを見せるか、あるいはバンド以外の最適な表現もあるのではないか、には変化や追求の余地がある気がする。
立体的な動きがとても絵になっていたのはWITCH NUMBER 4の「SAKURA」で、四つ葉のクローバーの葉のように並んだ色とりどりの4人がなめらかに回りながらソロを歌い継ぐ姿は、会場の中央だとより映える。最後に前面に立った篠田の「つぼみになって」のソロは引き込まれそうな印象度だった。元々、777☆SISTERSのエッセンスを4人ユニットに凝縮した印象があるWITCH NUMBER 4だが、2年前にリリースされたアルバム「H-A-J-I-M-A-L-B-U-M-!!」に収録された「SAKURA」のイメージが、今回のライブコンセプトにピタリとハマること自体が、茂木総監督の内にある世界と物語のブレのなさを感じさせた。
生バンドによる音楽、そして花道とセンターステージを前提にした360度に向けたステージをもっとも活かしていたのは、777☆SISTERSの12人曲だったと思う。生バンドならではの音楽、自由度の高さを感じたのは、「KILL☆ER☆TUNE☆R」だろう。1月の大阪“t7s LIVE -INTO THE 2ND GEAR 2.5-”でも間奏部はコール&レスポンスができるように音源をアレンジ。「どんなってこんなって 君の夢叶うだろう」といったコール&レスポンスが入っていたのだが、今回生バンドによるロングバージョンのコール&レスポンスはまったく別物。「どうやってどうやってこの気持ち伝えよう」「どうやって夢は叶うの」「そうやって腕を伸ばして」「今日ここで、一緒に歌って、君の夢、叶えちゃって!」と、いつか彼方に見た夢をつかむ日が来たことを示していた。生バンドならではの遊びのなかに重大なメッセージを潜ませてくるのが「ナナシス」のおそろしさだ。
そして360度に向けたステージの妙を感じたのは、終盤の「FUNBARE☆RUNNER」「僕らは青空になる」の2曲だった。この2曲は「SEVENTH HAVEN」「FALLING DOWN」と同様ほぼシームレスにつながれていて、今の777☆SISTERSそのものを象徴するステージだったと思う。いちばん大きな違いはこれまでステージで横一直線の動きだったフォーメーションが、花道とセンターステージを広く使った細長い楕円の動き、あるいはセンターのスクエアステージの四辺を使った真円のフォーメーションになったりと、切れ目のない環になっていたこと。それに合わせてバトンをつなぐ動きが一周して戻ってきたり、走り回る動きがトラックを走るようにぐるぐる回っていたりする。「そうだRUNNER!走れ!」のその場で駆け足の足踏みをしながら前後に動くような振付では、互い違いに動く隣のメンバーとの動きがリンクしてまるで群舞のようにも見えた。「左右」「前後」の動きのリンクは花道を利用した多くの多人数曲の見せ場になっていて、「僕らは青空になる」では2列になったメンバーが背中合わせでダンスを踊っていて、まったく同じダンスを前後から見ることで動きの全体像をよりクリアに把握することができた。たとえば斜め後方から見ると、左右に対称な動きとして見えたはずだ。
「FUNBARE☆RUNNER」から「僕らは青空になる」のつなぎはサウンド的にはシームレスだったのだが、息を呑んだのはセンターのスクエアステージに全員が揃って曲が切り替わるときの、集合して散開する777☆SISTERSの動きだ。全員が中央に向かって歩み出し、ぶつからないかと心配していると12人がスムーズに入れ違い、再び散開した時には全員の立ち位置がランダムに変わっていた。おそらく、マーチングの交差的な動きなのだと思うが、自分は上手の前方の角にいた今井を目印として注視していたにも関わらず、入り乱れた動きのあとに全く別の位置で踊っているのを見た時は狐につままれた感覚になってしまった。
2曲を歌い終えた12人は、ゆったりとした音楽と暗くなった照明の中、静かにメインステージへ。並んだ12人は2034年のナナスタを最初に訪れたハルとしての篠田から順番にナナスタへの、アイドルへの、仲間への想いを語り継いでいく。想いを伝えた12人が歌うラストナンバーはもちろん、「ハルカゼ~You were here~」だ。
