INTERVIEW
2015.09.24
「私の声、届いてますか?」
──つい先日、さいたまスーパーアリーナで開催された“Animelo Summer Live 2015 -THE GATE-”にWake Up, Girls!として出演しました。WUGとしては2度目ですが、去年の初出場ではトラブルで田中さんのマイクの音声が会場に流れませんでしたね。消化不良のところもあったのではないでしょうか。
田中 声が出なくなったときに最初に思ったことは意外と冷静に「あ、マイクにトラブルがある! けど……今歌っている姿はきっと記録されて、アニサマのライブBlu-rayにも収録されるはず。しかも今大きいスクリーンにも映ってる!」と思っているので、声は聞こえなくてもちゃんと歌わなくちゃだめだと思いました。
──意外と状況はしっかり把握していた感じなんですね。
田中 とにかく最初に「円盤化!(映像ディスク化)」が浮かんだんです(笑)。これはヤバいと思って。自然な笑顔になっていたかはわからないんですが、ちゃんと笑わなきゃって思いました。マイク、繋がれ! と思いながら歌い続けて、とにかくダンスを全力で見せようと思いました。気がついたらあっという間に終わってて。“7 Girls War”はまったく声が乗っていなくて、「タチアガレ!」では聞こえてたよ、って言ってくれた人もいたんですが、実はあの時は(高木)美佑が私のパートを歌ってくれていたんです。だからたぶん私の声は乗ってなかったと思います。
──終わってからの田中さんが悔しそうだった様子を、メンバーも心配していました。
田中 よっぴーがいちばん心配してくれていたんじゃないかなと思います。今年のアニサマのステージが終わったあと、よっぴーが「よかったねぇみなみ~」ってめっちゃ泣いてて(笑)、なんでよっぴーが泣いてるの?って言いながら私がもらい泣きしました。きっとよっぴーは1年間、リーダーとしていろいろと思っていてくれたのかなと思いましたね。
──メンバーそれぞれがいろいろな思いを持っての2度目のアニサマには、どんな気持ちで臨みましたか?
田中 意外と気負ったりはなかったです。というのはWake Up, Girls!が出演した前日の2日目に『暗殺教室』の3年E組サマ担として出演させていただいたんです。そのときに、去年はああいう場所にこういう感じで出て……というイメージがあったので、必要以上に緊張はせずにすみました。トラブルとかのイメージは残さず、いい緊張感だけを持って出られたと思います。作品柄、会場のお客さんもはきっと盛り上がってくれるという安心感もあったと思います。
──渕上 舞さんや洲崎 綾さんたち頼りになる先輩たちと一緒でしたからね。
田中 はい! 先輩たちに身を任せる感じでいぇーいって盛り上がっていて、自分が楽しむことでみんなも楽しんでくれたらいいなと思っていました。ステージ前も最中も後も、全部すごく良かったです。
──その良いイメージを持ってWake Up, Girls!のステージにも立てた?
田中 そうですね、去年のWUGでの経験が『暗殺教室』のステージで活きて、2日目があったから3日目のWUGのステージで緊張せず本番に入れたと思います。去年よりお客さんの顔や周りも見えたし、頭で何も考えなくてもすらすらっと振りや歌詞が出てくる感じだったんです。それはやっぱり、ツアーでやってきたものが大きかったんだと思います。新曲とはいえ「少女交響曲」も怖さは全然なかったです。
──MCで「私の声、届いていますか?」という言葉がありました。
田中 実はMCで何を話すか、考えてなかったんです。美佑が「盛り上がっていきましょー!」とか言っていて、あ、何か言わないといけないんだと思って。私ツアーのときもMCで何を言うか考えていないタイプの人間なんですね。
──その場で考えたほうがうまくいく本能派?
