キュートなルックスと透明感のある歌声をもち、アニソン界の第一線で活躍している歌姫・Ray。彼女のメジャーデビュー5周年を記念したワンマンライブ“RAYVE2017 ~5th Anniversary~”が2月19日、昭和女子大学 人見記念講堂にて開催された。
2012年にTVアニメ『あの夏で待ってる』のOPテーマ「sign」で華々しくデビューを飾った彼女は、その後も数々のヒット作のテーマを歌い上げ、これまで9曲のシングルと3枚のアルバムを発表している。今回のステージは、そんな彼女にとって「デビューから現在までの軌跡を振り返った総決算」のライブだったといえるだろう。昨年7月に行ったワンマンツアーから実に7ヶ月ぶりのライブであるが、以前にも増してパワフルな歌声と姿を見せてくれた。
本ライブは前回のツアーで行っていた舞台仕立ての演出と打って変わり、バックバンドを率いた生演奏による“ガチ”なステージ。「魅せる演出」で世界観を構築していたツアーライブに比べ、「聴かせる演出」「一緒に楽しめる演出」に注力しており、デビュー5周年を祝うには相応しい舞台だったといえる。また、今年1月には彼女が「今夏限りでのアーティスト活動からの卒業」を発表したこともあり、会場に詰めかけた2,000人ものファンはRayの貴重な姿を少しでも目に焼き付けようと終始、熱気を漂わせていたのが印象的だった。
定刻になると場内に流れていたBGMがフェードアウトし、ステージにバックバンドのメンバー5人がスタンバイ。「sign」が奏でられ、青いドレスをまとったRayがダンサーふたりとともにステージに姿を現した。「sign」はRayの同郷、札幌の先輩であるKOTOKOの作詞によるもの。独特のシンコペーションを入れた歌唱を響かせ聴衆を魅了していく。対するフロアでは、彼女のイメージカラーである青いペンライトの光で辺り一面が彩られていた。続く楽曲は、6thシングル「secret arms」。サビの「tell me. care me」の部分ではファンも一丸で大合唱となり、会場のボルテージを急上昇させていく。3曲目では『あの夏で待ってる 特別編』のOPテーマである「季節のシャッター」がセレクトされ、イベントの開幕は爽やかな片思いソング3連続でスタートを切った。
3曲を終え、オーディエンスに挨拶したRayは「私の5年間を詰め込んだこのライブを最後まで楽しんでいってください!」とコメントすると、すぐに次の楽曲「Confession」へ移る。「息もつかせぬ」とはまさにこのことで、思わず舌を巻いてしまう。「Confession」はTVアニメ『IS 〈インフィニット・ストラトス〉』など多くのアニメの主題歌を手がけた山口朗彦によるポップなラブソングだ。Rayの澄んだ歌声に合わせ、ステージを照らす花柄のライトがとてもかわいらしい。続く楽曲はOVA『ネコぱら』の主題歌「Baby→Lady LOVE」。近年のライブにおけるキラーチューンであり、コールアンドレスポンスの掛け合いでオーディエンスのテンションはマックスに。その後、「As for me」、「Sweet Days」、「告白」と1stアルバム『RAYVE』に収録された楽曲4曲を熱唱すると再びトークへ移行する。
「みんな踊ったりしてくれてるの見えてるよ!私のライブは健康に気を使っているので汗とか拭きながら一緒に楽しみましょう!」とファンに笑顔を向けながら気を配ったRay。ダンサーらとハードな振り付けをこなしてきた彼女は疲れを一切見せることなく「次はちょっとしっとりした感じの曲も聴いてもらおうかな」と語り、1stアルバムから「ひかり」と、TVアニメ『凪のあすから』からOPテーマとイメージソングの「lull〜そして僕らは〜」、「凪-nagi-」、「ebb and flow」を続けて披露。ステージへ設置されたグランドピアノの美しい音色が聴衆を海底の世界へといざなっていく。『凪のあすから』にまつわる3曲は、レーベルの先輩でありRayと同じく札幌出身のアーティスト・川田まみが作詞を手がけた楽曲。今や恒例となった「ebb and flow」の最後のサビでは、オーディエンスが一体とまり夕日をイメージしたオレンジ色のサイリウムで場内を染め楽曲の演出に深みを加える。
ここで、バックバンドによるジャムセッションが開始。メンバーがひとりずつ紹介されながらソロを決めるなか、Rayとダンサーは一旦舞台袖へ下がると、赤いワンピースをまとって再び登壇してきた。白いフリルのついたワンピースは赤地に黒いポルカドットのプリントが施され、まるでファンタジーの世界の中のように彼女を引き立たせている。また、バックダンサー・こりん、しっぽんも一緒に衣装チェンジ。黒いトップスと赤いスカートがRayとの対比になってこちらも魅惑的だ。ここで披露されたのは、3rdアルバム『Little Trip』に収録されたリードトラック「Wonderful Catcher」。前半のフレッシュで透明感あふれるステージから一転、ポップでアグレッシブなパフォーマンスが会場の空気をガラリと変える。
