2016年は、1月から初めてアニメ主題歌を担当。数々のイベントにも出演し、年末はアルバムを引っさげたツアーで締めくくるという、充実の1年を過ごした声優・Machico。そんな彼女の新年は、今年もアニメ主題歌のリリースで幕を開ける。その新曲「TOMORROW」は、昨年に続いて『この素晴らしい世界に祝福を!2』のOPテーマに起用。この曲を収録したニュー・シングルに、Machicoが込めた想いとは。
新しい年の始まりは、前向きに課題と戦った新曲で幕開け
――昨年は本当に盛りだくさんの1年でしたね。
Machico そうですね。改めて振り返ったときに「え、これって2016年の間の出来事だったの?」と思うぐらいたくさんのことがあって……アルバムを出させていただいて、声優として春アニメにも出演させていただき、ツアーは1年のうちに2回も開催できて。すごく充実した、いい年女を過ごさせていただいた気がします。
――昨年12月のツアーはオリジナル曲だけでの、初めてのツアーとなりました。お客さんの反応はどう感じられましたか?
Machico 今まではカバー曲の力を借りていた部分があったと思うのですが、今回は私のCDを買ってくださった方しか知らない、オリジナル曲だけでセットリストを組ませていただいたので、「受け入れてもらえるのかな?」という不安な気持ちがありました。でも、いざステージに立って皆さんが素直に楽しんでくれているのを目の前で見た瞬間、あっという間に不安が吹き飛んじゃいましたね。
――そのツアーでフルサイズが解禁された新曲「TOMORROW」ですが、1期に続いて『この素晴らしい世界に祝福を!2』のOPテーマになっています。担当することが決まったとき、率直にどう思われました?
Machico 2期をやるのは最終回の放送をみて知ったので、「……と言いますと?」とも思いまして(笑)。引き続き担当できると聞いたときは、すごくうれしかったですね。それと同時に、1期のOPテーマ「fantastic dremer」は本当にたくさんの方に愛していただいたので、「それを超すものを作らなきゃ!」という気持ちも生まれました。でもそれはプレッシャーではなくて、前向きに「やったるぞ!」という気持ちでしたね。
――では、楽曲を最初に聴かれたときは、どんな印象を持たれましたか?
Machico 最初から「大好きなタイプのロックチューンだ!」とお気に入りでした。「早く覚えたい!」と繰り返しずっと聴いてましたね。
――テンポ自体はちょっと「fantastic dreamer」より落ちましたが、結構リズム隊が激しいんですよね。
Machico そうなんです!今回すごく豪華なメンバーの方々に演奏していただいて、「レコーディングするときは、Machicoちゃんに生音を感じながら歌ってほしいから」ということで、私のレコーディング日までに可能な限り音を全部入れていただいたんですよ。おかげでより完成形に近い音でレコーディングをやらせていただいたので、すごくリズムを感じながら歌うこともできました。
――そのリズムに乗って歌うことは、すんなりできましたか?
Machico いや、それが本当に難しくて。私自身どうしても歌っていてリズムが走ってしまうクセがあるので、キメたいところでキメるのに苦戦しました。あと課題という意味では、Bメロの低音がどうしても弱々しくなってしまう、というのもありました。
――言われてみれば、Bメロ後半って全体からすると低音の部分ですよね。
Machico そうなんです。低音の伸びが高音に比べてイマイチな感じになってしまって、課題が多かったパートでした。でも、「Machicoは高音は出せるけど、低音はちょっとイマイチ」と言われるのは絶対に嫌だったので、「そう感じさせるわけにはいかない!」と何度も何度も挑戦しました。
――そのMachicoさんの姿勢は、先ほどおっしゃっていた「やったるぞ!」という前向きな気持ちとつながっている気がします。
Machico そうですね。「最高のバトンをもらったのに、私の歌で台無しにするわけにはいかない!」、「『このすば』の2期の勢いを、曲で失速させるわけにはいかない!」と思って。それともうひとつ、「力みすぎない」というのも歌うときに意識しました。『このすば』の、どこか観ていて安心するような、心のゆとりがある感じを表現するには、それが必要だなと思ったんです。だから力強さもありつつ、楽しくなったり明るくなったりするような聴こえ方にしたくて。でもそのふたつの要素って結構対極にあるものだと思うので、バランスをとるのも難しかったですね。
――だからだと思うのですが、『このすば』らしい青空の似合う曲だし歌声だな、と率直に感じました。
Machico ありがとうございます!基本的に高い音色で歌ったので、そういう面でも開ける感じが表現できていればうれしいです。「TOMORROW」がたくさんの方に「『このすば』といえば、この曲だよね!」と言っていただけるような曲になれば、と思います。
――その『このすば』2期もオンエアが始まりました。OP映像を覧になっていかがでしたか?
