REPORT
2015.06.05
全57曲! レア曲満載の10周年記念ライブ
KOTOKOのデビュー10周年記念ツアーの総決算となる<KOTOKO 10th Anniversary The Grand Final Live “ARCH”>が、4月19日に渋谷公会堂で開催された。
ギター3本、ベース2本、ドラムセット2台、巨大なキーボードセットという大規模なバンド編成が用意されたステージは、背景に全国47都道府県のツアー会場で集めた47枚の寄せ書きパネルが掲げられ、この記念すべき日を祝福していた。
KOTOKOのメジャー・デビュー・アルバム『羽-hane-』収録曲「羽」で幕を開けたライブは、MCもそこそこにショート・バーションにアレンジされた楽曲たちが矢継ぎ早に披露されていく。スタートから1時間もしないうちに10曲近くが歌われたあたりで、我々観客の胸にはある共通の予感が雄叫びを上げていた。「このライブはきっと大変なものになる……!」と。
その予感は「being」「BLAZE」「Sociometry」というキラーチューンが立て続けに披露され、しかも曲中にバンドメンバーが交代するという離れ業を目撃したことで確信へと変わった。そう、このライブのバンド編成は、歴代のメンバーたちがKOTOKOのデビューから今日までの歴史をなぞるように目まぐるしく入れ替わっていくのだ。メンバーだけでなく、60曲近く用意されたセットリストもほぼリリース順どおりなら、驚くほど短い時間でチェンジするKOTOKOの衣装も、この10年間ライブで着たものを順に披露するという徹底ぶりだ。
『ハヤテのごとく!』の歴代主題歌メドレーを歌いながら、客席に飛び降りたKOTOKOは、熱狂する観客の間を駆け回りながら歌い続ける。その強靭なフィジカルは、生来の才能ももちろんあるが、10年の経験で培われたものであることも間違いない。
4thアルバム『イプシロンの方舟』から「リアル鬼ごっこ」や「ε 〜Epsilon〜」が披露され、セットリストの時系列が現在へと近づいてきたそのとき、ある曲によって事件は起きた。「きゅんきゅんスペシャルmix」と名付けられた曲が始まると、客席からは喜びと驚きが入り混じった歓声が上がる。それはKOTOKOがメジャー・デビュー以前に手がけた、PCゲームの主題歌たちをミックスしたスペシャル・トラックだったのだ。「まさかこんなものが聴けるなんて!」とばかりに踊りまくるファンたちのボルテージは、「jihad」でピークに達した。「ARCHツアーの抽選曲コーナーでも人気が高かった」というこの曲は、オリジナル・アルバムには未収録ながらもファンには人気の曲だ。
そしてKOTOKOがI’veから独立して初めて制作したアルバム『ヒラく宇宙ポケット』から、「☆-未来-列車-☆」などの楽曲が歌われると、いよいよライブは終盤へと向けて進んでいく。KOTOKOは『ロウきゅーぶ!』主題歌をセルフカバーした「SHOOT!-KOTOKO ver」や、『アクセルワールド』のEDテーマ「→unfinished→」など、自身が作詞を手がけ、八木沼悟志との共作となった曲たちを観客にぶつけながら、「ここからがKOTOKOのライブだろ!」と煽りまくる。会場全体を包み込む熱狂は、もはやKOTOKOと2000人の観客による音楽バトルロイヤルとでも呼べるものだ。最新シングル曲である「ZoNE-iT」で“-キミハマダ戦エル-”と客席にエールを送ったKOTOKOは、最後に今回の10周年ツアーの名を冠した楽曲「ARCH」を愛情溢れる声で歌い、颯爽とステージから去っていった。
しかしこの日集まった2000人のファンたちは、これしきで納まりがつくようなタマではない。彼らの絶え間ない拍手と歓声によるアンコールに応えて、ステージ舞い戻ったKOTOKOとバンド・メンバーたちが奏で始めたのは、彼女の歴史を振り返るうえでなくてはならない曲、「Shooting Star」のイントロだった。ステージ背景の寄せ書きパネルが上方へ姿を消すと、そこには満天の星空を思わせる照明が輝いている。その光に劣らぬほどの輝きを放ちながら歌うKOTOKOの姿は、彼女が積み重ねてきた膨大な経験と、音楽への変わらぬ愛を伝えるのには十分すぎるものだった。3時間半近くに及んだライブの疲れを微塵も感じさせずに、「開け!ソラノオト」「421 -a will-」を歌った彼女は、最後に「私を支えてくれたみんなのおかげで、世界一幸せな歌手として10年歌ってこれた」と感慨深そうに語る。しかし直後に「ここはまだ通過点だと思ってる」胸を張った勇姿は、まだまだ満足はしないぞと言わんばかりの、貪欲な頼もしさすら感じさせてくれた。
