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2016.06.01
現在、TVアニメ『フューチャーカード バディファイト トリプルディー』のOPテーマ「クロノグラフ」を歌っているのが、”ニコ動の歌い手”として高い支持を得ている夏代孝明。同楽曲を収録した1stシングル「クロノグラフ」が5月25日に発売された彼のインタビューが到着したのでここで紹介する。
TVアニメ『フューチャーカード バディファイト トリプルディー』は熱いバトル作品であるのはもちろんですけど、それ以上にキャラクターどうしの関係性にこそ僕は強く魅了されました
――夏代さんは、TVアニメ『フューチャーカード バディファイト』シリーズの大ファンだとお聞きしました。
夏代孝明 そうなんですよ。きっかけは、僕がOPテーマ「クロノグラフ」を歌わせていただいたTVアニメ『フューチャーカード バディファイト トリプルディー』を通してだったんですけど。アニメ作品はもちろん、昔から好きでいろんなカードゲームを楽しんでいた下地があったせいか、『フューチャーカード バディファイト』のカードゲームに凄い興味を惹かれています。というか、夢中になっています(笑)。今は、主人公の牙王のバディである「太陽の竜 バルドラゴン」が僕のバディ。そのデッキを作りながら楽しんでいます。
――気がついたら「フューチャーカード バディファイト」のカードゲームにもハマッていた形なんですか?
夏代 そうです。僕の身近にも数人カードゲーム仲間がいるので、一緒に楽しんでいます。
――何故、そこまで「フューチャーカード バディファイト」にハマってしまったのかが気になります。
夏代 先にカードゲームの話をすると、とてもルールがわかりやすいのが前提にありつつ。いわゆるモンスターを出しあい戦うのではなく、みずから武器を選択し戦いあえるのが醍醐味なんです。アニメ自体も、登場するキャラクターたちの表情はもちろん、それぞれを感情豊かに描いてるじゃないですか。戦いの中で芽生えるキャラタクー同士の関係性には、自分が過ごしてきた青春時代と重なる想いを僕は感じています。熱いファイト作品であるのはもちろんですけど、それ以上にキャラクター同士の関係性にこそ僕は強く魅了された。だから、毎週観てしまうんでしょうね。
未来へ進むうえで何かしら悩み葛藤を覚えている人たちの心の背中を少しでいいから押してあげたい
――夏代さんの1stシングル「クロノグラフ」は、TVアニメ『フューチャーカード バディファイト トリプルディー』の主題歌として放送中。主題歌を担当する話が決まったとき、どんな気持ちでしたか?
夏代 ひと言でいうと「感動」しました。僕にとって夢の一つだったのが、テレビを通して自分の歌をいろんな人に聴いてもらうこと。それをTVアニメ『フューチャーカード バディファイト トリプルディー』という素晴らしい作品を通して実現出来たのは、素直にうれしいことなんです。僕の歌う「クロノグラフ」に合わせ、オープニングで登場人物たちが動いてるじゃないですか。あのシーンを観るたびにワクワクしています。
――テレビから歌が流れるうれしさは、やはり感動もひとしおなんですね。
夏代 小さい頃から接していた、それこそ生活の中へ当たり前に存在していたテレビから自分の歌が流れるのには、特別な感動を覚えています。
――「クロノグラフ」の歌詞は、TVアニメ『フューチャーカード バディファイト トリプルディー』の世界観ともリンクさせたうえで書いた面もありますよね。
夏代 事前にTVアニメ『フューチャーカード バディファイト トリプルディー』のストーリー展開もある程度はお聞きしていたので、自分の伝えたい想いと作品の世界観とを重ねつつ書いています。
――最初はネガティブな感情を抱いたり、自問自答したりしてゆく想いを投影しています。でも、次第に夢をつかみ取ろうという意識に変わっていきます。ネガティブさも懐に抱いたうえで未来を見据えてゆく気持ちには素直に共感しています。夏代さん自身、ネガティブな感情へ呑み込まれてしまうこともある方なんですか?
夏代 僕は、けっこうあります。自分の中での「劣等感」と言うのかな?上手くいかないと、人よりも多く悲しみを覚えてしまう性格なんですね。そういうときほど、細かいことを気にし過ぎて前へ進めなくなったり。きっと、根が暗いのかな(笑)。
――歌詞にも記されていますが、あきらめた物事ほど後で輝いて見えてくる経験は、きっと誰もが通ってきた道だと思います。その葛藤する想いに、「そうだよなぁ」と感じていました。
夏代 僕自身が、今の僕に辿り着くまでにもいろいろあきらめてきたことがたくさんあります。だからこそ、あきらめた分野で成功している人を見ると「いいなぁ」と羨ましさを覚えてしまうんですよね。そういう感情を含め、「クロノグラフ」の歌詞には素直な僕の心情を記しました。
――「クロノグラフ」に登場する、弱い自分に言い聞かせながらも未来へ進もうとしている主人公は、夏代さん自身ですか?