「t7s Longing for summer Again And Again ~ハルカゼ~」のアニメーションMVでは、後の時代になっても歌の中にイメージとして残る777☆SISTERSの残像が描かれた。今回のライブではそこにつながる2034年の生の「t7s Longing for summer Again And Again ~ハルカゼ~」を、キャストたちを依代に描いた。楽曲、アニメMVと現実のライブが補完しあう関係性は「ナナシス」ならではだろう。
12人全員が息を揃えないと成立しない動きの極みが「ハルカゼ~You were here~」の後半だった。センターのスクエアステージに移動した12人は、円を描くように中央に集まる。密集した状態で見せるメリハリをつけた腕の動きや、タイミングを合わせてふわりとひるがえらせる純白のスカートが、舞台に美しい花を描き出す。彼女たちがステージの外周に向けて力強い一歩を踏み出す様子は、今まさに満開に花開く瞬間だ。それに合わせて、会場の空からは、桜色の無数の花たちがゆっくりと舞い始め、客席に降り注いでいった。
そして、線ではなく、環。セブンスからナナスタのアイドルたちや4U、777☆SISTERSからアカネやカホルへとつながれた物語は、やがて原点へと還る。特報のあと、揃いの桜色のTシャツ姿で現れた28人が歌うのは、はじまりの楽曲「Star☆Glitter」だ。はじまりの「七咲ニコルと春日部ハル」であり、果ての「涼原カホルと鳴海アカネ」でもある水瀬と篠田が優しく頷き合うとメッセージを伝えていく。「花はつながれていきます。最後の曲は、どんなにつながれていっても変わることのない、「ナナシス」の最初の想いを歌った楽曲です」。
変わっていくものと変わらないもの。生バンドのイントロのきらびやかな力強さや、メンバーたちのきらきらとした表情。花道とセンターステージに並んだ全メンバーが大きくジャンプする動きにシンクロして、ウェーブを見せる会場いっぱいの観客たち。この日の「Star☆Glitter」に込められていたのは、「繋いていく」ということ。歌い終えたラストは全員が手を繋ぎ、繋いだ手を掲げていく動きをつなぎ、最後に感謝のおじぎの動きを美しく繋げた。「CHAIN THE BLOSSOM」のライブコンセプトは、ここに美しく咲き誇ったのだった。
2017年夏には777☆SISTERSとセブンスシスターズのニューシングルを発売。2018年1月と大阪2月東京で4U単独ライブを開催、それに向けた4Uミニアルバムの制作決定。そして最大の歓喜で迎えられた2018年・日本武道館メモリアルライブ開催と、きらびやかな未来が発表された今回のステージ。
だがそれは、全てを出し尽くし、集大成となるライブを見せても、そこは決してゴールではないと支配人たちを安心させるためでもあったのではないだろうか。3つのライブが紡いだトリロジーの終わり。頂に咲いた大輪の花の美しさは、これから「ナナシス」がどこへ進み、あるいはいつか終わりが来たとしても変わらずに僕らの心に残るはずだ。そしていつかその欠片が、誰かの背中をそっと押す掌になることを祈りたい。
Text by 中里キリ
Tokyo 7th シスターズ 3rd Anniversary Live 17’→XX -CHAIN THE BLOSSOM- in Makuhari Messe 2日目夜公演
2017年4月23日(日)【千葉】幕張メッセ
セットリスト
M01:SEVENTH HAVEN(セブンスシスターズ)
M02:FALLING DOWN(セブンスシスターズ)
M03:H-A-J-I-M-A-R-I-U-T-A-!!(777☆SISTERS)
M04:Cocoro Magical(777☆SISTERS)
M05:KILL☆ER☆TUNE☆R(777☆SISTERS)
M06:タンポポ (Le☆S☆Ca)
M07:Behind Moon(Le☆S☆Ca)
M08:YELLOW(Le☆S☆Ca)
