INTERVIEW
2016.09.14
骨太なサウンドに情感あるメロディで人気を集めるMUCCが、8月28日から4週連続で放送されるTVアニメ『七つの大罪 聖戦の予兆』のOPテーマを担当することに。その栄光を手に入れたのは作品の大ファンというYUKKE。彼が詞曲を作り上げるにあたって感じた喜びと苦しみ、そして『七つの大罪』への愛を語る。
――今回は詞曲共にYUKKEさんですね。
YUKKE 曲は3年ぐらい前に作って、レコード会社に預けてあったものなんです。今までにも何度か(主題歌曲として)聴いてもらったことはあったんですけど陽の目を見ずにいて。でも、気に入っていたのでしょっちゅう自分でも聴いてたんですよね。それがこんなにいい形で出せるなんて。
――寝かせた甲斐がありましたね。
YUKKE ホントですよ。待ってよかったですよ。半端ない喜び方でしたよ。家でひとりでいたときにディレクターからメールが来て。連絡を2週間待ってて、だから多分ダメだったんだろうなって思ってたところに突然、「『七つの大罪』決まりました」って来て。2回見直して、外まで聞こえるぐらいの声で「やったー」って言って踊ってましたからね。友だちと親に電話したし。全然クールじゃなかったです(笑)。
――曲を作ったきっかけってあったんですか?
YUKKE MUCCとしてのシングル曲っていうものを意識しつつ、アニメのオープニングとしても合うようなポップな曲が作れたらなって気持ちだったんですよね。具体的になんのアニメを意識したということはないんですけど。そのとき書いた歌詞は全然そっちの方向ではなかったし。
――今回、詞もYUKKEさんとなったのは「『七つの大罪』好き」ってことで?
YUKKE そうですね。メンバーと話をして、いちばん「気持ちがある」し。あと、シングルで「作詞曲:YUKKE」ってまだなかったので。
――曲を仕上げるにあたって、アニメの制作側から要望はありましたか?
YUKKE そんなに細かくはなかったですね。日曜17時という時間帯、視聴者層ってのを自分で考えながら、でもMUCCのシングルというところをイメージして歌詞は書きました。でも、ノート一冊分ぐらいは没歌詞を書きましたね。言ってみれば何を書いてもよかったので、何を書きたいのかがどんどん分からなくなって。すごく平面的な詞でした。ただ自分は、誰かが誰かを守っているという部分が点々と見える、っていうのがすごく好きなところなんですね。ちょうど自分にも「大切なものを守り抜く」って気持ちがすごく生まれていた時期だったこともあって、合致する感覚も持てたんです。それで、そういう歌詞を書こうというところに行き着きました。そこからだんだんと切磋琢磨されて……という感じですね。でも、全編通して自分の気持ちとアニメの気持ちが並走している感じで納得いっています。
――作品のキャラクターやシーンを思い浮かべながら書いた部分もありました?
YUKKE ありますよ。やっぱり、メリオダスとエリザベスというラインは頭にあったんですけど、自分はキングとディアンヌが好きなので。ずーっと好きなのは、実はホークなんですけどね。いや、可愛くてしょうがない。オープニングに決まってから、ホークのフィギュアをテーブルに置いて詞を書く日々でしたから。レコーディングでもアンプの上に置いてましたね。そしたら逹瑯に一度、俺のお茶にドボンって入れられたんですよ。「何すんのーっ」って言ったら「大事にしてっからさー」って。それで「豚汁、豚汁」って言われましたね。
――うまいこと言いますね。
YUKKE そう、「うまっ!」って思いました。
――歌詞には、どのように作品世界を入れ込んでいきましたか?
YUKKE 具体的に入れたワードは、「クローバー」ぐらいですね。
――“罪”とか“罰”とか、それらしい部分は?
