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2014.10.01
2013年9月にBillbord Live Tokyoにて行われたライブの模様を収録した、「プラチナ・ジャズ」シリーズのライブ・ベスト・アルバムが10月22日に発売される。
昨年9月に開催されたこのライブはソールドアウトを記録した公演で、「銀河鉄道999」や「はじめてのチュウ」などの人気曲を皮切りに、ライブならではのメドレーに至るまで、その模様が余すところなく収録されている。
北欧の凄腕ジャズメンたちが贈る「プラチナ・ジャズ」シリーズ。その音とライブならではの臨場感に、ぜひ酔いしれていただきたい。
■CD情報
『トーキョー・エクスプレス~ライヴ・イン・コンサート』
2014年10月22日発売
価格:2,500円+税
品番:VICP-65260
プロデュース:ラスマス・フェイバー
アートワーク・イラストレーション:吉田健一
<収録曲>※全13曲収録
1.銀河鉄道999 ~ はじめてのチュウ
2.Thanatos – If I Can’t Be Yours –
3.Genesis of Aquarion
4.ミラクル・ガール
5.風の谷のナウシカ
6.Gravity
7.READY!!
8.小さなてのひら
9.Stolen Moments
10.プラチナジャズ・メドレー
~ そばかす
~ GO! GO! MANIAC
~ ヒャダインのカカカタ☆カタオモイ-C
~ わが名は小学生
~ デリケートに好きして
11.1/2
12.Fly Me To The Moon
13.Gotta Knock A Little Harder
<参加ミュージシャン>
Piano: Martin Persson
Bass: Martin Hoper
Drums: Ola Bothzen
Fender Rhodes: Rasmus Faber
Hammond Organ: Carl Bagge
Trumpet: Nils Janson
Trombone: Karl Frid
Alto Saxophone: Thomas Backman / Jonas Wall
Tenor Saxophone / Flute: Andreas Gidlund / Kristian Harborg
Baritone Saxophone / Flute: Kristian Harborg / Alberto Pinton
Volcals: Emily McEwan, Niklas Gabrielsson, Douglas Unger
Recorded at Billboard Live Tokyo
Produced, mixed and mastered by Rasmus Faber
Recorded at Billbord Live Tokyo
<イラストレーション>
今までのシリーズ同様、ジブリ在籍時代に『おもひでぽろぽろ』『紅の豚』『もののけ姫』などに参加、さらにフリー転身後に『交響詩篇エウレカセブン』『OVERMANキングゲイナー』と話題の作品のキャラクター・デザインを担当している人気アニメーター、吉田健一氏が担当。
■佐藤 譲氏によるライナーノーツ
AviciiやSwedish House MafiaなどのEDMムーヴメントでビッグ・サクセスを遂げたダンス・ミュージック・アクトから、ABBAやMaja、Ace of Baseなどのメジャーのポップ・アクト。CardigansやPeter, Bjorn & Johnなどのバンドまで。あらゆる音楽のフィールドで活躍してきたスウェーデンのアーティストたち。そうした中で、Rasmus Faberというアーティスト/コンポーザーは非常に特異な立ち位置にいる人物です。
グラミー受賞したバリトン・サックス・プレイヤー、グンナール・ベリスティーンを父に持ち、幼少期から音楽理論とピアノを習得。17歳よりプロ・ミュージシャンとして活動し、ポップスのプロデュースから、DJとしてのブレイク。さらにファンク・バンド、RaFa Orchestraを立ち上げると同時に、本プロジェクト、Platina Jazzでジャズへと回帰。以降、坂本真綾、中島 愛とアニメのフィールドでコンポーザーとして活躍。これほどグローバルにボーダーレスに活動しているアーティストはなかなかいないでしょう。
そんななか、Rasmusが率いるPlatina Jazz Orchestraによるアニメ音楽のジャズ・カバープロジェクト、『Platina Jazz〜Anime Standard〜』もすでにシリーズ4作、DVD1作を数え、多くのファンに愛されるプロジェクトになりました。ビルボードで開催されるライヴも毎回満員を記録。ミュージシャン同士の呼吸によって、その場で姿を変えていくジャズ、アニメ音楽ならではの豊かなメロディなど、それぞれの醍醐味を多くのファンにも体験してもらうことで、それぞれのファンに音楽の新たな魅力を提示できたのではないでしょうか?
