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2017.03.22

TVアニメ『AKIBA’S TRIP -THE ANIMATION-』EDコンピレーションアルバム『AKIBA’S COLLECTION』全曲レビュー

TVアニメ『AKIBA’S TRIP -THE ANIMATION-』EDコンピレーションアルバム『AKIBA’S COLLECTION』全曲レビュー

i★Ris、イヤホンズ、A応P、every♥ing!、中川翔子、petit milady、みみめめMIMI、ミルキィホームズ、桃井はるこ、ゆいかおりの10組のアーティストがそれぞれアニメ各話のエピソードに合わせて書きおろされたエンディング主題歌を担当した事で話題となっているTVアニメ『AKIBA’S TRIP』。それらの楽曲を集めたコンピレーションアルバム『AKIBA’S COLLECTION』がリリース。ここでは本作に収録された全10曲のレビューをお届けする。

TVアニメ『AKIBA’S TRIP -THE ANIMATION-』EDコンピレーションアルバム
『AKIBA’S COLLECTION』

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誰がこんなこと考えたのか。いや、ちょっと違うか。誰がこんな最高なことをやろうと言い出したのか。想像するだけなら誰でもできる。自分の理想や夢のセカイを想像するなんて、誰もが中二よりもずっと前から就寝前にやってきたことだ。しかし私ももうイイ大人なので知っているが、こういうレーベルの垣根を飛び越えて、全曲新録曲でED毎に変わっていくテーマソングを作ろうとか言い出すと、たいてい会議の場で「正気ですか?1曲作るだけでも大変なのに!?」「レーベルが違うとか不可能でしょ?」「うっわ、メンドくさ!」とか言われるものなのである。しかしそれを説き伏せ、オトナの事情も乗り越え、こうしてちゃんと形にしてしまった人間がキングレコードにはいるのだということを、まずは称賛したい!これ、冗談抜きですごいことなのである。

そしてもう一つの意義は、桃井はるこが“アキバ系”を標榜し、90年代から秋葉原で音楽活動を始めてから現在までの〈秋葉原という都市性〉が生みだした音楽文化の最新コンピレーションという聴き方。アニメやアイドルやメイドやガジェットなど等、秋葉原が内包するさまざまな都市性と、そこに集うトライヴ(民族)に捧げられた、新しい濃密なアンセム集ともいえる。『AKIBA’S TRIP -THE ANIMATION-』という秋葉原愛に溢れた作品と、その熱量に呼応した大人たちの情熱を、感じずにはいられない。5月20日(土)には神奈川県民ホール『AKIBA’S FESTIVAL』も開催される。作品ファンはもちろん、秋葉原に集うあらゆるトライヴたちにとって、重要な祭りになるに違いない。

全曲レビュー
M-1 「B Ambitious!」ゆいかおり
作詞:7chi子♪ 作曲:渡邉俊彦 編曲:大久保 薫

高速で突っ走る電子音の奔流の中で、和楽器とじゃれ合いながら楽しそうに歌って踊るゆいかおり。一息で、強引に説明しようとするとこういうことなのだが、レトロとナウとフューチャーが渾然一体となる秋葉原を、ドラスティックかつヴィヴィッドに表現した結果、彼の街をテーマにしなければ生まれ得ない極上のポップ・サウンドに仕上がった。ゆいかおりの歌唱スキルが尋常ではないレベルに達していることも聴き逃せない。

M-2 「リライミライ」みみめめMIMI
作詞・作曲:ユカ 編曲:ゆうゆ

“新世代視聴覚ユニット”みみめめMIMIのユカが昨今展開しているライブ・パフォーマンスは、鬼気迫るほどのエモーションを滾らせていて、まさに視聴覚において圧倒的。そんな彼女の表現力が、ゆうゆのドラマチックな編曲によってさらに増幅され、ライブさながらの臨場感とともに封じ込められたピアノ・ロック。エモーショナルに弾ける感情の発露に、思わず胸が熱くなる。

M-3 「サンキトウセン!」イヤホンズ
作詞・作曲・編曲:エンドウ.

アニメオタクもアイドルオタクもメイドもガジェッターもゲーマーもオーディオマニアも、国籍を問わずあらゆる趣味人を飲み込み続けてきた秋葉原に捧げられた新たなテーマソング。楽曲提供者であるGEEKSエンドウ.の語彙力には脱帽ものだが、電波ソング的ポップネスの中に演歌もRAPも織り交ぜてしまうセンスと、それを表現しつくしてしまったイヤホンズの痛快なパフォーマンスに笑いながら感動させられた。

M-4 「超反応ガール」A応P
作詞:NAGAE 作曲:南 直博 編曲:西岡和哉

和楽器&和音階に8bitサウンドなど、ちょっと懐かしい電波ソングの王道的なモチーフが散りばめられていて、それだけで涙が出そうになる。歌詞もこれまた懐かしい格ゲー用語オンパレードで、まさに“AKIBA POP”という言葉が輝きを放っていた2000年代を思い起こさせてくれるよう。今をときめくA応Pによってアップデートされた、最新型のAKIBA POPとでも呼ぶべき逸品。

M-5 「心のメモリー」every♥ing!
作詞:咲岡里奈 作曲・編曲:松坂康司

吐息や息継ぎすらも愛おしくなる。まるで耳元で語りかけるような距離感で、甘く柔らかい歌声をevery♥ingは聴かせてくれた。そんな2人の歌声を引き立てるのは、極めてシンプルで、だからこそゴージャスに鳴り響くオーケストラ。3/4拍子で刻まれるリズムに乗せて、シンガーソングライター咲岡里奈の紡いだ切ない恋の物語が、どこまでも優しいトーンで語られている。

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