その後も「Lovely Storm」、「baby♡macaron」、「初めてガールズ!」と彼女のライブでは定番となったアッパーでパワフルな楽曲のオンパレード。TVアニメ『わかば*ガール』のOPテーマ「初めてガールズ!」では、作品のイメージカラーである若葉色(緑)のライトが客席を染め上げる。この楽曲は作詞が畑 亜貴、作曲はポストロックトリオ「クラムボン」のミトの手によるもの。ジャズやファンクに造詣のあるミトらしく、ドライブのかかった野太いベースラインと重厚なブラスセクションが心地いいナンバーだ。
軽くトークをはさんだ後は後半戦に突入。3rdシングルの「Recall」に始まり、2ndアルバム『Milky Ray』からは「a-ha…!」、「脳天KICK VOICE」、「I’m MONSTERちゃん」とパワフルなロックチューンを歌唱する。演奏中、バックバンドのメンバーもステージの最前線に立ち、各々パフォーマンスを繰り出していく。ライブ終盤を飾ったのは昨年末に発売された9thシングルから「♡㎞/h」とカップリングナンバーの「キミと」。「♡㎞/h」が歌唱された際には、ファンが用意したサイリウムによって客席に大きなハートマークを作るという、Rayにとってはうれしいサプライズも。
そしてライブの締めは3rdアルバムから「星」、「My Future」の2曲を披露。透き通った歌声が会場全体を包み込み、最後までオーディエンスをひとつにまとめ上げていた。これですべての楽曲を歌いきり一度は退場したRayだったが、場内には終演を惜しむアンコールが響き渡り、その声に応えるようにステージに姿を現した。彼女がアンコールに選んだ曲はTVアニメ『蒼の彼方のフォーリズム』のEDテーマにも使用された8thシングル「a-gain」。「もう一度飛んで見よう。ここからが始まり」だと歌われた歌詞はまるで、彼女の決意を代弁しているようにもみえた。しかし、ここで彼女が自身の口から改めてファンに向けてメッセージを告げた。
「今年の夏に開催されるファイナルライブをもちましてアーティスト活動を卒業することになりました。『なんで辞めちゃうの』って言ってくださる方がたくさんいらしてくださる一方で、私は小学校一年生から音楽活動をしてきたため、趣味とか友達と遊ぶことをそんなにしてこなかったんです。でも、この年齢になってこれまでできなかったある夢にチャレンジしたいと思うようになりました。前向きな決断だと思っているので、ファイナルライブまでの残された時間、一緒に全力で楽しんでいきましょう!」と締めくくった。併せて、6月にはベストアルバムの発売、ファイナルライブは文京シビックホールにて7月22日、23日の2DAYSが行われることが明らかになった。アンコールのラストを2ndシングル「楽園PROJECT」で飾ると、彼女はメンバーたちとともに横一列で客席に向けて深々と礼をしステージを後にした。
3時間弱にも及ぶ長丁場のライブであったが、彼女は疲労を少しも見せることなく歌いきり、踊りきった。その姿には彼女のファンに対する実直な想いと愛が感じられる。「卒業宣言」からの初めてのライブ。プレッシャーは相当なものだと想像できるが、この日の彼女は気負うことなく、肩の力も抜けていて非常にナチュラルだった。そして、自身を偽ることなくファンと真っ向から向き合った凄まじいライブだった。彼女が語ったように、私たちがステージに立つ彼女と共有できる時間は残り少ない。だからこそ彼女の決断を受け止め、アーティストとしてのRayの生き様を最後まで見届ける義務があるのではないだろうか。7月のファイナルライブまでに準備を整えなくてはならないのは私たちなのかもしれない。
Text By 鈴木遼介(セブンデイズウォー)
Rayデビュー5周年ワンマンライブ
2017.02.19 @昭和女子大学 人見記念講堂
【SET LIST】
M01:sign
M02:secret arms
M03:季節のシャッター
M04:Confession
M05:Baby→Lady LOVE
M06:As for me
M07:Sweet Days
M08:告白
M09:ひかり
M10:lull~そして僕らは~
M11:凪-nagi-
M12:ebb and flow
M13:Wonderful Catcher
M14:Lovely Storm
M15:baby♡macaron
M16:初めてガールズ!
M17:Recall
M18:a-ha…!
M19:脳天KICK VOICE
M20:I’m MONSTERちゃん
M21:♡㎞/h
M22:キミと
M23:星
M24:My Future
-Encore-
EN01:a-gain
EN02:楽園PROJECT
●リリース情報
Rayベストアルバム
『Happy days』
6月7日発売
【初回限定盤(2CD+BD)】
価格:¥4,800+税
【通常盤(1CD)】
価格:¥2,800+税
*TVアニメ「あの夏で待ってる」「凪のあすから」などのテーマソングを収録したRayのベストアルバム。I’ve高瀬一矢、中沢伴之それぞれの新曲を収録
*初回限定盤はゲームタイアップやライブで人気のアルバム曲を収録した特典CDと全MVを収録したBD付き
●ライブ情報
Rayラストライブ『RAYVE FINAL』
7月22日(土)/23日(日)
会場:東京:文京シビックホール
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