とは言いながらも、ジャズのライヴは、フェスの場を除けば多くの人が体験できる機会というのが限られてしまっています。そこで以前にリリースされたのがDVD『ラスマス・フェイバー・プレゼンツ・プラチナ・ジャズ~アニメ・スタンダード・ライヴ・アット・ビルボードライブ東京~』でした。そして、音源化して場所を問わずに聴けるようにしたものが、今回リリースされるキャリア初となるライヴ・ベスト・アルバム『プラチナ・ジャズ トーキョー・エクスプレス~ライヴ・イン・コンサート』です。
「ジャズを好きな人はよく『ジャズは生で楽しむとさらに面白い!』と言うよね!僕もそう思うし、プラチナジャズのメンバーと演奏するのはとても楽しいんだ!この作品ではライブでしか披露していない曲もあるし、今までカバーしてきた楽曲のアレンジもライブで栄えるようにアップデートして演奏しているんだ。メンバーが素晴らしいパフォーマンスを披露してくれたテイクからベストなものを選んで制作したから、ライブでしか味わえないエネルギーが少しでも皆さんに伝わったらうれしいと思っているよ!」(Rasmus Faber)
アルバムリリースに際して、Rasmusが上記のようなコメントを残していますが、スタジオ・アルバムとは異なった距離感により、会場の熱気と臨場感がビビッドに感じられる最高のライヴ・アルバムになっています。
トラック上は全13曲となっていますが、メドレー内の曲を合計すればこれまで出した4枚のアルバムからバランスよく全18曲とたっぷりのボリュームが収録されています。また、アルバムはラスマスによってベスト・テイクが選ばれ、スウェーデンにある彼のスタジオで自身の手によって大切にミックスが施されました。最高の音質と臨場感の中、彼らのライヴ・パフォーマンスを存分に楽しむことができます。
また、本作にはジャズのスタンダード・ナンバーでもあり『新世紀エヴァンゲリオン』のEDテーマでもある「Fly Me To The Moon」と劇場版『カウボーイビバップ 天国の扉』から「Gotta Knock A Little Harder」が収録されています。こちらはアルバム未収録の楽曲であり、ライヴにあたりファンを驚かせたいというメンバーの提案によって、ライヴに合わせメンバーがアレンジを施した楽曲になっています。
元々スタジオ盤『プラチナ・ジャズ』シリーズを制作する際のコンセプトに「ジャズの魅力をコンパクトに楽しめるようにする」というのがありました。1時間弱の公演を2部制で行うというビルボードのシチュエーションも手伝って、そのコンセプトはライヴにおいても貫かれており、セッション・タイムにたっぷりと時間を取る通常のジャズのライヴに比べ、あくまで聴きやすさを忘れない独自のバランスが保たれています。
Emily McEwan、Niklas Gabrielsson、Douglas Ungerの卓越したヴォーカル・コントロール技術によって放たれる歌声をはじめ、Martin Personのピアノ、Martin Hoperのベース、フェンダーローズを操るRasmus Faber、Carl Baggeのハモンド・オルガン、Nils Jansonのトランペット、ムードメイカーであるKarl Fridのトロンボーン、Thomas BackmanとJonas Wallによるアルト・サックス、Andreas GidlundとKristian Harborgによるテナー・サックスとフルート、Alberto Pintonのバリトンサックス。互いの呼吸を読み取りながら、その場でアレンジを施していくその様は、緊張感にあふれ、時に観客を揺さぶり、時に観客を優しく包み込む、熱狂と温もりが交錯する豊かで彩り鮮やかな空間を作り上げていきます。
スタジオ盤よりもスケール感が出た「銀河鉄道999」はもちろん、かわいらしいアレンジだった「Ready」や「Clannad」が緊張感のあるイントロやエヴァーグリーンなホーンやフルートの音色によって、より優雅でおおらかなイメージに変わっていたり、リズム隊のアレンジによって「Miracle Girl」のドゥ・ワップ感が増していたり、スタジオ盤とはまた異なる魅力、改めて強調された魅力に気づくことができるはずです。
中でも白眉なのはM10のメドレーでしょう。メンバーの息のあった演奏が異なる楽曲をシームレスに繋げていき、徐々にギアを入れ、高まっていく観客の熱とともに演奏のボルテージを上げていく様はまさにライヴでしか体験できないものではないでしょうか。Niklasの軽妙なMCによって演者と観客の境目は徐々に薄れ、ひとつの音楽空間をともに作り上げていく。身も蓋もないことを言ってしまえば、最後の「Gotta Knock A Little Harder」はブルース・ロックのアレンジでありもはやジャズでもないかもしれません(笑)。それでも、これだけ楽しい空間が成立しているのは、ジャズとアニメを入り口にし、音楽に辿りつくというあらゆる音楽を渡り歩いてきたRasmusのキャリアが培った音楽観によるところが大きいのではないでしょうか。そして、これこそが『プラチナ・ジャズ』シリーズ、引いてはPlatina Jazz Orchestraの最大の魅力であり、彼らのライヴの魅力なのではないでしょうか。
さて、本作がリリースされた数週間後には1年ぶりとなるPlatina Jazz Orchestraのライヴがビルボードライブ東京で開催されます。今回はスケジュールの都合で東京公演のみになりますが、お手すきの方はぜひ、現場に足を運んでいただければ幸いです。また、本盤でライヴを観たいが現場に行けないという方はDVD『ラスマス・フェイバー・プレゼンツ・プラチナ・ジャズ~ライヴ・アット・ビルボードライブ東京~』をぜひご覧ください。音盤では確認できなかった演者たちのプレイが映像によって楽しむことができます。
各国からオファーがやってくるというPlatina Jazz Orchestraはもちろん、RaFa OrchestraやDJとしての仕事、アニメのワークスなど縦横無尽な活躍をしている分、スケジュールが取れず『プラチナ・ジャズ』シリーズ最新作のインターバルは少々空いている形ですが、本ライヴ盤、そしてライヴも含め、プロジェクトでは様々な動きを予定しているので、楽しみにしていただけますと幸いです。
2009年よりスタートした本プロジェクトも今年で5年目。ここまで息の長いプロジェクトになるとは、Rasmusもプロデュースを務める筆者もまったく予想ができておらず、ただただ驚いておりますが、多くの人に愛されるに至った『プラチナ・ジャズ』シリーズをよりよい形でお届けするひとつの形として、本盤を味わっていただけますと幸いです。なぜなら観客との有機的な結合を果たすライヴには音楽のひとつの理想的な形が凝縮されているのですから。
(2014年9月14日 佐藤 讓<Hifumi,inc.>)
■来日公演決定!
プラチナ・ジャズ・オーケストラ presented by ラスマス・フェイバー
11月4日(火)&5日(水)@ビルボードライブ東京
お問合せ:ビルボードライブ東京 03-3405-1133
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