INTERVIEW
2016.08.03
これほどまでに“攻撃的”な彼女たちは、もしかしたら初めてかもしれない――思わずそう感じさせる歌声とダンスを、13枚目のシングル「Re:Call」で私たちに叩きつけてくれるi☆Ris。TVアニメ『双星の陰陽師』の世界観にサウンドやパフォーマンスで寄り添いつつも、同時に自身の内面をも楽曲に重ね合わせてより説得力を伴った形で私たちに新曲を届けてくれた。その力を持たせる源となった、彼女たちが今抱く想いに迫る。
サウンドでもダンスでも、“i☆Risの伏せカード”がオープンに
――表題曲「Re:Call」は、表題曲としては今までにないほどかっこいい曲に仕上がったと思います。
山北早紀 私は元々かっこいい寄りの曲が大好きだったので、「ついにアルバムでは見せていたi☆Risのかっこいい曲が世に出るんだ!」とニヤニヤしました。『プリパラ』のイメージが強い方々をいい意味で裏切れる、i☆Risの可能性の幅がすごく広がる1枚になったと思います。
芹澤 優 かっこいい曲なのでレコーディングが楽しみでしょうがなかったです。当日は落ちサビのパートを、OKが出たあとも「絶対もっといいテイクあるんで、もっと歌わせてください!」と何度も録らせていただいたり……曲に込めた想いや長い間温めていたものをより深く音源に込められたと思っています。
茜屋日海夏 元々かっこいい曲が得意だったので、曲を受け取ってから率直に「あ、私のターンだな」と思って、皆さんに披露するまでの過程を全部想像してすっごくワクワクしていたんです。そしたら、初披露のときは予想通り皆さんを圧倒できたんですけど、その度合いが想像以上で!それがすごくうれしくて鮮明に覚えています。
若井友希 私も元々バンドサウンドがすごく好きだし、i☆Risの曲でここまでのゴリゴリのバンドサウンドって1曲もなかったのでうれしかったです。あと、出だしの私のパートがいい感じで好きでして(笑)。「無くした」の“な”の音のなさ加減とか、ブレスも長めじゃなくて一瞬で吸う、っていうところまでこだわったんです。
久保田未夢 これまでの『プリパラ』のOPって、やっぱり曲やMV、ジャケットもどちらかと言うと“アイドル”という感じだったんですね。でも今回は、それよりアーティストのCDに近いなと感じていて。しっかりアニメの主題歌ではありながら、よりいっそうi☆Risのアーティスト性がすごく強く出た1枚のようにも感じました。
澁谷梓希 まず「早く生バンドでやりたい!」という印象が強くて。ドラムも結構攻撃的に主張してるので、生バンドだとよりかっこいいアレンジに仕上げられる気がします。ペアで歌ってるAメロの後半とか、そういったところにも畳み掛ける感じがありますよね。
――そんなこの曲、タイトルは芹澤さんがつけたとのことで。
芹澤 そうなんです。移動中に聞かれて(笑)。でも一発OKでした。意味としては「思い起こす」とか「呼び起こす」みたいなものがあって、主人公のろくろが、諦めていた陰陽師としての夢を思い起こすところとか、「蘇る」とか「もう一度」という歌詞にも合うんじゃないかな?と思って……でも、その経緯を知らなかったメンバーも多くて。
久保田 私、この直前のインタビューで知って「おぉー……!」ってなった。
澁谷 うちらはひみが泊まりに来てたときに、Twitterで。
茜屋 そうだ。初披露の記事に書いてあったんだよね。
若井 “:”をつけたのもゆう?
芹澤 どうだったっけ……でも『双星』のOPテーマらしく掛け合ってる感じも出るし。それにコロンなしだと同じタイトルの曲もあったので……たぶん私がつけた、気がします(笑)。で、“Call”は単体でも意味を持つし。
山北 呼びかける感じでね。
芹澤 ただ、はじめは“回収”が出てくるって言われました(笑)。
茜屋 あ、私それ言った(笑)。最初は言葉で聞いたのでそう連想しちゃったんですけど、すごくしっくり来てます。
一歩進むために、逃げずに向き合う内面
――歌詞には『双星』のOPテーマらしく主人公・ろくろの目線も濃くありますが、それとは別に皆さん自身にリンクしている部分もありましたか?