M09:You Can’t Win(NI+CORA)
M10:お願い☆My Boy(SiSH)
M11:ラバ×ラバ(WITCH NUMBER 4)
M12:Clover×Clover(サンボンリボン)
M13:ワタシ・愛・forU!! (4U)
M14:TREAT OR TREAT?(4U)
M15:Hello…my friend(4U)
M16:Lucky☆Lucky(4U)
M17:TRIGGER(The QUEEN of PURPLE)
M18:Fire and Rose(The QUEEN of PURPLE)
M19:セカイのヒミツ(サンボンリボン)
M20:SAKURA(WITCH NUMBER 4)
M21:さよならレイニーレイディ(SiSH)
M22:Girls Talk!!(NI+CORA)
M23:ハネ☆る!!(はる☆ジカ(ちいさな) )
M24:Sparkle☆Time!!(セブンスシスターズ)
M25:FUNBARE☆RUNNER(777☆SISTERS)
M26:僕らは青空になる (777☆SISTERS)
M27:ハルカゼ~You were here~(777☆SISTERS)
M28:Star☆Glitter(全員)
Tokyo 7th シスターズ
「t7s Longing for summer Again And Again ~ハルカゼ~」インタビュー
茂木伸太郎編はこちらから★
水瀬いのり&篠田みなみ編はこちらから★
●インフォメーション
<その1>
Tokyo 7th シスターズ メモリアルライブ in 日本武道館
2018年開催決定!
<その2>
4U 1st Mini ALBUM制作&単独ライブ開催決定!
<その3>
777☆SISTERS、セブンスシスターズNEW SINGLE
2017年夏発売決定!
詳細は後日発表!
●リリース情報
Tokyo 7th シスターズ
『t7s Longing for summer Again And Again ~ハルカゼ~』
発売中
【初回限定(メモリアルボックス))CD+Blu-ray+グッズ)】
品番:VIZL-1158
価格:¥4,500+税
<グッズ内容>
・茂木伸太郎書下ろし小説「Tokyo 7th シスターズ Some say love,it is flower -ユキカゼ-」
・t7s Harukaze-公式記録集-(設定資料集+インタビュー集)
・AR台本レプリカ
・ミニポスター
【通常盤】
品番:VIZL-1159
価格:¥1,800+税
<CD>
1. ハルカゼ~You were here~/777☆SISTERS
2. ハルカゼ~You were here~ -OFF VOCAL-
<Blu-ray>
短編アニメーション+MV「t7s Longing for summer Again And Again ~ハルカゼ~」
・Tokyo 7th シスターズ 初の短編アニメーションMV作品(約10分収録)
・Tokyo 7th シスターズ 原作/総監督・茂木伸太郎 初の監督作品
・新キャラクター(デザイン原案:MKS)登場
●配信情報
1stフルアルバム先行配信中
『H-A-J-I-M-A-L-B-U-M-!!』通常版
・iTunes
・mora
『H-A-J-I-M-A-L-B-U-M-!!』ハイレゾ版
・mora
・e-onkyo music
Tokyo 7th シスターズ 1stミニアルバム
『t7s Re:Longing for summer』ハイレゾ版
・mora
・e-onkyo music
※その他の配信サイトは順次追加予定
●作品情報
Tokyo 7th シスターズ (トーキョーセブンスシスターズ)
配信形式:スマートフォン(iOS、Android)向けアプリ
ジャンル:アイドル育成リズム&アドベンチャーゲーム
対応OS iOS 6.0以降 (一部機種を除く)/Android OS 4.1以降
ゲームURL:【iOS版】/【Android版】
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