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REPORT

2017.04.12

『アイドルマスター ミリオンライブ!』4thライブ日本武道館公演3DAYS全アイドル個別レポート「Starlight Melody」編

『アイドルマスター ミリオンライブ!』の4thライブイベント「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 4thLIVE TH@NK YOU for SMILE!!」が3月10日~12日、東京・日本武道館で開催された。今回は、武道館最終日「Starlight Theater」に向けて結成されたチーム「Starlight Melody」組の12人を中心にレポートする。

今回レポートするのは「THE IDOLM@STER LIVE THE@TER FORWARD 03」で結成された星座ユニット「スコーピオ」より雨宮 天(北沢志保役)、上田麗奈(高坂海美役)、村川梨衣(松田亜利沙役)、「アリエス」より稲川英里(大神 環役)、小笠原早紀(野々原茜役)、 麻倉もも(箱崎星梨花役)、「タウラス」より山崎はるか(春日未来役)、諏訪彩花(徳川まつり役)、桐谷蝶々(宮尾美也役)、「ジェミニ」より渡部恵子(周防桃子役)、末柄里恵(豊川風花役)、高橋未奈美(馬場このみ役)の12人=チーム「Starlight Melody」。上記キャストが最終日以外の別日に出演した際の印象についても本稿で書いていく。

村川梨衣(松田亜利沙役)

2曲目、Starlight Melodyが全員揃っての「Starry Melody」。歌い踊る12人の誰を見るともなくステージ全体を見ていても、明らかに何か異様なエネルギーを発散している一角がある。村川である。指先で星を描いたり、身体全体でリズムをとっている村川は全身から楽しさがあふれだしているようで、彼女の存在そのものが内包しているエネルギーは天性のものだろう。

クールな楽曲に寄り添う時はどこまでもクールに、トークで楽しく騒ぐ時は天井知らずのテンションで。とにかくひとつのモードに入って、アクセルを踏んでトップギアまで上げる瞬発力がものすごい。上田の「恋愛ロードロンナー」のステージに「ひえー!最高ですー!」と亜利沙としてのリアクションを見せると、ふたり一緒に「Up!10sion Pleeeeeeeeease!」のステージに突入。ただでさえ高い村川のテンションと会場のコールの大合唱が絡みあうようにお互いを高めあっていく。特にラスト、村川の煽りに乗せられた「Up!10sion♪」の大合唱での会場の高まりは圧倒的で、八角形のあらゆる方向あらゆる高さからコールが降り注ぐよう。ラストは最高潮に高まった一万人のコールを、村川のキメの「Pleeeeeeeeease!」の叫びが切り裂いていった。

特定の楽曲に入りこんだ時のスイッチの入り方という意味で、村川、上田、雨宮という3人の相性の良さが感じられたのがスコーピオ「リフレインキス」だ。村川が特に際立って見えたのが身体性の部分で、真紅の照明の中歩くときに見せるウォーキングの足取りや、客席に背を向けたバックショットのキメが信じられないほどかっこいい。表情面では「止められない」のフレーズでの客席を射抜くような鋭い眼差しが特に印象的だった。偶然かもしれないが、3日目はキャラクターを下ろして歌う「憑依型」が多かった印象だ。

村川といえばファーストライブ以来、MCでは話したいことや想いが多すぎて内容が散らかってしまったり、泣いてしまったりすることが多く、客席も頑張れ頑張れとハラハラしながら見守っている印象だ。今回の武道館でも、初日に関してはサプライズ登場に自分もびっくりしてうれしかったことを、時折話が行ったり来たりしながら楽しく語っていた、のだが。最終日の村川は武道館に連れてきてくれた“プロデューサー”たちへの感謝をしっかりと伝え、会場を盛り上げるコールアンドレスポンスを二往復すると、「以上、松田亜利沙役の村川梨衣でした!」とすぱっとまとめる要を押さえた挨拶を披露。締めの挨拶がちゃんとしていて素晴らしいこと自体に驚きのどよめきが巻き起こったのは、村川をずっと見てきた客席ならではの反応だった。

