REPORT
2016.08.10
7月31日、みみめめMIMIの全国ツアー“微炭酸ファンファーレ”の東京公演が恵比寿LIQUIDROOMにて開催。8月17日にリリースを控えツアータイトルの一部にも冠した「晴レ晴レファンファーレ」はもちろん、この日のために用意した新曲なども合わせてこれまでのワンマン・ライブでの最多となる17曲を披露。1年ぶりのツアーで、楽曲・パフォーマンスの両面での充実ぶりを見せつけてくれた。
心揺さぶる楽曲詰まった、“濃い”一夜
カフェやサイダーを連想させるような客入れBGMが突如カットアウトされたかと思えば、炭酸の弾けるような音とともにステージが青く照らされ、そこにアコースティックギターを抱えたボーカル・タカオユキがひとり登場。その音が静まったところで、ギターでの「Am I Ready?」弾き語りからライブはスタートする。まずは素の感情を届けることをコンセプトにした滑り出しのようで、とりわけ2コーラス目は、歌詞もあいまって魂の叫びのような歌声に。シンガー・ソングライターとして、まずは自分の声で感情をぶつけて勝負する姿が、そこにはあった。
曲明け、雨が水面に次々と落ちる実写のBGVが映し出され、それが次第にフロアサウンドへと変わるとDJありぃとりか(Dr)が登場。メインスクリーンにツアーロゴが表示されると、「瞬間リアリティ」でバンド編成でのライブがスタートする。「Am I Ready?」での心情の吐露を踏まえると、この曲の頭サビの言葉はずしりと重い。しかし、その箇所を抜けたときのタカオは晴れ晴れとした表情で、そのまま「いくよ!」とファンを煽る。続く「1,2少女」では旗を取り出し、さらに間奏ではファンとともに旗を振りながら「今日はファイナル!楽しんでく準備できてますよね?」と、ファンを巻き込む力で彼らを従えていく。そのまま「東京!」のひと言から突入した「相対性レプリカ」では、かっ切るようなサウンド・テンポのこの曲で、序盤から攻めまくっていった。
曲明けのMCでは、「夏全部出し切るつもりで、ハジけて楽しんでいって!」とのアツすぎる呼びかけが。かと思えば「今日は皆さんデートに来たつもりで!」と甘い言葉も飛び出し、続いてお祭りデートのボイスドラマが場内に流れる。テーマがお祭り……となれば、「閃光ハナビ」を歌うほかはない。ドラマとの合わせ技によってより強まった爽やかさが、歌声にも乗り楽曲をより魅力的に映らせる。BGVとして花火のアートワークが映し出される一方で、客席にも色とりどりのペンライトの光跡が花火のように広がっていた。さらに「センチメンタルラブ」を続け、曲の魅力をMAXに活かす、聴き手をキュンとさせる流れを構築する。
一旦「no name love song」の冒頭では、モノクロの夏を連想させる実写BGVをバックに一転しっとりと歌い上げつつ、サウンドがポップになるサビからは映像もステージも色を帯びて、新曲「1メートル」に繋げる。恋に悩んで夜を明かしてしまった若さの感じられる、みずみずしくもきゅっと胸を締め付けるラブソングで、夕日から夜空、夜明けまでを映し出すBGVも効果的。このもどかしさとむずがゆさがたまらなく心地よいし、噛みしめるほどにそのタイトルの絶妙さを痛感させられる。
かと思えば、「チャチャチャ」でムードは一気に陽転。超絶アッパーで早口なナンバーを、キュートでマリオネットのようなフリとともにパフォーマンスしていく。また、2サビ明けの間奏では恒例のコール・アンド・レスポンスを展開。フロアを2分割してそれぞれにサビに合わせて歌とクラップを担当させたり全員に大合唱させたりと、ブロックを締めくくるにふさわしい盛り上がりを果たした。
業界初!?お弁当を作るライブMC
ここで再び、今度はお弁当屋さんのイラストをバックにボイスドラマがスタート。すると「お弁当を自分で作ろう!」とのドラマの流れから、なんと本当に「お弁当を生で作る」という斬新なコーナーがスタート。趣味の弁当作りを、その独創性ゆえか某テレビ番組で軽くdisられたばかりのタカオだが、この日は「かわいすぎて腰抜かしても知らないよ?」と少々強気。母譲りのエプロンを着用したら、主食材にこんにゃくを用いて東京にちなんだ弁当“ハチ公”を調理!観客からも見事☆3つのジャッジを得ていた。