YUKKE “君が泣く様な世界なら どんな罪にも手を伸ばそう”“ 君が微笑んでくれるなら どんな罰でも受け入れよう”は逹瑯が俺の歌詞からイメージしてでてきた言葉なんです。俺も最初「罪」って言葉を入れたんですけど、避けたんですよ。
――ストレートではありますね。
YUKKE そう。でも、逹瑯が入れたのを聴いて、「入れたらこんなに歌詞の輪郭が見えるようになるんだ」「さすが先生だな」って思いましたね。歌詞の1行目って大事なのに、どうにもスッと入る歌詞が書けないから100回ぐらい書き直してたんだけど、この1行で引っ張ってもらった感じがありました。
――詞は共作になってますよね。
YUKKE 基本は俺が書いたもので進めつつ、いろいろとアドバイスもらいましたね。例えば、落ちサビの“永遠をひとつ願って サヨナラをひとつ拒んだ”あたりは最初、1サビをもう一度歌おうかと思ったんですけど、「フックになるところだから、新たに歌詞を用意した方がいい」って逹瑯に言われたんですよ。で、逹瑯に、「どんなことを歌いたい? 文字数は気にせず、気持ちとかを教えてくれれば、それを踏まえて俺が詞に落としてみるわ」って言ってくれたんですよ。なんかここは歌ってもらったら1回でスッと入ってきたし、演奏してても歌詞を書いてるときの素の自分に戻れる4行なんですよね。ふたりで歌詞を書くのって難しいんじゃないかと思ったんですけど、逹瑯が俺の気持ちを優先してくれたので、スッと納得できる歌詞ができました。やっぱり普段からよく話をするので、どういうことを考えてるのかとか、知ってくれているので。
――いい話じゃないですか。
YUKKE って思うでしょ?でもまあ、どうなんでしょうね。根はいいやつなんですけど(笑)。でもホント、リーダーにもいろいろ相談したし、支えられて仕上げられた一曲でしたね。(L’Arc~en~Cielの)Kenさんには、「気持ち」についてから楽曲のアレンジから、トータルで支えていろんな面で相談をきいてもらいました。詞も自分が書くって決まったとき、「頑張ろう」っていうのと「でかいもん背負ってしまったな」っていう両方の気持ちがあったんですけど、そこからどう気持ちを持っていくか、テンションの上げ方とか、精神的な意味でもプロデュースを受けた感じです。
――では、自分として会心の仕事したな、って部分は?
YUKKE え?自画自賛しろ、と?(笑)。でも、タイトルかな。最後に付けたんですけど、それまで10個ぐらいは考えてたんです。歌詞から引用したり、メンバーに意見を聞いたりしながら。でも、スポーンってハマるのがなくて、明日までに考えないと、ってときに出てきた言葉が「CLASSIC」でした。クラシックを習っていたわけではないんですけど、客観的に見たとき、ちょっと自分っぽいって印象があったんですよね。昔から残ってきているもの、時間が経過しても残るもの、残ってほしいという願い、大切なものを守りたい、そんな思いで付けました。あとは、この曲が先々まで残ってほしいという気持ちも込めて。字面もいいし、メンバーに言ったら「いいね」って言ってもらえたし。直線を走って見つけたタイトルというよりも、道を曲がって見つけたタイトルという感じがしていて、これは会心だったんじゃないかな。
――『七つの大罪』の世界観にもつながるイメージですね。
YUKKE そうなんですよ。『七つの大罪』に出てくるキャラには、何百年も前から生きているやつもいるし。メリオダスが言ってた、「誰かが守り続ける限り想いは死なねえ」って言葉にもすごく結びついてる気はしました。
――楽曲についてですけど、まずはTVサイズを作ってからのフルサイズ、というスケジュールでしたか?
YUKKE そうですね。TVサイズは2番のAメロからが使われていて、そこがオープニングを意識した譜割りや詞になっていますね。キャッチーさがあって。「“クローバー”を使うなら2番のABメロだな」とか思ってました。でも、詞を書いているときに映像を想像するのは楽しかったです。
――OP映像を?
