INTERVIEW
2013.12.15
鈴木このみの11/27発売ニュー・シングル「AVENGE WORLD/世界は疵を抱きしめる」は、以前彼女がカバーした「囚人 -Paradox 2013-」の作者である囚人と全編に渡ってタッグを組んだ衝撃作だ。「CHOIR JAIL」のデビューから1年半、17歳となった彼女が見せるあらたな鈴木このみ像とは……?
――ニュー・シングルのお話の前に、夏に行われた“Animelo Summer Live”でのお話を伺います。改めて二度目のさいたまスーパーアリーナはいかがでしたか?
鈴木このみ 今回は2年目だったので、1年目の出来を上回らないといけないっていうプレッシャーも自分的にはあって。ちゃんと自分自身が満足できるステージにしたかったんですが、その点はすごくクリアできたかな、と思っています。アニサマでは、コラボでキバオブアキバのふとしさんとZAQさんと「ワタモテ(私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い)」を歌わせていただいたんですけれども、実は初めて3人でちゃんと歌ったのが、前日のリハのときだったんです。
――やっぱり「ワタモテ」は曲の破壊力もそうでしたし、お客さんの盛り上がりもすごかったですね。
鈴木 すごかったですね!「実は途中でイヤモニが取れてしまいまして。「どうしよう!?」と思ったんですけど、その方がお客さんの声がすごく聴こえて、コール&レスポンスのところで直にパワーがドンと来て。いつもはそういう大舞台ではイヤモニしてるのでみなさんの声をあんまり聴けないので、それはそれでレアないい経験になりましたね。
――そのものすごいリアクションのあった曲のあとに出された今回のシングルも、とんでもないシングルだと思います。まずは『フリージング ヴァイブレーション』のOP/EDのお話からお伺いします。今回はまた囚人さんとタッグを組んでいますね。
鈴木 個人的にも囚人さんの曲が好きなんですけれども、ファンの皆さんからも「囚人-Paradox 2013-」を発表したときに「すごくいい曲だ」ってブログのコメントなどをくださっていたので、またタッグを組めるっていうことがすごくうれしいです。あと、実は「ワタモテ」が始まる前から、デモで何曲か囚人さんの曲を歌っていて。そのなかで「AVENGE WORLD」は特に気に入っていた曲だったので、「いつかこれ自分の曲にならへんかな?」って思っていて。なので、自分のところに回ってきて「よっしゃ!」って思っています(笑)。でも、「いつかアルバムを出すときに入ったりするのかな?」ぐらいに思ってなかったので、アニメの曲になり、しかもしかもOP/ED両方っていうことにはすごくびっくりしました。
――ご自身の歌が、OPだけではなくEDでも流れるっていうのはいかがですか?
鈴木 昔から「OPとED両方できたらいいな」っていうのはアニソン・シンガーとしてすごく憧れはありました。やっぱり最初自分で始まって、最後も自分で締めるってかなりの大役じゃないですか?だってどっちかひとつでも歌が良くなかったら、また次回観ようかなっていう気もたぶん失せてしまうと思うので。だから、すごく光栄なことだなと思います。個人的には、OPテーマで自分の声と一緒にアニメのタイトルが出てくるっていうのが好きなんです。そしてEDは、物語を締めて「次どうなるんやろう?」って思わせる役割じゃないですか? それはOPにはない味だと思うし、そのどっちも担当できるっていうのが、すごくいいなぁと思いました。
――まずはそのOPの「AVENGE WORLD」です。歌い出しからものすごくアグレッシブで、アッパーな激しい曲になりました。これは最初に聴いたときからビビッときた?
鈴木 そうですね。他にも良かった曲はあったんですが、その中でもこのOPはすごく気に入っていて。その後もずっと「脳内再生余裕!」なぐらい(笑)。
――ものすごいキーの高さやメロディで、ボーカルにパワフルさを感じたんですが、実際歌ってみてどうでした?
