INTERVIEW
2015.12.18
アフレコで自身が成長したポイント
──続・劇場版後篇のアフレコの話を伺っていきます。自分以外、後篇のアフレコってどうでしたか?
山下 後篇はまりんか(高野麻里佳)が「ネクストストーム」として入ってきたんですよ。
──アニメ『おへんろ。』でずっと一緒でしたからね。
山下 そう! アフレコスタジオで会って、『おへんろ。』以外の他の作品のスタジオで会えるのうれしいね!って言ってたんです。アフレコが終わったあと、まりんかが「私が言うのもなんだけど、ななみんうまくなったね!」って言ってくれたのがすごくれしかったです。
──「ななみんはうまくなった」ってみんなから聞きますね。
山下 うれしいです。ちょっとずつでも成長していかないと!
──自分で成長って感じますか?
山下 えっとですね、緊張しぃなのは変わらないんですけど、マイク前でピンと姿勢を伸ばして、台本をこう、ちゃんと眼の高さに構えて台詞が言えるようになったのが結構大きいんです。前は教科書読むみたいに下に構えてたんです。でも下を向いていたら声もうまく乗らないし、絵とのタイミングも取りづらいんですね。それはずっと言われてたのになかなか直らないくせだったのが、自然と正しい構え方で、台本と画面を見ながら前を向いて演技ができるようになりました。それからいろいろ変わったんじゃないかと思います。
──後篇で印象に残ってるシーンとかってありますか?
山下 あそこ以外でですよね?それだったら車をお掃除しているシーンかな。WUGワゴンをみんなでお掃除しているシーンがかわいいなーと思って。顔が映っていないオフカットで何か入れてくださいって言われて、みんなでアドリブを入れたんです。よっぴーが「ホース踏んでるー!」とか言ってたりで。それが楽しかったですね。
──先輩たちのお芝居で印象に残ったことってありますか?
山下 自分がちょっとは成長できたことで、最初の頃とは違う視点でお芝居を見るようになった気がします。ここの演技はこういう風にやればいいんだなとか、読み取れることが増えました。
──たとえばどんなことが勉強になりましたか?
山下 大坪(由佳)さんがまゆしぃに「おいしいとんこつラーメンの店、メールするから」ってシーンがあるじゃないですか。あれってしほっちが背中を向けての台詞なんですね。そのときの息とか声の出し方を見て、あっ、面と向かって話す台詞と背中越しの台詞って違うんだな、って思いました。
──後篇ではI-1club、ネクストストーム、男鹿ナマハゲーズほか、様々なライバルが登場しますが、印象に残ったライバルはいますか?
山下 ネクストストームが小悪魔っぽい衣裳を着ると聞いて、それがすごくうらやましいです。私も着たい!
──高野さんとかめちゃめちゃ似合ってましたよ。
山下 絶対そうなんですよ! 私、衣裳の話は徳島のマチ★アソビでまりんかから聞いたんですね。絶対まりんか似合うじゃんと思いました。早く見たいし、うらやましいな〜!
──そういう衣裳って着てみたいですか?
山下 着てみたいです! WUGではなかなか着る機会がない衣裳だと思うので(笑)。小悪魔チックな衣裳を「オオカミとピアノ」で着たいと思います。
──それいいですね!
山下 それなー! ですよね(笑)。
──楽しみにしたいと思います。しかしネクストストームの新メンバーは全員13歳。I-1新センターの萌歌も若いです。菜々美と実波の最年少の座がちょっとおびやかされてますね。
山下 私萌歌めっちゃ好きなんですよ。ほんと正直に、周りにどう思われるかとかに構わず本音をズバぁーっと言って、なのにかわいい! それってすごく得じゃないですか。そういうポジションってすごくいいなと思っていて、菜々美ちゃんがそんなふうに生きられたらいいのになと思いました。萌歌を見てると、菜々美ちゃんってちょっと不器用なのかなって思うんです。もちろん、菜々美ちゃんには菜々美ちゃんのいいところがたくさんあるんですけど。うらやましく思っていた存在なので、私は萌歌ちゃんを応援したいです。
──山下さん自身の演技についても伺いますが、後篇の菜々美は、感情の振り幅という意味では今までで一番大きく揺れ動くお芝居だったんじゃないですか。
山下 たしかに! 菜々美ちゃんはTVシリーズでもあまり長台詞ってなかったんですね。今回の演技が初めてって言っていいぐらい長い尺の台詞だったから、アフレコ前はすごく緊張しました(笑)。
──涙のシーンを演じられていかがでしたか?