夏代 そうです。同時に10代の人たちや僕と同世代の人たちに対してもメッセージしたかったと言いますか。この作品が発売された5月下旬頃って、学校や会社など新生活の始まりから少し時間が経ち、いろんなことを考え出す頃だと思うんです。そういう時期だからこそ、未来へ進むうえで何かしら悩み葛藤を覚えている人たちの心の背中を、ほんの少しでいいから押してあげたい。その想いも胸に「クロノグラフ」の歌詞を書いています。
どんなに心が折れそうになろうと、その針を止めずに進み続けたい。その想いも『クロノグラフ』の歌詞には投影しています
――「クロノグラフ」というタイトルも気になっています。これは、どういう意味を持った言葉なんですか?
夏代 腕時計の中には、時間を刻む時計の機能とは別にストップウォッチ機能を備えた時計もあります。その時計をクロノグラフと言います。例えばの話、みずからの抗えない運命に従ってその時計を止めるのか、みずから何かをあきらめて、その時計を止めてしまうのか……。僕は「自分でやりたい」ことを、どんなに辛いことがあろうと、刻み続ける秒針を止めることなく進み続けてきたし、今もそうしています。中には、みずから「やりたいこと」の秒針を止めてしまう人だっていると思います。僕は、どんなに心が折れそうになろうと、その針を止めずに進み続けたい。その想いも歌詞には投影しています。
――夏代さん自身、あきらめない気持ちを持ち続けたからこそ今の自分がいるわけですもんね。
夏代 そうです。音楽って、「自分が楽しむ」ためだけに表現するものなのか、「いろんな人たちに聴いて欲しい」と思って向かうのか、じつはそこってけっこう大事なこと。僕は、いろんな人たちに「僕自身の気持ち」を知って欲しい。その想いを共有してもらうことで、同じ悩みや似たようなことで悩んでいる人たちに「何かしらの解決策」を見いだしてもらいたいと思いながら歌っています。僕も最初はコピーバンドから音楽活動に携わり始めたように、自分が楽しむために音楽へ触れていました。だけといつしか「僕自身が音楽に心救われたように、僕の作り出す音楽で誰かの心へ寄り添いたい」と思うようになりました。
――そこの違いは、表現していくうえで大きなことですからね。
夏代 ここへ至るまでにも、「たくさんの人に僕の想いを聴いて欲しい」と願いながらも、上手くいかずに挫折を覚える経験もいろいろ重ねてきました。でも同時に、いろんな人たちに支えられながら、今の自分へ成長するまでにもなれています。そういう経験を重ねてきた僕でいるからなんでしょうね、自分で「これだ!!」と思った信念を貫き続けていくのこそ大事だなと思うのは……。
――TVアニメ『フューチャーカード バディファイト トリプルディー』は子供も楽しんで見ている番組です。夏代さんの想いを大人になったとき実感してくれたら、うれしくないですか?
夏代 音楽って、小さい頃に焼きついた記憶といくつになっても結びつく力を持ってるなと僕は感じています。実際に僕自身も、小さい頃、強烈に心に焼きついた歌と風景は、似たような風景を見たり経験を味わったりするたびに思い返しますからね。
せっかく3曲の歌詞を書くんだからと、「共通した隠しテーマ」を入れたかったんです
――1stシングル「クロノグラフ」の2曲目に収録したのが、「君のことずっと好きだった」になります。「ずっと好きだ」ではなく「ずっと好きだった」という表現に、夏代さんの想いの丈を感じました。
夏代 主人公が、その人のことを本当に好きだったんだよという強い気持ちをわかってもらいたくて、その表現をしてみました。ただ、自分で歌詞を書きながら、どこかしら照れくさかったですけどね(笑)。余談にもなりますけど、みなさんの前で「君のことずっと好きだった」と言うのが、いまだに気恥ずかしんです。歌っちゃえば、その世界観へ入り込んでゆくから平気なんですけど(笑)。
――「エレジー」は、切ない想いを綴った歌になります。
夏代 春は出逢いの季節。その相手が恋人であれ、友人だろうと。それこそ中学や高校を卒業することでみんなバラバラになってしまうわけじゃないですか。一緒に過ごしてきた時間や想い出は取り戻せないけど、あの頃の想いがあるからこそ、今の自分でいられてる。ちょっと後ろ向きな感じに歌詞は書いていますが、楽曲が明るく弾けているからこそ、あえて少しの重い感情も言葉にしていくことで、作品として上手く調和が取れてゆくのかとな思い、そう記しました。そのスタンスは、「クロノグラフ」にも通じるものかも知れないですね。
――「クロノグラフ」「君のことずっと好きだった」「エレジー」の3曲に共通しているのが、「星」や「夜空」という背景……ですよね。
夏代 せっかく3曲の歌詞を書くんだからと、「共通した隠しテーマ」を入れたかったんです。そこで僕が選んだのが、言われたテーマ。小さい頃から宇宙や星が大好きだったことから、それらのテーマを歌詞に潜ませながら3曲とも書いています。
――深町なかさんの描いた2種類のジャケットにも、隠しテーマが反映されていますよね。
夏代 今回のジャケットを深町なかさんへ依頼するときも、その話をさせていただきながらジャケットのイラストを描いていただきました。
――深町なかさんには、今回どのようなきっかけで、ジャケットのイラストを描いていただくことになったのでしょうか?
