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REPORT

2017.03.15

『アイドルマスター ミリオンライブ!』4thライブ日本武道館公演3DAYS全アイドル個別レポート「Sunshine Rhythm」編

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大関英里(佐竹美奈子役)
出演者の誰もが(お笑い的な意味での)ボケが多いと認め、リーダーのMachicoが「Sunshine Rhythmはヤバい人が多いですから」と語ると、誰がヤバイのか、Machico自身はどうなのか、という感じのクロストークで大騒ぎになるステージ。そんな中で「ほんとにやばかったらなんとかするから!」という大関の言葉がなんとも頼もしい。そして大関は言葉通り、この日一日Sunshine Rhythm学級のトークをなんとかし続けることになる。その反動もあってか?トークでの「わっほーい」も多目な印象で、委員長役をこなすときと心から楽しんで盛り上がるときのギャップも見える初日の大関だった。

ユニット、リブラのパートナーでもある浜崎の次の出番である大関。「マイペース☆マイウェイ」のラストに合流すると、浜崎と共に凛々しくキメた。その流れを受けてか、「SUPER SIZE LOVE!!」で両手を広げて気持ちよさそうに見栄を切り、「武道館、いっくよー!」と煽る姿のかっこよさと眼力、ちょっと掠れた叫びのロック感が素晴らしい。「ついてきて!」と客席のコールを全力で牽引するアイドルの姿だった。

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そのステージのあとのちょっとしたおかわりが次曲、Machicoの「恋のLesson初級編」冒頭。Machicoの「いただきます♪」に大関が「めしあがれ♪」と返すやりとりがあって微笑ましくもあったが、初日のりりしい感じの舞台メイクの大関がMachicoと並ぶとちょっと王子様感がある。

もうひとつ触れておきたいのが、2日目に大関が「THEATER ACTIVITY 03 魅裏怨」組としてサプライズ出演したときのこと。「赤い世界が消える頃」で木戸演じる普通の子に寄り添う立場の大関だが、表情を殺す木戸とは対照的に「笑顔」。ただし、笑顔の中に何か不穏な何かが潜んでいるというか、たぶん目が笑っていない。役柄に沿って歌いながらのふたりの繊細な芝居の相乗効果で、何やらとてもヤバい空気感が出来上がっていたのだった。そんなステージに魅入られた心を、MCで心から笑いあう姿でこちら側に戻してくれたことも含めて、プロフェッショナルのサプライズステージだった。

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Machico(伊吹翼役)
4thライブは3rdツアーのような「リーダー」の明言はなかったが、やはり初日のMachico、2日目の田所あずさ、3日目の山崎はるかは各日を牽引する立場のイメージが強く、Machico自身の言葉にもまとめ役の自覚があった。「Sunshine Rhythmはヤバイ人ばっかりだから!」と笑わせながらも、最初にまとめ役のポジションにちょっと不安を覗かせたのもまた本音だろう。彼女はしっかり仕切るというよりは、パフォーマンスで明るく遊撃的に引っ張るタイプだと思う。それでも「プロデューサーさーん、楽しいよね!!笑顔でいっぱいの、太陽みたいなライブにしようね!」と叫ぶ姿は、武道館を明るく照らす太陽だった。

ソロの「恋のLesson初級編」が大関からのつなぎだったのは前述の通り。「SUPER SIZE LOVE!!」の途中から、ダンサーと共にポンポンを持って見守ってるのがいかにもチアっぽい。「恋のLesson初級編」の冒頭を一緒に踊ることになった大関に、振付での正しい指の形を聞かれたMachicoが、最近いつもポンポンを持っているからよくわからないと答えたエピソードには笑ってしまった。

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さて、いつも安定してハイクオリティのライブを見せるMachicoだが、このブロックのソロは浜崎の「マイペース☆マイウェイ」、大関の「SUPER SIZE LOVE!!」からMachicoの「恋のLesson初級編」というリベラトリオの並び。一緒に練習してきた仲間の熱いパフォーマンスに続けとばかりに気合の入ったパフォーマンスを見せた。といっても普段の平均点が高すぎるので、高音の抜けの良さとかライブ感がCD音源よりいいかな、とか。気がついたのは終盤の「フツウなんて言わせないから」をかなり回して歌う感じに遊んでいたのと、ラストブロックをよりかわいめに寄せて歌っていたかな、という感じ。ラストの「CHU」はとてもキュートだったので、後日映像で確認してもらいたい。