Machico どんな映像になっているのかすごくワクワクしていたので、流れたときは「わ、きたー!」みたいな感じで。Aメロ途中の、謎の脱力ダンスを観て「え、なんじゃこりゃー(笑)」と思わず言ってしまうくらい、ツッコミどころもあるオープニングになっていて。でもキャラクター一人ひとりの動きが本当に細かいので、何度も観返して1キャラずつずっと観ていたくなりますよね。
――そのOP映像でも印象的な青空でしたが、MVも青空が本当にきれいで。屋外のシーンって、本当に雲ひとつないじゃないですか?
Machico ホントですよね!芝生の緑とのコントラストがすごくよくて。撮影の時も「天気いいなー」と思っていたんですけど、改めて完成版を観て「こんなに鮮やかだったんだ!」と、びっくりしました。
――そんな今回のMVのコンセプトは、どのようなものなんでしょう?
Machico 日常のなかでの挑戦を詰め込みつつ、未来に対する希望を表現したものになっています。車のエンジンをかける、つまり「今から始まるよ」と言うような映像から始まるので、私も気に入っています。
――あのオープンカーでのドライブのシーンも、女性声優の方としては珍しいのもあって印象的でした。
Machico 運転のシーンは、自分ではいちばんの見どころだと思っているぐらい気に入ってるシーンですね。日頃みんなから「ヌケてる」と言われることも多いので、そこで「デキる女やぞ」というのを表現できたかな?とも思って(笑)。
――そのほか、1コーラス目の流れが、カズマの姿を思わせるものでもありました。
Machico そうですね。サビまでは「なんかつまんないなぁ。これから楽しいこと起きないかな?」と退屈してる雰囲気を表しているので、引きこもっていた頃のカズマの心境とリンクする部分があるかもしれませんね。
カップリング曲では、応援の気持ちを“届ける”ことを大事に
――そして今回はその「TOMORROW」の“Guild Unplugged ver.”も収録されています。テンポ的には若干ゆるめでしたが、歌うときにイメージされたこともやはり変わりましたか?
Machico 普通バージョンの概念を取っ払って、「TOMORROW」のために作ってきたストーリー性を一旦リセットした状態で歌いました。イメージしたのは、小規模のカフェやバーに40人ぐらいのお客さんがいて、弾き語りで限定ライブをやっているような感じです。レコーディングのときは椅子に座ってリラックスしながら、常に音に寄り添って「音と遊ぶ」というのをイメージしながら、歌わせていただきました。
――元のバージョンよりも、大人っぽい歌声になった感じもします。
Machico 自然と曲に寄り沿った声の出し方になっていると思います。あと、イントロでは“吐息で遊ぶ”という試みをさせていただきました。最初は新境地過ぎて正解が全然わからなかったんですが、結果的には「落ち着いて、曲をリードするぞ」という気持ちでできました。
――そしてカップリング曲「マケズギライなThank you」は、「fantastic dreamer」を手がけたの園田智也さんの楽曲です。
Machico 最初に歌詞を見たときに、「すごい応援歌だー!」という印象と、まっすぐな気持ちが詰まっているのを感じました。言い回しが全て「対相手」だったり「対自分」だったり、誰かに問いかけてるような喋り口調だったので、情景がすごく浮かびやすかったです。
――サウンドから受けたイメージはいかがでしたか?