鈴木 囚人さんはいつも結構、音程の上がり下がりがすごく激しい曲を書いてくるな、というイメージがあって。今回もすごく激しい曲が来たな、と思ったんですけど、ちょっとオーケストラっぽい感じのところと、ドラムがすごくドコドコ刻んでいるところが合っていてすごくかっこいいな、って思いました。歌詞も畑(亜貴)さんに書いていただいたんですけど、実は今の形と違う歌詞もあって。TVサイズの最後、「答えも見えぬ夜明け」っていうちょっと暗めな終わり方なんですが、もうひとつの方は「答えが見えた夜明け」と、まったく違う意味でした。
――さらに、その歌詞に乗る鈴木さんのボーカルの説得力や力強さも感じられます。最近の作品を聴いていると、いろんな方面でハードルが上がられているようにも感じるんですが。
鈴木 自分でも最近それは感じていますね。ただ、今前の曲を歌うと、そのとき精一杯だった曲が意外と楽に感じるっていう事を最近発見しました。単独ステージを初めてやったときは7曲ぐらい歌ったんですが、あのときはあれが精一杯で。だけど最近家で練習してると「7曲持つようになってきたな」って気づいて。ちょっと強くなったのかもしれません。
――今回のシングルでは、鈴木さんのボーカルの凄みを見せる部分が大きいような気がします。
鈴木 OPの方は、どっちかと言うと迫力で押し切っちゃうタイプの曲だと思ったので、歌詞の意味的にも曲調的にも、憎しみとか悲しみとか怒りとか、そういう負のオーラを出せるように頑張りました。それもナヨナヨっとした感じではなくて、「こんちくしょー!」みたいにメラメラ燃えている感じで。
――一方EDの「世界は疵を抱きしめる」は、OPとは違うベクトルでの鈴木さんらしさを見せている楽曲になっています。
鈴木 こっちは、苦しさのなかにも希望がちょっと見えてきて、次の話に繋がるっていうイメージで歌いました。
――先ほどの怒りのオーラからは一転して、爽快感も感じられる楽曲です。こちらは歌ってみていかがでした?
鈴木 まずいちばんびっくりしたのが、歌詞をパッと見たときに「求めたまえ」から始まっていてすごい歌詞だな、と。どんなふうになるんだろう? って思っていたんですが、歌ってみたらすごくしっくり来ましたね。その「求めたまえ」っていうのを、自分が神にでもなったように、悟りを開いてる感じで歌いました。
――そのフレーズから開けた印象も、確かにあると思います。
鈴木 そうですね。この「求めたまえ」っていうフレーズで心をグッとつかめる曲だな、と思いました。
――2曲とも、ご自身の意図した仕上がりにはなっていましたか?
鈴木 OPの方は、もう「ドン!」って体当りしていくような感じ!冒頭の「AVENGE WORLD!!」のところは、凄くカッコいい感じでイメージして歌いました。EDは、爽快感があって結構かっこいい系だと思うんですけど、OPよりちょっと明るい内容になっていますね。歌詞的にも曲調的にも、「自分の傷は癒えないけど、やっと見つけた大事な人を守るために、次は私が頑張っていくんだ」っていう決意の歌でもあるかなとは思います。
自分が元になって作られた話なので、自分の気持ちを思いっきり出そう
――そしてガラッと変わってもう1曲。こちらは囚人さんとの新プロジェクト”“Chant-LA(シャントラ)”ということですけれども。「囚人さんが鈴木さんのパフォーマンスを観て、インスパイアされて物語を作った」という、鈴木さんの歌ありきのプロジェクトですよね。こちらについて、何か囚人さんとお話はされましたか?