上田麗奈(高坂海美役)

ステージに立つのは自分ではなく「高坂海美」。その意識がいちばん強いのが上田なのではないか、と個人的には思っている。スコーピオというユニットが面白いな、と思った理由はいくつかあって、まずは村川と上田は日頃ステージで話す明るい笑顔の姿と、「リフレインキス」のような大人の楽曲に入りこんだときに見せる表現や表情の“化け方”に、なんとなく近しい何かを感じるという点。上田の「とめっられ、ない!」「ねえ、しちゃう?」あたりの節回しや表情はゾクリとする感じである。

もうひとつ共通点を感じるのが上田と雨宮で、笑顔のタイミングや見せ方がわりと人と違って、独自の解釈やルールがあるイメージがある。「苦しいときこそニヤリと笑え」ではないが、あ、そこでそう笑うんだ、という新鮮さがあるのである。「リフレインキス」の場合は「おっおっおー」の大合唱中、上田が浮かべる挑発的な笑みがすごく印象的で、その余韻が消えやらぬ内、アウトロが途切れた直後にはにこにこ笑いながら「は〜い〜」とMCを仕切るモードに入っている落差にまた惑わされるのであった。

切り替えの瞬発力を感じたのが終盤のユニットゾーンで、上田は「瞳の中のシリウス」と「ジレるハートに火をつけて」を続けて歌唱。美しいファルセットを透き通ったように響かせあう「瞳の中のシリウス」から、曲頭から炎が吹き上がるように激しい「ジレるハートに火をつけて」のサプライズ披露へ。この落差を挟みながら、どちらの表現でも100%以上のものを見せられるのは彼女ならではだろう。彼女の歌声の情感や表現力は激しい楽曲で目立つが、「瞳の中のシリウス」の繊細な歌声の中でも細やかな表現を見せてくれるのは見逃したくない。

楽曲やアイドルの感情に寄り添って様々な表現を見せる上田だが、「恋愛ロードランナー」に代表されるソロ曲こそがアイドル・高坂海美のイメージを体現する楽曲なのは間違いないだろう。「行くよ武道館!」の一声で超満員の観客のトップテンションを引き出すのはさすがの一言。ステージが楽しくて仕方ない海美の「大好き」の気持ちがいちばん伝わってくるのはやはりこの曲なのだった。

雨宮 天(北沢志保役)

「ライアー・ルージュ」といえばドヤ顔と言われるぐらいの眼力の強さ、まっすぐ射抜く視線の強さだと以前は思っていたし、4年前に初めてステージを観たときの印象はまさにそれで、忘れられないイメージだ。だがこのところの雨宮の「ライアー・ルージュ」での表現は、どんどん優しく繊細になっているような気がする。

もちろん、ステージに現れてばっと腕を突き上げ、まっすぐ正面を見つめる眼差しひとつで空間を支配するような存在感は健在だ。ルージュを示す瞬間の訴えかけるような眼差しにもそれは通じる。だが歌全体を通したトーンはむしろおだやかで、ダンスも掌をくっくっくと動かす仕草のゆるやかなメリハリなどが目につく。個人的には、今の「ライアー・ルージュ」でいちばんの見所は落ちサビで「まっすぐ見つめる瞳で」の瞬間にまっすぐ正面を向いた瞳とスクリーン越しのこちらの視線がぶつかる瞬間だと思っている。今回のステージでは間奏ですーっと流した目線を伏し目がちにキープして、歌詞に合わせて「すっ」と前を見る視線の力みのなさ、自然さが非常に印象的だった。表現力と、間の取り方で見せるキメ。CD「LIVE THE@TER FORWARD 03」のドラマパートを聴くと、「日本武道館でファンの前に立つ北沢志保」はおだやかでいくらか余裕があるように感じる。今日の雨宮の表現はそのドラマの志保に近しい表現に思えた。