Machico この曲も「TOMORROW」と同じく、青空ですね。……その青空に紙ヒコーキが飛んでいって、未来が開けるような情景を思い浮かべながら歌いました。
――その“応援歌”という部分もあってか、爽やかな曲調なのに歌声はそこまで強いわけではないんですよね。
Machico そうですね。ギターが印象深く、引っ張っていく感じのある曲ではあるんですが、歌声としては、一歩先のところで「大丈夫だよ」と微笑んでるぐらいの気持ちで応援しているのかな、と思って。特に「届く」というワードは、この曲のキーワードだと思ったので、その応援する気持ちを届けるというのは、いちばん大切にした部分ですね。しかもこの曲をレコーディングしたときのブースが、前面に窓がついて、外の風景が見えるブースだったので、「窓から見える景色の、遠くにいる人に届けるような感覚で歌おう!」と思えたので、それが引き立って聴こえればいいな、って思います。
――そんな楽曲たちがファンの方々のもとに直接“届く”機会が、まず直近のリリースイベントです。今回もミニライブありのイベントも結構ありますね。
Machico そうなんです。特に「マケズギライなThank you」は曲の中にクラップが入っているので、一緒に手を叩いて聴いていただけたらなって思います。
――もちろん、「TOMORROW」も歌われると思いますし。
Machico そうですね。それぞれの会場に合わせたノリ方で一緒に弾んでいただけたら、いちばんうれしいですね。
――もちろんイベントもですし、また今年もワンマンを観たいという声もあると思います。
Machico 私もぜひやりたいです!もしまたライブをするになったときはどんなふうになるのやら?……と、私も楽しみにしています!
――そんなワクワクの2017年ですが、Machicoさんが今年新しく挑戦されたいことはありますか?
Machico 私、去年「楽器が弾きたい」と口走ったのに、買うことすらできず1年を過ごしちゃったんです。ライブで弾き語りできたらいいなと思ってる曲も自分の曲にあるので……まずは「キーボードを買う」のが第一歩かな、と思ってます(笑)。あとは、アニメやいろんな作品に声で出演できる1年にもしたいです。歌でも夢や目標はいっぱいあるんですけど、やっぱり去年の春『三者三葉』や『ハンドレッド』に出させていただいたときに、演じることの楽しさをすごく感じて。“声優”という職業に対して私自身も誇りを持っているので、そちらでも足跡をきっちり残せるような活躍をしたいですね。
――ありがとうございます。ちなみに余談なんですけど、お仕事以外にも今年やってみたいことってありますか?
Machico そうですね……体を動かしたいです!小学生のときにバレーボール部だったので、学生時代の部活みたいにわいわいしながらバレーで体力づくりをしたいですね。あとMVのメイキングにもキャッチボールをしている様子が入っているんですが、肩は結構強めだと思っているので、始球式もやってみたいです!
Interview&Text By 須永兼次
●リリース情報
TVアニメ『この素晴らしい世界に祝福を!2』OPテーマ
「TOMORROW」
発売中
【DVD付き限定盤】
品番:COZC-1285/6
価格:¥1,800+税
【通常盤】
品番:COCC-17249
価格:¥1,300+税
<CD>
1. TOMORROW
作詞:桜アス恵(TRYTONELABO) 作曲・編曲:岡野裕次郎(TRYTONELABO)
2. マケズギライなThank you
作詞・作曲・編曲:園田智也
3. TOMORROW -Guild Unplugged ver.-
編曲:岡野裕次郎(TRYTONELABO)
4. TOMORROW(off vocal ver.)
5. マケズギライなThank you(off vocal ver.)
6. TOMORROW -Guild Unplugged ver.-(off vocal ver.)
詳細は後日発表。お楽しみに!
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