さすがと思わされたのは、初日のステージを引っ張って迎えた23曲目から24曲目のこと。「HOME, SWEET FRIENDSHIP」でダンスのキレがずば抜けた素晴らしいパフォーマンスを見せたMachicoは、そのままサプライズ出演の山崎、阿部、伊藤の3人、そして夏川と一緒に「乙女ストーム!」として「Growing Storm!」になだれ込んだ。連闘で初日本編唯一の出番にテンション、体力、モチベーションを注ぎ込んでくる3人と、同等以上の熱量で嵐を巻き起こすのはただ事ではない。そのいちばんキツいところを一見さらっとやり抜くのが彼女の真骨頂だと思う。個人的には、翼が憧れる星井美希が、仲間たちとライブの成功のために2曲連続のパフォーマンスを買って出たTVアニメ『アイドルマスター』13話を嫌が応にも思い出す流れだった。

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田村奈央(木下ひなた役)
MCでは初日の最終兵器扱いされ、「そのままでいてくれたらいちばん面白い」と言われるほど、(トークの)独特のテンポ感と世界を持つ田村。そんな彼女はひょっとしたら初日、いちばん過酷なギアチェンジにチャレンジしたかもしれない。

全員曲を除いた田村の最初のステージは、キャンサーとしてステージに立つ「ランニング・ハイッ」。ゆったりペースのエミリーとひなたを演じる郁原と田村が、ハイテンションハイスパートに挑戦する曲だ。とはいえずっと走りっぱなしというわけではなく、高いテンションでハモりに入ったかと思えば、あくまで素朴にひなたらしく歌うソロパートも入ってきて、曲中でもテンションが目まぐるしく変わる。「自分の限界超えちゃって!」とはよく歌ったものである。曲が最終コーナーを回ったラストスパートは客席も応援したくなる頑張りで、浜崎も「ナイスランニングだったよ!」と讃えたほど。これを走りきったあとのMCで、前述の2周ほど反応が遅れた「(渡部のひじに)つまりどういうことが起きたの?」が飛び出したのだから、やはり田村は底知れない。

そんな田村とひなたの本来のテンポにいちばん近いのは、やはりソロの「りんごのマーチ」だろう。リリースイベント以来の久しぶりの披露だが、当時と今のパフォーマンスの違いは明らか。元々素朴で朴訥に、シンプルに歌う楽曲だからこそ、ステージにいる今の気持ち、ひなたの気持ちがこもった生き生きとした表情が際立って見える。この自然で魅力的な表情は今の武道館のステージであればこそだろう。サポートするスタッフサイドにも気合が入っており、メインステージの大階段の豆電飾が、この曲のために「赤」と「緑」にも点灯する仕様に。ステージ中、階段に8個の赤いりんごの実と緑のへたが浮かび上がったのには流石に驚いた。のんびりした雰囲気のパフォーマンスだが、間奏の「はい!はい!」の煽りは意外にキレがあって、武道館の奥まで良く届いた。

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そして次のソロステージは、渡部優衣の「ハッピー☆ラッキー☆ジェットマシーン」。ここでも「りんごのマーチ」のラストには渡部が、「ハッピー☆ラッキー☆ジェットマシーン」の冒頭には田村が参加した。問題は「ハッピー☆ラッキー☆ジェットマシーン」頭の口上で、「関西の星、横山奈緒と!」「北国の国、木下ひなたが~」とかけあうところで、最早口と最のんびりコンビのテンポ合わせにはさすがに四苦八苦したようだ。

だがそんなコラボの意外な効果か、歌い出しで田村と手を繋いで歌う渡部の歌声が明らかにいつもより優しい。渡部のしっかりものの姉のような新鮮なテンションでの歌唱は、渡部が田村の手を引っ張り上げるのに合わせた田村の大ジャンプまで続いた。ひなたを演じる田村があんなにジャンプするのも、このコラボがなければない光景だったに違いない。
歌い出しの口上での息の合わせ方にツッコミを受けた田村は、「私たちはせいいっぱいやっていました」とゆるやかに抗議。田村は普通に話しているのが面白いというのは、間違いのない事実だった。

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郁原ゆう(エミリー スチュアート役)
郁原も全体曲以外の出番は「ランニング・ハイッ」から。キャラクターとしてはどちらもゆったりテンポのひなたとエミリーだが、この歌での表現はここまで違うのか、となるのが面白い。エミリーの歌声は早いテンポであっても、どこかのんびりして優雅さのある「音」なのである。ライブで高速で歌っても、エミリーらしい物腰は変わらないために、案外印象は変わらない。そのかわり、ちょっと声を高くコミカルにして合いの手を入れたりするときはそうでもないので、やはりこれは郁原の意識的な技術がなせる技だろう。3人が歌い終えたあとの会場の歓声はなかなか消えなかったし、他のキャスト陣からも大絶賛のパフォーマンスだった。