その印象もあってか、個人的には雨宮のユニット歌唱は「リフレインキス」の激しさよりも、「瞳の中のシリウス」の落ち着いたトーンからすっと高音のファルセットに抜けていく美しい歌声がより印象に残った。では仲間とぶつかりあいながらも高みを目指すような志保らしさの一面はといえば、それは2日目の「Flooding」で濃厚に感じた。歌姫たちが個性を競い合う特別なステージで、静香の隣に志保がいてくれることが個人的にはうれしかった。

最終日に「Starlight Melody」全員で披露した新曲「Brand New Theater!」の歌唱中、雨宮が本当に幸せそうな満面の笑みを浮かべている姿を見て、アイドルも演じる役者も常に変わり、進み続けているのだなという印象を新たにしたのだった。ラストのMCで雨宮は、「志保さんならもっとやれると私は思いました」と、彼女らしい言い回しでさらに先を見据えた言葉を残していた。

渡部恵子(周防桃子役)

声の役者が、キャラクターらしさを込めたアイドルの声で歌う。その歌声の力を体現するひとりが渡部恵子だと思う。MC中の渡部本人はほとんどキャラクターに引っ張られることなく、年上の立場からツッコむべきはツッコみ、スルーすべきはスルーするイメージだ。だがひとたび桃子として声を発すると、その瞬間に全てが上書きされて、あ、桃子がいる、と感じてしまう。周防桃子というアイドル自身もプロ意識があって自分にも周りにも厳しい一面と、ファンの前に立つときのキラキラしたアイドルの切り替えがはっきりしているのは面白い相似かもしれない。

「デコレーション・ドリ~ミンッ♪」はそんな桃子がステージでキラキラする時間をいちばんダイレクトに表現する楽曲だ。武道館のパフォーマンスで感じたのは、ほらねコンサート、のフレーズでのVサインであったり、きっとおあいしましょう♪のフレーズで両手で形作るハートだったり……といったキメの場面の表情にものすごく気持ちが入っていたこと。それが渡部自身の気持ちなのか、桃子がより楽しい気持ちでステージに立っていることを表現しているのかは、簡単には悟らせてもらえないのだが。「今日はどんなわたしになろうかなぁ?」に対するステージでの答が、本当にキラキラして楽しそうな姿だったのは間違いない。ラストのちゅっちゅっちゅるっちゅには、次のステージを担当する高橋も楽しそうに参加していた。

「デコレーション・ドリ~ミンッ♪」とは対照的だったのがジェミニとして末柄、高橋と一緒に歌った「永遠の花」だった。歌い方は壮大なバラードにふさわしく大人っぽいものだが、それが「少女離れした大人びた表現をする桃子」として成立しているために、逆に少女性を際立たせている印象だ。特に深い想いが込められた「永遠の花 ひとつ場所に咲いた」のソロフレーズには、魅了されて引きこまれる思いだった。

3日目のサプライズ枠では「THE IDOLM@STER THE@TER ACTIVITIES 02」で描かれた任侠映画のお嬢役を演じる桃子として「侠気乱舞」に参加。凛と気丈な歌声を響かせ、魅梨音組のお嬢として、木下組の組長・ひなたを演じる田村奈央と拳を向け合うシーンはまるで映画のワンシーンのようだった。

本当に多彩な表現を見せてくれた渡部だが、一番桃子の年齢相応の表現だったのは、麻倉と一緒に歌った「little trip around the world」かもしれない。どちらも歌声がかわいくアイドルの年齢も近い2人だが、特にロングソロでの2人のよく通る声質はまるで姉妹のよう。持ち歌ではない楽曲だからこそ、等身大の桃子の姿が見えた気がしたステージだった。ステージを駆け抜けた渡部は、厳しい練習で心が折れそうな時、4thが発表された時に喜んでくれたプロデューサーたちの姿が支えだったと語っていた。

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