無事弁当も完成したところで、今度はそれになぞらえて新曲「O.B.E.N.T.O」を披露。実にライブ映えのする曲で、イントロ冒頭のコール部分からタカオ自身もめちゃめちゃ楽しそう。ネギを刻むようなフリも織り交ぜて「いただきます♪」と締めたら、「お口直しに爽やかな曲を」との言葉からキラーチューン「CANDY MAGIC」へ。ステージ上の色合いは黄やエメラルドなどのこの曲のムードを引き立てるパステルカラーに次々と変わりゆき、気づけばフロアにも色とりどりのパステルカラーのCANDYの光が。
そのベクトルをガラリと反転させた激しいナンバー「お絵描き」からの3曲は、思いっきりアガりまくるゾーンに。タカオも衣装のレースをひらめかせ、激しいサウンドとともにファンを巻き込んで暴れまくっていく。続くキュートにドタバタした恋心の内を歌う「天手古舞」では、直前2曲のいい部分をそれぞれ引き継ぐというセトリ構成の妙を見せ、陽の方向に思いっきり盛り上がる。また、2サビ明けにはDJありぃが太鼓を叩きタカオもホイッスルを鳴らし、それに合わせてファンもタオルを掲げながら左右に揺れる。その光景は、まさに夏祭りそのものだった。そして「サヨナラ嘘ツキ」では、イントロで「今日いちばんカッコイイとこ見せてください!」と男心に火をつけてからスタート。曲とともに突き抜けていかんとするファンの歓声とともに、タカオ自身も全力でエネルギーを込めて、歌もパフォーマンスもやりきってくれた。
ファンの存在が大きくなったからこそ、より深みを増す過去の曲
そんななかスクリーンに再びツアーロゴが表示され、炭酸の音も流れ始めると、それをバックにタカオから「みんなの明日が、心がもっともっと晴れますように」との言葉がかけられ、そんな願いの込められた新曲「晴レ晴レファンファーレ」が本編ラスト曲として届けられる。DJありぃのトランペットで幕を開けると、頭サビから「Kiss!Kiss!」などの決めのポイントでポジティブさ全開の表情をのぞかせ、間奏ではエアギターのパフォーマンスまで披露するタカオ。そこにこの曲にも、ひいてはツアーにもうってつけな爽やかさが乗る。なのに、その奥底でほんのり切なさが効くという不思議な感情を、彼女の歌声が生じさせてくれることも再確認できた曲だった。そして彼女の「トーキョー、サイコーでしたー!!」とのシャウトとともに、本編は幕を下ろす。
するとすかさず「みみめめ!」「MIMI!」とアンコールを求めるコールが起こり、タカオが再登場。「ツアーが終わっちゃうの寂しいと思ってたけど、いざ迎えると本当に楽しい!」とツアーファイナルの感想を語り、全体についても会場ごとの違いに触れつつ、「今までの二日間とも違う景色を感じられて、幸せです」と自身の感激も伝えていた。
そんな彼女は、初披露の新曲「1/2ぶんこ(読み:はんぶんこ)」をプレゼント。温かなミドルテンポのラブポップであるこの曲は、曲自体の出来のよさはもちろん、彼女の既存曲との相性もよさそうで、少々気は早いが今後のライブへの期待もさらに高めてくれた。
そしてここで、みみめめMIMIの2ndアルバムが2016年秋にリリースされることが発表に!「たくさんのライブ活動を通じてファンみんなの存在がすごく大きくなって、『みんなとライブで楽しむためにこういう曲を書こう』とか、みんなから聞いた話から『こういうの書こうかな』と思ったり……いつの間にか、みんなが主人公の曲が生まれるようになりました」と自身の変化についても語る。そして最後には「全力で作ってます。期待してて!」との宣言も忘れなかった。
最後に愛用のピアノを爪弾きながら、「もっともっと、みんなが『みみめめMIMIの音楽が最高だった!』って自慢したくなれるような音楽を作っていきたいです」と今後の決意を語るタカオ。その言葉に続けて、ラストナンバー「ミッディ」を丸々弾き語りで披露する。彼女がその歌声に乗せて届けてくれる言葉を改めて噛みしめると、いつの間にかこの曲がアルバムを制作中の、今のタカオユキとどこか重なる1曲になっていたことを感じられる。だからこそこの曲が最後に来ることはすなわち、ずっと観てくれていたファンに対してのこれ以上ない礼となるのだ。サウンドの流れも、1コーラス目はしっとりと2コーラス目はCDに近づき少々ポップにと、彼女が成長して自信をつけていく道のりと重なるようだった。