最初、「Eternal Harmony」に関してはオリジナルユニットの「エターナルハーモニー」要素はあまりないのかな、と思った。大関、夏川、木戸、郁原というメンバーは本当にわくわくする組み合わせではあるが、オリジナルメンバーは郁原ひとり。調和する個性を集めれば様々な組み合わせが可能な楽曲であることは過去のライブで証明されてもいる。だが歌い始めてしばらくして気づいたのは、郁原はエミリーではなく千早のパートを歌っている……?ということ。そう思って見ると、郁原が千早のパートを歌い、続くエミリーのパートを大関が歌っていたりする。もちろん、クインテット編成曲を4人で歌っているので、細かい違いはたくさんあるはずだ。しかし武道館で歌われたこの曲が、この豪華なメンバーの中でエミリー スチュアートと郁原を主役に編成されたものであることは間違いないように思う。そして、ひとり足りない分を補うように声を揃えるプロデューサーたち。エミリーが主役の曲を仕掛け人たちがサポートしているのだと思うと、この日の「Eternal Harmony」が特別なものに思えてくるのだった。

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高木社長はこの日本武道館公演を、『ミリオンライブ!』の集大成と表現した。4周年の節目の武道館で、やり残しや悔いを残さない。そのためにこの場所で歌わなければいけないのが郁原のソロ、「微笑み日和」だったと思う。この曲が始まって思い出したのは、3年前、最後にこの曲を歌った「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 1st LIVE HAPPY☆PERFORM@NCE!!」で、曲中に泣いてしまった郁原がしっかり歌うのは次に、と語っていたことだった。郁原は透明で張りのある歌声に想いをこめて歌いながら、今度は涙ではなく間奏のエミリー スチュアートとしてのしっかりとした言葉で感謝を伝えたのだった。1stライブでのもう少し頑張れたかもしれない想いを晴らせたという郁原は締めの挨拶の最後、正座をすると深々と美しい礼を見せたのだった。
なおSunshine Rhythmが出演した初日公演では、『THE IDOLM@STER』シリーズとプロ野球パシフィック・リーグの2017年度コラボや、『ミリオンライブ!』関連CD・映像作品の出荷が100万枚を突破したことを記念して、秋にフリーイベント「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! EXTRA LIVE MEG@TON VOICE!」を開催することなどが発表された。

(「BlueMoon Harmony」編に続く。)

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Text By 中里キリ

THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 4thLIVE TH@NK YOU for SMILE!!
2017.03.10 日本武道館公演初日
<セットリスト>
M01:Thank You!(Sunshine Rhythm)
M02:サンリズム・オーケストラ♪(Sunshine Rhythm)
M03:おまじない(木戸)
M04:Happy Darling(夏川)
M05:WHY?(山口)
M06:ゲキテキ!ムテキ!恋したい!(レオ[角元、原嶋、中村])
M07:マイペース☆マイウェイ(浜崎)
M08:SUPER SIZE LOVE!!(大関)
M09:恋のLesson初級編(Machico)
M10:ランニング・ハイッ(キャンサー[郁原、田村、渡部優衣])
M11:アニマル☆ステイション!(原嶋)
M12:IMPRESSION→LOCOMOTION(中村)
M13:ファンタジスタ・カーニバル(角元)
M14:NO CURRY NO LIFE(カプリコーン[木戸、夏川、山口])
M15:微笑み日和(郁原)
M16:りんごのマーチ(田村)
M17:ハッピー☆ラッキー☆ジェットマシーン(渡部優衣)
M18:Bonnes! Bonnes!! Vacances!!!(リブラ[Machico、大関、浜崎])
M19:創造は始まりの風を連れて(伊藤、小岩井、麻倉、村川、中村)
M20:Emergence Vibe(角元、山口)
M21:fruity love(中村、原嶋)
M22:Eternal Harmony(大関、夏川、木戸、郁原)
M23:HOME, SWEET FRIENDSHIP(田村、浜崎、渡部、Machico)
M24:Growing Storm!(乙女ストーム![山崎、阿部、伊藤、Machico、夏川])
M25:DIAMOND DAYS(Sunshine Rhythm)
EC01:Dreaming!(Sunshine Rhythm)
EC02:Thank You!(全員)

THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 4thLIVE TH@NK YOU for SMILE!!
2017.03.11 日本武道館公演2日目
M19:赤い世界が消える頃(木戸、大関、近藤、阿部、平山)

★「BlueMoon Harmony」編はこちらから★

©窪岡俊之 ©BANDAI NACO Entertainment Inc. ©BNEI/PROJECT iM@S

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