YUKKE そういうことをすごいするんですよね。前作のOP画面に89秒の再生を合わせてみるとか、そういうミーハーなことを(笑)。でも、想像がつきやすくなったおかげで書けるようになった部分もありました。
――フルサイズに関して意識したところは?
YUKKE フルサイズとなるとムックの1曲ということになるので、89秒では見せられない部分を入れ込むようにしました。激しいイントロやアウトロとか。あと、落ちサビ前のフランス語が入った間奏部分のアレンジとかは、Kenさんやリーダーがすごく考えてくれました。
――あのフランス語部分も詞はYUKKEさんが?
YUKKE フランス語には訳してもらいましたけど(笑)、でも自分のいちばん書きたかったことをそのまま書いてます。
――完成した曲を聴いたときの感想ってどんな感じでした?
YUKKE 自分がずっと聴いてたデモの段階からも飛躍的に良くなったし、メロディはすごくキャッチーかつポップな王道で結構アニソンだと思うんです。でも、MUCCのシングルっていう立ち位置も見いだせる曲になりましたね。あと、ライブでやるようになって、この曲の激しさがあらためて分かったというか、自分のデモだと平面的だったんですけど、ライブで盛り上がるアレンジにはなりました。なのでやっぱり、オープニングだけではなくCDでも聴いてほしいですね。
――ライブでやった手ごたえというのは?
YUKKE やりながらゾクゾクしてました!初めて曲を作った15、6年前、お客さんの前で自分の曲を聴いてもらうって感覚がすごく新鮮だったんですけど、それに似た感覚を味わいました。ずっとひとりで聴いていた曲だったので、「ついに出せたー」って感じでうれしかったし。いや、「CLASSIC」に関わっている俺は普段の俺よりも10%ぐらいテンションが高いっすよ(笑)。
――50%ぐらいじゃないんですか?(笑)。
YUKKE いや、50%までいっちゃうと空回りするので。アニメ側に入っていこうとして余計なこと言ったりとか。歌詞に必殺技の名前が出てきてしまうと思うんですよ(笑)。
――それはそれで聴きたいですけど(笑)。
YUKKE いやいや。だから、10%ぐらいに抑えるのがちょうどいいんですよ。『七つの大罪』を読んで面白いと思っても、「今言うとちょっとしたフラグ立てることになるのかな」ってTwitterでつぶやくのを押し殺してました。
――「タイアップ決まったから誉めてんじゃないのか」って邪推もよく出てきますからね。
YUKKE そう。そういうタイミングだったので。
――じゃあ、発表したときは……。
YUKKE 「やっと言えたー」って感じでしたよ。人気のアニメだから自分たちのお客さんからの反応とか、知人の反響もすごかったですし。それに期待値が高いんでしょうね。(原作にない)オリジナルのストーリーなので。
――そのOPに選ばれた、ってのは大きいですね。
YUKKE ほら! 言うたびに鳥肌が立つ!(笑)。また、(OPに選ばれた意味を)考えちゃいましたよ。
――それから、ここに期間生産限定アニメ盤ジャケットの線画がありますが……。
YUKKE 裏のキングとディアンヌ、やばくないですか? 表はもちろんメリオダスとエリザベスだとしても、キャラクターが「ワーッ!」ってしてるような、ホークとみんなが走ってるようなジャケットにはしたくなかったんです。だから、表ではメリオダスとエリザベスが守り合ってて、裏ではキングとディアンヌが……って感じが良かったんですよ。それで、キングとディアンヌを入れてほしいってお話をさせてもらって。「キングがもうちょっとケガだらけでもいいんじゃないか」とか。
――裏面はYUKKEさんからの提案だったんですか?
YUKKE そうですね。アニメサイドが「何か要望ありますか?」って声をかけてくださったんです。せっかくなので、意見を出させてもらいました。色が付いたらまた印象変わるんでしょうけど、これ、いいですよね。見てたら、また鳥肌立ってきちゃった(笑)。
――あらためて、今回の曲がシングルになってみてどんな気持ちですか?