鈴木 あんまりお会いできてはいないんですけど、この間『フリージング』の先行上映会のときに、最前席で観てくださっていて。歌っているときに目が合ったらすごくニコニコしていらっしゃいました(笑)。
――たぶん囚人さんも、自分のイメージしていた歌声そのものが目の前にあったことに感動されたんでしょうね。
鈴木 あと、最初にいただいたのは曲じゃなくて、小説だったんです。先に囚人さんが序章分くらいの物語を書いてくださって。その物語の途中、「ここでこんな感じの歌が流れる」っていうのが5曲あって、そのデモもいただきました。今回収録されている曲は、その5曲をメドレーにしたものなんです。
――そのメドレーを聴かせていただきましたが、これもすごいですね。
鈴木 いつもよりミュージカル寄りな感じがするな、と思いました。実はデビュー前にミュージカルに出演していたので、デビューしてからもアニソンとは違うベクトルでミュージカル的な感情を出せるのが、またすごくうれしいなと思います。アニソンはアニメに合わせることを第一に考えているんですけども、今回は自分が元になって作られた話っていうことで、自分の気持ちを思いっきり出そう、っていう感じで歌いました。
――鈴木さんの歌が原作であり登場人物でもあるので、サウンドがストリングス主体で声が前面に出る感じになっていますね。いつもとはまた違うベクトルの、歌声の凄みを感じます。
鈴木 歌い方もいつもとはちょっと変えています。ミュージカルって、舞台の上から客席全部に届くように、大きめに表現するじゃないですか? なので、今回はいつもより意識して大きく表現しようと思って。いつもは結構刻んで音を取っているんですけど、今回はよりイメージをいっぱいに膨らませて、「ここはこう、揺れている感じ」とか、他にも風景を想像したりして歌いました。例えば、風がこう揺れているならこういう歌い方かなとか、ここはちょっといたずらな笑みっぽく、とかいう感じで。
――そこは自分がオリジナルになるので、より自分の考えで強くできる部分が多いんじゃないでしょうか? このプロジェクトがどんどん続いていけば、楽曲も増えてくるわけでしょうし。
鈴木 そうか! そうですよね! これで全部やと思ってた(笑)。でも自分の歌がきっかけで物語とか作品ができることって、普通は一生に一度もないじゃないですか? だからそれってすごく幸せな話ですよね。
――アニメで歌う鈴木さんとは別の魅力があるということでChant-LAにも期待感が増してきますし、今回のシングルは本当にてんこ盛りですね。
鈴木 前回のシングルはダブル・タイアップだったので「アイスクリーム2色盛り」みたいな感じだったんですけども、今回は全部囚人さんの曲なので、「囚人さん1色祭り! 特大ドーン!」っていう感じだな、って思いました(笑)。
――お客さんの目もテクニカルな部分でもハードルが上がってきている部分はあると思いますが、逆にどんどん表現の幅が広がって、この先への道もさらに広がってきていると思います。これから17歳のシンガー・鈴木このみとしてはどうなりたいですか?
鈴木 どうしよう? 花の17歳なので(笑)。でも、やっぱり次は今以上に成長してたいな、っていうのはいつも思うことですね。成長できるうちに成長しておかないと、たぶんいつか伸び悩む時期とかが来ると思うので、その前にグングン伸ばしておきたいです。デビューから1年半になりましたが、最近は、ふと「もう1年半過ぎてるんや」って思うときもありつつ、シングルの数を見ると「まだ1年半なんや」って思いますね。
――なかなかこれだけの経験をできる人はいないと思いますし、それをやってきている鈴木さんのポテンシャルもあると思うので、伸びしろはたぶんいっぱいあると思います。
鈴木 ありがとうございます。あとは……高校3年生になるから、高校生活も最後ぐらいはちょっと充実させたいですね(笑)。
【リリースインフォメーション】
「AVENGE WORLD/世界は疵を抱きしめる」 Now On Sale
TVアニメ「フリージング ヴァイブレーション」 OP&ED主題歌シングル
《OPテーマ》
「AVENGE WORLD」 歌:鈴木このみ 作詞:畑 亜貴/作曲&編曲:囚人
《EDテーマ》
「世界は疵(きず)を抱きしめる」 歌:鈴木このみ 作詞:畑 亜貴/作曲&編曲:囚人
ほか
シャントラ -絶対依存の歌姫- より Op.0/Chant-LA・AVENGE WORLD(Instrumental)・世界は疵を抱きしめる(Instrumental)
税込価格:¥1,260 品番:ZMCZ-8911 発売・販売元:KADOKAWA(メディアファクトリー)
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