夏代 僕の1stアルバム『フィルライト』のジャケットのイラストはもちろん、僕がメジャー・デビュー前に個人で作ったアルバムへイラストを描いていただいたことがきっかけでした。深町さんの絵柄の持つ優しさや柔らかい感じが僕は、とても好きなことから、作品を作るたびに今はお願いをしています。
――4曲目には、HYの「366日」のカバーを収録しています。
夏代 昔から「366日」は、いろんなライブで歌ってきた楽曲です。僕自身大好きな歌であるのと同時に、ここまで3曲明るい曲調が続くからこそ、バラードも歌いたい想いから収録を決めました。
――シンプルな演奏だからこそ、夏代さんの優しい歌声の魅力を存分に感じることが出来ました。
夏代 あえて音数を減らせば、コーラスも一切入れることなく、どれだけ自分の想いを込められるかを軸に、僕の歌声一本で表現しています。
この作品が、これからの夏代孝明として歩んでいくうえでの一つの指針になるんでしょうね
――完成した1stシングル『クロノグラフ』、今の夏代さんにとってどんな作品になりましたか?
夏代 これから先進み続けてゆく中、フッと「クロノグラフ」を聴いたとき、「葛藤や期待も含め、そのときの自分の心情が見えてくる作品」だなと感じれば、この作品が、これからの夏代孝明として歩んでいくうえでの一つの指針にもなるんでしょうね。
――自分のリアルな感情を、その都度書き記してゆくのも大切なんでしょうか?
夏代 そのときの自分にしか書けない気持ちって絶対にあると思います。日記とは異なるんですけど、そういうニュアンスもあるのかな?とは感じています。
――6月にはツーマンライブも控えています。
夏代 昔から、よく一緒にやっている方がいるんですけど。Eveくんとのツーマンという形でライブをします。再生回数などを通したネット上での評価もうれしいんですけど。僕自身一番大切にしたいのが、どれだけ直接、歌を通して想いを届けられるかなんです。もちろん、足を運べる人という限られた形かも知れません。でも、目の前で歌うからこそ伝わる想いの表情って絶対にあるんです。僕は、その姿勢を大事にしていきたい。今回はバンド編成になります。僕自身もバンド経験を積んできたように、ライブってガツンとした生音で歌い演奏するのが最高に気持ちいいんです。しかもライブハウスで歌ってこそ、自分の歌は一番しっくりと来る。そこを今回は楽しもうと思っています。
――「クロノグラフ」のMVのような雰囲気をリアルに体感出来るわけですね。
夏代 普段の僕のライブ姿を観ていただけてる方なら、「夏代って、歌うときにこういう動きをするよね」というのを楽しんでもらえる内容にもなっています。これから僕のライブを体感する方はぜひ、このMVを見たうえでライブへ足を運んでください。「あっ、あの動きだ!!」という楽しさも味わっていただけると思いますから(笑)。
TEXT:長澤智典
●リリース情報
「クロノグラフ」
発売中
【初回生産限定盤(CD+DVD)】
品番:BRMM-10038 価格:¥1,900+税
イラスト:深町なか
【通常盤(CD)】
品番:BRMM-10037
価格:¥1,400+税
<CD>
1.クロノグラフ(TVアニメ『フューチャーカード バディファイト トリプルディー』OPテーマ)
2.君のことずっと好きだった
3.エレジー
4.366日
<DVD>
クロノグラフ Music Clip
※封入特典
「フューチャーカード バディファイト」PRカード(両盤共通)
「フューチャーカード バディファイト トリプルディー」巻き帯ステッカー(初回生産限定盤)
※他特典あり
●ライブ情報
「クロノグラフ」発売記念ワンマンライブツアー
7月24日(日)【東京】新宿BLAZE
8月6日(土)【愛知】名古屋ボトムライン
8月7日(日)【大阪】Music Club JANUS
18:00 OPEN/18:30 START
スタンディング(整理番号付き)¥3,500(税込、ドリンク代別)
※1stシングル クロノグラフ(初回限定盤)特別封入先行(抽選/申し込み方法はCD同梱のペラをご確認ください。)
6月12日(日)23:59まで受付中
<夏代孝明 プロフィール>
シンガーソングライター、大阪出身の2月25日生まれ
好きな食べ物はガトーショコラ。
中学生の頃からバンドを始め、BUMP OF CHICKENなどをコピーしていた。
2000年代後半よりインターネット上で活動を開始。
2015年1月にアルバム「フィルライト」でメジャーデビュー。
重みと透明感が共存する独特の声質と、絶対的な歌唱力で、あらゆる楽曲を情感豊かに表現する。
歌うが為の存在意義を感じさせる、天性のボーカリスト。
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