REPORT
2016.06.04
5月22日、PileがTOKYO DOME CITY HALLにて“Pile SPECIAL LIVE !!!「P.S.ありがとう…」”を開催。アルバムに収録された同名の楽曲同様、この場に集った約2,500人の“追い風”(=ファンの呼称)への感謝を届けるスペシャルなライブを繰り広げた。
生バンドでのスペシャルな音を、より魅力的にする歌声
この日は彼女にとって、初めて生バンドを引き連れてのワンマンライブというまさにスペシャルな1日。そのバンドメンバーが入場したところで、「チェックメイト」のイントロとOP映像が流れる。その映像流れるメインモニターのたもとから登場したPileは、「TOKYO DOME CITY HALLいくよー!」のシャウトとともに、パワフルな歌声でステージをスタート。完璧なサビでのファンのコールと一緒に、出だしから最高の空間を作り上げていく。さらにはストリングス4人も登場。サウンドに厚みを増した「Dream of Princess」でホールの温度をさらに上げ、続けてめまぐるしい展開をみせるBメロを持つ「ヒカリフライト」も、軽快に乗りこなす。
MCで改めての挨拶とともに、ホール全面へと手を振るPile。ペンライトの輝く光景と歓声を目の当たりにし、「すごーい!」と素直に感激。その光を眼前に続けて歌い始めたのは、ニュー・シングルのカップリング曲「angel song」。凛々しくも重く激しいこの曲は、本当に生バンドによく似合う。続くジャジーなナンバー「EGOIST」では、楽曲の持つ切なさと色っぽさを損なわずに歌い上げ、前述のスタンドマイクも艶やかなムード作りにひと役買う。また「Black Butterfly」では、音数の多いAメロを、タイトルよろしく蝶のように軽々と乗りこなしていた。
ここまでの生バンドを従えてのライブを、万感込めて「超たのしーです!」と叫ぶPile。熱気あふれるステージングだが、ここからは少々クールダウン。しっとりとしたナンバーが続く。「Not Alone」では歌唱中にどんどん楽曲へ没入していき、尻上がりにその魅力をさらに増していく。温かみのあるサウンドにほのかに切なさのある歌声が乗る「雪降る夜」では、楽曲に合わせた客席の白のペンライトの光や、1サビ明けに降り出した雪を模した紙吹雪が美しい光景を生み出した。そして、サビでハートを形作るフリを交えた「恋する惑星」をキュートに披露したところで、Pileは一旦降壇。メインスクリーンには“Pile Birthday Party!!!2016”の誕生日当日公演のオフショットムービーや、ライブのリハーサルの模様が映し出された。
そうして少々素の姿を見せたかと思えば、ダンサーふたりを引き連れて再登場したPileによって、会場の空気はまたガラリと変わる。キレのあるダンスとともに、「Furuwasete」「ヴァンパイア革命」を連続披露。一気に会場内の空気を引き締めた。特に後者では、1サビでは「心臓」の部分で胸を突き出し、「CROSS」では突き出した手で十字架を描くなど、歌詞と振付とのリンクがとりわけ頻繁に見られた。そして3rdシングル「ドリームトリガー」で、ホールは一気に青に染まる。ここまで2曲でみせた凛とした歌声にさらに力強さが上乗せされ、それを受けた観客のテンションもまた段違い。そんなコールを間奏でしっかりと聴きつつ、Pileは最後までこの曲を凛々しく務め上げてた。
「まだまだ私の曲は盛り上がる曲が多いので!」とさらに観客に期待を持たせたところで、勢いそのままに突入した「金糸雀」では楽曲に漂う雅な雰囲気を歌声にも帯びさせつつ、最後のサビでの迫力ある絶唱で、その姿をファンの心に刻む。そして続くタオル曲「HANABI!!」では、Pile自身も折に触れて「もっと!」と声を出したり、手にしたタオルを振り上げたりとファンを先導。落ちサビ前では会場に「それそれそれそれ!」のコールが轟いた。
バンドによるインストブロックで再び降壇したPileは、カバー曲「空色デイズ」のイントロとともに、サインボールを発射すべくバズーカを携えて、ダンサーを従えて再登場。序盤こそ弾込めに失敗してしまったものの、Dサビ前の間奏では高々と客席最上段に向けて発射成功させるなど、キメどころははずさない。また、間奏ではギターソロでギターと背中合わせでファンを煽るなど、いよいよラストスパートを始める。
「まだまだいくよー!」とのシャウトから突入した「一歩先へ」は、かっこよさと希望が全面に出た元々の曲の持ち味に、この日は彼女がこの場で感じたうれしさも上乗せされていたような気がする。そして「⇒ NEXT WORLD ⇒」のサビラストで起こる「NEXT WORLD!」の大合唱の部分で、Pileは大サビだけは直前でイヤモニを外し、ファンのみに委ねていた。
曲明けMCではこの日のライブタイトルにも冠した「P.S.ありがとう…」を歌うことを告げ、自らが脚光を浴びるきっかけとなったユニット活動での6年間の日々を振り返る。そしてそれを「この曲を歌うたびに思い出せるように」と心に刻み、ファンへそのユニット活動でおなじみだった9色のうち、思い思いのお気に入りの1色をラスサビで灯してほしい、とファンへ協力を依頼。「何年か前、ここできれいな9色を見ました!」という思い出の地で、その曲をひと言ずつ噛みしめるようにしっかりと歌っていく。そして肝心のラスサビで彼女の眼前に広がったのは、誰にも偏ることのない、示し合わせたかのような9色の輝き。それを目にしたPileは、あふれ出る想いを精一杯込めて「ありがとー!」との絶叫でお礼。そのまま「いつかキミに届ける世界」で本編ラストを飾る。最後の最後まで伸びのあるボーカルで歌い切った彼女は、「ありがとうございましたー!」のひと言ののち、上手側へと颯爽と走り去っていった。
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