山下 なりきってましたね。ここはこういう感情だからこう話そう……とかがまったく無くて、流れの中で菜々美ちゃんの気持ちに入りこんで演じました。計画とか演技プランとかを決めずに、感情をぶつけていった感じです。
──今までのメンバーとのできごととかも思い出したんですよね。
山下 そうなんです。私的には三次元でのメンバーとのことを思い出してました。空港でのシーンって、今までの作品の中でのメンバーとの思い出がたくさん出てくるんですね。だから画面の中でもWUGの思い出が流れてるし、自分も現実のメンバーと過ごしてきた時間のことを思い出しているし。だからすごくイメージがしやすかったし、気持ちも入りこめました。
──涙について、山本監督からのディレクションはどんな感じでしたか。
山下 とにかく子供のように泣きじゃくってほしいって言われました。菜々美ちゃんは最年少だし、今まで溜めこんできたものを発散したあとの涙だから、とにかく無心に泣いてくれと。
──実際に演じている最中や後のディレクションは?
山下 演じる前のそれしか言われなかったんです。
──やっぱり完璧だったんじゃないですか?
山下 絶対そんなこと無いんです!(笑)。山本監督はそんなことないんです。
──TVシリーズのときなんかは、「泣きの演技ができないなら俺が泣かす」ぐらいの勢いでしたよね。
山下 怖かったですよね(笑)。
──でも頭で考えずにキャラクターの気持ちにだけ入りこんで、仲間のことを思い浮かべながら泣いてって、なかなかできないことだと思いますよ。
山下 そうですか? そうだといいんですけど……。
──では山下さん的に、監督が何も言わなかったことになんとなくひっかかっている感じ、言葉にできる範囲で伺えますか(笑)。
山下 監督って、基本褒めたりしない人なんですよね。それで、テレビシリーズの頃の私がダメダメでも何も言われなかったので、そのときと一緒なのかなって心のどこかで思っちゃうんじゃないかと思います。
──監督の本音は監督にしかわからないところだと思うので、あのシーンの山下さん自身の自己評価としてはどうですか?
山下 泣きの演技に関しては、あの狭いブースの中で、先輩たちがたくさん見ている前でも入りこんで演技ができたのは良かったと思います。ああいう演技って、恥ずかしがったりしないことがまず大事だと思うんですよ。アニメ『異能バトルは日常系のなかで』の現場で早見沙織さんが泣くお芝居をされてるのを見て、スタジオであれだけ涙に入りこめるのが本当にすごいなと思ったんです。だからたくさんの人が見てても恥ずかしがらず泣こうって思いました。
──それってまさに、『Wake Up, Girls!』以外の現場で経験したり学んだことをみんなが『Wake Up, Girls!』に持ち帰る、という最初の頃から言ってきたことですね。
山下 そうですね、そうかもしれない!そのときの早見さんが泣き叫ぶような演技もあって、それぐらいすごかったんです。
──その経験が自分の演技に生きてるんですね。ちなみに歌の側で、この曲のここで何か開眼したぞ、みたいな経験とかってありますか?
山下 「素顔でKISS ME」のレコーディングのとき、広川(恵一。MONACA所属。「素顔でKISS ME」の編曲担当)さんに「ロリセクシーに歌って下さい」って言われたんです。広川さんにとっての菜々美ちゃんのイメージってこうなんだと思って。楽曲に合わせてキャラクターのイメージって大きく変えていいんだな、と思ったのが発見で、それからはライブでも曲によってキャラクターの印象を変えてみよう、とかを意識するようになりました。
──広川さんってちょっと武士のような、落ち着いた物腰のイメージなので「ロリセクシーに」はちょっと面白いですね。
山下 ですよね、私もすっごくびっくりしたんです(笑)。ロリセクシーって単語が出てくるとは思わなかったので。「素顔でKISS ME」は振りもちょっとセクシーなので、ライブで歌ってますますしっくりくるようになりました。私小悪魔系のダンスが得意なんですよね。
──動きのキレでバババって感じよりは曲線的な表現力?
山下 そうそう、やっぱりバレエをやっていたので、そういう方が得意なんです。身体をくねらしたり。だから「素顔でKISS ME」は私の推し曲です。
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