芹澤 私はかなり。4年活動していると、元々の志って忘れたくないのに忘れていっちゃうところもあったりして。でも挫けそうになっても、ファンの人や小さな頃の自分の声が歌詞に出てくる“君の声”に思えて、「いや、まだ戦える」と自分の中で毎度毎度アツくなっています。
久保田 私は「どれだけ挫けそうになっても 振り返ることはもうできない」って、“もう”がついているのが大きいなと思っていて。武道館とか未来のことが決まっている今だからこそ、くじけてもここでやめちゃいけないだろうし、振り返って過去の自分に甘えることも今の自分はしちゃいけないんだろうなっていうのはすごく感じました。
茜屋 私は「数えきれない傷や怒りを強く噛みしめて」と「託されたすべての想いを受け入れ」っていうところが。ファンの人や応援してくれるみんなの「i☆Risならできるよ!」っていう希望を託されて、でもダメだなと思ったマイナスな自分の部分も含めてそれを受け入れて……っていう気持ちで。ダンスもそこにめっちゃ力を入れてやってました。
若井 「やってやるぜ」っていうこの曲の歌詞と、自分の持ってる自ら歩んでいくんだっていう想いとは一緒だな、って思います。そうしてアツくなれる曲なんですけど、最後の「高く高く手を伸ばして」っていう部分で音が上がって爽やかに終わるのもすごく好きですね。最後のゆうのソロの「空へ」っていうフレーズも、きれいにまとまってて。
澁谷 そこがセクシーで、好き。
久保田 わかる。サビの終わりがみんなの声で厚みがあるなかで、最後のゆうちゃんの歌声が、光が一筋にまとまって昇っていく感じがしてすごくいい。
澁谷 私は2番が全体的に、この4年間の自分の想いやここまで来た自分の道のりみたいな感じがしました。「託された希望」からはゆうゆうと歌ってるパートで切なくなって泣きそうになってしまうんですけど、ゆうゆうがすごく切なそうな顔をするので余計にウルウルきちゃって。すごく歌の表現がダイレクトでうまいので、ハモるときは「ゆうゆう待って!」って感じでついていくのに必死なんです。
芹澤 恥ずかしいじゃないかぁ(照笑)。
山北 私も2番のサビからDメロのあたりが好きで、「私は今、2サビになりたい」って思ってます。武道館もあるし、幻想空想をリアルに変えたいな……って結構葛藤もしてるので。応援してくれている人が増えてきているのはわかっているけど、もう一歩届かないのも感じているんです。応援してくれてるファンの人たちやスタッフさんたちがいるからこそここからもう一段階上に飛び立ちたいので、私の中ではすごくリアルタイムな歌詞ですね。
――そしてこの曲のMVは、シリアスに暗めな映像で、ダンスとドラマの2本仕立てになっています。
澁谷 撮影は寒さとの戦いでした。
若井 炎がもう温かくて温かくて。
久保田 ベンチコート着たんですよ!6月の中旬に。
――え!?
澁谷 洞窟の中はたぶん10℃あるかないかぐらいで、白い息出ましたもん。
若井 でもダンス中は、やっぱり汗かきましたね。
――そのダンスを拝見すると、やっぱり作品に接近した振付が多いように感じます。
若井 印を結ぶポーズとか。あとゆうのタットが好きです。
芹澤 1サビ明けのね。あれはたくさん練習しました。全体的にも、イントロから難易度高かったよね。
澁谷 振り入れのときすごかったよね。「え?まだここまでしかやってないの?」みたいな。
山北 「まだメロ入ってないの?」って感じだったよね。でも今回がいちばんダンスっぽいかも。今まではマネしやすい“フリ”って感じが多かったから。
久保田 そうだね。曲の終盤にゆうちゃん囲んで、6人で五芒星作ったりもしてるし。
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