曲明け、達成感に満ちあふれた笑顔でタカオは「すっごい楽しかったです!絶対絶対、また会いに来てください!」と呼びかけ、フロアの端から端まで礼をしてステージを降りる。そして同時に、モニターにはタカオ直筆のこんなメッセージが映し出された。
「ありがとうございました シュワシュワの夏を過ごしてね」
この1年、楽曲制作・ライブともに精力的な活動を行ってきたみみめめMIMI。それが結実したこの日は、冒頭で記述した通り今回は過去最多の楽曲数となったが、MCも短く時間も詰まった密度の濃いライブを実現させた。
そんなこのライブの中でもっとも強く感じたのは、前述のとおりポップな曲でもなぜかほのかに泣けるという、彼女の楽曲と歌声のみが作り出せる絶妙な青春感。それをパステルカラーの照明・ペンライトが彩る空間こそが、みみめめMIMIの世界観を象徴するもののようにも感じた。これからも、彼女たちの紡ぐみずみずしさや初々しさ・切なさに視覚聴覚の両面から触れて、この上ない幸せを感じたい――この日のライブは、そう素直に思わせてくれた。
Text by 須永兼次
Photography by 西原史顕
“みみめめMIMI LIVE TOUR 2016「微炭酸ファンファーレ」”東京公演
2016.07.31@恵比寿LIQUIDROOM
【SET LIST】
M1. Am I Ready?
M2 .瞬間リアリティ
M3. 1,2少女
M4. 相対性レプリカ
<MC>
M5. 閃光ハナビ
M6. センチメンタルラブ
M7. noname love song
M8. 1メートル(新曲)
M9. チャチャチャ
<MC>
M10. O.B.E.N.T.O
M11. CANDY MAGIC
M12. お絵描き
M13. 天手古舞
M14. サヨナラ嘘ツキ
M15. 晴レ晴レファンファーレ(新曲)
<ENCORE・MC>
EN1. 1/2ぶんこ(新曲)
<MC>
EN2. ミッディ
●リリース情報
「晴レ晴レファンファーレ」
8月17日発売
【初回盤(CD+DVD)】
価格:¥1,700+税
【通常盤(CD)】
価格:¥1,200+税
特典:TVアニメ「甘々と稲妻」描き下ろしワイドキャップステッカー
<CD>
M1「晴レ晴レファンファーレ」
作詞・作曲:ユカ サウンドプロデュース&編曲:CHRYSANTHEMUM BRIDGE
M2「1メートル」
作詞・作曲:ユカ サウンドプロデュース:PRIMAGIC 編曲:柳野裕孝
M3「CANDY MAGIC~Piano Live Version~」
作詞・作曲:ユカ
M4「晴レ晴レファンファーレ(instrumental)」
M5「1メートル(instrumental)」
<DVD>
ピアノ弾き語りライブ
M1「ミッディ」
M2「サヨナラ嘘ツキ」
CDショップ別店舗特典
Amazon、 HMV、アニメイト、ゲーマーズ、タワーレコード、一般CDショップ対象
ツアーライブ写真&ジャケットイラストのスペシャルポストカード2枚セット
※店舗によってライブ写真の絵柄が変更になります。
※ジャケットイラストは2種類をランダムに封入となります。
【会場限定盤(CD+オリジナルフォーク)】
価格:¥1,600+税
<CD>
M1「晴レ晴レファンファーレ」
M2「O.B.E.N.T.O」
作詞・作曲:ユカ サウンドプロデュース:PRIMAGIC 編曲:柳野裕孝
M3「CANDY MAGIC~Piano Live Version~」
M4「晴レ晴レファンファーレ(instrumental)」
M5「O.B.E.N.T.O(instrumental)」
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