YUKKE ファンだったら「自分がいちばん好き」って気持ちを持っていると思うんですよ。俺も『七つの大罪』はそういう気持ちが底にある作品なんですよね。だから、本気で思いを込めて作ったし、楽しんでもらえる自信はあります。好きだけど浮かれないで、「俺に任せてくれ」って気持ちで地に足付けて作れたので。だから、フルで聴いてもらいたいし、みんなの反応が知りたいですね。
――じゃあ、#YUKKE_CLASSICとかで。
YUKKE お願いします(笑)。
――せっかくなので、『七つの大罪』ファンとしてアニメに対する期待も教えてください。
YUKKE 今回は1期と2期の間にあたる話なので、2期、そしてそのあともずっと続いてほしいという気持ちがあります。あと、映画。劇場版が見たいです。
――劇場版の主題歌をやりたいという気持ちが?
YUKKE いや、それはもちろんやりたいですけど単純に映画館でメリオダスを見たい!(1期と今回でEDテーマを担当の)瀧川ありささんみたいに、また呼ばれるってなったら最高ですし、もっと一緒に仕事してみたいって気持ちももちろんあるんですけど。
――今回はオープニングだったので今度はエンディングとか挿入歌で違う世界観を書くとか。
YUKKE それ、いいですね。今回は歌詞を書くうえで勉強になったことも多かったので。だから、『七つの大罪』に限らずアニメのタイアップ曲の歌詞を書いてみたい気持ちもあります。ただ、ホント、『七つの大罪』の世界観の中にちょっとでも自分が入れたというのはうれしかったですね。
――聞いてるとホント、愛が夢叶えた感がありますよね。
YUKKE いや、そうなんですよ。引き寄せたなって思っちゃってるんですよ、自分では。
――心が?
YUKKE いや、魂が?(笑)。
Interview&Text By 清水耕司(セブンデイズウォー)
●リリース情報
New Single
「CLASSIC」(TVアニメ『七つの大罪 聖戦の予兆』OPテーマ)
9月14日発売
【初回生産限定盤(CD+DVD)】
品番:AICL-3154~3155
価格:¥2,300+税 ※価格が変更となりました
【通常盤(CD only)】
品番:AICL-3156
価格:¥1,300+税
<CD>
1.CLASSIC
2.トリガー
3.ハイデ-TeddyLoid Remix-
4.CLASSIC -Original Karaoke-
<DVD>
・CLASSIC MUSIC VIDEO
・KILLEЯ from 孵化
・Tatsuro KILLEЯ (Tatsuro angle view original mix)
・Tatsuro KILLEЯ (Tatsuro angle view 迫り来る逹瑯 mix)
・Miya KILLEЯ (Miya angle view original mix)
・Miya KILLEЯ (Miya angle view 迫り来るミヤ mix)
・YUKKE KILLEЯ (YUKKE angle view original mix)
・YUKKE KILLEЯ (YUKKE angle view 迫り来るYUKKE mix)
・SATOchi KILLEЯ (SATOchi angle view original mix)
・SATOchi KILLEЯ (SATOchi angle view 迫り来るSATOち mix)
【期間限定通常盤(CD only)】
品番:AICL-3157
価格:¥1,300+税
<CD>
1.CLASSIC
2.YESTERDAY ONCE MORE
3.ハイデ -TeddyLoid Remix-
4.CLASSIC TV EDIT
5.CLASSIC TV EDIT -Original Karaoke-
※ジャケットラフデザイン仕様ブックレット封入
●作品情報
TVアニメ『七つの大罪 聖戦の予兆』
8月28日(日)から4週連続 毎週日曜 17:00より放送
※初回放送のみ午後5:30より放送となります
放送局:MBS・TBS系全国28局ネット
原作:鈴木 央「七つの大罪」(講談社「週刊少年マガジン」連載)
© 鈴木央・講談社/「七つの大罪TVSP」製作委員会・MBS
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