田中 そうかもしれないです。考え過ぎたり、枠をぴしっと決められてしまうと、あまりいいこと言えないタイプだと思います。もちろん、こんなことを伝えたいなーとぼんやりは考えてはいるんですけど。アニサマの時もその場で思ったままに「私の声、届いていますか?」と言ったら思った以上に会場から反応してもらえて……うれしかったですね。
──今年アニサマのステージに立ってのパフォーマンス自体はどうでしたか?
田中 アニサマってリハも特徴的で、アーティストさんも多いのでテンポ良く進める感じで雰囲気が違うんです。でも、実際に会場にお客さんが入るとリハとはまったく違うんだなって、改めて感じました。Wake Up, Girls!を知っている人いるかな? と思ったら前の方にWUGのハッピを着てらっしゃる方が見えて、会場全体が緑に染まって、「Wake Up, Girls!」のコールが聞こえたんです。自分自身もいい緊張感を持ってステージには入れたんですけど、そこでさらにお客さんが後押ししてくれて、それで固さとか緊張は全部ぶっ飛んでいっちゃいました。
──今年はさいたまスーパーアリーナのど真ん中、センターステージでも歌いました。
田中 去年は奥のメインステージだけだったので、お客さんに手を振りながらセンターステージまで歩いて行ったり走ったりすることが、実は夢だったんです。でも実際やってみると、時間に間に合うように自分の位置につくことがで頭がいっぱいでした。練習ではなかなか移動が揃わなかったので。でも、真ん中のステージは360度が一面緑の光の海で、歌ったり踊ったりしながらもその景色を感じていましたね。
──先日イベントでTVアニメ『Wake Up, Girls!』の第12話の一部を、ワグナーさんたちと改めて観ました。劇中の「I-1 アリーナ」はさいたまスーパーアリーナがモデルなんですよね。
田中 そうなんです。外も中もぜーんぶそのままですよね! 当日に通った同じ搬入口でWUGちゃんたちが踊りの確認とかしていて。丹下社長と松田さんが話をしてる自動販売機もそのままなんですよ! コンクリートの感じとか、知っている人はびっくりすると思います。控室内の部屋の装いも私たちが使った部屋とまったく同じでした。自分でアニサマを体験してから改めて12話を大きな画面で観て、びっくりしましたね。やっぱりそのへんまでしっかりリンクしてるのがWUGだなって思いました。
──アニサマラストの、全アーティストが集まってのテーマソング合唱はどうでしたか?
田中 去年はWUGが歌うパートは一箇所だったんですが、今年は3箇所ぐらいあったんです。しかもわりといいところをもらったので、どうしようって話して、結局メインで歌う人は公平にくじ引きで選びました。それで決まったのがよっぴー、美佑、わたしのオタク三銃士で、すごく楽しかったです。
──錚々たるアーティストとの共演でしたね。
田中 はい、そうなんです、憧れのKalafinaさんとかと一緒で……! 一緒に歌ってると思うとテンションが上がりすぎておかしかったです。最高の思い出ができました。
──最初はその3人が前列でしたが、永野さんに「あいちゃんも歌いなよ!」みたいな感じでマイクを渡していましたね。
田中 実はサビは後ろの3人にマイク渡そうねって、よっぴーと美佑と3人で勝手に言ってたんです。ほらほらーって渡したら最初はいいよいいよって言ってましたが、無理やり前に出しました、ふふふ。
──最近のツアーなども含めて見ていて、田中さんが涙や感情を表に出すことがちょっと増えたかな? という気がします。
田中 涙もろくなったんでしょうか? それは私の中で、WUGに対する思い入れがもっともっと強くなったからじゃないかな、と思います。どうしたらWUGのためになるんだろうと考えていたり、やっぱりWUGって私にとって大事だなぁ、大切だなぁって改めて思ったりしているので。そうするとだんだん、泣いちゃったりしますね。でも最近私が泣くときって大体嬉し涙なんです。悔しい涙じゃないから、いいのかなって思ってます。
SHARE