57曲にも及んだ長大なセットリストの最後を飾ったのは、KOTOKOのメジャー・デビュー・シングルである「覚えてていいよ」。10年前の曲といえば、ずいぶん昔の曲のように思ってしまうが、客席のファンたちはみな口を揃えてこの曲を合唱していた。彼らとともに幸せそうに歌うKOTOKOは、きっと10年後も変わらず歌い続けているのだろう。
すべての演目が終わったあとで、ステージ上のKOTOKOの背後から歴代のプロデューサーが現れ、次々に花束を送るというサプライズが用意されていた。予想外の人物たちの登場に爆笑していたKOTOKOだったが、最後の最後に北海道から駆けつけた「育ての親」ことI’veの高瀬一矢氏が登場すると、感極まって号泣してしまった。
堂々と歌う姿と、多くの人々が愛さずにはいられないこの人柄によって、KOTOKOはこれからも歴史に足跡を残し続けていくことだろう。観た者にそう思わせるだけの魅力が、愛が、このライブには満ち満ちていた。
Text By 市川太一(クリエンタ)
KOTOKO 10th Anniversary The Grand Final Live “ARCH” セットリスト
M01:羽
M02:Lament [Short ver.]
M03:Gratitude 〜大きな栗の木の下で〜 [Short ver.]
M04:ひとりごと [Short ver.]
M05:DuDiDuWa*lalala [Short ver.]
M06:Re-sublimity
M07:Suppuration -core- [Short ver.]
M08:agony [Short ver.]
M09:地に還る 〜on the Earth〜 [Short ver.]
M10:硝子の靡風 [Short ver.]
M11:Wing my Way
M12:UZU-MAKI
M13:月夜の舞踏会 [Short ver.]
M14:ささくれ [Short ver.]
M15:Face of Fact -RESOLUTION ver.- [Short ver.]
M16:Chercher 〜シャルシェ〜 [Short ver.]
M17:きれいな旋律 [Short ver.]
M18:being
M19:BLAZE [Short ver.]
M20:Sociometry [Short ver.]
M21:ハヤテのごとく! 〜 七転八起☆至上主義! 〜 daily-daily Dream
M22:Special Life! [Short ver.]
M23:U make 愛 dream [Short ver.]
M24:Collective [Short ver.]
M25:snIpe [Short ver.]
M26:リアル鬼ごっこ
M27:SCREW [Short ver.]
M28:ε 〜Epsilon〜
M29:限界打破 [Short ver.]
M30:雨とギター
M31:車窓の調べ [Short ver.]
M32:bumpy-Jumpy! [Short ver.]
M33:きゅんきゅんスペシャルmix
M34:PIGEON -the green-ey’d monster [Instrumental]
M35:蒼 -iconoclast [Short ver.]
M36:碧羅の天へ誘えど [Short ver.]
M37:Imaginary affair
M38:jihad
M39:☆-未来-列車-☆ [Short ver.]
M40:メーテルリンク [Short ver.]
M41:青いジープで
M42:My-Les [Short ver.]
M43:空中パズル [Short ver.]
M44:SHOOT! -KOTOKO ver.- [Short ver.]
M45:Rock☆DE フルーツバスケット♪
M46:Flower!! [Short ver.]
M47:Loop-the-Loop [Short ver.]
M48:Light My Fire
M49:→unfinished→ [Short ver.]
M50:リスタート [Short ver.]
M51:TOUGH INTENTION [Short ver.]
M52:ZoNE-iT [Short ver.]
M53:ARCH
EN01:Shooting Star [Short ver.]
EN02:開け!ソラノオト [Short ver.]
EN03:421 -a will-
EN04:覚えてていいよ
★今回のツアーを記念しリスアニ!WEBにて連載していた「日本全国ARCHを探せ!! KOTOKO 10th Anniversary SPECIAL SITE」も最終回を迎えました。
KOTOKOさんが各地のツアー先でたくさんの“ARCH”を見つけてくれました! そちらも合わせてぜひご覧ください♪
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